風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第433回  櫃取湿原

『日本百景』 春  第433回  櫃取湿原 〔岩手県〕

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湿原の緑とミズバショウの白の斑点
そして木々と青空の
コントラストとの調和が美しい

  櫃取湿原 ひっとりしつげん
岩手県下閉伊郡岩泉町釜津田の国有林内に広がる櫃取湿原は、早池峰山の北側にある青松葉山や高森などの峰々に囲まれた標高1000m前後の平坦地にある湿原で、周りを囲むように広葉樹林が広がり、北上高地の数少ない湿原地の中で最も美しい場所と言われている。

また、天然イワナの宝庫として知られる大川渓流の源流域にある貴重な湿原で、美しく貴重な自然風景が魅られる。 それゆえに、昭和58年に「21世紀に残したい日本の自然100選」に選ばれている。

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東北の遅い春が到来したなら
ミズバショウの白の斑点で
湿原が美しく飾られる

周囲の手付かずの自然の山々からの清らかな水が育んだ樹齢100年を超えるブナやミズナラ・ダケカンバの林の向こうに、ひっそりとミズバショウが白い花を咲かせる春、周囲の木々が燃える紅葉となる秋が特にお勧めである。

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東北の湿原の中でも最も手付かずの
自然が残されている櫃取湿原

なお、この湿原の全域がすべて国有林であり、また植物群落保護林に指定され、岩手県の自然環境保全地域にも指定されている事から、この地域内での動植物の採取が厳しく禁止されている。 もちろん、ペットの連れ込みも禁止されている。



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岩泉町の市街地より
櫃取湿原までの位置案内図

   アプローチ
岩泉町(旧岩泉駅)より約50km・車で1時間15分、岩手大川集落よりは約38km、車で55分
岩手県道171号線を延々と奥に進むと牧場入口を兼ねた湿原探勝路の入口前に着く

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櫃取湿原・散策行程図

    行程表
櫃取湿原・短角牛放牧地より、牧草地内に敷かれた舗装農道を約1.2kmほどゆくと、櫃取湿原の入口があり、それより渓流に沿って約1km程奥までが湿原として一般に開放されている。
放牧地入口(0:20)→湿原入口より湿原散策は、所要約2時間・湿原入口(0:20)→放牧地入口

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ふと思いついた廃線めぐりで見つけた
春のパラダイス・櫃取湿原

前記事の『路線の思い出 第383回 岩泉線・岩手大川駅跡』で、廃駅となった同駅最寄り!?の手付かずの大自然風景を魅せる湿原が、今回取り上げる岩泉町釜津田にある櫃取湿原である。

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櫃取湿原の放牧地は
北海道の大地のような情景が広がっていた

まぁ、最寄りといっても、岩泉町の中心からは約50km、国道(酷道)340号線との分岐となる岩手大川地区からでも40km、大川の集落地からでも38kmと、北海道での移動を思わせる広大な地域にある湿原である。

だが、湿原までの間をゆく県道171号線沿いには大川・釜津田などの岩泉町の字集落があり、難路の押角峠を通る国道340号線よりも交通量の多い道で、県都・盛岡への最短路ともなっている。 周囲の集落は高級肉牛ブランドの短角牛の放牧農家が主体で、窯焼きの炭火の香ばしき煙が漂う純朴な高原農村風景が広がる。

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岩泉町・大川集落の
観光案内パンフレット

また、今回訪れる櫃取湿原を囲む周囲の山々を源とした清らかな水が奏でる清流の里で、村域には美しい自然林が林立している林業の里でもある。 周囲に手付かずの自然風景が広がる所なので、車を運転する時間もあっという間に過ぎていく事だろう。 但し、『国道』と言われる国道340号線の押角峠よりは随分とマシなものの、車の離合困難の狭隘区間や沢沿いカーブ道も数か所に渡って存在するので、飛ばし過ぎぬようにして頂きたい。

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櫃取湿原の広大な草原帯は
岩手県の肉牛ブランド短角牛の放牧地だった
※ 岩泉町の短角牛紹介ウェブより

さて、湿原の入口は、予想に反して広大な放牧地の入口となっていて、牛の暴走防止用の鉄条網で囲まれ、針金で扉を開け閉めする簡易ゲートが入口となっている。 なお車は、道路脇に15台程度の駐車スペースがあるが、定まった駐車枠などない道脇の荒地なので、車の止め方には注意した方がいいだろう。
まぁ、40kmだの50kmだの・・という事から、車が必須の景勝地なのだし。

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この日は木々のコントラストを引き立てる
絶好の青空が広がっていた

簡易ゲートの中に入るとゲート脇にトイレがあり、後にも先にもトイレはこの一ヵ所のみなので、用は済ませてから出発したいものである。 ゲートの中に入ると、広大な放牧地の端まで約1.2kmの舗装農道を歩いていく。 まだ短角牛の放牧の時期には早かったのか、それとも時間的に合わなかったのか、放牧されている牛は全くなかった。

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牧草地脇の湿地帯にも
ミズバショウがチラホラと

また、草地の一角にはキャンプ場のような施設の残骸があり、かつてはキャンプ場としても使用されていたようである。 周囲は美しい清流が育んだブナやミズナラなどの美林が、春を待ち望んだかのように美しい枝木を青空に向けて延ばしていた。 だが、ここは標高1000mの寒冷の地で、木々もまだ春の新緑を着ける前の状況で、青空と灰色の枝木のコントラストがより美しく魅せられる。

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空には抜群の鰯雲が・・
青空と灰色の枝木との
素晴らしいコントラスト

周囲の情景に魅せられながら歩くと1.2kmの舗装道などあっという間に歩きつめて、ダートの道から湿原の概容説明及び湿原に入山する心得を書き記した看板の立つ櫃取湿原入口に着く。 ここから渓流となった沢に向かって、やや急な丸太の段で下っていくと、湿原内の順路を示した番号看板が現れる。

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湿原入口から急な丸太段を下ると
春先の雪解け水で
水量を増した源流沢に出る

この看板同士はそんなに離れておらず、見回せば次の番号看板を発見できる感じである。
この番号看板の『3』番位から沢が寄り添うにようになり、渓流内にミズバショウが清楚な白を魅せ始める。 この渓流沢の流れは速く、ともすれば完全に水没するミズバショウも所々で見かける。

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渓流内にミズバショウが
姿を魅せ始める

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雪解け水で水流を増した沢に
水没しかけのミズバショウ
右端には水没したモノもあったし

沢に沿って渓流の奥へつめていくと、『10』の看板の辺りで沢を渡る地点があるが、水量が多く流れも速いので、桟橋の踏み板が沈下橋の如く水没していたよ。

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ミズバショウだけでなく
沢に架かる桟道も水没してたよ

なので、沢に架かるように折れている倒木の枝木を伝って渡る。 難所と言えば、倒木の枝木伝いに沢を渡るこの地点だろうか。

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水没した桟道の30m先に
沢にかかる倒木があったので
これを伝って沢の対岸へ渡る

無事沢を渡ると、そこからは周囲を囲む沢の清水が毛細血管のように染み入って流れ込む湿原の中洲帯に入り、ミズバショウの白い花で草原となった湿地帯が染められる。

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沢を渡るとミズバショウの群生地となる
湿原の中洲に入っていく

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湿原がミズバショウの
白い斑点で彩られて

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ミズバショウと木々のコラボ

ここからは、我が写真撮り(・・といってもウデは写真床だけれど)としての感性の赴くままにミズバショウと渓流と反射する光の妙を切りとろう。

清流と光と白い花の
魅せられる情景
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沢のキラキラと白いミズバショウの
透き通った白のキラキラと

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沢の澱みに咲く清楚な白

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沢の流れに光が当たり
ミズバショウの白とまた違った
輝く白の模様がキャンパスに

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沢の澱む安全地帯で
目いっぱい育ったミズバショウ

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沢の流れが最も輝いた時

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最もミズバショウの白が
透過光で光る瞬間を切り取って

清らかな水が育んだ木々の枝が青空に向けて突き出す情景と、樹の下を白い斑点で染めるミズバショウとのコラボもいいし、水とミズバショウを光に透かして眩い透過光で光らせるのもいい。 そして、きらめく清水に光を輝かせるのもいいだろう。

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倒木が行く手を塞ぐ桟橋より奥
『30』番看板より先は道が不明瞭となる

このように思いつく限りにカメラ片手に遊びながら進んでいくと、『30』の看板から先の人が余り踏み入れないエリアに入っていく。 そこは残雪も現れ、そして流水にかかる桟橋も朽ちていって、登山靴ほ履いていなければ靴中に浸水してしまうエリアだ。

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足場は悪くなるが
咲いてるミズバショウは無造作に
咲くなどより原生的となる

また、番号の看板も『33』番あたりから看板の立つ位置が不明瞭となって、少し探さないと見つからないようになる。 まぁ、この状況なら、スニーカー履きの一般のハイカーなら『30』番で引き返すだろうけど・・ね。 そして、武漢ウイルス騒ぎで人はほとんどいなかったせいもあるので、残雪の量も結構あったよ。

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湿原散策路の終点を示す
『終40点』看板
この先はクマザサのブッシュとなって
道も踏み跡程度となる

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去り際に最も湿原を感じさせる
アングルで1ショット

道や桟道は完全に朽ちた感じの道を番号を探しながらゆくと、荒地状となった広場に『終40点』と表示された看板が立ち、湿原探索はここが折り返し地点となる。 入口からここまで、1km程だろうか。

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後は放牧地に連なる
一本道を伝って帰路に着こう

復路も看板を逆に辿りながら戻っていく。 途中でまたカメラ片手にミズバショウと戯れながら戻ると、約2時間程で『1』の看板の立つ湿原の入口に戻ってこれるだろう。 後は、往路の放牧地をゲートまで戻るだけである。

n433 (8)
『岩泉線の廃線めぐり』という
旅先での気まぐれな寄り道で
こんなに素晴らしい湿原に出会えたよ

始めは立ち寄る予定がないどころか、こんな素晴らしい湿原があるとは全く知らなかったよ。
これは、今回の旅行程に『岩泉線の廃線めぐり』を加えた『様々』だね。 まぁ、普通の観光客なら、『岩泉の町から50km』と記された道案内板を目にしただけで、瞬殺で『パス』となるのだろうけど。


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No Subject * by 根室大喜
水芭蕉には不自由していません^^)撮りに行くかな

Re: No Subject * by  風来梨
根室大喜さん、こんばんは。

> 水芭蕉には不自由していません^^)撮りに行くかな

根室大喜さんの御当地・根室なら、ノサップ岬へと続く湿地帯や根釧原野の湿地帯の至る所でミズバショウが咲き乱れることでしょうね。 そして咲く時期も、北の短い夏の初旬の7月初旬ですね。 北のシバザクラとミズバショウはまだ目にしてません。

芝がピンクに染まるシバザクラの情景と、湿原に無造作に咲くミズバショウの白い斑点・・。 是非とも魅せられたい情景の一つですね。

コメント






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No Subject

水芭蕉には不自由していません^^)撮りに行くかな
2020-06-01 * 根室大喜 [ 編集 ]

Re: No Subject

根室大喜さん、こんばんは。

> 水芭蕉には不自由していません^^)撮りに行くかな

根室大喜さんの御当地・根室なら、ノサップ岬へと続く湿地帯や根釧原野の湿地帯の至る所でミズバショウが咲き乱れることでしょうね。 そして咲く時期も、北の短い夏の初旬の7月初旬ですね。 北のシバザクラとミズバショウはまだ目にしてません。

芝がピンクに染まるシバザクラの情景と、湿原に無造作に咲くミズバショウの白い斑点・・。 是非とも魅せられたい情景の一つですね。
2020-06-01 *  風来梨 [ 編集 ]