風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出  第355回  大井川鉄道井川線・尾盛駅

路線の思い出  第355回  大井川鉄道井川線・尾盛駅 〔静岡県

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秋色に染まる秘境駅・尾盛

《路線データ》
   営業区間と営業キロ            ’19年・運行本数
  金谷~千頭 39.5km    金谷~千頭  9往復
                金谷~家山  1往復
                金谷~新金谷 5往復(SL急行の運航日は2~3往復増便)
              ※ 不定期で新金谷~千頭にSL急行【かわね路】号2往復の運行有
  千頭~井川 25.5km     千頭~井川    4往復
                千頭~接阻峡温泉 1往復
              ※ シーズンなど多客時には接阻峡温泉~井川 1往復増便

尾盛駅(おもりえき)は静岡県榛原郡川根本町犬間にある、大井川鐵道井川線の駅である。 
単式1面1線のホームを持つ駅で、ホーム上に使用されていない倉庫があるが、駅周辺でツキノワグマの出没と目撃の報を受け、クマとの遭遇時の避難場所としてこの倉庫が開放された。

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鉄道運転要員の詰所跡か?
駅周辺にある唯一の廃屋は
家屋の原型を留めていた

駅周辺に民家は全くなく、その上駅に通じる公道も全くない。 井川線の車内放送によると、かつてはダム建設関係者のために周辺に多数の宿舎や小学校もあり、医師も常駐していた。

駅に至るルートとして、南アルプス深南部の大無間山から前無間山、風不入(かぜいらず)などのピークを通り、尾栗峠を経由してこの駅に降りるルートがあるが、通る者もおらず廃道となったそうである。
このルートは、今では相当の好き者が使うのみとの事である。

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秘峰・風イラズと
関ノ沢橋梁を渡るトロッコ列車

このルートなどを経て徒歩で到達する方法を除いては、鉄道でしかこの駅へ来る事ができず、そのために秘境駅の一つに数えられている。 なお、廃道探勝家によると、かつては接岨峡温泉駅より主に旧公道を再利用した遊歩道が通じていたが、尾盛駅直前の崩壊地に架かっていた吊り橋が全て落ちてしまって、ザイルロープがないと渡れないとの事である。

2008年度の年間乗降客数は574人との事で、その全てが秘境駅探訪を趣味とする鉄道マニアである。
なお、この利用客が全くいない秘境で駅が廃止されずに残った理由は、ダム建設に伴う補償措置として設置された経緯がある為との事である。



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このトロッコ鉄道の売りは
秘境駅・尾盛と
日本一高い関ノ沢橋梁だろう

以前の『路線の思い出』でも記した事だが、ワテにとって『秘境駅№1』は深名線の白樺駅であり、この尾盛駅は『秘境駅度』では4位の位置づけである。 何故に白樺駅が№1なのかというと、若き日に下り立った白樺駅で目にした死滅廃村の衝撃的な光景が目に焼き付いているからであるのだが・・。 

ちなみに、二位は同じく深名線の蕗ノ台であるが、こちらは当時の車掌さんの厚意で1分間停車してくれて、下りて駅名標にタッチしただけである。 そして3位は、冬の田子倉駅である。 冬は完全に雪に埋もれるシェルター駅・田子倉駅は、国道が閉鎖されて雪で駅出入口が埋もれていても通常営業していて、乗降客も毎日数人いたそうである。 その理由は、リンクをたどってみてね。

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ワテが思う1~3位の駅は全て廃止となって
現在は断トツの秘境駅№1の尾盛駅

でも、上記で挙げた3駅は全て路線廃止や駅廃止で消滅してしまったので、「今現在存在する駅」としては、この尾盛駅が断トツの№1である。 では、駅に目覚めてから、数年越の念願であった尾盛駅の駅訪問記を書き記そうか。

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秋色の秘境駅を求めて奥大井へ

この井川線の行き交う井川は、ワテは『撮り鉄』と同じくの「ナンチャって」ではあるが『山ノボラー』なので、南アルプス南部の峰々への玄関口として結構訪れる機会があるのである。 でも、この井川地域が脆弱な崩壊地形が連なっている為、ちょっと大雨が降ると1年以上のスパンで運休や通行止となってしまうのである。

現に、初めてこの井川線に乗って山にアプローチした時は接岨峡温泉~井川が不通で、この尾盛駅も未乗区間の駅だった。 まぁ、よく訪れるといってもその手段はマイカーかバスがほとんどで、どっちみち井川からコミニュティバスに乗らねばならんので、「井川線にも乗りたい」という意志がなければ使えたモノではないのだが。

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高千穂橋梁を通る高千穂線が
台風災害で廃止となった今は
日本一高い橋梁となった関ノ沢橋梁
秘境駅探訪とこの橋梁での
秋の『撮り鉄』を企画してみた

そのリベンジも兼ねて、そして『日本一高い鉄道橋梁』として名を馳せる様になった《関ノ沢橋梁》の秋情景を『撮り鉄』するべく企画したのが、今回の尾盛駅訪問旅である。 まぁ、普通の方との違いは、この旅をするにあたって、宿泊に『駅寝』を取り入れる事であるが・・。 そういう事で、今回も閑蔵駅でテント駅寝を実行しますた。

さて、大阪~静岡の夜行バスと東海道線を乗り継ぐと、金谷駅を7:48に発車する『南海電車』に乗る事ができる。 この列車の千頭到着は9:03で、井川線の始発列車に接続しているのである。

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完全に観光客向けに割り振られた
運行ダイヤの井川線トロッコ列車

それは、井川線の運行ダイヤが完全に観光客に割り振っていて、千頭駅の始発が9:12と激遅で、かつ最終列車の千頭着も17:38と、利用する観光客がシンカンセンなりに乗って首都圏や中京・関西圏に帰れる時刻設定となっているからである。

・・で、25.5kmを2時間近くかけて行き交う井川線のトロッコ列車に揺られる事1時間20分で、待望の尾盛駅に到着する。 廃止路線とかの秘境駅と違う所は、車掌が「尾盛では秘境駅めぐりの鉄道マニアが乗降する」と認識している事であろうか。

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車掌が「この駅では『鉄』が下りる」
認識している所が他の秘境駅とは違う所だ

廃止線の秘境駅なんかでは、車掌が「ホントに下りるの? 何もないよ」とかいって下りる事を制止してきたり、乗ってくる姿に多少奇異の眼を向けてくる事があったし・・ね。

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尾盛のタヌキの織りなす物語が
書き記された立て看板と尾盛駅

下りた尾盛駅は快晴の秋空という事もあって、秘境駅の暗い雰囲気を微塵も感じない明るく日差しの暖かい駅だった。

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秘境駅の持つ暗いイメージを払拭する
暖かい日差しの届く駅だった

そして、明らかに観光客相手の設置と思われる『森のタヌキ話』を書き記した立て看板やそのタヌキの置物、日本一の高さの《関ノ沢橋梁》の案内なとが設置されていた。

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寝転がれる畳アリ~の食卓アリ~の
と『駅寝の神様の宿る駅』に
準じる『倉庫』だったよ

また、永らく施錠されていた倉庫も、ツキノワグマの目撃情報を受けての避難場所兼駅待合室として開放され、中には畳敷きの『寝台』もあったよ。 これで水があって始発列車が7時台前半なら、テントが無くてもシュラフだけで駅寝が叶う『駅寝の神様の宿る駅』となっていただろうね。 状況的には、この日泊った閑蔵よりずっと駅寝環境は上だよ。

今年の紅葉は総じて遅く、紅葉のピークには少し早すぎたようだが、使われなくなった駅舎側ホームに立つ紅葉に色着く立ち木を添えて、背後の色着く風イラズ(風不入)を背景に折り返してきた千頭行きを『撮り鉄』する。

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登山の夢を馳せる風イラズと
秋色着くホーム上の木を背景に

その『撮り鉄』の後50分程の待ちで井川行きやってくるので、ちょうどいい駅訪問時間となる。
暖かい秋の日差しの中、駅周辺の小探検を始める。

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接岨峡温泉駅寄りに残る唯一の廃屋と
折り返し千頭行きの列車

接阻峡温泉駅側に立つ駅員の詰所と思われる廃屋を覗き込んだり、この秘境駅・尾盛に歩いて辿り着く夢を馳せるべく、風イラズ(風不入)への登路の探索をしたりする。 もし、『奇跡の体力』を有した若き日のあの時のワテなら、もしかして行けたかなぁ」などと、思いをめぐらせながら・・。

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後ろにそびえる風イラズと
登山道かもしれない並木道

楽しい時間はすぐに過ぎ去り、乗り込む11:37の井川行き二番列車の時刻がやってくる。
これに乗って尾盛駅を後にして、井川駅まで乗って井川線の完乗を果たして閑蔵駅に下りる。
この駅に降りたのは、もちろん《関ノ沢橋梁》を通る列車を『撮り鉄』すべく、《関ノ沢展望台》に行く為である。

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《関ノ沢展望台》への道は
元々は接阻峡探勝の遊歩道だった

《関ノ沢展望台》への林道は路面崩壊の為に通行止となっているが、路面崩壊のレベルは徒歩では通行可能だし、元来は舗装された『遊歩道』なので40分もかからずにあずま屋のある展望台に着く。
それでは、この日とその翌日に撮った《関ノ沢橋梁》での『撮り鉄』をごろうじろ。

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今年は紅葉のピークが遅く
やや色着きが浅かった

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川面と風イラズの両方を入れると
やや窮屈なアングルに

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風イラズだけを入れると
山奥の深さが出てベストかな?

なお、この遊歩道で井川線列車が見えるのはこの展望所一ヵ所のみで、尾盛駅は内陸に入ってしまって見えない。 しかも、接阻峡温泉側で道路が地滑り崩壊を起こして欠損しているので、歩いていくなら閑蔵駅からの方か有利だろう。

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接岨峡温泉側入ってすぐの地点で
遊歩道は地滑り崩壊で欠損していたよ

そして、接岨峡温泉から早歩きで車道を歩き抜くと、閑蔵駅までトロッコ列車より早かったりして。
なぜなら、トロッコ鉄道が鉄道が5km、トンネルを刳り貫いた車道は1.5kmだからである。 
但し、トンネル内はカンテラが必要だが・・。



今回は紅葉のピークには
少し早く色着きが浅かったなぁ

なので次は雪景色を
目論むワテであった


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No Subject * by きゃみ
こんばんは。
この駅はほんとに山深くの無人地帯にあるようですね。地図を見ても周囲には道すらありません。鉄以外に下車する人がいるんでしょうか^^;
私も隣の閑蔵駅も合わせていつか下車してみたいです。


Re: No Subject * by  風来梨
きゃみさん、こんばんは。

> こんばんは。
> この駅はほんとに山深くの無人地帯にあるようですね。地図を見ても周囲には道すらありません。鉄以外に下車する人がいるんでしょうか^^;
> 私も隣の閑蔵駅も合わせていつか下車してみたいです。

尾盛駅の『鉄』さん以外は、年間に3~4組ある(かもしれない)大無間山~風イラズを縦走してきた超好き者の登山者でしょうね。 私も「若き頃『奇跡の体力』有りし頃なら」と現地に降りたって夢見ました。 まぁ、今のヘタレでは絶対にムリですが。

尾盛駅駅は、駅訪問者向けに列車ダイヤが組まれているようですので、結構簡単にムリなく訪れる事ができますよ。 ぜひに・・。

コメント






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No Subject

こんばんは。
この駅はほんとに山深くの無人地帯にあるようですね。地図を見ても周囲には道すらありません。鉄以外に下車する人がいるんでしょうか^^;
私も隣の閑蔵駅も合わせていつか下車してみたいです。

2019-12-06 * きゃみ [ 編集 ]

Re: No Subject

きゃみさん、こんばんは。

> こんばんは。
> この駅はほんとに山深くの無人地帯にあるようですね。地図を見ても周囲には道すらありません。鉄以外に下車する人がいるんでしょうか^^;
> 私も隣の閑蔵駅も合わせていつか下車してみたいです。

尾盛駅の『鉄』さん以外は、年間に3~4組ある(かもしれない)大無間山~風イラズを縦走してきた超好き者の登山者でしょうね。 私も「若き頃『奇跡の体力』有りし頃なら」と現地に降りたって夢見ました。 まぁ、今のヘタレでは絶対にムリですが。

尾盛駅駅は、駅訪問者向けに列車ダイヤが組まれているようですので、結構簡単にムリなく訪れる事ができますよ。 ぜひに・・。
2019-12-06 *  風来梨 [ 編集 ]