風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出  第384回  日田彦山線・筑前岩屋駅

路線の思い出  第384回  日田彦山線・筑前岩屋駅 〔福岡県

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豪雨災害で駅名と同じく
『岩屋』となった筑前岩屋駅

《路線データ》
日田彦山線
 営業区間と営業キロ  輸送密度 / 営業係数(’83)        運行本数
城野~夜明 68.7km   2705  /   410     小倉~田川後藤寺 上下とも毎時1~2本
                          田川後藤寺~添田、彦山 上下とも毎時1本
                          添田、彦山~日田 9往復

  ※ 2017年7月の九州北部豪雨により、大きな被害を受け添田~夜明が不通となっている。
    このほど、「同区間での鉄道での復旧は断念し、東日本大震災で被災した大船渡線同様
    の鉄道路盤跡を利用したバス高速輸送システム〔BRT〕に転換する事で地元自治体が同
    意して、路線復旧断念及びバス〔BTR〕化が確定的となっている。

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山奥にある情景豊かな
里の駅だった筑前岩屋駅
※ ウィキペディア画像を拝借

筑前岩屋駅(ちくぜんいわやえき)は、福岡県朝倉郡東峰村大字宝珠山にあるJR九州・日田彦山線の駅である。 2017年7月5日に発生した九州北部豪雨災害によって大きな被害を受け、添田~夜明の区間が不通となり、それに伴って駅も営業休止となっている。 以下、特記ない限り、被災前の状況を記す。

単式ホーム1面1線を有する駅で、元は島式ホーム1面2線だったが駅舎側の線路は撤去されており、使用されているのは島式ホーム外側の1線のみである。 ホームから駅舎へは、この使われていない線路を構内踏切で渡る。 無人駅となっている。 駅舎は1997年に改築されたもので、消防団の倉庫と合築となっている。 近くの岩屋神社を模したデザインの木造建築である。 改築前は山小屋風の駅舎だった。

駅脇には日田彦山線釈迦岳トンネルの湧水が引かれており、これを汲む事ができる(岩屋湧水)。
この湧水は元は旧国鉄が蒸気機関車の給水用として、トンネルの掘削時に湧出した地下水を引く導水管を敷設したものである。

その後2003年に地元の宝珠山村(当時)が給水場を整備した。当初は誰でも自由に汲める湧水となったが、2008年に環境省が『平成の名水百選』に選出した事で訪問者が急増し、悪質な使用令も続出した事から、2009年12月より有料による自動給水装置での供給に変更されている。



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災害はのどかな山里を
一晩にして呑み込んだ

2017年7月の豪雨災害から約3年の路線不通を得て、JR九州の提案した「鉄道での復旧の断念と、道路上の難所である彦山~筑前岩屋を鉄道トンネルの釈迦岳トンネルをバス専用道として利用するバス高速輸送システム〔BTR〕案」に対し、最も重大な被災地である東峰村が「あくまでも鉄道での復旧を・・」として譲らず、交渉は難航していた。

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九州北部豪雨災害の被害地で
山奥の地であるが故に
最も復旧に時間がかかった筑前岩屋付近
※ ウィキペディア画像を拝借

このまま復旧交渉が硬直化する事を避けるべくの折衷案として、不通区間を再利用するBTR化の割合を増やす事や、福岡県知事による東峰村への「鉄道復旧断念のお詫び」で東峰村も修正BTR案に合意し、鉄道での復旧の断念とBTR化が確定的となった。

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災害によってまた一つ
自然と調和した鉄道情景という
文化遺産が失われようとしている

まぁ、JR九州は全ての保有路線が赤字で、財政的に豊かなJR東日本のような「只見線の奇跡の復旧決定」は夢のまた夢な話で、鉄道復旧の金を出せないで多くの災害路線の廃止を示唆しているJR北海道と同じような立場に立っているのである。

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当り前の農村風景として
山里と調和していた『風景鉄道』情景を
再建できない危うい『成功』の現代経済施策

ただJR九州は、JR北海道よりは経営的にしっかりしていて、鉄道外収入の拡張で最終損益を黒字にして、株式上場も果たしている。 だから、鉄道に対する経営努力も真摯的であり評価も高い。 それでも民間企業の『JR』に分割された時点から、「採算の合わない所は問題が発生した時点で切り捨てる」経営方針を取らざるを得ないのだろうなって思う。

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ホームが完全に土石流で埋まった
筑前岩屋駅ホーム
実は災害などのアクシデントで
立ち行かなくなる危うい『成功』だと
明かされた国鉄の『分割民営化』
※ ウィキペディア画像を拝借

やはり、国鉄の分割民営化は間違いだったのだろう。 要するに、シンカンセンを持つ都市部ばかりが便利となり、その裏返しで地方の交通が『不採算』を理由に切り捨てられていくのだから・・。
だから形の上では『成功』しているように見えても、鉄道全体が疲弊して縮小していってるのであるから。

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在りし時の大行司駅舎
重要文化財級の貴重な
木造駅舎も災害で失われた

そして、その『成功』の神話であるシンカンセンに、元から「分割すれば経営は危うい」と指摘されていたJRの『島』の3社のうちの2社が追随して、さして輸送量のない地域へもシンカンセンを導入して墓穴を掘っているのである。 その最たるモノが、JR北海道全体の年間赤字の4割を占めて、しかも飛行機の前では需要の見込みが全く立たない北海道シンカンセンの延伸と、赤字を在来線に転嫁しての在来線の切り捨て・放棄の経営方針である。

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採算の合わない部門での
アクシデントは廃棄につながる
方程式が成り立っている現実

やはり鉄道という、さして儲からない企業経営を民間企業に委ねる民営化は、経営が傾いた時に地方の放棄・縮小に走ってしまうのである。 即ち、都市部への資源の一極集中の加速と地方の過疎・疲弊という国土保全的な問題に結びついてくるのだ。

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在りし時の大行司駅
そしてますます過疎となり
しかも風情の豊かさも失われる
最悪の展開となる

だから、「たとえ儲からなくても、日本の国を維持する為に国として責任を取る」国営化が、鉄道経営全体における理想像なのだと思う。 即ち、鉄道経営として儲かる所は民営企業に任してもいいが、経営が行き詰まって路線を放棄せざるを得ないようになりかねない地方路線は、国がそこに住む国民の為に維持すべきなのだと思う。

でも、『国鉄の分割民営化』は成されたのだ。 そして、30年という時が経って、元からあった「儲かるシンカンセン」を保有する『勝ち組の内地3社と、「儲かるシンカンセン」を保有しない『負け組』の島3社の格差ができてしまったのである。 でも、これは前述の如く、分割民営化の時から指摘されていた事なのである。

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『分割民営化』の危惧として
指摘されていた事が現実となった時に
何の手も打てずにいる現代経済施策

『分割民営化』の導入時点で、これを防ぐ手立てを考えておかねばならなかったのであるし、コレって結構簡単に答えがでるのである。 それは、東海道シンカンセンの経営・収益をJR北海道に、山陽新幹線はJR九州に、東北・上越新幹線はJR四国に委ねれば良かったのである。 まぁ、それよりも国が「一つの国鉄」として経営する方が断然いいのであるが・・。

あぁ・・、話が『鉄道経営論』にぶっ飛んでしまったね。 ネタは筑前岩屋駅の『駅の思い出』だったよ。 この筑前岩屋駅には、豪雨災害の発生した年の正月・・、即ち災害の半年前に『撮り鉄』で訪れた時に立ち寄ったのである。

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朝早くに駅に訪れると
薄っすらと雪が乗っていた

その『撮り鉄』に出向いた理由は、九州特有の通称『眼鏡橋』と呼ばれるコンクリートアーチ橋をゆく国鉄型の気動車を撮る為だ。 この『眼鏡橋』と呼ばれるコンクリートアーチ橋は、昔・・昔の廃止ローカル線を追いかけていた頃に、宮原線で出会った『風景鉄道』情景である。 それでは、長閑な農村風景に調和する『風景鉄道』をば、ごろうじろ。

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宮原線に夢中となったあの時を
思い出した情景だった

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霧に覆われた山里風景に
調和するアーチ橋

筑前岩屋~大行司の間にある『眼鏡橋』で撮影してから、筑前岩屋の駅に立ち寄る。 駅は地元の消防団との合築駅舎との事だが、ほとんど岩屋神社を模倣した観光アピール用の駅舎となっている。

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この近くに岩屋神社がある事を
知らなかったワテは
この鄙には稀な豪勢な駅舎を
「なぜに?」と思ったよ
※ ウィキペディア画像より岩屋神社を拝借

だから、訪れた際に『岩屋神社』の存在を知らなかったワテは、「なぜに、こんな鄙の地に、こんな豪勢な駅舎が・・」と思ったものである。

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『平成の銘水』に指定された岩屋湧水
※ ウィキペディア画像を拝借

そして、この駅に訪れる者は全て車で、駅には全く立ち寄らず、駅の脇にある駐車枠に車を止めて、車のトランクから30リットルの石油用ポリタンクを取り出して、『岩屋湧水』を満タンに汲んで即効立ち去っていたよ。 そう、駅来訪の全ての者が・・。

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水を汲みにくる者のマナーの悪さから
無粋な自動販売機となった銘水汲み場
※ ウィキペディア画像を拝借

まぁ、ワテも、この日の自炊用に2リットルほど所望したけど。 だけどもう・・、この素晴らしい『風景鉄道』たる情景に、列車の姿が入る事はないんだよな。 『日田彦山線』。 添田から不通となり、添田から実質的に廃線になろうとしている。 もう、日田彦山線』ではなくて、30年の昔に廃止となった『添田線』が適合する路線状況となったね。

・・この小旅行の帰りでは久大本線の久留米周りで博多に出る行程を組んだのだが、レンタカーを返した日田駅で、乗車予定の久大本線の列車が今イチの黄色い気動車で、横のホームに並んで停まっていた日田彦山線の列車がキハ47であった。 コレになびいて、「帰りのシンカンセンを2本遅らせる事で何とかなる」と、日田彦山線のキハ47に乗る。

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これがこの区間の
最後の撮影行となる事も・・

これが、日田彦山線の不通区間とのお別れ乗車となるとは、露とも思わなんだよ。 昨日・今日と撮った『眼鏡橋』を渡るシーンを見ながら帰路に着く。 でも、撮ってる分にはあんなに遅かった『眼鏡橋』の通過は、列車に乗ってるとものの一瞬だったよ。 そして、情景も列車の車窓からの俯瞰より、下から列車を入れた『風景鉄道』の方がそそる情景だったよ。


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