風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第444回  槍・西鎌尾根 その2 (双六~飛騨乗越)

『日本百景』 夏 第444回  槍・西鎌尾根 その2 (双六~飛騨乗越) 〔岐阜県・長野県〕

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朝の光を浴びて
神々しくそびえる槍ヶ岳

  槍・穂高連峰 やり・ほたかれんぽう (中部山岳国立公園)
北アルプスのハイライトとして登りたい山。 また、眺めても美しい姿の山として圧倒的に人気があるのが、この槍・穂高連峰である。 標高が日本第3位の奥穂高岳 3190メートル や、極めて山容秀麗な槍ヶ岳 3180メートル がそびえ立つ北アルプスの代表となる山域だ。 登山ルートはバリエーションルートも含めて色々あるが、一般的なコースは上高地から槍沢経由のコースである。 

ちょっと上級の方ならば、やっぱり縦走コースの『表銀座』・『裏銀座』を目指すことだろう。
これらのコースは北アルプスの展望が素晴らしく、人気共々第一級の縦走コースだ。 また、登山の“玄人”を自負する方には、槍ヶ岳から大キレットを通り奥穂高岳へ抜ける嶮しいコースもある。



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2日目〔わさび平~小池新道~双六〕 行程図

    行程記録           駐車場・トイレ・山小屋情報
 《1日目》 大阪よりJR高山本線直通の特急【ひだ】(1日1往復のみ)で高山駅へ
        高山駅よりバスで新穂高温泉着 大阪からの所要 約6時間半
        新穂高温泉(1:05)→わさび平山荘(泊)
 《2日目》 わさび平山荘(0:20)→小池新道登山口(1:10)→秩父沢桟橋(2:00)鏡平山荘
      (1:00)→弓折岳分岐点(1:10)→双六キャンプ場
 《3日目》 双六キャンプ場(1:30)→樅沢岳(1:00)→左俣岳(0:30)→千丈乗越
      (1:35)→飛騨乗越キャンプ場
 《4日目》 飛騨乗越キャンプ場より槍ヶ岳往復・所要約1時間、飛騨乗越キャンプ場(1:20)→中岳
      (1:10)→南岳小屋(1:30)→最低ノコル(1:50)→長谷川ノコル
      (0:40)→A沢ノコル(1:30)→北穂高小屋
 《5日目》 北穂高小屋(4:10)→涸沢(3:10)→横尾(1:00)→徳沢
      (1:40)→上高地バスターミナルよりバス(1:20)→新島々より鉄道利用
      (0:30)→松本 ・・タイムオーバーで松本市内(泊)で翌朝高速バスで大阪へ戻る
   ※ 前回の『第443回 槍・西鎌尾根 その1』の続きです

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双六で久々に御来光が撮れたよ
この所頂上につけば雨だったし
晴れてても寝坊して起きれなかったしィ

  《3日目》 西鎌尾根を伝って槍ヶ岳へ・・
翌朝は昨日と打って変わって、スカイブルーの青空が広がっていた。 だが、御来光は雲で覆われて今イチだったよ。 でも、朝日を浴びて輝く双六岳や、これより登る籾沢岳が写欲をそそる。 最近はヤマで御来光を魅るのはサボりがちだったから、久々の御来光だわ。

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滅多に見られない
「双六から笠」も望めた

また、名峰・鷲羽岳のひときわ高い山容や、今日の目指すターゲットの槍の穂先も望まれる。
朝の情景と、この地・双六でよく咲いているトウヤクリンドウの花をひと通り撮ったなら、槍に向けて出発だ。 ぢ・つ・わ・・、この西鎌尾根を歩くのは初めてなんだよね~。

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朝日に照らされる双六山荘を見たなら出発しよう
早く発たないと今は
槍までどれだけ時間を食うか判らないから

昨日と打って変わって絶好の天気だ。 初めてのルートを行く上で、山々の絶景が期待できそうだ。
そして昨日は、整備されつくした《小池新道》の登りとはいえ、雨の中をテント装備一式担いで久方ぶりにコースタイムをクリアしたので気分も上々だ。

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樅沢岳を登っていくと
テントひしめく
双六のテント村が見えてくる

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 朝の光で黒光りした
鷲羽岳と裏銀座の山なみ

テント場の前にデンとはばかる籾沢岳へは、標高差100m程の朝の登山事始めには丁度いい登りだ。
登っていく毎に笠ヶ岳の全容が望まれ、鷲羽岳に隠れていた水晶岳や裏銀座の山々が望めるようになる。 朝のひと登りには丁度いい45分程で、籾沢岳 2755mの頂上丘に登り着く。

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 頂上サークルの北側は
日の光で緑の山肌を魅せる
裏銀座の山なみが見渡せる

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 頂上サークルの南側は笠ヶ岳と
雲海を挟んで乗鞍岳が望める

頂上はハイマツに覆われた小サークルにあり、ワテのような幕営装備の大きなザックはハイマツに引っ掛かるので、縦走路上の仮の頂上にデポる事にしよう。 まぁ、「デホる」といっても、縦走路から3mほど離れているだけだが。

樅沢岳頂上発 絶景かな・・
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抜戸岳に隠れて
なかなか姿を魅せない「笠」も
ここまで登れば大丈夫!

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 その「笠」の頂をアップで仕留める

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 逆光に黒光りする
槍・穂高のスカイライン

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 槍の角をアップで仕留める

そのハイマツに囲まれた頂上サークルからは、北アきっての絶景が望まれる。 西鎌尾根を延ばす黒光りした槍ヶ岳の穂先を始め、角度がついて山らしくみえる笠ヶ岳、深い緑の谷を魅せる左俣の谷と昨日歩いてきた小池新道と鏡平の山荘・・。 振り返れば、鷲羽岳や水晶岳・野口五郎岳などの裏銀座の山々と、緑の大地・雲ノ平を囲う黒部五郎岳や薬師岳などの名峰が目白押しだ。

絶景はまだまだ続く・・
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槍の先にそびえる
穂高の山塊も見渡せる

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 乗鞍の前に鎮座する焼岳に
薄い雲海がついて
神秘的な情景となった

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 西の方を見やると
黒部五郎や三俣蓮華のいぶし銀の名峰が

あまり写真撮影にうつつを抜かすといつまでたっても出発できないので、後ろ髪引かれる思いで頂上サークルを抜け出してザックを背負う。 籾沢岳からはやや道が細くなり、足場も岩がゴツゴツして歩きにくくなる。 前籾沢岳までさしたる上下なく進むと、左俣のコルに向けて急下降する。

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樅沢岳からは急降下して
恐竜の背ビレのような
西鎌尾根を伝っていく

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左俣谷 
緩やかに見えるが
新穂高まで1300mを落とす

約200m近く下って左俣岳の山腹に取り付いて飛騨側を巻くように伝っていく。 ここは幅の細いヘツリ道状となっていて、足場もザラザラの砂場で滑りやすいので注意が必要だろう。 この路傍には砂礫の花や、この地の名物・トウヤクリンドウが咲いていた。

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この山域で最も幅を利かせていたのが
このトウヤクリンドウだ

ヘツリ道を緩やかに登っていくと左俣岳 2674m だ。 この峰は籾沢岳より100mも低いので、籾沢岳より見るとコルの出っ張り程度にしか見えない。 そしてこの左俣岳は表裏が非対称の山のようで、さっきまで登ってきた砂礫のザラザラな北面(双六側)と打って変わって、南面(槍ヶ岳側)はライトグリーンの草原の山を魅せている。

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ミヤマキンポウゲ

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ハクサンフウロ

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花を愛でて心を落ち着けたら
槍に向けて西鎌尾根を伝っていこう

花も砂礫の花から、ミヤマリンドウやキンポウゲ・ヨツバシオガマなどの草地の花となる。 
そして日差しも上ってキツク射し込んできて、身体を蒸し焼きにされる。 こんな事なら、昨日コンロで強制乾燥して焦げ穴なんぞ開けなくても、着たまま歩いただけで完全に乾ききったよな。

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夏の日差しに照らされるミヤマリンドウ
暑い夏の日差しで昨日濡れた
Tシャツも乾いてゴワゴワに

左俣岳より少し下りると西鎌尾根のおおよその中間地点である《左俣乗越》に出る。 ここからは山の地層が全く変わって、これよりは槍ヶ岳の地質となる。

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ライトグリーンの丘を越えると
槍ヶ岳からの地質である岩稜帯となる

これによって突然にお花畑の草付から、丸く磨かれたような岩が突き立つ砂礫岩帯となる。 
そして今度は信濃側も切り立ってきて痩せ尾根状となる。 この途中には、飛騨側のルンゼをよじ登る鎖場も現れる。 

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左俣乗越からは今までとは
ガラリと変わって
鎖場もある岩稜の砂礫帯となる

このルンゼの鎖場をよじ登ると《千丈乗越》と思いきや、無名の岩塔峰だった。 ここから《千丈乗越》までかかる事かかる事、この山行で初めて『時の涙を見るモード』(タワケがヘバって嘆き悲しむ状態)となったよ。

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 同時にあれだけ良かった天気も
あっという間にガスってきたよ
だが撮影シーンとしては
迫力のある絶好の撮影チャンスとなる

その長い1時間半の岩塔登りを経てようやく着いた《千丈乗越》より先は、筆者(タワケ)を『(Ζガンダムの)カミーユ君』化させるのに十分なオーダー(高低差300m)の砂礫の直登だった。 そのコースタイム1:30・・。 ザラザラ砂礫の延々たる登りだ。

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 他の登山者は皆小屋泊で空身なのに
ワテは22㎏の重荷担ぎ
それで着いていけずに
あっという間に離されて
ワテは『カミーユ君』となった

登り始めて約30分で『時の涙を見るモード』は最高潮(クライマックス)となり、脳裏にΖガンダムの主題歌がもの悲しげなメロディで流れ、パプティマス・シロッコが「タダでは逝かぬ・・、貴様の心も一緒に連れて逝く!」と喚いて果てたが如く、ワテの精神やただでさえ無い気力を根こそぎ持っていかれたよ。

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 一瞬だけ晴れて視界が良くなり
この時が『カミーユ君』となった
ワテの精神が吸い込まれた瞬間だろうか?

そして彷徨った精神が取り戻された時には、《千丈乗越》を同時に発った若い兄さんは既に槍ヶ岳の頂上直下の鎖場に取り付こうとしていたよ。 その時のワテは、まだ最後のつづら折りの登りの最中だったしィ。

その感覚はカミーユ君のラストシーンのセリフ「(若い奴が槍ヶ岳の鎖場に)ついたり消えたりしている・・ アハハっ、早ぁ~い! 学生かな? いや違うな! 今の学生は根性ないもんなー」を髣髴させるモノであった。←こういう描写には必死になるなぁ、このタワケ・・ なお、カミーユ君の実際のセリフは御自身で調べてみて下さいね。

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若い衆が槍の頂に立った頃
 『カミーユ君』となりながらも
何とか槍の直下まで
登り着く事ができますた

そして、その学生が槍ヶ岳の頂上に立った頃合いに、ようやく山荘の建つ《槍ヶ岳分岐》に登り着く。
時刻は11:58。 この日も6時間を切ったよ。 でも、コースタイムは40分のオーバーだったよ。

取り敢えず、もう登頂経験のある槍ヶ岳は後回しにして、先に幕営の申し込みとテント設営や水汲みなどの「今日の賄い」をする。 山荘にテント設営を申し込むと、山荘のスタッフさんいわく、「残る最後の1枠で1人用テント以外は受付不可」というギリギリだったよ。 でも、昼前でギリギリとは、人気があるのかテント場が狭いのか、どっちなんだろ?

そして、そのプレミアムな最後の1枠は、ワテの1人用テントでもいっぱいいっぱいの狭いスペースで、仕切りに使われた柱木がちょうど夕食のテーブルに使える「良いのか悪いのかよく判らん」スペースだったよ。 まぁ、《飛騨乗越》に向かって下る傾斜地に、段々畑状に設けられたテント場だから仕方がないのだろうけど。

テントを設営して中に潜った瞬間、雷が鳴って夕立状の激しい雨が降り出したよ。 これで、この日の槍ヶ岳登頂は見送りとなった。 明日晴れたら御来光登頂するつもりだから、「まぁ、いいか」。

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雨が上がって
雨露に濡れた花を撮って
この日を終える 

雨は小一時間降ってから止んで、テント内は標高3000mであるにも関わらず蒸し暑い状況となった。
雷雨の後は時折ポツリポツリと降るだけだったので、蒸し暑いテント中より外に出て、草花を撮りながら夕食時まで時間を潰したよ。 でも、この日はこの雨まみれの山行で、唯一濡れずに済んだ日だったよ。

  ※ 続きは、次回の『第445回 悪天候化の大キレット』にて
・・この山行を一括で御覧になるなら、我がメインサイトの『撮影旅行記』よりコチラをどうぞ。
ついでに第2弾第3弾も見て頂くと、筆者(タワケ)としては至福の喜びでっす。


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それは当然である
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その威嚇によるストレスで
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