風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第103話  白峰三山・塩見岳 大縦走 その2

よも”ヤマ”話  第103話  白峰三山・塩見岳 大縦走 その2 間ノ岳 〔山梨県・静岡県〕 '94・8
中白峰 3055m(2度目の登頂)、間ノ岳 3189m2度目の登頂

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朝の光を浴びて輝く中白峰・間ノ岳と
黒光りする今回のターゲット峰・農鳥岳

   白峰三山 しらみねさんざん (南アルプス国立公園)
南アルプスの北部には、北岳 3192メートル ・間ノ岳 3189メートル ・農鳥岳 3026メートル と、ひときわ高い峰が連なっている。 この3つの峰は、『白峰三山』と呼ばれている。

北岳は“知る人ぞ知る”日本第二の高峰で、間ノ岳も日本第四位につけている。 現在は、南アルプス林道の開通によってアプローチが容易となり登山者も増えてきたが、ひと昔前はこの山に登ろうとするなら前に立ちはばかる鳳凰三山を乗り越えるしか手がなく、限られた熟練クライマーのみが登頂を許される山であった。

景観では北岳が特に素晴らしく、雲海から上の眺めや周りの山々全てを“肩越し”に眺める爽快感、東面に落ち込む北岳バットレスの大岩壁とその斜面を飾る花々がおりなす“アルペン”風景、そしてこの山を染める高山植物の大群落など、高山的魅力はつきない。



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白峰三山・塩見岳 大縦走 2日目 行程図

    行程表                駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR甲府駅よりバス(2:05)→広河原(2:30)→大樺沢二俣(2:00)→八本歯ノコル
     (0:45)→吊尾根分岐(0:15)→北岳(0:50)→北岳山荘
《2日目》 北岳山荘(1:35)→間ノ岳(1:10)→農鳥小屋(0:45)→西農鳥岳
     (0:35)→農鳥岳(1:10)→農鳥小屋(2:30)→熊ノ平
《3日目》 熊ノ平(2:45)→北荒川岳(2:00)→塩見岳(1:00)→塩見小屋
     (2:20)→三伏沢幕営場
《4日目》 三伏沢幕営場(0:20)→三伏峠(3:30)→塩川よりバス(1:25)→JR伊那大島駅
   ※ 前回の『第102話 白峰三山・塩見岳 大縦走 その1』の続き

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スペクトルの空を御来光が
かぎろい色に染め始めて

 《2日目》 白峰三山を登頂して熊ノ平へ
朝、目覚めてテントを出ると、かぎろい色に染まった間ノ岳が視野に入るだろう。 このまたとない絶景を逃すまい・・と、カメラ片手にテントから飛び出る。 もう、靴などは紐も結ばす、後ろを踏んづけたままで・・。 目の前には、今まで見た事がない位に真っ赤に染まった間ノ岳が鎮座していた。

思わず飛び起きた夜明けの奇跡
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今日伝う南アの峰々が
夜明けの光で真っ赤に染まって

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こんなに完璧に焼けた峰を
目にしたのは初めてで
どう撮っていいか戸惑ってしまったよ

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心を落ち着かせる為に
敢えて朝日と逆側の中ア方向を撮る

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少し心に余裕がでてきて
周囲のテントサイトも入れて
状況説明のできる写真が撮れたよ

その視野を左に向けてみる。 濃紺から蒼白・かぎろい色・オレンジ・・、そしてピンクとスペクトルの色彩を広げる空と、黄金色に輝く雲海の上に浮かぶ富士山。 濃紺に黒いシャドーの北岳や甲斐駒ケ岳と対照的に明るいオレンジ色の空に浮き立つ鳳凰三山、その山々の間から登る御来光・・という、思わずため息の出る素晴らしき景色が広がる。

最も贅沢なひととき
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最も贅沢なひとときは
甲斐駒ヶ岳のシルエットの
右側から昇り始める

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御来光は抱く光で
スペクトルの空を赤く輝かす

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だが北岳側のスペクトルの空が
夜明け前の「最後の抵抗」を試みて
得も言えぬ空の色を魅せてくれる

この素晴らしき景色を真っ先に眺める事ができるのは、テント幕営の特権だ。 日本百景』の素晴らしき景色を少しでも早く、そしてその最高のシーンを味わう為にも、テント幕営のスタイルは変えられない。 テントを担ぎ上げる辛さを補っても、あまりある素晴らしいシーンを山は魅せてくれるのであるから。 

光の変化の妙は富士山でも
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富士山の方向でも御来光の光と
スペクトルの空とのせめぎ合いがあった

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北岳の方向と同じく
一度御来光が空全体を
かぎろい色に染め上げるが

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富士の上のスペクトルの空も同じく
「最後の抵抗」を試みて
夜空から夜明けへとの得も言えぬ
色の変化を魅せてくれた

空の色がスペクトルから、徐々に濃紺が消えてかぎろい色や黄金色、そしてピンクに変わっていく。 
この変化の妙も素晴らしい。 やかて、空の左端が黄色から白くなると、この素晴らしき朝日の織り成すショータイムもひとまず終わりを告げる。

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魅せられた峰々が赤から
黄金色に染め変わる時が出発時だ

このショータイムを見届けたなら、テントを撤収して出発しよう。 今日は農鳥岳まで往復して、農鳥小屋からのバイパス道を熊ノ平小屋の建つ井川越までトラバースする歩行8時間の行程と、かなりキツメの内容だ。

しかも、農鳥小屋~農鳥岳の区間を荷物をデポして往復する以外は、全て幕営装備一式を担ぐ縦走行程日でもある。 なので、夜明けのショーが終わったら、すぐにでも出発せねばなるまい。 

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中白峰に登る最中に振り返ると
北岳が明けの空に茫洋と浮き出ていた

《北岳山荘》横のキャンプ場から、ほどなくジグザグの急登となる。 このジグザグの急登を乗り越えると、この山行では2つ目の3000m峰の中白峰 3055メートル だ。 この頂上からは、まだ夜明けの余韻が残る中で、中央・北アルプスの山なみや伊那の街が見渡せる。 

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光の届く方向の伊那側は
空が明るくなるのが早い

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まろやかな容姿の仙丈ヶ岳と
武骨な容姿を魅せる
甲斐の守護神・甲斐駒ヶ岳

逆サイドの東の空は
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夜明けの余韻を残した空と富士山

反対側は、白く輝く雲海と夜明け空に浮かぶ富士山が小気味よい。 中白峰からは、緩やかに上下を繰り返しながら少しづつ登っていく。 ほとんど登る感覚のない楽な道だが、所々岩が崩れている箇所があるのでその通過には注意したい。

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イワギキョウ
盆を迎えて花期も過ぎて
山はもう秋の色の花となっていた

また、間ノ岳に近づくにつれてお花畑が点在し、この時の盆の季節なら紫色のイワギキョウや白のウメバチソウなど、秋の花を魅る事ができるだろう。 北岳山荘を出発してから約1時間半で、“戦艦大和”の煙突の上・・、もとい間ノ岳 3189メートル の頂上に立つ。

戦艦大和の煙突の上で
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仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳の
太刀持ち・露払いを従えて
一歩前にそびえ立つ北岳

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カールを抱く仙丈ケ岳の背後には
中ァ・北アの大艦隊が雲海に浮かんでいた

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頂上の岩塊をシャドーにかけると
神秘的な眺めとなるね

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天の海・雲海の白波に浮かぶ富士の山

風が強い、よろめくほどに。 なぜなら、間ノ岳は巨大な故に上昇気流が強く、頂上付近はいつも強風が舞っているからだ。 この強い風に、花びらを千切れ飛ばされながらも必死に耐えている花々の姿は印象的だ。 そして、目指す農鳥岳の方向・南を望むと、塩見岳や悪沢岳など憧れの荒川三山が並び立っている。

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入道頭の塩見岳に
屏風のような荒川三山
憧れの峰々が一同にそびえ立ち

「近々、あの憧れの峰に再び立つぞ!」、「できる事なら、北岳から南アルプスの主稜線の全制覇をしたいなぁ」などと山の夢を馳せる。 山の見果てぬ夢が覚めやらぬまま、次のターゲットである農鳥岳の頂に向けて間ノ岳の頂を後にする。

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さぁ・・ターゲットの
農鳥岳と塩見岳を定めて
この2つの峰へ歩いていこう

  ※ この続きは次話の『第104話 白峰三山・塩見岳 大縦走 その3』にて・・


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No Subject * by 鳳山
御来光、神々しいですね。山は本当に良い。

Re: No Subject * by  風来梨
鳳山さん、こんばんは。

1日の始まりと終わりに陽の光が最大に魅せるイベントが、サンライズとサンセットですね。 陽の光が出会いと一時の別れを魅る者の記憶に植えつける為に、最大限に魅せてくれますね。 この陽の光のイベントを、最も魅せられる場所で望む幸せを感じますね。

コメント






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No Subject

御来光、神々しいですね。山は本当に良い。
2020-06-05 * 鳳山 [ 編集 ]

Re: No Subject

鳳山さん、こんばんは。

1日の始まりと終わりに陽の光が最大に魅せるイベントが、サンライズとサンセットですね。 陽の光が出会いと一時の別れを魅る者の記憶に植えつける為に、最大限に魅せてくれますね。 この陽の光のイベントを、最も魅せられる場所で望む幸せを感じますね。
2020-06-05 *  風来梨 [ 編集 ]