2010-12-14 (Tue)✎
名峰次選の山々 第3回 『148 奥大日岳』 富山県・大日山系(中部山岳国立公園) 2611m
さて、前日からの夜行利用で富山方面からの始発列車を乗り継いできたのなら、立山7:20発位のケーブルに乗車できるだろう(あくまでも、平日のことであるが)。 “予定”通りの時間にケーブルとバスに乗車できたなら、室堂着8:30とギリギリの許容で登山を開始できる。
剱を見ながら伝っていくと、いつの間にか足元にはお花畑が広がっていることだろう。 お花畑を愛でながら最高の山岳風景を眺める・・、山に来た喜びが胸いっぱいに込み上げる情景だ。 登山道は雪田を越えるごとに徐々に傾斜が増してきて、これをつめていくといつの間にか奥大日岳の前衛峰の頂に登り着くだろう。
コース難度 ★ 体力度 ★
新室堂乗越より望む奥大日岳
名峰次選の山々の第3回目は、名峰・剱岳の絶好の展望台となる大日三山の主峰・奥大日岳を御紹介しよう。 アルピニストの憧れ、剱岳。 この山に登るのは山好きにとっては必定の事であるが、その姿を眺めるのもまた、山好きの“山好き”たる条件ではなかろうか? ひとくちに“剱を望む”といっても、剱は壮大で方角によって様々な姿を魅せてくれる。
奥大日から望む剱は
雪渓と逆光で黒光りした姿を
魅せる鋭い山容だ
ヨーロピアン風景を奏でる裏剱・《八ッ峰》や《チンネ》、剱沢より望む本峰から《源次郎尾根》へ連なる“岩の殿堂”たる眺め、《長次郎谷》より望む剱刃鋭い岩峰群、そして剱が谷底から突き上げて圧倒的な迫力で迫る剱岳西壁。 今回は、この剱岳西壁の絶好の展望台である大日三山より、剱の圧倒的な山岳風景を眺めつつ、お花畑を愛でる素晴らしい山旅を御紹介しよう。
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 立山駅よりケーブルとバス利用(1:00)→室堂(0:30)→雷鳥沢(0:50)→新室堂乗越
(2:00)→奥大日岳(2:10)→大日小屋・大日岳へは往復20分
《2日目》 大日小屋(2:20)→奥大日岳(1:50)→新室堂乗越(0:50)→雷鳥沢
《2日目》 大日小屋(2:20)→奥大日岳(1:50)→新室堂乗越(0:50)→雷鳥沢
(0:40)→室堂よりバスとケーブル(1:00)→立山駅
立山連峰を映す
初夏のミクリヶ池
・・剱・立山への玄関口・《室堂》は、言わずもがな『アルペンルート』の中心地点で、シーズン中は観光客が“芋洗い”の状態でやってくる。 この観光客の波がまた厄介で、休日ともなるとケーブルや高原バスは数時間の順番待ちを強いられるようになる。 《室堂》を散策する程度の観光目的ならばこのロスも許容範囲であろうが、“登山”となるとそうはいかない。
こういったロスが原因で登山の開始が午後にずれ込む事になれば、それこそ“一大事”である。
従って、日程の許す限り、平日に山行を計画する事をお薦めしたい。 例え平日であっても、信じられない程に多くの観光客がいるのだが。
従って、日程の許す限り、平日に山行を計画する事をお薦めしたい。 例え平日であっても、信じられない程に多くの観光客がいるのだが。
さて、前日からの夜行利用で富山方面からの始発列車を乗り継いできたのなら、立山7:20発位のケーブルに乗車できるだろう(あくまでも、平日のことであるが)。 “予定”通りの時間にケーブルとバスに乗車できたなら、室堂着8:30とギリギリの許容で登山を開始できる。
《室堂》のターミナルより、数本ある遊歩道を伝って《雷鳥沢》へ向かう。 時期が早ければ《室堂》周辺といえども豊富な残雪があり、《地獄谷》経由のルートは急傾斜の雪面となるので注意しよう。
また、スニーカーでよたよた雪面を下る観光客が邪魔で、なかなか前に進めないかもしれない。
とにかく、《雷鳥沢》のキャンプ場まで下れば遊歩道は途切れるので、観光客とも離れる事ができる。
《雷鳥》にかかる橋で《称名川》を渡った所から登山道は始まる。 これからアタックする大日三山の稜線は水場が皆無なので(大日小屋も天水利用との事である)、ここでしっかりと水を補給していこう。
橋を渡って《称名川》の右岸を伝うと、程なく剱御前への登路を右に分ける。 大日三山へは、そのまま直進して斜上気味に山裾に張り付いていく。 人の流れとしては、剱御前へ向かうのが7割から8割方という所であろうか。
《雷鳥》にかかる橋で《称名川》を渡った所から登山道は始まる。 これからアタックする大日三山の稜線は水場が皆無なので(大日小屋も天水利用との事である)、ここでしっかりと水を補給していこう。
橋を渡って《称名川》の右岸を伝うと、程なく剱御前への登路を右に分ける。 大日三山へは、そのまま直進して斜上気味に山裾に張り付いていく。 人の流れとしては、剱御前へ向かうのが7割から8割方という所であろうか。
豊富な残雪を載せる大日三山 稜線の切れ間より
剱の勇姿が望まれる
山裾を斜上気味に伝っていくと、《称名川》から離れて木道が敷設された雪渓の下部に出る。
やがて木道は途切れ、《新室堂乗越》から直接落ちるこの雪渓をイッキに登っていく。 初心者ならば、アイゼンが必要な位の急傾斜だ。 この雪渓を登りつめると、剱御前への“裏ルート”の分岐点である《新室堂乗越》だ。 この分岐の周辺は、《雷鳥坂》(最初に分けた剱御前へのメインルート)の道とよく似ていて、《雷鳥坂》を数回登った者なら戸惑うかもしれない。
山裾を斜上気味に伝っていくと、《称名川》から離れて木道が敷設された雪渓の下部に出る。
やがて木道は途切れ、《新室堂乗越》から直接落ちるこの雪渓をイッキに登っていく。 初心者ならば、アイゼンが必要な位の急傾斜だ。 この雪渓を登りつめると、剱御前への“裏ルート”の分岐点である《新室堂乗越》だ。 この分岐の周辺は、《雷鳥坂》(最初に分けた剱御前へのメインルート)の道とよく似ていて、《雷鳥坂》を数回登った者なら戸惑うかもしれない。
《新室堂乗越》の高みを乗りきると、登山道は山腹を平行に巻くようにつけられている。 程なく剱御前への道を分けて、雪田の残る山肌を魅せ眼前に立ちはばかる奥大日岳の前衛峰に向かってつめていく。
しばらく、起伏がほとんどない道を伝っていくと、ハイマツ越しに待ちに待った剱岳西壁の勇壮な岩壁が現れるだろう。 “天を衝く”という形容がぴったりの鋭い様相だ。
真に天を衝くその勇姿
剱を見ながら伝っていくと、いつの間にか足元にはお花畑が広がっていることだろう。 お花畑を愛でながら最高の山岳風景を眺める・・、山に来た喜びが胸いっぱいに込み上げる情景だ。 登山道は雪田を越えるごとに徐々に傾斜が増してきて、これをつめていくといつの間にか奥大日岳の前衛峰の頂に登り着くだろう。
奥大日岳にて 花と虫という何気ない
自然の姿がそこにある
雪渓をバックに花を引き立てよう
ハクサンイチゲ
イワカガミ ミヤマキンバイ チングルマ
花を前景に飾るのもいい
この先も肩に大日山荘がある大日岳を経由して称名滝へ下るルートがあるので、ここに泊っての1泊2日の行程を組むのもいいだろう。 また、山岳写真を目的にするなら、筆者の取った手法(稜線の小スペースに幕営して、夜中に稜線を伝って夜明け前までに奥大日岳のピークに着く)もあるが、無謀という言葉と背中合わせになるので、事故などに対しては全て自己責任を負う覚悟が必要だろう。
夜明けの剱
稜線で泊らぬ限り目にできない光景
ほのかに染まる朝の大日岳
剱の更に奥には
神秘の峰・毛勝山塊が
あり丁寧に言えば、筆者のようなマネはくれぐれも謹んで頂きたいという事である。 何事もそれなりの覚悟がなければ、特筆するような事はできないのだから。
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