2020-07-19 (Sun)✎
よも”ヤマ”話 第110話 夕張岳 〔北海道〕 '95・7
夕張岳 1668m【名峰百選 46峰目】
夕張岳の広大なお花畑が
チシマフウロの淡い紫に染まって
夕張山地 ゆうばりさんち(富良野芦別道立自然公園)
夕張山地は、富良野盆地の西にそびえ立つ非火山性の構造山塊である。 この山地で景観に優れているのは、最高峰の芦別岳 1727メートル、夕張岳 1668メートル の両主峰であろう。
芦別岳は切り立った岩稜を備え、バリエーションコースが多く、ロッククライミングの名所としても有名だ。 花も、キレット状となった登山道に沿ってお花畑があり、楽しい登山ができそうだ。
・・もう一つの盟主・夕張岳の魅力は、何といっても花だろう。 ユウバリコザクラ・ユウバリソウ・・など、『ユウバリ』名称のつくこの山の固有種が多いのも特徴の一つだ。 夕張岳の標高1400mから山頂までの登山道は、まさに“花の高原”をめぐる散歩道である。
夕張岳・大夕張口ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
夕張市街より車(1:00)→夕張ヒュッテ(1:00)→冷水の沢(0:45)→望岳台(0:30)→前岳湿原
(0:55)→夕張岳(1:00)→望岳台(1:30)→夕張ヒュッテより車(1:00)→夕張市街
夕張岳のある夕張という地域は、かつては国内最高水準の炭鉱街として栄えたが、エネルギー革命によって石炭から石油に転換されると、次々と炭鉱が閉山に追い込まれて人口の90%以上が流出した過疎の町で、閉山による町の窮乏と観光客誘致に失敗して財政が破たんし、『財政再建団体』となった不名誉な事で知られている町だ。
外国資本に掠め取られた
夕張のリゾートホテル
※ 旅情報誌・じゃらんより
でも、夕張岳を始めとした豊かな自然と、石炭産業跡の史跡財産を多く抱いているにも関わらず、財政破綻の窮乏から外国資本に、とりわけ最も売ってはならぬシナ資本にリゾートホテル経営の権利を安く買い叩かれたり、石炭産業の貴重な文化史跡である『三弦橋』をダムの補償金欲しさにダム湖に沈めてしまう愚を犯し、また使いようによっては観光客誘致に供する鉄道路線も、廃止させたいJR北海道側の支援策に目が眩んで、早々に廃止に合意してこのほど路線廃止となったのである。
重文級の歴史遺産・三弦橋を
ダム湖に沈めて「観光で町おこし」なんて
チャンチャラおかしいよ
※ ウィキペディア画像を拝借
こんな事をするから、何をやっても失敗する町・・、それが夕張という町の評価である。 そんな街にある唯一の希望である自然豊かな山・夕張岳・・、この山には今から四半世紀前に登ったのである。
今でこそ手直しされて保存されているが
この時は錆びついて
何が書いてあるか判読不能だった
:
ちなみに夕張岳への最寄りは明石町でっす
※ ウィキペディア画像を拝借
その時はまだ、夕張の炭鉱の閉山ラッシュから10年ほど経った頃で、まだ細々と炭鉱の露天掘りがあったり、廃止となった炭鉱鉄道の三菱石炭鉱業の大夕張線の廃線跡がそのまま国道沿いに放置されていた頃だった。
コレが雨ざらしのまま国道横の
廃線跡に放置されていたのデス
※ ウィキペディア画像を拝借
その時は、青春時代に『○鉄』だった事を『我が黒歴史』として隠すしょうもない思考があって、こういう炭鉱鉄道の遺構には無視を決め込んでいたが、ホント国道452号に沿って旧型客車やら石炭を運ぶ無蓋貨車や駅跡が朽ちるまま放置されていたよ。 コレ撮ってれば、かつての栄光だけで存在している我がホームページ『日本百景』再生の起爆剤に・・ならないか。
「『我が黒歴史』としてガン無視」
と言いながらも未練タラタラで
じっくり観察してるなこのタワケ
※ ウィキペディア画像を拝借
さて、その夕張の町より、今でも未開通区間のある国道452号線でシューパロ湖に出て、そこからシューパロ湖を渡って林道を突き進むと夕張ヒュッテ前の林道の車止めに着く。 夕張市街より約30km・車で約1時間って所だろう。
かつてはシュウパロ湖を渡ってからの林道がかなりの悪路で、至る所がえぐられて泥水の水溜りとなっていたので、車が瞬く間に“泥坊主”化したよ。 でも、今は駐車場ナシで林道ゲートの道脇に止めていたモノが、駐車台数80台の登山者駐車場が設けられたという事である。
現在は立派なログハウス調の小屋に
建て替えられている夕張ヒュッテ
※ ウィキペディア画像を拝借
また、登山基地である『夕張ヒュッテ』も、かつての工事飯場に建つようなプレハブ小屋から、ログハウス状の立派な宿泊施設に建て替えられているよ。 でも、ワテの「ヤマの思い出」は旧きプレハブ小屋にあるので、この話ではプレハブ小屋に泊まったかつての思い出から語ろうと思う。
新旧夕張ヒュッテ揃い踏み
:
でも思い入れはプレハブ小屋に
※ 夕張市山岳会のウェブサイトより
今の『夕張ヒュッテ』は夕張岳の友の会が管理・運営元となっているみたいであるが、昔は地の猟師や木こりなど山に入る方が、『夕張ヒュッテ』の所有者である夕張市教育委員会より付託を受けて、自らの仕事の合間に管理していたようである。
だから、この管理人さんより面白い『よも”ヤマ”話』の「夕張バージョン」を聞けたのである。
この管理人氏は初老の猟師で、ヒグマに出会った時の対処法とか、内地(本州)に遊びに行った時のハチャメチャ体験など、面白おかしく話してくれたよ。
思い出深き旧小屋での体験おば・・
※ 夕張市山岳会のウェブサイトより
まず、ヒグマにあった時の対処法は、「ヒクマと出くわしたら、ピッケルでフェンシングすればいい」との事である。 こうする事で、ヒグマは上半身を上げる態勢を30秒と続けられないので、手を下ろして四足歩行に戻って退散するとの事だ。 「ヒグマは歩く事ができず、立って手を上げて『浴びせ倒し』をする威嚇&攻撃方法なので、四つん這いに戻れば危険でなくなるとの事である。
マンガなどでヒグマが片手で沢から鮭を狩り飛ばして喰う描写がよく描かれるが、アレはウソで「クマは沢で泳ぐ鮭を狩り飛ばせる程に、腕を横には動かせない」との事で、「立ち上がって全体重を乗せて相手に浴びせ倒しにかかり、その際にクマの爪に当たると致命傷を負う」との事だ。 なので、四つん這いに戻せば、スゴスゴと退散するという。 うん・・、理に適ってるね。
他にも、長野に訪れた際にあまりにも遅いタクシーにイラついて、運転を代わったとか代わらないとか・・。 その話題で根室の漁船乗りだったタクシーの運ちゃんなら、漁船に乗って露助に見つかった場合は「特攻逃げ」をする事から、タクシーの運転でも「特攻逃げ」のアクセルワークをするだとかしないとか。 他にも、内地で若い女の子を買った下ネタ話とかを、隠語を交えて面白おかしく語ってくれたよ。 まぁ、ココでは事の真否は置いておく事にしよう。
夕張ヒュッテ管理人のおっちゃんは
夕張山域における男岩のような
奇妙で頼もしい存在だった
※ ウィキペディア画像を拝借
でも、話が面白くて夜更かししてしまいそうだったが、そこは山小屋の管理人を託された方で、8時の消灯時間はキッチリと守っていたよ。 そして、小屋の利用代金の千円を受け取る時の正座での腰の低い姿勢に、「この人は、オチャラケているけど実績のあるヤマ男なんだなぁ」と思ったよ。
旧小屋は雑魚寝で、むしろ今の建て替えられた小屋の二段ベットより心地良く寝れたよ。
・・で、翌朝4時半となる。 トイレを済まして、行動水を汲んで、5時過ぎには出発する。
自炊用具やらシュラフやらの小屋泊り用の余計な荷物は、もちろん小屋にデポだ。
夕張ヒュッテから200m程戻ると、『夕張岳まで6.7km』と示された看板の掛かる《冷水の沢登山口》だ。 登山口からは、整備された緩やかな砂利道が続く。 登山口から望岳台までは樹林帯の中を行くので、眺めは全くといってない。
沢の脇には下界と山の境の花
ミヤマダイコンソウが咲いていた
・・単調な砂利道が途切れて、粘土質の道の急登に変わると、水場・《冷水の沢》に着く。 この水は夕張岳の湧き水で、その名の通り冷たくて美味い最高の水場である。 ここで十分補給して、再び登り始める。 《冷水の沢》から10分も行くと《前岳の沢》という水場があるが、この沢はあまり冷たくなく、どうやら別の沢のようだ。 この2つの水場を過ぎると傾斜だけがキツくなり、見通しの利かない樹林帯の中をただ黙々と登っていく。
樹林帯の上から光が差し、それが広がっていくと、やがて樹林帯を抜けて尾根の端に登り着く。
ここは展望も良く、『望岳台』と呼ばれている。 『望岳台』からは、芦別岳がちょうどいい距離に離れていて山容が良く判る。
望岳台からは芦別岳の雄姿が望めた
だが、この年は北海道に入ってからは、狩場山・南暑寒別と雨続きだ。 そして今回の夕張岳も、梅雨のない北海道で梅雨が来たが如くの雨交じりの曇天だった。 なので、本来は見えるハズのシューパロ湖はガスに隠れて見えず終いだったよ。
程なくガスが湧いてきて
白霧の世界に
この『望岳台』からは、道が一変して傾斜の緩やかな笹地となり、空模様が復活してきて日差しがギンギンに照りつける。 これよりは、暑さで体力を消耗する“持久戦”である。
曇って雨が降り出したかと思えば
釣鐘岩まで見渡せる青空となったり
と天気の変わりが目まぐるしい日だった
だが、これはいっときの辛抱だ。 これを乗り切ると、お花畑の広がる《前岳湿原》にたどり着く。
お花畑で最初に出会った花は
シナノキンバイだったよ
この時はチシマフウロに
最も花勢があった
ここは湿性のお花畑で、チシマフウロやシナノキンバイが群落を成して咲いており、今までの暑さを払拭してくれる。 そして、「ユウバリ」の固有種のユウバリアズマギクも、魅る事が叶ったよ。
ここで「ユウバリ」の固有種
ユウバリアズマギクを魅る事が叶ったよ
だが湿原なので、足元はグチャグチャの泥炭層で歩き辛いが(木道は敷設されていたが、敷設されているのは今と違って前岳湿原のみであった)。 《前岳湿原》からは、湿原のお花畑あり、草地のお花畑あり、砂礫地のお花畑ありと、“花の高原”散歩道となる。
花の高原・散歩道にて
お花畑の中を下っていこう
ヨツバシオガマが
ピンクの斑点を創造し
イワイチョウが下の草木の陰から
線香花火のように輝いて
花の密を求めて
ミツバチが飛び回っていた
短い北の夏を精一杯生きる
彼女たちに幸あれ
レンズに霜がかかってソフトフォーカスに
:
予期せず今回の花の一番星に
草原のお花畑ではチシマフウロやシナノキンバイが咲き乱れ、砂礫地ではイワイチョウやウメバチソウなど低い背丈の花が満開だ。 そしてクライマックスは、《吹通し》と呼ばれる蛇紋岩の砂礫地のお花畑だ。
細い茎で重たそうな花弁を下げる
魅惑の紫・ミヤマオダマキ
珍種のタカネスミレ
淡く儚い色合いを魅せるチシマフウロ
今までに述べた花は元より、ミヤマオダマキ・タカネスミレなどの紫系の花々、そして時期が合えば、ユウバリコザクラ・ユウバリソウといった夕張岳固有種の珍しい花々も見つける事ができるだろう。
ワテは、ユウバリアズマギクをここでも見つけたしィ。
ここでも見つけた「ユウバリ」固有種の
ユウバリアズマギク
;
でもこの時は「ユウバリ」固有種
だとは知らなんだけど
少し赤みがかかった
吹通しに咲くチシマフウロ
《吹通し》からは、判りにくい“木切れ”の道標で《金山コース》を分けて15分程登ると、祠の建つ窪地を経て夕張岳 1668メートル の山頂に立つ。
夕張岳山頂にて
:
今より10キロ近く太っているのに
この頃は『奇跡の体力』でした
山頂からの眺めは、夕張岳が大きな山岳地帯の中央に位置するので、日高や十勝の山なみが一度に見渡せて雄大な「ハズ」だ。
夕張岳の頂上山塊が
ドス黒い雨雲に覆われて
3山行連続で頂上眺望一切ナシ
だが、残念な事に、頂上に冠状の見るからの雨雲が掛かり、頂上展望は皆無であった。 帰りも花を見ながら往路を戻ろう。 途中の『望岳台』の下で、直接夕張ヒュッテに下れる《馬ノ背》コースが分岐しており、この道を通って下るのもいいだろう。 但し、《馬ノ背》コースは水場がないので留意しておこう。 登りに使うと水場がないので、この上なく不利となるのだが。
当時はヤマから下りても温泉がなく(ちなみに、夕張市はは今も、風呂釜故障を直さずにクアハウスを閉鎖しているしィ・・ 何でも財政赤字で修理する気がなく2年間放置状態)、占冠まで出て湯ノ沢鉱泉(この付近では、ここしか安い温泉を知らなかった)まで行かねば風呂にありつけない。
2年に渡って浴場の閉鎖が続いている
観光地に行く気がしますか?
でも、大衆銭湯は潰れたまま放置&町の重文級史跡の『三弦橋』水没させといて、よく「観光に来てください」と言えるよね・・、夕張市は。 何でも、財政破綻から逃れる為にシナ資本にリゾートホテルを売り渡し、夕張支線の廃止にこぎ着け、三弦橋を水没させてまでもダムの完成を急がせるなど『英断』を下した市長が、今の北海道知事様らしいしィ。
いい加減気づきませんか?
右も左も矛盾だらけだという事に
左は平等・平和と言いながら
日本に向けて武力で威圧してくる
シナ・チョンに何の文句も言わないし
右は右でテメエの意に沿わぬ候補に
投票した有権者を愚民・反日と罵倒しながら
天皇の一連の売国行為や発言には知らんぷり
一つ言える事は右も左も
頭は在日チョンの日本人成り済ましで
目的は同じくテメエが頭になっての
日本国のチョン・シナへの隷属化だよ
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No Subject * by 根室大喜
以前夕張を訪れた際、観光地に行ったら駐車料金を取ろうとバイト学生らしき人が走ってきました。ガツガツした感じで、、、この町はアカンなと思いましたよ。観光資源を大切にしないのは根室も同じですがね。<;アホか?
Re: No Subject * by 風来梨
根室大喜さん、こんばんは。
夕張市の勘違いは、観光客を呼び込むにも金がかかるって事を置き去りにしてる事ですね。
だから、三弦橋のように石炭の歴史を示す観光資源をダム湖に沈めたり、ホテルなんかを利用せずに安くあげようとする旅の客の為の施設・銭湯を風呂釜が壊れたまま閉鎖放置したり、あの有名な『幸福の黄色いハンカチ』の記念広場も冬は雪に埋もれたまま放置したり・・と。
鉄道も使い方次第では、冬など安全に夕張へ観光客を運べる手段となるのに・・、そして『鉄』目当て←(コレ結構大きな需要です)の来訪者の芽も、鉄道廃止で拒絶しちゃいましたし。
財政赤字で、観光客誘致がなんたるかを完全忘れてますね。
コリャ、ダメだ(呆)。
夕張市の勘違いは、観光客を呼び込むにも金がかかるって事を置き去りにしてる事ですね。
だから、三弦橋のように石炭の歴史を示す観光資源をダム湖に沈めたり、ホテルなんかを利用せずに安くあげようとする旅の客の為の施設・銭湯を風呂釜が壊れたまま閉鎖放置したり、あの有名な『幸福の黄色いハンカチ』の記念広場も冬は雪に埋もれたまま放置したり・・と。
鉄道も使い方次第では、冬など安全に夕張へ観光客を運べる手段となるのに・・、そして『鉄』目当て←(コレ結構大きな需要です)の来訪者の芽も、鉄道廃止で拒絶しちゃいましたし。
財政赤字で、観光客誘致がなんたるかを完全忘れてますね。
コリャ、ダメだ(呆)。