2020-01-19 (Sun)✎
『日本百景』 冬 第413回 八甲田山・樹氷 〔青森県〕
モンスターと呼ばれる樹氷越しに
八甲田連山の山なみを望む
八甲田山 はっこうださん (十和田八幡平国立公園)
八甲田山は青森市の南側にそびえる複数火山の総称で、我が選びし200の峰〔名峰次選〕にも選定している。 『八甲田山』と名がついた単独峰は存在せず、18の成層火山や溶岩円頂丘で構成される火山群である。
青森県のほぼ中央に位置し、約20km南には十和田湖が位置する。 東北地方の脊梁・奥羽山脈の北端の山脈で、連峰最高峰の大岳は青森県の最高峰・岩木山 1,625m に次ぐ標高1,585mである。
2016年12月1日より、常時観測火山として気象庁に指定されている。
最高峰の大岳方向は常に荒れ模様で
最大に見通せた時でもこの程度
全国的にはさほど高くはない1600mに満たない山地ではあるが、青森県を東西に二分し、それぞれの気候の特徴に大きな影響を与えている。 夏季は太平洋から冷たく湿った北東からの季節風「やませ」が吹き込み、青森県の太平洋側は濃霧・冷害に見舞われる。
対して八甲田山の西側は優良な稲作地帯で、弥生時代の水田跡が発見されている。 冬季は日本海から湿った北西の季節風が吹き、津軽地方に雪をもたらす。 一方、八甲田山の東側は晴天率が高く降雪も少ない。 夏冬いずれも、八甲田山によるフェーン現象であると考えられている。
世界でも有数の豪雪地帯である冬の八甲田は
樹々をモンスターに仕立て上げて
山名の由来については「新撰陸奥国志」によると、八の(たくさんの)甲(たて)状の峰と山上に多くの田代(湿原)があるからだという。 周辺は世界でも有数の豪雪地帯で、明治35年に青森の歩兵第五連隊が雪中行軍の演習中に記録的な寒波に由来する吹雪に遭遇し、210名中199名が遭難した事件(八甲田雪中行軍遭難事件)が発生、それを基に新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」が書かれ映画化されている。
こんな所で雪中訓練すれば
軍隊と言えども遭難するわ・・な
なお、陸上自衛隊青森駐屯地に駐屯する第5普通科連隊も、(遭難死した青森歩兵5連隊の隊員慰霊も兼ねて)毎年厳冬期に八甲田山系での冬季雪中戦技演習を行なっている。
ロープウェイの車窓からは
下に広がる冬の下界を望める
『八甲田山』は山上ロープウェイが幅を利かせている事と、その割には標高がなく、また有数の温泉である《酸ヶ湯》の前まで道路も完備された『国内屈指の観光地』という事で、ワテ自身の評価はあまり高くなかった山域である。 だから、我がライフワーク的なホームページである『日本百景』にも選定せずにいた。
だが、秋に訪れてその素晴らしい景観を目にして、遅ばせながら『日本百景』のコンテンツである『撮影旅行記集』に、『みちのく・秋の名峰へ』という旅行記を記載したのである。 その後の八甲田山域は、『百名滝』でもアプローチの難関度が高い『松見ノ滝』や『酸ヶ湯』・『谷地温泉』などの秘湯めぐりと、ワテにとっては北東北を旅する機会があれば立ち寄りたく思う地域となったのである。
今は年末年始の定まった休み以外は
この冬のパラダイスに訪れるのはムリだな
だが、冬は勤め人となってからは、周遊旅が可能な唯一な休暇である年末年始の休みを北海道を優先させていたので、なかなか周れずにいたのである。 そして、今回ようやく冬に訪れる機会ができたのである。
しかし、周遊が可能といっても1週間やそこらの休みで、山中の施設が皆無の八甲田の冬山縦走はチト無謀過ぎて映画の二の舞になりかねないので、旅のシフトを「最果ての岬めぐり」にして、八甲田山の冬はおとなしくロープウェイを使っての「雪山散歩」に留める事にしたのである。
今回は歩行時間10分程度の
山岳遊歩というより撮影行だな
まぁ、ロープウェイを使っての周遊なので歩くのはごく僅かだし、滞在時間もロープウェィ始発の9時より午前中の数時間程度であるが、冬山装備を装着して重たい山装備を担ぎ歩く必要がないのである。
それでは、本年最初の『山行』とは言えない『山の公園遊歩』をしてみよう。 冬の八甲田ロープウェイは、ほとんどスキー・スノボの客の為に運行していると言っても過言ではなく、ロープウェイに乗り込む客のほぼ全てがデカいスノボ板や長いスキー板を抱えている。 それはもう、乗客一人で2人分のスペースを取るのである。
そして、こういう客が利用客のほぼ全てなので、朝も山をめぐるには遅すぎる午前9時だし、夕方も16時が下りの最終便となる。 まぁ、夏でもハイキング客が主ターゲットなので、始発時間と最終時間が1時間づつ拡大されるだけで、登山系には使い辛いロープウェイなのであるが・・。
無雪期の縦走路は登山道が
完璧に整備された初心者ルートだ
※ 八甲田ロープウェイの
ウェブサイトに掲載の地図より
最も、夏や秋の無雪期の八甲田山は登山道も整備された超初心者ルートで、ロープウェイを使わずとも、日帰りで最高峰の大岳を交えた山岳周遊を愉しむ事ができるのである。
ロープウェイは通常40分毎の運行で、シーズン中は運行能力限界の20分毎のピストン運行となる。
山頂までの乗車時間は10分で、高低差は600m程で標高650mほどの山麓駅から田茂萢岳(たもやちたけ)1324mの頂上丘まで上げてくれる。 上の山頂公園駅はレストハウスとなっており、レストランやスキー・スノボのレンタルショプもあって、山頂の天候が不順の時の避難先ともなっている。
あと、山頂公園駅からスキー・スノボの滑降コースが設定されているが、これらについては全く興味がないし、ワテにとってのスキー・スノボは「ヤマを破壊して成し得る行為」で、「ヤマで『滑る』のは死にゆく事」との認識でいるので触れない事にしよう。
山頂公園駅を出ると、ロープウエーと平行する右手側にスキー・スノボのメインの滑降コースがあり、文字通り森林が大伐採されて『禿げヤマ』となっている。 左手を見ると電波塔があって、その先は山頂丘をめぐって最高峰・大岳 1585m をめぐる縦走ルートとなっている。 縦走ルートといっても、無雪期はハイキングコース程度の難度のコースである。
今回はこの電波塔の先の
見通しのいい所で切り上げ
まぁ、今回はこの電波塔の先の展望の利く樹氷原で、カメラ片手に楽しむとしようか。
でも、八甲田山の管理者側の設定した滑降コースの遵守を無視するスノボーラーが、大挙して森林帯へ滑降を始めている。 こうやって管理コース外で事故って、遭難騒ぎ&自然破壊を引き起こしているのだな。
管理者側の掲示した案内によると
開放された一般滑降ルート以外は
滑降禁止なんだけど・・ね
でも、コイツらもワテと同じく、「未知のルートを行きたい」という衝動を止められないのだろうね。
その違いは、ワテは『オチャメ』っても自力で切り抜ける知恵と装備とそれに備えた食糧などを担いでいるのに対して、奴らは何も持ってない=ヤマの脅威を知らないのである。 まぁ、何よりの違いは、ワテの山岳縦走は無雪期で、コイツらは救助もより困難となる厳冬期である事だろうけど・・ね。
穏やかな時でもコレだから
ヤマの知識がないと
冬山で事故ったらお終いとなる
コイツらはヤマの知識は皆無だし、当然にイザという時の装備も持ち合わせていないので、遭難すると救助の手間も事故って遭難した時の死亡率も高くなるしィ。 まぁ、ヤマで何度も『オチャメ』って生還しているワテの分析なので、ある程度的を得ていると思うしィ。 それでは、たぶん冬山の脅威を知っているワテのカメラ片手に愉しんだ、冬の八甲田頂上丘遊歩をごろうじろ。
僅かにでも晴れ間が出ると
能面だった雪山がアートに輝く
この日唯一現れた陽の玉は
モンスターを黒光りに変身させた
陽の光で変身したモンスターは
衛士となったのか?
それとも魔物となったのか?
だかそれも一瞬で
少し日が射したと思えば
すぐさま暴風雪に切り替わる
比較的山の北側は
晴れ間が広がっていた
少しだけルート規制を無視して
滑降していった奴らを羨ましく思う
:
でも事故っても同情しないけど
約1時間位カメラ片手に愉しんで、最後に掲載した写真を撮った後に急速に天候が崩れ出して、瞬く間に小吹雪状態となった。 山頂公園駅でゲレンデに出る前に目にした『今日の気象状況』では、「気温氷点下9℃・風速は12~15mで天候は霧・雪で視界40m」であったが、戻ってから『今日の気象状況』の掲示板を見ると、「気温氷点下11℃・風速25mで天候は霧と吹雪で視界10m」に下方修正されてたよ。
吹っ飛ばされそうな突風の吹き荒れた
竜飛崎ほどではないにせよ
風速25m・吹雪の中では
写真1枚撮るのが精一杯
という訳で、戻ってからは上に掲載した1枚だけ撮れただけでレストハウス待機となり、このまま待機が続くと時間のムダなので、予定より少し早めの11時半のロープウェイ便で下行する事にしたのである。
今年の冬は正月3ヶ日のみが荒れ模様の天候で、それ以外は異常な程に雪の降らない暖冬傾向で、やはりこれは大気の温暖化による異常気象なんだろうね。 この異常気象が恒久化すると、常に気象災害に見舞われる地球の・・、人類生存の脅威となり得るよね。
ワテも記事を書いた後は
確認の為にinバナーを自押しするけど
日に30~40ポイントも上らないよ
記事も書かずに1位をキープする奴は
きっと数多くのデバイスを駆使して
自押ししてるんだろうね
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No Subject * by 根室大喜
見るだけで震えが来ました><;ガタガタ
Re: No Subject * by 風来梨
根室大喜さん、こんばんは。
> 見るだけで震えが来ました><;ガタガタ
寒さは、根室大喜さんの御当地・根室の温根沼と同じくらいですね。 でも、雪と風が、穏やかな根室と違って厳しいです。
どちらも、私にとって毎年でも訪れたいワンダーランドです。
> 見るだけで震えが来ました><;ガタガタ
寒さは、根室大喜さんの御当地・根室の温根沼と同じくらいですね。 でも、雪と風が、穏やかな根室と違って厳しいです。
どちらも、私にとって毎年でも訪れたいワンダーランドです。