2020-04-28 (Tue)✎
『日本百景』 春 第429回 桜島と大隅線遺構めぐり 〔鹿児島県〕
噴煙たなびく姿が美しい
活火山・桜島
桜島 さくらじま (霧島屋久国立公園)
薩摩地方のシンボル・桜島 1117メートル。 今もなお、噴火活動中の活火山だ。 地元にとっては迷惑厄介なこの噴火・噴煙も、旅人にとっては絶景となってしまう。 特に、大隅半島から錦江湾を前景に桜島がもうもうと噴煙を上げる姿は、見事なまでの絵姿である。
線内の中心駅だった鹿屋駅の駅名標
※ ウィキペディア画像を拝借
大隅線(おおすみせん)は、かつて鹿児島県曽於郡志布志町(現・志布志市)の志布志駅から、鹿児島県国分市(現・霧島市)の国分駅までを結んでいた国鉄の鉄道路線である。 国鉄再建法の施行により1984年6月に第2次特定地方交通線に指定され、1987年3月14日に全線廃止となった。
最も当時の姿で残っている
大隅高山駅舎
※ ウィキペディア画像を拝借
行程表
鹿児島市内より車〔レンタカー〕利用(1:30)→大隅麓駅跡(1:00)→鹿屋鉄道記念館
(0:25)→大隅高山駅跡(0:50)→志布志市街(2:30)→鹿児島市内
かつて桜島に沿って『ローカル線』
と呼ばれた鉄道路線があって
小僧はそのシーンをカメラに収めたいと
はるばる訪れたのだった
’87年まで、桜島に沿って『ローカル線』と呼ばれた鉄道があった。 その鉄道の車窓越しに眺めた桜島は、あの頃のワテにとって印象深いものであった。 それゆえに、勝手ながら「あの頃・・」を回想しつつ文を進めていきたいと思う。
鹿児島と大隅半島を結ぶ快速〔大隅〕
:
長大線区ゆえに
快速列車もあった大隅線
※ ウィキペディア画像を拝借
’87年まで細々と通っていた鉄道・旧国鉄大隅線は、《国分》より大隅半島の海岸線を大きく迂回して《志布志》まで通じていた。 国分駅の一番端のホームから、いつも古ぼけた気動車が発車していた。
路線廃止になってからのお色直しで
綺麗になって展示される気動車
:
これが噴煙まみれのボロボロの姿で
大隅半島を行き交っていたのだ
※ ウィキペディア画像を拝借
線路状態は極めて悪く、40km/hそこそこのスピードでもう車輪が悲鳴を上げていたのを憶えている。 窓枠には、火山灰と思われるススが積もっていた。 窓から手を出して車体に触ろうものなら、たちまち肘が火山灰でザラザラとなったものである。
駅跡は児童公園と
なっているモノが多い
※ ウィキペディア画像を拝借
列車は《大隅福山》の駅に差しかかる。 車窓には、海に浮かぶ噴煙を上げる桜島が広がってきた。
だけど午前中の順光の時に
列車が1本もなかったのよね~
《大廻》・《大隅境》・《大隅二川》・《大隅辺田》と過ぎるごとに、桜島が美しくそびえてくる。
桜島の「麓」の駅
大隅麓に近づいてきた
桜島を望む区間は閑散区間で
待合室のみの板張りの駅が連続していた
そして、絶好の撮影地と噂に聞いた《大隅麓》駅が近づいてきた。 「是非、桜島とローカル線の情景を手にしたい」。 この思いが募り、この駅で下車する。 下車と同時に、桜島の噴火という手荒い歓迎を受ける。
噴火すると火山灰が風に乗って
コチラに飛んでくる
海を眺めてから、シラス台地の丘の上に向かって登っていく。 頃よい所で振り返ると、《錦江湾》に浮かぶ桜島と行き交う船。 そして、時折やってくる古びた気動車と駅舎もない片面ホームだけの駅がおりなす、旅情満点の風景がファインダーに広がる。
桜島とローカル線
今となってはもう望めぬ情景だ
この頃のワテはまだ幼かったのか・・、この素晴らしい風景を作品として残す事ができなかった。
掲載写真でも判るように、見事に逆光で露出アンダーである。
逆光ドアンダーの黒潰れだが
今となってはもう望めぬ情景だから
「撮れて良かった」のだろうね
あの時はすごく口惜しく感じたが、今はあの『鉄道と桜島』の風景が撮れた事を心から良かったと思っている。 もう、二度とあの風景を撮れない今となっては・・。 でも、脳裏の奥のファインダーには、『日本百景』に相応しき素晴らしい風景がくっきりと焼きついている。 それだけでいいのだ。 桜島の幾度かの噴火で衣服は火山灰まみれとなったが、気分は上々だったのを憶えている。
幾度となく噴煙が頭上から降り注ぎ
衣服は火山灰まみれとなったけど
あの時は本当に楽しかったよ
後は、グローブ燈が灯る最も古ぼけた型の列車に乗って、大隅線を完乗した。 心地よい疲れで、いつしか眠りに入っていたのも憶えている。 慌しい撮影旅行であったが、心に深く残る旅でもあった。
:
:
これは、我がホームページ『日本百景』の桜島の項目に書き記した記述だ。 だが、最後の締めの記述で「心地良い疲れで、いつしか眠りに入った・・」とあるように、大隅線では桜島を除いての大半を車内で爆睡してしまった為、車窓風景はほとんど見てないのである。
鹿屋鉄道記念館
残念ながら現存駅ではなく
ミュージアムであった
※ ウィキペディア画像を拝借
鹿屋鉄道記念館に展示されている
当時の運賃表
※ ウィキペディア画像を拝借
だから、路線廃止となって10年ほど経った頃に佐多岬へとめぐる旅をした時に、その事を取り返すべくチョロっと大隅線の遺構めぐりをしたのである。 まぁ、めぐったと言っても、鹿屋の鉄道記念館に立ち寄って廃線跡の現状を把握して、唯一駅舎が残っている・・という大隅高山駅跡に立ち寄ったのみであるが。
鉄道公園施設として現存する
大隅高山駅舎
:
この駅舎が現存している事を知ったのは
鹿屋鉄道記念館を訪ねての事だった
※ ウィキペディア画像を拝借
駅構内だった鉄道公園の裏側は
芝生敷きの児童公園となっている
※ ウィキペディア画像を拝借
それにこの頃は、過去の『○鉄』だった記憶を自身の『黒歴史』として隠し覆す思惑をもっていて、「廃線跡遺構は立ち寄っても、それは偶然に立ち寄っただけで、写真などは一切撮らない」、「写真を撮るのは風景と訪れた景勝地のみ」という、これまた偏屈な考えに支配されていて、大隅線の遺構めぐりはしたものの、写真は全く撮っていないのである。 我ながら、何という浅はかさだ・・と思うよ。
吾平駅跡の鉄道記念館には
旧駅のホームが残り
気動車が静態保存されている
だがその管理が杜撰だと
保存車両もボロボロに・・
※ 上下いずれもウィキペディア画像を拝借
だから、大隅麓で撮った現役時の写真以外は、全て「ウィキペディア画像を拝借」って事で・・。
まぁ、いつになるか分らないし、行かないかもしれないけれど、この浅はかな「大隅線遺構めぐり」をやり直すべく、そして写真をキチンと撮って新たにブログ記事としてアップするべく、「遺構めぐりで、再度この地を訪れたいなぁ」と思う今日この頃である。
芝生敷の児童公園という
理想的な姿で現存している古江駅舎
※ ウィキペディア画像を拝借
でも、バスに乗って・・ではよう周れんな・・と思ったよ。 なぜなら、大隅線は長大過ぎるゆえに、鉄道に沿ってゆくバスが皆無で多数の乗り継ぎを強いられるし、もちろんバス会社が違うので接続はバラバラだしィ。 それに加えて線内でも閑散区間だった垂水~古江などはコミュニティバス化されて、役所に問い合わせないとバスの時刻が判らんしィ。
駅舎がサイクリングコースの
休憩舎として残る大隅野里駅
:
駅舎が現存していても
バスを連ねて訪ねるなんてムリだね
※ ウィキペディア画像を拝借
ローカル線が一斉に廃止となった1980年代・・。 あの時は路線バスが鉄道の代替手段となったけど、今はその路線バスも「一家にその家族の数だけ所有するマイカー」に押されて、大半が存亡の瀬戸際と耳にする。 また、鉄道と違って路線バスは、経営的に振るわないと何の告知もなくいきなり廃止・撤退となるのである。
そして、その『マイカー』も、若い世代を中心にインドア思考が大勢を占め始め、外に出ないで内に籠る奴が増えてきて、車自体が売れないようになってきているしィ。 何か、嫌な世の中になっていくねぇ。
若き日のワテの世代・・、放浪旅に寛容だった時代に戻りたいね。
この所武漢ウイルス関連の
嫌なネタが続いているので
別の話題にしようか
放浪旅をしていたあの頃・・
旅に出る時は当然仕事(といってもアルバイト)
を止めてからだったけど
不思議に不安なんてなかった
あるのは「せっかくのチャンスだから
目一杯楽しもう」という
ポジティブな感情だった
でも今は何かにつけて
ネガティブ思考が入ってくる
:
歳食ってかつての体力を失って
あらゆる事に対する自信も失って
守りに入る気持ちが出ると
こうなっちゃうのだろうね
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Re: No Subject * by 風来梨
onorinbeckさん、こんばんは。
> 鹿屋というと特攻隊の基地があった場所ですよねーーー!
> 永遠のゼロなんども読みましたよ!
鹿屋には零戦を再度組んで展示しているミュージアムがあるそうです。 今度訪れる時は訪ねてみたいなと思っています。
いつになるかわかりませんが・・。
訪ねたき所いっぱいあって、困っちゃいます。(笑)
> 鹿屋というと特攻隊の基地があった場所ですよねーーー!
> 永遠のゼロなんども読みましたよ!
鹿屋には零戦を再度組んで展示しているミュージアムがあるそうです。 今度訪れる時は訪ねてみたいなと思っています。
いつになるかわかりませんが・・。
訪ねたき所いっぱいあって、困っちゃいます。(笑)
No Subject * by 根室大喜
札幌市の西区に桜島という人気ラーメン店があります。もう一度食べたい^^)思い出しました
Re: No Subject * by 風来梨
根室大喜さん、こんにちは。
> 札幌市の西区に桜島という人気ラーメン店があります。もう一度食べたい^^)思い出しました
そのラーメンは、桜島のように具がてんこ盛りにされ、脂の乗ったチャーシューが噴煙の如く爆発的な盛り付けをされてるのでしょうか?
想像しただけで、アカン! 食いたい!
スーブは味噌がいいですな。 サッポロだから、塩味かな?
> 札幌市の西区に桜島という人気ラーメン店があります。もう一度食べたい^^)思い出しました
そのラーメンは、桜島のように具がてんこ盛りにされ、脂の乗ったチャーシューが噴煙の如く爆発的な盛り付けをされてるのでしょうか?
想像しただけで、アカン! 食いたい!
スーブは味噌がいいですな。 サッポロだから、塩味かな?
永遠のゼロなんども読みましたよ!