2020-05-15 (Fri)✎
よも”ヤマ”話 第101話 立山・薬師・雲ノ平 大縦走 その6 鷲羽岳 〔富山県〕 '94・8
双六 すごろく (中部山岳国立公園)
飛騨山脈の裏銀座の主稜線に位置する双六岳 2860m の直下の東側に広がる双六池のある丘には、双六小屋を始め広大なキャンプ場を持つ双六野営場など、夏山シーズンにおける主要な登山基地となっている。 新穂高温泉より直接双六に至る登山道・小池新道は、整備が行き届いて登山初心者でも安心して登れる夏山登山道である。
双六の山の朝
また、双六周辺は花の百名山に選定された双六岳の山域という事で、多くの高山植物が自生している。
その田中澄江の著書『花の百名山』では、双六岳を代表する花としてコバイケイソウが紹介されている。
イワギキョウ
:
この時は盆を過ぎて
ヤマの花も華やかな夏の花から
落ち着いた紫色の秋の花となっていた
山頂部の稜線付近では晩夏から初秋にかけてトウヤクリンドウが見られる。 小池新道の弓折岳と双六小屋の中間点付近には大規模なお花畑があり、『花見平』と呼ばれている。 その他にも、イワウメ・イワカガミ・ウサギギク・ハクサンフウロ・ミヤマキンポウゲ・ミヤマクロユリ・ミヤマコウゾリナなど、様々な高山植物が山の短い夏を謳歌する。 秋になるとその高山植物の草花は、なだらかな山肌を染める草紅葉となるのである。
小池新道・下山ルート 地図 その1
(双六~鏡平~シシウドヶ原)
※ 地図は「穂高連峰・ツギハギ縦走記」の使い回しでっす
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR富山駅より鉄道利用(1:05)→立山駅よりケーブルとバス(1:00)→室堂
(1:20)→一ノ越(0:35)→富山大学立山研究所(3:00)→ザラ峠
(0:50)→五色ヶ原キャンプ場
《2日目》 五色ヶ原キャンプ場(2:20)→越中沢岳(1:40)→スゴノ頭(1:20)→スゴ乗越小屋
《3日目》 スゴ乗越小屋(3:00)→北薬師岳(1:10)→薬師岳(1:00)→薬師岳山荘
(1:30)→薬師峠キャンプ場
《4日目》 薬師峠キャンプ場(0:20)→太郎平小屋(2:00)→薬師沢小屋
(1:20)→B沢・清めの滝(3:00)→高天原峠
(1:10)→高天原山荘・山荘より高天原温泉まで片道15分
《5日目》 高天原山荘(1:30)→高天原峠(1:15)→雲ノ平・奥スイス庭園
(0:25)→雲ノ平山荘(1:40)→黒部川源流徒渉点(0:30)→三俣
《6日目》 三俣(1:10)→鷲羽岳(1:50)→水晶小屋(0:45)→水晶岳(0:40)→水晶小屋
(2:00)→鷲羽岳(0:50)→三俣(2:20)→双六
《7日目》 双六(1:00)→笠ヶ岳・鏡平分岐(0:40)→鏡平(1:20)→秩父沢
(1:10)→ワサビ平(1:00)→新穂高温泉よりバス(1:40)→高山駅
※ 前回の『第100話 立山・薬師・雲ノ平 大縦走 その5』の続きです
朝テントを出ると
絶景が広がっていた
《7日目》 新穂高温泉へ下山
《双六》付近は、御来光を眺めるにも絶好の位置にある。 雲海の果てに見える燕岳や大天井岳・・、徐々に朝日に照らされる鷲羽岳・・、朝日を浴びて輝くトウヤクリンドウの花・・などなど。
まずは、この素晴らしい光景を味わおう。
山の朝・・もっとも素晴らしい瞬間(とき)
朝色に染まる空と
乳房のような樅沢岳のシルエット
水晶や裏銀座の山々も
朝に溶け込む
そして1日の始まりを告げる
陽の光が昇ってきた
ひと通りの“御来光ショー”を満喫したなら、テントを撤収して出発だ。 バスは、12時前後に富山行と高山行が発車する。 下山して、《新穂高温泉》でひと風呂浴びてからバスに乗るなら、11時頃には下山を終えたいものだ。 これを所要時間を逆算して割り出すと、6時頃の出発が望ましいだろう。
笠が抜戸岳の背後に
ちょこッと姿を現わした
《双六》のキャンプ場を出発してハイマツの生い茂ったピークを1つ越えれば、槍・穂高の稜線が見えてくる。 空が黄金色に輝き、槍・穂高の稜線がシャドーとなってそびえている。 モノトーンの色彩でも迫力は十分だ。 いや、かえって、ピーカン・順光の中での色彩豊かな風景より魅せる力があるように思う。
また、登山道脇の花々も、朝日を浴びて黄金色に輝き美しい。 朝の光に飾られた素晴らしい眺めを見ながら歩いていくと、すぐ《弓折岳分岐》に着く。 ここから、右の稜線沿いに進んでいく道が笠ヶ岳へのルートである。 なお、笠ヶ岳へは、このヤマを訪ね歩いた時の事を『よも”ヤマ”話』で記述するのを楽しみにしているので、来たる掲載時まで「乞う、ご期待」。
あっ・・稜線上から鏡平撮るの忘れてたよ
なので鏡平の現物おば・・
・・下山道は分岐を左側へ進み、丸太の階段でどんどん下っていく。 下には《鏡平山荘》と《鏡池》が見えているにもかかわらず、この延々と長い事。 やはり、意識すると長く感じてしまうものなのだろうか。
鏡平から望む抜戸岳
夏は周囲の樹林が生い茂り
『水鏡』はムリっぽい
この長い下りを乗りきって《鏡平山荘》に着くと、なぜかお腹がすいてくる。 その点、北アの山荘はカップメンなどを売っているので便利である。 腹を満たして最後の山岳風景を眺めたなら、温泉に入って汗を落とすべく下っていこう。
小池新道・下山ルート 地図 その2
(シシウドヶ原~ワサビ平小屋)
この下山道は『小池新道』というのだが、この道は登山道でいう“舗装道路”のように完璧に整備されていて、この道で転倒などしようものなら数日は“恥ずかしい思い出”として頭を過りそうだ(過去にいろんな所で転んだ筆者体験により)。 この“転べない”というプレッシャーは、なかなか重い枷である。
道の状況は、ガレ場の斜面を下って《秩父沢》を鉄網の橋で渡ると、《新穂高》へ通じる林道が見えてくる。 見えてからも更に下っていくと、やがて《蒲田川》の岸辺に下り出て、岸辺から林道脇に這い出るように合流する。
このロングラン縦走も終わったね
:
どんな事でも始まりがあれば
必ず終わりも訪れるから・・
後は、時折車も通る砂利道を1時間程歩くと《新穂高温泉》だ。 《新穂高温泉》にはバスターミナルの前に無料の公衆浴場があり、山の汗を洗い流して行けるので嬉しい。 この《新穂高温泉》は、北アルプスの下山地としては最も好ましい所であろう。
槍の雄姿が魅たくなったら
またこの道を登っていこう
だが、残念な事にバス転回場整備を主体とした再開発で、無料の登山者温泉施設は撤去されて、今はホテルの内湯に入るか、3kmほど下方の温泉施設まで行かねば、「下山後のひとっ風呂」に入れなくなっている。 世知辛くなったものだ。
なるようにしかならん
武漢ウイルス対策への愚痴は
いったん止めにして
閑古鳥が鳴く新作シリーズのアピールおば・・
『穂高連峰のツギハギ縦走記』
第一弾はこの記事で下山に使った
小池新道を登ったよ
:
もっと小池新道を詳しく知りたい方ば
水色文字のリンクをクリックして
是非とも見てネ
第二弾は氷河公園と大キレット
そして涸沢岳岩稜をめぐる山旅
第三弾は最も険しい奥穂~西穂での
『死亡フラグ』はためくドン引き必至の
『オチャメ』スペクタクルでっす
:
どうぞ宜しなに・・
なお写真掲載枚数多いので
パソコン画面でご覧くださいネ
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