風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第446回  ファイナルの峰へ その1 (広河原~北岳山荘)

『日本百景』 晩夏 第446回  ファイナルの峰へ その1 〔山梨県・静岡県〕

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 誰も目指そうとはしない峰の頂で
達成した歓びを一人しみじみと味わおう


  広河内岳 ひろごうちたけ (南アルプス国立公園)
広河内岳は、山梨県と静岡県とにまたがる赤石山脈にある山で、標高は2,895mと我が国の山でも100支の標高を示す高峰である。 農鳥岳の南2kmほどの所にあるが、奈良田ルートより外れた位置にあり、この峰を目指す登山者は少ない。

また、この広河内岳より南の赤石山脈は、山系の呼称を変えて白峰南嶺となり、この峰の先は進めば進むほどに踏跡は乏しくなっていく。 また、この先は大井川東俣の奥にある二軒屋ヒュッテまで無人の避難小屋を含めて山小屋は一切なく、登山の力量のある限られた登山者のみの領域となっている。

なお、白峰南嶺(しらねなんれい)とは、赤石山脈の間ノ岳から派生した稜線上の峰々で、西の大井川と東の早川(富士川水系)に挟まれた山域である。 白峰三山の南の嶺という意味である為、三山の南端である農鳥岳は含まない。



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〔名峰次選〕ファイナルアタック
《1日目》の行程図

    行程記録             駐車場・トイレ・山小屋情報
《アプローチ》 戸台・仙流荘より南アルプス林道バス(1:50)→北沢峠を経て広河原
《1日目》 広河原(2:30)→白峰御池(0:30)→大樺沢二俣(3:30)→八本歯ノコル
     (0:30)→山荘短絡道分岐(1:20)→北岳山荘
《2日目》 北岳山荘(1:35)→間ノ岳(1:20)→農鳥小屋
      ※ 農鳥小屋の露営地でテントを設営して空身で広河内岳往復
       農鳥小屋(0:45)→西農鳥岳(1:05)→農鳥岳(1:10)大門沢下降点
        ※ 大門沢下降点より広河内岳往復・所要往復1時間
      大門沢下降点(1:10)→農鳥岳(1:05)西農鳥岳(0:45)→農鳥小屋
《3日目》 農鳥小屋(1:20)→間ノ岳(1:20)→北岳山荘(1:30)→北岳
     (1:10)→北岳・肩ノ小屋
《4日目》 北岳・肩ノ小屋(0:30)→小太郎尾根分岐(2:30)→大樺沢二俣
     (2:00)→広河原より南アルプス林道バス(1:50)→北沢峠を経て戸台・仙流荘

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ファイナル峰への道を
隔てるが如く

    数えて5度目の正直
    ようやく『ファイナルアタック』へ・・ より
  《アプローチ》 今回はさすがに敗退は許されないので
          『安全パイ』ルートで行く事にしよう
前回、『死亡フラグ寸前の遭難フラグ』という『オチャメ』をカマシて敗退したので、今回は何度も通った事のある北岳周りで行く事にしよう。 要するに、『安全パイ』ルートで確実に『ファイナル峰・広河内岳』を仕留めよう・・って事である。 でも、これは当然の選択でしょうな。 何せ、台風で山行延期やら、道を間違いって遭難フラグ』はためく『オチャメ』やら・・で、都合4回シクじっているのだしィ。

それに前の『オチャメ』でナーバスになっていて、「金かかっても、全泊山荘泊まりにするか・・」と悲壮な考えをもたげていた位である。 でも、宿泊費を合計すると6万円を超えるのが判明して自重する気になったよ。←自重するキッカケは金かよ・・

その北岳への基点である《広河原》であるが、何も遠い甲府周りでなくてもよい訳で、戸台から伊那市営(旧 長谷村が伊那市に編入)と南アルプス市営(こちらも旧 芦安村が合併統合で南アルプス市になった)の『南アルプス林道バス』を乗り継いで《広河原》にアプローチするのが一番近く、なおかつ最も安いのである。

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南アルプス林道バス
※ 南アルプスネットより

・・で、今日は昼前の《戸台》発の《北沢峠》行きのバスに乗って、《北沢峠》で南アルプス市営バスに乗り継いで広河原にアプローチする『移動日』で時間的にも余裕があるので、旧 高遠町(ここも伊那市に併合された)にあるクアハウスで風呂に入る余裕もあったよ。 「余裕ある行動に『オチャメ』なし! でも筆者(タワケ)を除く」の格言通り、何事もなく広河原山荘横のテント場に着く。 今日は、明日に備えてテント場で惰眠を貪ろう。

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北岳バットレスと青空
明日に魅せられる絶景をひとつまみ・・



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ファイナル峰での思い出
今のワテでは到底行けない
広河内岳より先の難路を見つめて

  《1日目》 何度も通ってる道で何で間違うかなぁ・・
最近、朝4時台に出発するのができなくなってきている。 やっぱり、歳を取ると共に行動力が減退してるからだろうね。 今日は長丁場故にできるだけ早く出発したかったのだが、いつもと同じ5時半が限界でした、ハイ。 広河原山荘脇にある登山口より登っていくが、何か違和感がある。 登れども登れども沢や砂防ダムが現れないのだ。

確かこのルートは沢に出て、遠くにそびえる《八本場のコル》を見ながら登っていくハズだったのだが。 でも、登れば登る程に森の中に分け入っていき、挙句の果てには沢とは最も縁遠い『木のハシゴ』が現れる始末であった。

前を行く人も「沢が現れない」事を訝りながら歩いていたようで、ワテに「道が間違っていないか」訪ねてきた。 ワテもこの御仁と同じく訝っていたので答えに困ってしまったが、その時他の登山者が「このルートは御池小屋のルートだ」と教えてくれたのである。 つまりこのタワケは、これまでで3度も通りながら《大樺沢》への道を見逃したのである。 でも、この間違いは「30分の遠回り」の被害のみで、実質的には影響はないのであるが。

やがて、コースタイムより30分早い2時間で白峰御池小屋前の広場に着く。 今日は『日本晴』といっていい程の好天で、北岳バットレスや草スベリの急坂を登る登山者の姿が見渡せる。 図らずも道を間違えて始めて白峰御池ルートを通ったが、「これは行きの登り時ではなく、下りで間違うべきだった」と3日後の下山日に思う事になる。 それは、このルートが土の道床で目立った浮石もなく歩き易いからである。

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北岳バットレス右下の
お花畑の草付が
あの有名な”草スベリ”


さて、この白峰御池小屋からであるが、シンドそうな草スベリの急登は「もちろんパス」して、トラバース道を伝って大樺沢の二俣へ。 ここは肩ノ小屋へ至る右俣ルートと八本歯ノコルへ直登する左俣ルートとの分岐点で、15年位前の環境保全が叫ばれてから簡易トイレが設置されている所だ。 思えば、トイレの無かった頃から、随分と様変わりしたような気がする。

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大樺沢二俣より
大樺沢雪渓と八本歯のコルを望む
地球の温暖化や集中豪雨などの異常気象が
雪渓の規模を削っていく
 

それは、以前のこのルートが大樺沢の『雪渓ルート』と呼ばれた雪渓登高を含むルートで、この二俣の上部から雪渓の登高となっていたのだが、今は脇の左岸(雪渓の右側)に延々と瓦礫を切り開いた道が続いていて、雪渓には一切入らないみたいである。

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雪渓の現物を間近で見ると
もはや踏み入れる事も
叶わぬ程に縮小していた

そして、その雪渓も夏のお盆時とは言え、最上部に僅かに長さ200m程の雪田状に衰退してヘバリ着くようにして残っているのみだった。 たぶん、近年の地球の温暖化や集中豪雨の多い異常気象などが影響して、雪渓が大規模に形成されなくなってきているのだろう。

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かつてはアイゼン必須だった
大樺沢雪渓も異常気象で
消滅の危機をに瀕しているようだ

雪渓からの涼しい風を期待していたのだが、盛夏の熱風と照り付ける日差しと、瓦礫の登高でヘタリが早まる区間となったよ、この登りは。 白峰御池小屋まで順調に(標準コースタイム10分割りですよ!)段差を踏みしめ登高していた足は、すぐさまこのタワケな宿主(筆者)と同じ素養の「ヘタレ」へと堕ちていく。

そこに、『キング・オブ・ヘタレ』である筆者の上半身のメタボッティが、更なる「ヘタレ」を要求するもんだから、足も刃向かう訳にはいかず従順に動かなくなってくる。 これが、タワケた筆者特有の「気から入るヘタレバテ」である。 このバテの特徴は、宿主の心の持ち様次第で現れる症状なので、あまり翌日に尾を引かない『利点』があるが、バテている間は「ブチブチと『過去の栄光』を嘆き悲しんで鬱陶しい事この上ない」というリスクを負うのである。

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雄々しくそびえる
北岳バットレスとは真逆に
ブチブチと『過去の栄光』を嘆き悲しむ
小さすぎる小市民の筆者(タワケ)

そして最大のリスクは、ブチブチと『過去の栄光』を嘆き悲しんでいる間は『ほとんど前に進まない』という事である。 大樺沢二俣に着いたのが8時半位だったのが、みるみる内に時計の針が進んで八本歯のコルに着いたのは正午を周っていたよ。 我が『過去の栄光』である『奇跡の体力』を保持していた頃は、同じ時間に同じ重量の荷物を背負って広河原を出発しても、10時には八本歯に登り着いていたのだが・・。 そして、この八本歯に登り着く頃から、空が急速に陰りだしてきたよ。

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八本歯ノコルに登り着いて
鳳凰三山を望んだ数分後
天候がドス曇りに急変した

時間の超過と慢性的な『気からくるヘタレ』という持病に加えて、雨も降りだしそうな怪しい空となり、そして歳を食うと共に『後回し』の美学にハートをワシづかみにされたタワケ(筆者)が決断するのは早かった。

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キジムシロ
雨が降ってきたので
八本歯ノコルよりは花しか撮ってない

その決断とは、「北岳は帰りに通るので、行きはパス!」って事である。 八本歯からの岩塔登りはハシゴ登りが連なるのだが、下山のオバちゃん登山者の集団がワテの免許皆伝ワザである『必殺・クマ下り』を駆使して降りてくるよ。 その様相は他の『急ぎたい』登山者にはイライラの元なのであろうが、ワテにとっては『ダラケ休憩』を取るまたとない口実を得ると共に『免許皆伝ワザ・クマ下り』の登山界への拡散を喜び、その亜流作法を研鑽する「いい機会」だったよ。

・・でも、ここでも無駄な時間経過のリスクが覆い被さり、北岳山荘へのトラバースルートへ差しかかる時にはポツポツと雨が降り出してきたよ。 でも、北岳をパスった手前、このトラバース道のお花畑は無視できず、ポツポツ雨の中で花の接写で更に時間を潰す。 最近はザックを下ろすのも面倒臭いので、背負ったまま撮る事が多くなったな。 こんなズボラかまして『それなり』の写真が撮れるのだから、筆者はタワケではあるが相当な悪運を持っているのだろうね。

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山荘へのショートカットに咲いていた
ナデシコ
上の写真と以下同文

・・で、以前は北岳を往復しても山荘前には昼過ぎには到着したのだが、今は北岳をハショってショートカットルートを通っても、着いたのは14時半だったよ。 実に9時間。 『奇跡の体力』のあの時より3時間以上かかってるよ。

今日は、この無残な現実を儚んで、枕となる合羽(テント泊の時、枕は合羽巻きなの・・)を涙で濡らしましょうか。 テント場は、以前の間ノ岳がそびえる高台ではなく、建設に億の金がかかったバイオトイレの前に移設されてたよ。 トイレには近くなったけど、展望はかなり殺がれてしまったね。

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明日・・いよいよ「5回目の正直」で
ファイナル峰を踏破・・できるかな
※ ウィキペディア画像を拝借

さて明日は、いよいよ4回もハグらかされるなど、2年越しの『ファイナル・アタック』だ。 前述した通り、今日も患った『気からくるバテ』は明日には持ち越さないので、何とか『5度目の正直』はなるだろう。 まぁ、ならなければ、何かと理由をつけて『6度越しの制圧』を目論むだけだしィ。←こういう反省しない所が、この筆者(タワケ)の成長しない所以なのですな。

  ※ 続く《2日目》の行程は、次回の『第447回 ファイナルの峰へ その2』にて・・


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この夏の山行は雨に祟られて
今年の夏はほぼ6年ぶりに
何もない夏になったなぁ

6年前は座骨神経痛の悪化で
痛み出したその日から血闘値対策したなぁ
それで決糖値は9.3から5.8まで回復させたよ

今回はチョンの背乗り天皇ヒロヒトの
処罰を怠った事が遠因の『Kの法則
シナによる武漢ウイルス感染拡大で
春から計画が大いに狂ったシィ

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でもさすがに今回のように8月の
現時点まで登頂ゼロはなかったなぁ
秋に比較的楽な白馬~栂池で
今年の初ヤマするかな








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