風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第88話  沼ノ原

よも”ヤマ”話  第88話  沼ノ原 〔北海道〕 '94・7

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沼ノ原とトムラウシの絶景

  五色ヶ原・沼ノ原 ごしきがはら・ぬまのはら (大雪山国立公園)
五色ヶ原に優るお花畑はなく、沼ノ原を凌ぐ湿原もない。 そして、人影もまばらで原始の香り立つ『奥大雪』の最奥。 この素晴らしき大自然を味わうには、必ず山中での宿泊が必要だ。
それも無人小屋か、自前のテントを担いで・・となる。 これら、山中での辛い洗礼を受けてこの地にやってきた者のみに、大自然はこの世とも思えぬ景観を魅せてくれる。 

エゾノハクサンイチゲ・エゾコザクラ・ホソバウルップソウ・チングルマなどの息も着かせぬ大群落が、延々5kmに渡って続くのである。 これは、もはや“お花畑”ではなく、“花の国”いや“花の世界”である。
そして、この広い花の世界を通り抜けると、原始の湿原・《沼ノ原》である。 大小様々な池塘と高層湿原植物、そしてトムラウシ山の勇姿を眺めることができる穴場だが、ヒグマに遭遇する危険も秘めている。



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五色ヶ原・トムラウシ・黄金ヶ原めぐり
沼ノ原周辺の行程図

   行程表               駐車場・山小屋・トイレ情報
《1日目》 層雲峡温泉より車(1:00)→沼ノ原登山口(1:40)→沼ノ原・大沼(3:00)→五色ヶ原
     (0:20)→五色岳1:10)→化雲岳分岐(0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《2日目》 ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
     (1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(2:00)→黄金ヶ原
     (1:40)→トムラウシ・南沼(1:35)トムラウシ・日本庭園
     (1:00)→ヒサゴ沼避難小屋
《3日目》 ヒサゴ沼避難小屋(1:50)→五色岳(0:15)→五色ヶ原(2:30)→沼ノ原・大沼 
     (1:00)→沼ノ原登山口より車(1:00)→層雲峡温泉

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そよ風が池塘の水面を波立たせ
トムラウシをより引き立てる

 《1日目》 沼ノ原を経て五色ヶ原へ
このコースをたどれば、その日の内に《沼ノ原》と《五色ヶ原》をめぐる事が可能だ。
しかも、歩行距離は約12kmと長いものの、標高差800m余りとそれ程キツくはないのである。
従って、特に中高年の間で人気のあるコースである。 ただ唯一の難点は、登山口までのアプローチだ。 だがそれも、マイカーがあれば解決する。

前述の通り、《層雲峡》から32km、その内の林道のダートが16kmとかなりあるのだ。
この距離は、登山口までのアプローチにマイカーかレンタカーが必須となろう。 林道途中の《高原温泉》との分岐地点に、車止めのゲートがあって鍵が掛かっているので、営林署で開錠ナンバーを事前に聞いておこう。 ついでに、登山道の状態も尋ねておくといいだろう。

車で約1時間走ると、20台程車が置ける広場に出る。 ここが林道の終点で登山口となる。 
前述で記した通り、このコースは歩く距離が長いので、前日までにここまで入っておいて翌朝早く出発する事が望ましいだろう。

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楽に沼ノ原・五色ヶ原・トムラウシの
絶景が堪能できるこのルートは
この頃から注目され始めた

初めてこの《沼ノ原登山口》を訪れた時は、まだこのルートが知れ渡っておらず駐車スペースのみであったが、次訪れた時は宿泊可能の無人小屋が建てられ、その次にはバイオトイレまで設置されていたよ。
それは、やはり歩行距離は長いものの標高差800m余りと楽で、その日の内に奥大雪に踏み入れる事ができるからであろう。

さて、《沼ノ原》までの登山道は、《五色ヶ原》への最短で最も楽なコースとして利用者が増えているせいか、よく整備されて登りやすい。 登山口を越えると、2回ほど沢を徒渉して樹海の中へ分け入っていく。 視界の利かない樹林帯の中を、つづら折りを交えて登っていく。 

・・約1時間半、急登にひと汗かいた頃、視界が開けた平坦な草原に出る。 ここが《沼ノ原入口》である。 湿性の高山植物がチラホラ咲く草地まじりの湿地帯を足元を気にしながら歩いていくと、やがて道は木道となってその上を歩いていく。 木道を少し歩くと、大きな案内板の立つ分岐に出る。

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分岐を右に進むと
トムラウシに向かって続く木道
歩いて高層湿原めぐりだ

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石狩岳分岐から望む
東大雪の山々ははるかに遠い

この分岐を左へ進むと、『東大雪』・石狩連峰へのコースだ。 だがこの道は、ハイマツやネマガリダケに行く手を阻まれる難コースとの事である。 

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大沼とトムラウシが見えてきた

《五色ヶ原》へは、進路を右に取る。 案内板から程なくの所に、《沼ノ原》のキャンプ地・《大沼》がある。 《大沼》に着いたなら、その湖畔に立ってみよう。 そこには、雪をまとったトムラウシ山がそびえ立っている。

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残雪を乗せたトムラウシと
神秘的な蒼い水を湛える大沼

ここから望むトムラウシ山はすっきりした山岳美を魅せて、また格別である。 この美しき山の姿に、“憧れの山”に近づいた胸の高鳴りを感ぜずにはいられないだろう。 トムラウシ山の美しき姿を充分に堪能したなら、先に進もう。

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沼の畔の砂浜は絶好の
テントサイトとなっている

なお、大沼の畔の砂浜はいいテントサイトとなっているので、朝のトムラウシの絶景を望むなら、下山の時に日程を1日延ばしてこの沼の畔で泊るのもいいだろう。

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ミヤマキンバイと羽虫
短い夏を精一杯生きている

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魅惑的な紫を魅せる
リシリリンドウ

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トムラウシ山と
湿原を飾る綿の花・ワタスゲ

大沼の一帯は高層湿原となっており、木道沿いに池塘が散らばり、そよ風を受けて水面をなびかせている。 その周りを、ワタスゲやトキソウ・ミヤマリンドウ・エゾカンゾウなどが彩っている。
また、厳しい風雪に耐え抜いたエゾマツが並び立ち、高層湿原らしさをより引き立てている。

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トムラウシとエゾマツと池塘が
おりなす素晴らしき眺め

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エゾマツと水生植物を
浮かべる池塘と東大雪の山々と

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池塘が隠れてハイマツが見え始めると
さしも広い沼ノ原の端となる

《沼ノ原》の平坦な湿原が終わると、木道が途切れてぬかるみの悪路となる。 湿原の端ま木道を伝うと《沼ノ原》大地からの緩やかな下りとなり、ネチョネチョした悪路を難儀しながら下っていくと、《五色の水場》に出る。

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この先登っていくと
大沼と沼ノ原の高層湿原が
見渡せるようになる

この水場は石狩川源流の沢で、大雪の中でも指折りの銘水だ。 冷たくて美味しいこの水を飲んで、ダレた体に喝を入れよう。 《五色の水場》からは、このコース最大の悪場となるので気を引き締めていこう。

  ※ この続きは、次回の『第89話 五色ヶ原・化雲平』にて


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ご報告 * by 鳳山
記事と関係ないコメントでごめんなさい。鳳山でございます。

この度無事に手術を終え何とか生還しました。お見舞いのコメントありがとうございました。徐々にではありますがブログを再開する予定ですので、今後も宜しくお願いいたします。

Re: ご報告 * by  風来梨
鳳山さん、こんばんは。

> 記事と関係ないコメントでごめんなさい。鳳山でございます。
>
> この度無事に手術を終え何とか生還しました。お見舞いのコメントありがとうございました。徐々にではありますがブログを再開する予定ですので、今後も宜しくお願いいたします。

退院のご報告を頂き、有難うございます。 まずは、手術の無事成功と御退院何よりです。 これからは、持病との闘いですね。 私もそうですが、糖尿病は一生付き合う病気ですね。 だから、医者のいう数値的な減量は、必ず破綻を招いて更に悪くなってしまう事があります。

要は、自身でクリア可能で、なおかつ「食の満足」も満たす事が長続きする秘訣だと思います。 それと身体が動くようになったら、何かしら身体を使う事も必要ですね。 幸い私はヤマをやっている=身体を動かしているので、最悪の期間が短くて済みました。

お互い、一生付き合う病気として、数値が悪化せぬよう頑張りましょう。

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ご報告

記事と関係ないコメントでごめんなさい。鳳山でございます。

この度無事に手術を終え何とか生還しました。お見舞いのコメントありがとうございました。徐々にではありますがブログを再開する予定ですので、今後も宜しくお願いいたします。
2020-01-30 * 鳳山 [ 編集 ]

Re: ご報告

鳳山さん、こんばんは。

> 記事と関係ないコメントでごめんなさい。鳳山でございます。
>
> この度無事に手術を終え何とか生還しました。お見舞いのコメントありがとうございました。徐々にではありますがブログを再開する予定ですので、今後も宜しくお願いいたします。

退院のご報告を頂き、有難うございます。 まずは、手術の無事成功と御退院何よりです。 これからは、持病との闘いですね。 私もそうですが、糖尿病は一生付き合う病気ですね。 だから、医者のいう数値的な減量は、必ず破綻を招いて更に悪くなってしまう事があります。

要は、自身でクリア可能で、なおかつ「食の満足」も満たす事が長続きする秘訣だと思います。 それと身体が動くようになったら、何かしら身体を使う事も必要ですね。 幸い私はヤマをやっている=身体を動かしているので、最悪の期間が短くて済みました。

お互い、一生付き合う病気として、数値が悪化せぬよう頑張りましょう。
2020-01-30 *  風来梨 [ 編集 ]