風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第419回  四国カルスト・冬

『日本百景』 冬 第419回  四国カルスト・冬 〔愛媛県・高知県〕

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荒野をほのかに
赤く染める夕空と月一つ

  四国カルスト しこくカルスト (四国カルスト県立自然公園)
愛媛と高知の県境一帯に広がる四国カルストは、山口県の《秋吉台》・福岡県の《平尾台》と並ぶ“日本三大カルスト”の一つとして知られている。 東西約25kmに渡って広がるなだらかな台地はススキやササに覆われた草原となっていて、その中に白い石灰岩が露出した『カレンフェルト』が無数に散らばっている。 

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斜陽に染まる荒野と
カレンフェルトの岩のオブジェと
石鎚の深い山なみと

この四国カルストの中で景観的に優れているのは、《天狗高原》と《姫鶴平》であろうか。 
草原状の広大な野原には牛や馬が放牧され、牧歌的な雰囲気が高原いっぱいに漂っている。 
また、晴天で見晴らしのいい日には標高最高地点に広がる天狗ノ森 1485メートル からは、室戸・足摺の両岬が望まれる。



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四国カルスト・周遊地図

   行程表                  駐車場・トイレ・山小屋情報
天狗高原まで  → 高知市街よりおよそ90km、松山市街よりおよそ90km・車で約2時間半
天狗高原より姫鶴平まで5.5km・舗装道路あり 車での周遊可能
天狗高原より標高最高点の天狗ノ森へは遊歩道あり 天狗高原(0:35)→天狗ノ森

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冬の四国カルストをめぐる旅

今回は“日本三大カルスト”の一つ、『四国カルスト』をめぐってみよう。 だが、この地は有名観光地にもかかわらず交通の便が至って不便な為、マイカー・レンタカーは必需品となる。 しかし、四国カルストの景観が広がる所は、四国と言えども中央の山岳部の標高1200~1300mの所で、しかも冬に訪れるので、道が凍結している事が考えられるのである。

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冬の『ヨサク酷道』は概ねこんな状態
夏タイヤで行くとかなりキツいよ
・・経験者(タワケ)は語る

また、温暖な四国という事で、レンタカーを借りても冬タイヤの装備がない事も考えられるので、冬にこの地を訪れるに当たってはチェーンの携行は必要だろう。 これを前提として、舗装道路の整備された《天狗高原》から《五段高原》の《姫鶴平》までは車でめぐり、標高最高点の天狗ノ森へはトレッキング感覚で探勝してみよう。 

この2つの行程はそんなに所要時間がかからないので、1日でめぐっての日帰りも可能である。
だが、夕景に『カレンフェルト』が染まるとっておきの情景や、朝の澄みきった空の下での「空の彼方の岬めぐり」などを目にしなければ、わざわざ来た意味がない。

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この地にきたからには
「荒野に月一つ」や

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「とっておきの夕景」を
魅なきゃ意味はない

従って、前日は車での《五段高原》周遊にあて、《天狗高原》にある『天狗山荘』(国民宿舎)で宿泊して、翌朝に標高最高点の天狗ノ森を目指すプランでガイドを進めていきたいと思う。
それでは、《天狗高原》に向けて車を進めよう。 なお、筆首のワテは、宿代の金を惜しんでいつもの所業(車寝)である。

ワテの場合は《高知》方面から《天狗高原》にアプローチしたので、そちらの道すがらの名所を織り交ぜて話を進めていこうと思う。 《松山》と《高知》を結ぶ四国の山岳幹線・国道33号線に乗り、《中津渓谷》より少し先にある《大渡ダム》で《面河 おもご 川》を渡り、高知県の分水嶺域へ。

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『ヨサク酷道』の未改良区間は
雪が無くてもこんな感じ
今はもうちょっとマシになってるかも
※ 別訪問時に撮影

道は『四国一の酷道』として有名!?な、国道439号線・・通称『ヨサク酷道』だ。
途中、《矢筈トンネル》の入口で不入山 1336m への林道が分かれている。 

この山は、四国の大河で日本有数の清流・《四万十川》の主水源なのである。 あの美しい川の最初の一滴は、この山を源としているのである。 今回は時間と資料の不備で割愛となったが、『日本有数の清流の源流を訪ねる旅』というのもロマンあふれて、探勝する価値は十分にあると思う。 

さて、《東津野村》の《枝ヶ谷》集落で《天狗高原》への道に乗り換える。 この道は県道であるが、『酷(国)道』の439号線よりかなりいい。 まぁ、この『ヨサク酷道』もかなり手が入っていて、デンジャラスゾーンは少なくなっているけど・・ね。

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天狗山荘に近づくと県道は
『ヨサク酷道』の4倍幅の2車線道路となる
※ 天狗山荘のウェブより

でも、この地域は山岳道路ゆえに所々カーブや急勾配・道幅縮小があるが、『天狗山荘』の手前では完全二車線となるのである。 距離にして12km。 馬力のある車なら30分足らずで『天狗山荘』前の大駐車場へ上り着けるだろう。 

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天狗山荘脇にある大駐車場
※ 天狗山荘のウェブより

大駐車場にある案内看板(この看板は今いち判り辛いのだが)で『四国カルスト』の全容を確認したなら、車を《五段高原》に向けて進めよう。

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写真を撮るなら車を駐車場に置いて
歩いていくのも一興

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カレンフェルト群が
斜陽を浴びて個性的に輝き始める

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四国カルストが広がる姫鶴平より
最高峰の天狗ノ森を望む

また、遊歩道も《天狗高原》から《姫鶴平》までは広大な高原や丘が次々と現れ、そのどこにでも石灰岩の露出した『カレンフェルト』が無数に散らばり、また浸食によって創造された天然の“すり鉢”『ドリーネ』も各所で見られる。 

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やがて陽が傾き始め
荒野に山の影が広がり始める

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無造作に散らばる岩のオブジェも
斜陽のやわらかい光に包まれ始め

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影が伸びて山肌に
夕日の影が刻まれ始めると

そうなのだ・・。 この『四国カルスト』は、「どこがいい」とか「どこがお薦め」とかいうのではなく、素晴らしい情景がそこらかしこに放り出されているのである。 だから、ここはガイドで語る事なく、訪れた当人の感じるままめぐってみるのが一番だと思う。 ワテも訪れた時に感じた心そのままに、景色を追ってみた。 それが掲載写真である。 

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無数に散らばる岩のオブジェが
一斉に染まりだすクライマックスが訪れる

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でもクライマックスは
ほんのひととき
ほどなく荒野全体が陰り始める

でも、このこ事は強くお薦めしたい。 それは、「『四国カルスト』が最高の情景を魅せるのは夕景である」という事だ。

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雲が茜色に輝く
夕暮れの荒野に月一つの絶景

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月に雲が掛かるのも
趣があっていいかも

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お題はズバリ『荒涼の月』

夕日が落ち、空が暮れなずんできたなら、行程を終えて《天狗高原》の大駐車場に戻ろう。 今夜の宿は目の前に建つ『天狗山荘』だ。 ・・でもワテは、狭い車の中だしィ。

さて、翌朝は、日の出の30分前に山荘を出よう。 そして、大駐車場からキャンプ場を経て続く遊歩道へ。 目指すは、徒歩15分位の高台にある展望台だ。 アスレチックの様式に組まれた木の櫓からは、『四国カルスト』の《五段高原》や山荘の建つ《天狗高原》がパノラマに広がる。 

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天狗ノ森への遊歩道は駐車場の奥にある
あずま屋の脇から延びている
※ 天狗山荘のウェブより

御来光を望んだなら、展望台より更に奥に延びる遊歩道を歩いていこう。 展望台から20分ほど展望の利く丘の上の道を行くと、『四国カルスト』の標高最高点・天狗ノ森 1485メートル に着く。

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最高峰の天狗ノ森に着いた時は
雲に隠れた陽が『光のカーテン』を魅せていた
そして朝日に輝くあの場所は
もしかして室戸の海か

ここからの展望は正に雄大だ。 地平線までスカイブルーの好天なら、東は《室戸岬》から西は《足摺岬》までが見渡せる。 

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剣山の背後に薄っすらと望めるのは
もしかして室戸の岬と海かも

「空の彼方の岬めぐり」、まるで両手が翼となって空から眺めているようだ。 また、目の前にそびえる峰々は、1300mそこそこの山なみとは思えぬ程の重量感がある。 遊歩道は、この先の《大引割》という地層の要害まで続いている。 もし、時間に余裕があれば訪ねてみるといい。 

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足摺方向はド逆光だったけど
愛媛県の方向は石鎚山塊が見渡せた

帰りは、カメラ片手にゆっくりと往路を戻っていこう。 真冬にこの地を訪れた為、今回のワテの旅はここで終了するが、『四国カルスト』の魅力はまだまだ尽きない。 御紹介した所の外にも《源氏ヶ駄馬》や《大野ヶ原》、ツツジの大群生地や《羅漢穴》という鍾乳洞など見どころいっぱいだ。

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岩のオブジェを訪ねる
魅力いっぱいの旅は如何?

・・『四国カルスト』という景勝は、旅人の各人の感性で色々なレパートリーが楽しめるという魅力を備えているのだ。


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* by 久木山誉紀滝
いつも拝読しております。

見て頂いて有難うございます。 * by  風来梨
プリンツ21 号さん、久木山誉紀滝さん、
『風来梨のブログ』を見て頂き、有難うございます。

No Subject * by hanagon
四国カルストの事は子供の頃から知っていました。
岡山赴任時にチャンスを窺っていたのですが未訪。
その後の機会は巡ってきそうにありません。。

Re: No Subject * by  風来梨
hanagonさん、こんばんは。

> 四国カルストの事は子供の頃から知っていました。
> 岡山赴任時にチャンスを窺っていたのですが未訪。
> その後の機会は巡ってきそうにありません。。

四国カルストは遊歩道に沿って車道もあり、最高峰の天狗ノ森へも駐車場から徒歩30分ほどと、ハイキングコースなのですが、街の松山や高知から遠すぎて、しかもアプローチ道が酷道No.1の『ヨサク酷道』コト国道439号線』で、アプローチだけでまる1日かかってしまいますね。

だから、ヤマと同じく旅程を立てないとなかなか訪れる事が叶いませんね。 でも、訪れるなら夕景が最も魅せられますよ。

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2020-02-24 * プリンツ21 号 [ 編集 ]

いつも拝読しております。
2020-02-24 * 久木山誉紀滝 [ 編集 ]

見て頂いて有難うございます。

プリンツ21 号さん、久木山誉紀滝さん、
『風来梨のブログ』を見て頂き、有難うございます。
2020-02-24 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

四国カルストの事は子供の頃から知っていました。
岡山赴任時にチャンスを窺っていたのですが未訪。
その後の機会は巡ってきそうにありません。。
2020-02-25 * hanagon [ 編集 ]

Re: No Subject

hanagonさん、こんばんは。

> 四国カルストの事は子供の頃から知っていました。
> 岡山赴任時にチャンスを窺っていたのですが未訪。
> その後の機会は巡ってきそうにありません。。

四国カルストは遊歩道に沿って車道もあり、最高峰の天狗ノ森へも駐車場から徒歩30分ほどと、ハイキングコースなのですが、街の松山や高知から遠すぎて、しかもアプローチ道が酷道No.1の『ヨサク酷道』コト国道439号線』で、アプローチだけでまる1日かかってしまいますね。

だから、ヤマと同じく旅程を立てないとなかなか訪れる事が叶いませんね。 でも、訪れるなら夕景が最も魅せられますよ。
2020-02-26 *  風来梨 [ 編集 ]