風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第405回  西沢渓谷・秋景

『日本百景』 秋 第405回 西沢渓谷・秋景 〔山梨県〕

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西沢渓谷を代表する瀑布
七ッ釜・五段ノ滝

  西沢渓谷 にしざわけいこく (秩父多摩国立公園)
奥秩父を源に壮大なスケールの渓谷を魅せるのが、東沢渓谷と西沢渓谷である。 だが、東沢渓谷は、登山ルートが設定(登山の創世期は登山道だったというが・・)されておらず立入禁止となっている。
それ故に、沢登りを主とする限られた者の領域となっている。

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三重滝
西沢渓谷の代表的な滝だ

一方、西沢渓谷は遊歩道が整備され、一般行楽客にも開放されている。 また、《三重ノ滝》や《七ッ釜・五段ノ滝》などの秀麗な滝があり、中でも澄みきった蒼い釜淵を魅せる《七ッ釜・五段ノ滝》は『日本の滝100選』に選出されている。



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西沢渓谷 行程図

   行程表                 駐車場・トイレ・山小屋情報 
甲府市街より車利用(1:00)→西沢渓谷入口(0:20)→西沢山荘(0:35)→三重ノ滝
(0:55)→七ッ釜・五段ノ滝(0:15)→渓谷探勝道終点(0:10)→七ッ釜・五段ノ滝俯瞰地点
(0:30)→大久保沢(0:30)→子酉橋(0:20)→西沢渓谷入口より車利用(1:00)→甲府市街

今回は、一般公開されている《西沢渓谷》を一周ルートを使って探勝してみよう。 だが、一般公開されて整備されているルートとはいえ、渓谷内である。 そこには常時濡れたヘツリ岩の昇降があり、一枚岩盤下のヘツリ道があり、滝落ち口の真上を通過する高度感を感じる所も存在する。

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西沢渓谷は四季折々で楽しめるが
イチ押しはやっぱり秋ですね

また、春の新緑・夏の爽快な沢・秋の紅葉、そして氷結の冬と季節毎に素晴らしい情景を魅せてくれる渓谷だが、やはり冬は渓谷内が完全凍結するので、相当な知識と装備と経験が必要になってくるだろう。
現に素人が残雪期に入り込んで滑落する事故が多発しているらしい。

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私欲の為にこんな転落の危険のある所に
転落の危険を招き動物を根絶やしにしかねない
ペットを連れ込む人間の面を被った鬼畜共って
チョーセンヒト▽ドキに相通じるよ

そして許せぬ事は、この危険な場所にペット犬を連れ込む害虫以下の人間の面を被った人間の出来損ないがいるって事である。 何でも、この害虫以下のクズどもによって連れ込まれた犬に驚いて、沢に転落した幼い子(幸い救助されたそうだが・・)もいるそうである。 それに、近頃問題となっている『豚コレラ』の如く、野生動物に病原体を感染させる可能性のあるペットを持ち込む事が、その地に潜む動物たちを根絶やしにしかねない鬼畜な行為である事が解りそうなものであるのだが・・。

冬・残雪期のオフシーズンに入る時は自らの技量・体力・装備・知識を把握するのはもちろんであるが、自然を潰し、野生動物を迫害し、自然探勝する人々の名誉を汚し、強いては殺人さえも厭わない自然界へのペットの連れ込みは絶対にやめて頂きたい。 そう・・、人間としての尊厳を守る為に。

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陽だまりで輝く三重滝

それでは、渓谷探勝を始めよう。 甲府市街から車で約1時間で、国道140号線上の『道の駅・みとみ』に着く。 この目の前に『西沢渓谷入口』の案内板が掲げてあり、その通り右折すると土産物屋を越えてすぐに駐車場があるが、人気行楽地ゆえにすぐに満車になる。 もし満車の場合は、『道の駅・みとみ』の駐車場に車を駐車するといいだろう。

さて、車を駐車して渓谷遊歩道を歩ける位には足を固めて(スニーカーは危険である 最低でもトレッキングシューズが必要だろう)出発する。 駐車場より土産物屋前に戻って、その先に続く車止めゲートのある遊歩道入口をくぐる。

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渓谷入口までの遊歩道は
水辺と紅葉のアングルが楽しめる

最初の20分は舗装された林道で、沢も砂防ダムがあるなど、まだ核心部分には入っていない情景である。 だが、ワテの訪れた紅葉時は付近の山肌が鮮やかに色づき、砂防ダムで堰き止められた湖水の水鏡と相俟って絶好の被写体となっていた。

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渓谷入口より前に現れる
ナレイ滝・落差20m

この遊歩道は、“トロッコ道”と呼ばれる下山路が合流する《子酉橋 ねとりばし》まで舗装されている。 トイレはこの《子酉橋》と、数分先にある《西沢山荘(休業中)》にある。 入渓前に用は足しておいた方がいいだろう。 《西沢山荘》のすぐ先が、《西沢渓谷》の入渓口と《特ちゃん新道》と呼ばれる奥秩父の名峰・甲武信岳 2475メートル の登山道の入口である(この手前に、《近丸新道》という登山ルートもある)。

さて、指標に従って渓谷遊歩道に入っていくが、しばらくは広い砂利道が続く。 これを少し歩くと、《東沢》と《西沢》の合流する《二股》に出る。 《二股》を吊り橋で、未公開の《東沢》を渡る。
渡った吊り橋の袂で鶏冠山 2115メートル の登山道(相当な難路との事)が分岐し、その脇に『東沢渓谷は一般者の入渓禁止です』の立札が立てかけてある。

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紅葉真っ盛りの中に
奇怪な頂稜を魅せる鶏冠(とさか)山が望める

その《鶏冠山登山道》の分岐のすぐ先に大きな看板で『秩父多摩国立公園 西沢渓谷』と標記されたデカい看板があり、この看板の先から徐々に渓谷の左岸(右側)の岩肌にヘツられたヘツり道となっていく。

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西沢渓谷 詳細図

ヘツり道を伝っていくと左岸の土手を急激に登っていくようになり、登るにつれて下の沢が小さくなっていく。 この土手の登り道の最中に、対面に掛かる《大久保ノ滝》が望める。 落差は40m位だろうか? これより続く《西沢渓谷》のまだ見ぬ滝への期待が高まる美しい滝だ。

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大久保ノ滝
落差40mの大滝だ

この《大久保ノ滝》よりは急な階段となって、沢の左岸を大きく高巻く。 高巻いた左岸の下り返しは尖った岩の段となっているので足元には注意したい。 また、この地点は足元を固めていないと、恐らく足が痛くて歩けないであろう。

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三段の釜を持つ三重ノ滝

この岩の段を急下降すると、再び沢が近くに寄り添ってくる。 そのすぐ先に、《西沢渓谷》を代表する2つの滝の一つ《三重ノ滝》がある。 その名の通りエメラルドに輝く3段の釜淵を持った嘗め滝状の段瀑で、釜釜に日の光が当たるとエメラルドグリーンからサファイヤのような色彩を見る事ができる。
また、3段目の釜の前に観瀑台が置かれ、ここより滝全体を眺める事ができるので、撮影もし易い。

《三重ノ滝》を過ぎると渓谷探勝道はよりヘツり道となって、ピッタリと左岸に張り付くようになる。
これより両岸の岩盤が張り出してきて沢は函状となり、岩盤に日差しも遮られて薄暗くなる。
途中に案内板の解説書きの内容に反して全く人の顔には見えない《人面洞》という洞があり、これを越えると二段の釜淵を持つ《竜神ノ滝》が見えてくる。

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竜神ノ滝
上下に釜淵がある落差10mの2段瀑

この滝の撮影には苦労する。 なぜなら渓谷探勝道は、この《竜神ノ滝》の落ち口のすぐ側まで寄り添うように左岸をヘツっていて、その先で滝上流の滑沢を巻くように続いているのである。

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なぜ苦労するのかというと
すぐ上に遊歩道があるので
通行人が入ってしまうからだ

即ち、この滝を撮ると、どうしても滝上部の滑沢縁の探勝道を行く通行者が入ってしまうのである。
そして、第一級の観光地《西沢渓谷》なので、人が途切れる事は極く稀なのである。

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貞泉ノ滝 落差10m
周囲が暗く今イチですね

この先には、《恋糸ノ滝》という対岸に枝垂れる枝垂れ滝と《貞泉ノ滝》という滝が続くが、《恋糸の滝》は水量が細い上に木々に邪魔されて見通しが悪いし、《貞泉ノ滝》は釜淵が一つしかなく、《西沢渓谷》の滝としては平凡な滝のようである。 まぁ、“大トリ”の《七ッ釜・五段ノ滝》が近づいてきているので、それにはやる心もあってこのように感じたのかもしれないが。

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貞泉ノ滝の上流は
河原状となっていた

《貞泉ノ滝》を過ぎると函状に迫った岩盤の間を抜けて、再び日差しが戻る小さな河原状の所に出る。
あったかい日差しが降り注ぐ河原で、弁当を広げるにはちょうどいい所である。

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この河原は日差しも降り注ぐ絶好の休憩場所で
紅葉を観ながら少し早い昼食を取るなど
多数の行楽客が憩っていた

この河原を越えて《カエル岩》などの奇岩を見やると、再び両岸がせり出してきて《方杖橋》という真新しい木橋で右岸(左側)に渡り、右の岩盤を急登気味に登っていく。

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ナメ状の段瀑が現れた
渓谷もクライマックスに向かっていく

これより人の流れが悪くなり、人の渋滞となっていく。 なぜなら、この上が《七ッ釜・五段ノ滝》だからである。 さて、その《七ッ釜・五段ノ滝》であるが、ヘツり道を渡す木橋からが眺望スポットであるのだが、思ったより見通しが悪いのである。 これは超望遠のレンズがなければ、思い描く写真は無理のようである。

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遊歩道が大渋滞で
七ッ釜・五段ノ滝は
じっくり撮る余裕が無かったよ

ワテはこのような狭い景勝地に超望遠のレンズや、それを使うに当たって必要となる大型三脚の持込みを否定する考えなので、手持ちが可能の中望遠しか持ち合わせてはいない(三脚も小型しか持ち歩かない)。
従って、残念ながらこの滝に関しては、今回は思い描くような写真は撮れず終いになってしまった。

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辛うじて『五段』の滝が撮れたのがコレ
コレしか撮れなかったので
記事のトップに回せなかったよ

だからであろうか・・、この滝を前にして前評判程の感慨は湧かなかったのである。
滝の最上部の見通しが、生い茂る樹木で邪魔されて全くダメだった事もあるし。

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七ッ釜・五段ノ滝の上部は
雑木林に覆われていて見通しが悪かったしィ

《七ッ釜・五段ノ滝》の渋滞も重なって、思ったほどに写真が撮れなかった事に落胆しつつ、この渓谷の終点である《森林軌道跡》の通称“トロッコ道”の起点に向かう。 ここまでは200段ほどの階段となっているので、予想外に汗をかかされる事だろう。

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渓谷で公開されている最後の滝
不動滝 落差10m
この滝を望む高台の上が
渓谷の折り返し地点だ

昇りきった林道の終点は休憩所となっており、簡易トイレが設置されている。 また、このトイレの先は、乾徳山 2031メートル への縦走路が続いているが、遠回りルートのようで通る人はあまりないようである。 なお、この渓谷一帯は一周の一方通行路になっているので、滝道を引き返すのは避けた方が無難だろう。

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帰りは真っ赤に燃える紅葉を
味わいながら歩いていこう

この《森林軌道跡》は、このあたりの森林を伐採して運ぶ林業のトロ軌道跡で、所々にレールが残っている。

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奇怪な頂稜を魅せる鶏冠山
登ってみたいけど体力と技量が

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今は紅葉を愛でるのが
体力の限界だな

また、剥がしたレールで土盛りをしたり、崩れ止めに供したりしている。 このレールを見ながら歩いていくが、「よくぞレールを敷いたな」と感心する程に、岩盤絶壁の縁を刳り貫いてレールが敷かれてある。

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紅葉に夢中になり
トロッコ跡を撮るの忘れたよ

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こんな所にレールを敷設するなんて
もの凄い技量ですね

ともすれば、「トロとはいえ曲がることができるのか?」といぶかる程の軌道曲線の所もある。
こういうのを見ながら左に見渡せる《西沢渓谷》の紅葉を堪能できるので、この“トロッコ道”に関しては、予想以上に面白い道と感じたのである。

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七ッ釜・五段ノ滝は
コチラから俯瞰する方が断然いいね

それに加えて、この“トロッコ道”から俯瞰する紅葉に包まれた《七ッ釜・五段ノ滝》の情景は、先程の低評価を完全に打ち消してくれたのである。

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楽しかった紅葉に色着くトロッコ道
最後の写真は“立ち去り難し”
という思いを撮ってみました

気分も上々となって、奇怪な岩峰に紅葉をまとう鶏冠山など山の紅葉を存分味わい、時に紅葉を逆光でかざして遊びつつ下っていくと、4kmのトロ道はあっという間に過ぎ去り、往路との合流点・《子酉橋》に出る。 ここからは、舗装道を伝って入口まで向かうだけだ。 20分もあれば、駐車場まで戻り着けるだろう。



記事を書くのに最も手間が
かかるのは写真のスキャンで

記事作成に関しては
記事への写真の貼付と構成ですね
文の記述にはあまり時間がかからないよ


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