風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第89話  五色ヶ原・化雲平

よも”ヤマ”話  第89話  五色ヶ原・化雲平 〔北海道〕 '94・7
五色岳 1868m (2度目の登頂)

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化雲平のお花畑より望むトムラウシ

  五色ヶ原・沼ノ原 ごしきがはら・ぬまのはら (大雪山国立公園)
五色ヶ原に優るお花畑はなく、沼ノ原を凌ぐ湿原もない。 そして、人影もまばらで原始の香り立つ『奥大雪』の最奥。 この素晴らしき大自然を味わうには、必ず山中での宿泊が必要だ。
それも無人小屋か、自前のテントを担いで・・となる。 これら、山中での辛い洗礼を受けてこの地にやってきた者のみに、大自然はこの世とも思えぬ景観を魅せてくれる。 

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大地が花の色で染まる情景
それが五色ヶ原だ

エゾノハクサンイチゲ・エゾコザクラ・ホソバウルップソウ・チングルマなどの息も着かせぬ大群落が、延々5kmに渡って続くのである。 これは、もはや“お花畑”ではなく、“花の国”いや“花の世界”である。
そして、この広い花の世界を通り抜けると、原始の湿原・《沼ノ原》である。 大小様々な池塘と高層湿原植物、そしてトムラウシ山の勇姿を眺めることができる穴場だが、ヒグマに遭遇する危険も秘めている。



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沼ノ原~ヒサゴ沼 行程図

   行程表               駐車場・山小屋・トイレ情報
《1日目》 層雲峡温泉より車(1:00)→沼ノ原登山口(1:40)→沼ノ原・大沼(3:00)→五色ヶ原
     (0:20)→五色岳1:10)→化雲岳分岐(0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《2日目》 ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
     (1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(2:00)→黄金ヶ原
     (1:40)→トムラウシ・南沼(1:35)トムラウシ・日本庭園
     (1:00)→ヒサゴ沼避難小屋
《3日目》 ヒサゴ沼避難小屋(1:50)→五色岳(0:15)→五色ヶ原(2:30)→沼ノ原・大沼 
     (1:00)→沼ノ原登山口より車(1:00)→層雲峡温泉
   ※ 前回『第88話 沼ノ原』からの続き

広大な沼ノ原の木道を歩いていくと、やがて平らな丘状の高層湿原の端に出る。 ここから縦走路となって軽く下ってから五色岳へ登り返していくのだが、この先は当然に木道も途切れ、しかも沼ノ原の高層湿原を流れていた水が流水となって、たわむ縦走路へ流れ込んでくるのである。

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遠くにそびえる石狩岳と
スンマセン どこで撮ったか判らんので
本記事の写真稀薄地帯に埋め込む事にしますた

そして、まだ人気のある縦走路として登山道整備が始まる前のこの時(四半世紀前)・・、流れ込んだ高層湿原からの流水は登山道の踏み跡をグチャグチャの泥濘と化するのである。 高層湿原を形成する沼ノ原の大地は水捌けの悪い泥炭層で、この泥濘はズブズブとハマってしまうのである。 この時は足首にスパッツを巻いていたから被害は微少だったものの、素でこの泥濘をゆけば、ズブズブと足首までハマって靴の中に泥水が入り込みかねない悪路なのである。

沼ノ原からこの泥濘を50mほど下ると、五色ヶ原との鞍部にでる。 縦走路の左手に《五色ノ水場》を示す『水』の立て札がある。 この水場は『北海道の母なる川』となって北海道を潤す石狩川の源流の沢で、大雪の中でも指折りの銘水だ。 冷たくて美味しいこの水を飲んで、ダレた体に喝を入れよう。

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花が育むには
大地をろ過する清水が必須だ
大自然を育む清らかな水が
五色ノ水場の湧水だ

この水場の「玉にキズ」は、これまでの泥濘を含めて蚊の大量発生場所で、必ず何発かの被弾(虫刺され)を食らう事だろうか。 これより蚊の生存限界となる標高1500m以上に登り着くまで、無造作に手を叩いても2~3匹は潰せる程にヤブ蚊にまとわりつかれる事となる。

なおかつ《五色ノ水場》からはドロドロのズブズブの泥濘の登りとなり、気を抜いて歩いたりすると、身体ごとヌメり落ちてしまうのである。 例えるなら、『泥の滑り台』である。 もう、ここで全体重+山装備のザック一式をかけてズル滑りすると、ドロにうつ伏せとなって「大地に口づけ」をしてしまうのである。 そうなると全身ドロ坊主化して、限りなく『ゲームオーバー』となるのである。

タダでさえ転びクセがあり、最盛期のこの時でもヤマに行けば必ず1発はトライ(ハデな転倒)をカマす『エース・トライゲッター』のワテは、「ここでトライを決めたら『サヨナラ決勝トライ』となる」とビビって、この泥濘の登りを積雪の急傾斜を行くかのように足を横に踏みだして『カニ歩き』を敢行する。

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ある程度登ると沼ノ原の高層湿原と
大沼が見下ろせるようになる
『泥濘タッチダウン』即試合終了に慄いて
ドロ登り区間で撮ったのはこの1枚だけ

幸いこの時は、ピッケルがあった事と慎重に『カニ歩き』をした事で転ぶ事は回避できたが、全く余裕がなくこのドロ坂の写真は、前話にも掲載した沼ノ原の大沼を見下ろすこの1枚のみに終わったよ。
でも『人気のある縦走路』として整備された今は、木段が並べられてドロに浸かる事なく登り降りできるようになっているんだろうな。

このドロの坂を登りきると傾斜が緩んで丘状となり、石狩川の源流の本沢の流れの縁に出てる。
石狩川源流の本沢の縁はさすがにこれまでよりは水捌けがよく、ようやく泥坊主な道から解放される。

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これもどこで撮ったか判らん一枚
たぶんクマザサのブッシュが
途切れた地点で撮ったのだろうね

この源流沢の縁をゆるやかに登っていくと、クマザサのブッシュ帯に突入する。 ここが五色ヶ原の入口だ。 五色ヶ原は5kmに及ぶ広大な平原の丘で、これから約4kmは五色ヶ原のイメージである『お花畑』ではなく、背丈以上もあるクマザサのブッシュ漕ぎである。 まぁ、恐らくここも、今はクマザサは刈り取られて歩きよい縦走路として整備されていると思うが。

五色ヶ原に突入してクマザサのブッシュ漕ぎをする頃は標高1500m以上となり、《五色ノ水場》からのヤブ蚊のまとわり着きからは解放されているだろう。 ちなみに、ヤブ蚊は午前中が活動期なので、下り時ではそれほどまとわり着かれないのである。

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クマザサのブッシュ漕ぎを乗り越えて
この坂を登りきった向う側には
花に染まる大地が広がるのだ

クマザサのブッシュ漕ぎが延々と続きゲンナリしてきた頃、標高がクマザサの限界域である1700mを越えたようで、広大な草原帯に出る。 これよりが待ちに待った花の大平原《五色ヶ原》だ。

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『本当の五色ヶ原』始まりの情景は
砂浜に寄せ波の如く花が広がっていく

この時は曇っていたので、花の大平原《五色ヶ原》の詳細は絶景の中をゆけた下り時に語るとして、軽く流す事にしよう。

花の楽園・五色ヶ原
曇天編
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クマザサのブッシュを抜けて
坂を登った先にあった情景は

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この花が大地を白く染める
神懸かり的な絶景だった

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エゾノハクサンイチゲの白に
ミヤマキンバイの黄色が浮き立つ

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この時はガスって
『この世の楽園』とまでは
いかなかったけど
それは下りの楽しみに取っておこう

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大地むが花で1種類の花で染められる所
それが五色ヶ原だ

『奇跡のお花畑』が広がる五色ヶ原を突っ切ると、花の層が途切れて五色岳への緩やかな登りとなる。
五色ヶ原からほんの10分程の登りで、五色岳1868mの頂に出る。 ここは表大雪からの縦走路との合流点で、天気が良ければ高根ヶ原の大平原や大雪・旭岳を望めるだろう。 その様子は、過去の『よも”ヤマ”話』のこの話を見てネ。

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五色岳の頂上で雲が途切れて
トムラウシが姿を魅せてくれたよ

五色岳からは、表大雪からのメイン縦走路と合流した為か道はすごぶる良くなり、化雲岳まで続く化雲平のほとんどの部分で木道が敷かれていたよ。 化雲平からはトムラウシの領域に入ったのか、曇っていてもトムラウシがクッキリと映し出される。

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王冠の頂を魅せるトムラウシと
ハクサンイチゲのおりなす
『カムイミンタラ(神遊びの庭)』

花も五色ヶ原のような圧倒的なモノではないが、花種が多くカラフルに平原を飾るようになる。
だが、咲く花の花期は複雑かつ微妙で、この時はホソバウルップソウは見当たらなかったよ。

化雲平をカラフルに彩って
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チシマフウロ
淡い紫が可憐さを引き立てて

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五色ヶ原の大地を染めた『白』は
化雲平ではカラフルさを
引き立てる『白』となっていた

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エゾコザクラ
ビンクの姫様・・降臨

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エゾノハクサンイチゲの白と
エゾコザクラの紅
紅白の花の競演だ

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紅白の競演に
ミヤマキンバイの黄色が参戦して

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魅惑的な蒼を魅せるリシリリンドウ

しかし、チシマフウロ・リシリリンドウ・エゾコザクラ・・、そしてハクサンイチゲの凄しい大群落を望めたよ。 花期がズレると、五色ヶ原を染めた圧倒的なハクサンイチゲの花も、何も咲いてない坊主と成り得るのだから。

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化雲岳のデベソ岩が見えてくると
ゴールのヒサゴ沼までアトちょっとだ

化雲平は整備されて歩き良く、道標で3kmの表示があったが、カメラ片手に撮り歩きしてもすぐに通り過ぎる。 目の前の上側に化雲岳の立派なデベソ岩が見えてくると化雲平は終わり、いよいよ今日の終点・ヒサゴ沼へのラストスパートとなる。 今日は登りの獲得標高差は1000mを切る緩やかな登路だったが、歩いた距離は15km近くと結構なオーダーなのである。

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ヒサゴ沼まで水源となる
広大な雪渓を下っていく
ドロの坂を堪えた御褒美に
キッチリとここでトライを決めるワテ

そして避難小屋へのラストスパートはヒサゴ沼の水源となる雪渓の大下りで、アイゼンがないとズッコケる心配が多々あるのである。 そう・・、『エース・トライゲッター』のワテならば・・であるがっていうか、キッチリと五色岳への登りのドロ坊主をトライせずに抑えた御褒美をここでキッチリともらっているワテ。

化雲岳から40分程雪渓を下ると、「奥大雪の山上のオアシス」・ヒサゴ沼避難小屋に着く。 
この時はテント山行のデビュー戦を目論んでテント一式を担いできたものの、テント場が泥濘んでいた事と、小屋が空いていたっていうか午前中到着の小屋着一番乗りだったので、小屋泊りとしたよ。

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ここまでの道程15kmを22㎏担いで
午前中の一番乗りで着いた
真に『奇跡の体力』発動!

午後には小雨も降り出して、小屋泊まりを選択して良かったかな・・と。 まぁ、放浪山旅でまだ夏休み前と言う事で、シーズン中はすし詰めとなるこの小屋も、定員位しか来なかったしっていうか、シーズン突入前の平日でも40~50人来るのね。 もしかして、今日泊りにきた皆がワテと同じ山旅放浪者!? まさか・・ね。

   ※ この続きは、次回の『第90話 日本庭園からトムラウシ』にて


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