風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出  第353回  深名線・白樺駅跡

路線の思い出  第353回  深名線・白樺駅跡 〔北海道

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駅に降りた直後は
『撮り鉄』の野望に燃えていたが・・

《路線データ》
       営業区間と営業キロ        輸送密度(’79) / 営業係数(’83) 
     深川~名寄 121.8km            168  /   3157

         廃止年月日                転換処置
                      ’95/ 9/ 4                   名士バス
 
廃止時運行本数
       深川~名寄  1往復(車両は直通・列車番号は朱鞠内で変わる)
       深川~朱鞠内 下り3本・上り2本
       深川~幌加内 下り1本・上り2本
       朱鞠内~名寄 2往復
 
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誰が設置したのか・・
奇妙な形の駅跡標

白樺駅(しらかばえき)は、かつて北海道(空知支庁)雨竜郡幌加内町にあったJR北海道・深名線の駅である。 利用者皆無により1990年3月10日に、路線廃止より先に廃駅となった。 駅の廃止となる末期の当駅は冬季閉鎖の処置が取られ、12月1日より翌年の3月末(後に冬季閉鎖処置は4月末まで延長)まで全列車が通過し、隣駅の蕗ノ台駅と共に冬眠する駅として有名であった。

駅名の由来は、開拓の基地という背景を持って原生林の中に作られた駅であった為に駅設置場所に地名が存在せず、開駅にあたり当地一帯が白樺の密林であったことから命名したとの事である。
かつては字白樺の字名があったが1982年に字が廃止され、現在はどの字にも属していない「字なし地域」となっている。

元々は島式ホーム1面2線に貨物ホームと貨物側線を有する列車交換可能な駅であったが、交換設備は撤去されて廃止時点で単式ホーム1面1線を有する棒線駅となっていた。 ホームは線路の北側(名寄方面に向かって左手側)に存在した。 ホーム前後の線路は、かつてあった分岐器の名残で湾曲していた。
駅廃止後も当駅のあった部分の線路は湾曲したままであり、乗車していても駅跡が推測出来た。

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深名線の冬情景
雨竜川第三橋梁にて
この撮影の時に深名線の
幻の乗降場・政和温泉で降りたよ

無人駅となっており、有人駅時代の駅舎は撤去されプレハブの待合所を有していた。
ホームはもともと土盛りであったが、後年板張りの仮乗降場様式となり、深川方(南側)にスロープを有し駅施設外に連絡していた。 冬季休業中のホームは撤去されていた。

深名線廃止後はしばらく待合所が残存していたが撤去解体されて、2000年時点では駅への階段がクマザサに覆われて残存し、構内跡地には転轍機が1機残存していた。 また階段の他に、訪れた誰かが製作・設置したであろう手書きの駅名表示看板が立っていた。 駅前には北大演習林側が区画した居住地があり、林業関係者の住宅の他、日通営業所、鉄道職員住宅があったそうだが、現在は草むらとなっている

駅設置の背景として、当駅は北海道大学農学部演習林の中(泥川事業区)に位置し、蕗ノ台と同様に1929年頃から林業関係者が出入りして、付近の「泥川」からブトカマベツ川を経て雨竜川へと伐採木材を流送していた。 当線が延伸工事を進めていた1940年には当地に市街地ができる可能性が大きいとの事から、演習林側で駅前予定地に市街住宅区画を行った。

森林資源産業の最盛期であった1956年頃の当駅は、隣駅の蕗ノ台と同様に木材貨物の積込み基地として活用され木材の年間発送量が12,000tを記録するなど、駅土場には多くの木材が集積されていた。 
だが、その後の輸入自由化に伴う資源産業の斜陽化で木材搬出が一気に無くなり、最盛期は100名を数えた地区の人口も急激に減って、1961年(昭和36年)に当駅は無人駅となった。 最後の1名が離村したのは1964年(昭和39年)4月から1965年(昭和40年)9月の間とみられ、以降無人地帯となった。



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雨竜川を渡って秘境区間より
戻ってくる深名線列車

『秘境駅』という言葉と概念が鉄道趣味のカテゴリーの中に加わってもう10年以上になるが、ワテの中では後にも先にもこの駅の上をゆく『秘境駅』はないと思っている。 まぁ、現在も駅として存続している大井川鉄道の尾盛や室蘭本線の小幌のように、完全に閉ざされている訳ではなかったが、訪れてあの光景を目にして・・、そして駅廃止後に自然回帰した姿を目にしたなら、上に挙げた「白樺駅を凌ぐ秘境駅はない」とする考えは動かなくなるだろう。

その「あの光景」とは、ゴーストタウン・・いや死滅廃村となって、屋根が全て崩れ落ちた駅前集落とその瓦礫が散乱し、ボットン便所の和式便器が剥き出しになり、崩れた家屋の敷地内には白骨が点々と転がっていたのである。 その崩れた家屋が、駅前ストリートに並んでいたのである。

その白骨は家畜の骨か、はたまたそこに潜む獣の骨か・・、想像力を目一杯ハイテンションに膨らませると、「もしかして人骨かも・・」とも取れかねないのである。 当時は初めての北海道旅で高校に上ったばかりガキには、さすがにこの光景は強烈過ぎたよ。

まぁ、高校の頃から職員室から校長印を無断拝借して学割を乱発して学校をサボって廃止ローカル線の追っかけ旅をするような「ロクデナシ」になる事が確実視されるクソガキではあったが、この光景には狼狽えたよ。

この白樺に下りる目的は深名線の『撮り鉄』で、「原生林に囲まれた朱鞠内湖をバックに撮ろう」という事であったが、当時で4往復で降りたら3時間上下とも列車がこない完全に間抜けな撮影計画であった。

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土手の一段下に板張りのホームがあり
土手の上には鍵のが閉められ
入れないプレハブ小屋が建っていた
※ グーグル画像を拝借

下り立った白樺駅は、土手に仕切られた一段下の郭状の中に乗降場同様の板張りホームがあり、その離れに鍵が締って中には入れないプレハブ小屋が建っていた。 つまり板張りホームからは、高台の上が見通せなかったのである。

そして、無計画ゆえの駅に降り立った直後からの3時間の時間待ちとなり、タワケ小僧にして「歩き周っていいアングルを探すとするか・・」となって、この高台の上の禁断の地に足を踏み入れたのである。
・・で、ロクデナシへの道を邁進しつつあった「何でもアリ」のクソガキをしても、狼狽えて逃げたしたくなるような死滅廃村の光景を目にした訳である。

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ウィキペディアより
1977年当時の白樺駅上空写真
廃墟となった駅前集落の家屋が写っているよ

もう、こうなったら、ここにいる事自体が精神衛生上悪いのである。 もう、「ここで朱鞠内湖をバックに『撮り鉄』を・・」という考えは消し飛んでいたよ。 そして脱出しようにも列車は3時間なく、そして当時はダート道だった道路に出るには、あの死滅廃村の『駅前ストリート』を突き抜けなければならなかったのである。 あの死滅廃村を目にした後では、さすがに当時の小僧の身の上では、『駅前ストリート』を突き抜ける事はムリだったよ。

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あの時歩いた原野を伝って
冬季閉鎖中の白樺駅方向へ歩いたよ

もう、脱出不能の状態で、線路を伝って隣駅の北母子里まで歩いていく事が考えられる唯一の脱出方法であった。 ・・で、北母子里までの5.6kmを線路を伝って歩いていく事にしたが、ヒグマも出かねない原野帯で、危険なハズの線路内が最も安全と思えたのである。

でも、死滅廃村となった『駅前ストリート』を突っ切って道道を歩いて行ったなら、よりヒグマと遭遇する確率は高まっただろうね。 ダートの道は、そこに潜む獣にとっても『道路』なのだし・・。

まぁ、線路を伝って歩いた北母子里までの道中は何事もなかったけど、今でもあの死滅廃村の光景は忘れない。 逆に、線路内を歩いている時の方が精神的に落ち着いたよ。

そして、時が経って旅の目的が『鉄』からヤマに変わっていた深名線廃止後10年ほどたった頃、ふとヤマから次のヤマへと移動する道すがら白樺駅前に通じる道道688号線を通ってみる機会が訪れたのである。

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北海道開発局により高規格舗装された
道道688号名寄遠別線
※ ウィキペディア画像を拝借

もちろん、旧深名線の原野帯と並走するような道は誰も通る必然性はなく、全区間で他の車とすれ違う事はなかったよ。 でも、北海道開発局によって高規格な舗装がなされて、快適すぎる道路となってたよ。

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駅への進入口
※ グーグル画像を拝借

その時は『鉄』である事を自身の『黒歴史』として隠そうとするしょうもない思惑があり、写真はほとんど撮らずに駅跡にただ立ち寄っただけだったが、全てがなくなって草むらに回帰した駅跡の姿に、なぜかジ~ンときたよ。

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秘境駅めぐりで訪れる者の為なのか
あの『駅前ストリート』は
整地されてロータリーとなっていた
※ グーグル画像を拝借

この頃は『秘境駅めぐり』をする『鉄』も現れ始め、白樺駅の草むらも道路より車が入って転回できるように真ん中に木が植樹されたロータリーとなっていたよ。 でも、そのロータリーより離れて駅跡の階段までゆくと、自然に回帰した輪廻転生の駅跡の姿となっていた。

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真に輪廻転生という理が当てはまる
完全に自然回帰した駅跡の周囲
※ グーグル画像を拝借

そして、更に時が経った数年前の春に、前にほとんど撮らなかった写真を撮るべく再び訪れたが、この時は北母子里から500mほど入った所で通行止となっていた。 どうやら、この道道は一年を通じて除雪される事はなく、自然に完全に雪解けする6月中頃まで閉鎖されるようである。 なので、白樺駅跡への再々訪問と駅跡撮影のリベンジはまだ叶っていないのである。

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白樺での『深名線・撮り鉄リベンジ』は
駅跡撮影のリベンジはまだ叶えていない



白樺駅跡を掲載した理由は
次の掲載駅の布石だったりして

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その写真は今日現像から上ったけど
時間が無くてまだ見てないワテ
上手く写ってなけりゃぁどうしよう



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No Subject * by 根室大喜
花咲線の花咲駅が廃止され、その駅として使用されていた貨車は、屯田兵として入植し駅を寄付した子孫に返されました。その子孫は、焼肉部屋に改装しました。花咲駅も喜んでいると思います^^)

Re: No Subject * by  風来梨
根室大喜さん、こんばんは。

> 花咲線の花咲駅が廃止され、その駅として使用されていた貨車は、屯田兵として入植し駅を寄付した子孫に返されました。その子孫は、焼肉部屋に改装しました。花咲駅も喜んでいると思います^^)

花咲駅の貨車駅の貴重な情報を有難うございます。 焼肉部屋はいいかもしれないですね。 改造して堀こたつなんかにすると、正月部屋としてもいいかも。

深名線 * by hanagon
あの白樺駅に降り立つとは常人のなせる技ではありません!(←誉めてるつもりです)(笑)。私もさすがにここは降りられませんでした。
深名線はお気に入りだった(特に名寄~朱鞠内)ので、学生時代に3回ほど乗っております。白樺ではありませんが記事にしています。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-208.html

Re: 深名線 * by  風来梨
hanagonさん、こんばんは。

> あの白樺駅に降り立つとは常人のなせる技ではありません!(←誉めてるつもりです)(笑)。私もさすがにここは降りられませんでした。
> 深名線はお気に入りだった(特に名寄~朱鞠内)ので、学生時代に3回ほど乗っております。白樺ではありませんが記事にしています。
> https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-208.html

アレを目に時から、私の中では秘境駅№1ですね。 白樺駅は・・。 冬も歩いて白樺で撮ろうとしてに行って小吹雪に遭って引き返したのが、記事でリンクしてる『3フィーバー』ですね。 ちなみに『3フィーバー』とは、3往復の深名線を雪の中3km歩いて、小吹雪の中で3時間待って撮った最後の掲載写真ですね。

いつか夏の日に、白樺駅跡を再度訪ねてみたいなと・・。



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No Subject

花咲線の花咲駅が廃止され、その駅として使用されていた貨車は、屯田兵として入植し駅を寄付した子孫に返されました。その子孫は、焼肉部屋に改装しました。花咲駅も喜んでいると思います^^)
2019-11-25 * 根室大喜 [ 編集 ]

Re: No Subject

根室大喜さん、こんばんは。

> 花咲線の花咲駅が廃止され、その駅として使用されていた貨車は、屯田兵として入植し駅を寄付した子孫に返されました。その子孫は、焼肉部屋に改装しました。花咲駅も喜んでいると思います^^)

花咲駅の貨車駅の貴重な情報を有難うございます。 焼肉部屋はいいかもしれないですね。 改造して堀こたつなんかにすると、正月部屋としてもいいかも。
2019-11-25 *  風来梨 [ 編集 ]

深名線

あの白樺駅に降り立つとは常人のなせる技ではありません!(←誉めてるつもりです)(笑)。私もさすがにここは降りられませんでした。
深名線はお気に入りだった(特に名寄~朱鞠内)ので、学生時代に3回ほど乗っております。白樺ではありませんが記事にしています。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-208.html
2019-11-26 * hanagon [ 編集 ]

Re: 深名線

hanagonさん、こんばんは。

> あの白樺駅に降り立つとは常人のなせる技ではありません!(←誉めてるつもりです)(笑)。私もさすがにここは降りられませんでした。
> 深名線はお気に入りだった(特に名寄~朱鞠内)ので、学生時代に3回ほど乗っております。白樺ではありませんが記事にしています。
> https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-208.html

アレを目に時から、私の中では秘境駅№1ですね。 白樺駅は・・。 冬も歩いて白樺で撮ろうとしてに行って小吹雪に遭って引き返したのが、記事でリンクしてる『3フィーバー』ですね。 ちなみに『3フィーバー』とは、3往復の深名線を雪の中3km歩いて、小吹雪の中で3時間待って撮った最後の掲載写真ですね。

いつか夏の日に、白樺駅跡を再度訪ねてみたいなと・・。


2019-11-28 *  風来梨 [ 編集 ]