2019-10-15 (Tue)✎
よも”ヤマ”話 第80話 栃尾辻 〔奈良県〕 ’93・12~'94・1
恐らく宿泊環境は『劣悪』の
栃尾辻避難小屋
この山行の目的はコレでした
:
※ 以前に撮った大峰山での
雪と御来光シーン
その失敗山行とは、『大峰・八剣山 ’94初日の出山行』である。 それは以前に、大峰・八剣山に夜間に登って初冬の夜明けの絶景に魅せられて、「その絶景を再び・・」と思い立ったからである。
だからその絶景だけを求めて、ロクに計画も立てずに夜間山行を決行したのである。
何かワテ・・
最初だけ成功して
次は尽くダメを繰り返しているなぁ
:
※ 以前に撮った大峰山での
雪と御来光シーン
ちなみに、夜を通して歩く『夜間山行』をするなら、前に『夜間山行』で通ったコースの《行者還トンネル西口》からの最短ルートを採るのが「当たり前」過ぎるセオリーなのだが、この《行者還トンネル西口》に至る国道309号線・別名『行者還酷道』が12月から閉鎖されて通行止となるので、この長くてキツい川合ルートを取らざるを得なくなったのである。
でも、今思えば、この数年後の『大峰・初日の出』リベンジでやったように、タクシーで行ける所(国道309号の冬季閉鎖ゲート前)まで行って、そこから5kmほど歩いた方がよっぽど理に適っていたよな・・。 現にこの時は、リベンジが適ったしィ。
リベンジでもこれほどのモノは
撮れませんでした・・ハイ
:
※ 以前に撮った大峰山での
雪と御来光シーン
でも、このタワケ(筆者)の『クオリティ』として、「目覚める」為には必ず『オチャメ』をカマす『必然』があるのだ。 そう・・、この『必然』こそが、今回の失敗・引き返しとなった山行なのである。
今回の『オチャメ』ネタは
この掘っ建て小屋だ
※ グーグル画像を拝借
それでは、その『オチャメ』・・もとい、失敗・引き返し山行を語ろうか。 『初日の出登山』の成功を期すなら日のある明るい内から登って、小屋のある弥山で待機して初日の出を拝むのが常道なのだが、弥山小屋は冬季は閉鎖されているかも・・という事を耳にして、小屋に泊らなくて済む様に夜間山行としたのである。
阿部野橋から近鉄線で吉野口まで出て、そこからバスに乗り継いで天川村の中心である天川・川合に向かう。 バスは確か日に4往復あって、その最終の便で天川川合に18時頃に着く。 この天川・川合は小説・映画となった『天河伝説殺人事件』の舞台の地で、当時のアイドル絶頂期の中森明菜が映画主題歌を歌ってほのかに脚光を浴びた所である。 この映画の封切が’91年なので、この話の'94年は、まだ映画と中森明菜の威光が残っていた時期であった。 まぁ、山とは何の関係もないけれど。
さて、年の暮れの18時といえば、もうどっぷり夜が更けている。 都会では会社勤めにとっては勤務を終えての華やかな『放課後』なのだが、こういう田舎の里では、もう深夜の丑三つ時の如く静まり返っている。 この日は大晦日だというのに、人っ子ひとりで歩いていない「ゴーストタウン」の様相を呈していた。 もちろん、大晦日であるせいか、店屋も全て閉っていたよ。
胡散臭い避難小屋に掲示されてある
胡散臭い所要時間案内板
:
記してあるタイムで記載された
目的地に着ける事はまずないよ
誰もいないし街灯さえない暗い小道を山の方へ伝うと《川合登山口》がある。 予定では、これよりコースタイム2時間の掘っ立て小屋・栃尾辻避難小屋で『年越しそば』を食う予定だったが、まさかそこでビバークとは考えにも及ばなかったよ。
よもやここでビバークするとは
想いも寄らなんだよ
※ グーグル画像を拝借
まぁ、冬の大峰・八剣山は国道309号が冬季閉鎖となるなどアプローチに難点があり、御来光を望む山としては一般的ではないようである。 だから、御来光登山を目指す者は皆無だったよ。
帰り道に撮った登山道
:
真っ暗闇で道が雪で埋もれたら
”くる”モノがあるよ
登っていくと雪が出てきて、程なく登山道が完全に雪に染まる。 それでも登山道が埋まってズボズボって程でもなく、通常に歩いていける。
林道と交差する辺りより
雪が強くなって・・
※ コレも帰りに撮影
だが、途中の林道を跨いだあたりから雪が降り出してきて、これが結構強く降って瞬く間に登山道が「ズボズボ」状態となってくる。 雪は止みそうにもなく、雪道の夜という事でコースタイムを1時間ほどオーバーして、10時前に栃尾辻のバラック小屋に着く。
トタン壁に手書き(殴り書き)の
簡易道標も着いている
※ グーグル画像を拝借
「取り敢えず『雪やどり』を・・」と、トタン板で覆われただけの小屋の中に入ってみると、雪が解けてぬかるみ状となった床にマットを敷いてテントが設営されていたよ。 そして中でオッチャンが気の早いお屠蘇を呑んでいたよ。
ただ地面をトタンで囲っただけのシロモノなので
雪や雨が降ると床がぬかるみとなります
※ グーグル画像を拝借
中にある木の椅子に座って予定通りに『年越しそば』を作ろうとすると、テントの中のオッチャンが「中に入って食べな」と誘ってくれたのである。 その相伴に預かり中に入る。 そう・・、誘われてテントの中に入った時点でこの山行は『ゲームオーバー』が確定だったのだ。 なぜなら、酒呑みのオッチャンのテントに入れば、必ず『お屠蘇』の御相伴となるからである。
それに、強くなっても止みそうにもなく、これ以降進んでも初日の出は限りなく無理っぽそうだし、『年越しそば』の『ドン兵衛・たぬきそば』が、オッチャンの持参した蒲鉾やちくわ・金時豆でお節料理と化してしまったしィ。 他にもビーフジャーキーやスルメ・ピーナッツといった『酒の友』が出されて、出るに出られない・・、テントの中は山行断念を確定させる『酒泉郷地獄』だったのである。
上の掲載写真のコメント文訂正
:
よもやここで泊まり込み宴会するとは
想いも寄らなんだよ
※ 小屋紹介のウェブサイトより
・・で、敢え無く轟沈。 年越しまでオッチャンと『よも”ヤマ”話』に花を咲かせながら飲んで食って・・をして、年が明けてから暫くしてテントで泊めてもらう。 まぁ、この時のワテは若かったから通用したんだろうけど、今の歳なら入れてくれなかっただろうね。 まぁ、御来光を見た帰りに弥山小屋が開いていれば、仮眠するべくシュラフを持って来ていたので寒くなかったし。
酒を呑んだせいもあり、翌朝は明るくなるまで寝息を立ててしまって、目覚めたら7時を周っていたよ。 そして空も昨日とは打って変わって薄日が射す「もしかしたら御来光が見れたかも・・」というような空模様だった。 オッチャンに昨日の宴会のお招きの礼をして、引き返す事にする。 二日酔い気味では、ちょっと山行の継続はシンドいし・・ね。
ワテをテント幕営の世界に
誘ってくれた伝説の掘っ立て小屋
:
栃尾辻避難小屋
※ 大峰山の避難小屋案内ウェブより
・・これで、また来年以降のリベンジと、テントの良さと温かさを大いに認識したよ。
この体験が、今年の夏の放浪山旅よりテント幕営となったキッカケの一つになったのかもしれないね。
ヤマで新たなジャンルに挑む
先駆けとなった貴重な体験だったよ
:
※ 以前に撮った大峰山での
雪と御来光シーン
書き忘れた失敗山行ネタを
チャラっと記すつもりが
熱く語る内容のモノに
なってしまったよ
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