風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第401回  栗駒山・秋

『日本百景』 秋 第401回 栗駒山・秋 〔岩手県・宮城県〕

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神の絨毯の峰に鎮座する天狗岩

  栗駒山 くりこまさん (栗駒国定公園)
奥羽山脈のほぼ中央に位置する栗駒山は、宮城・岩手・秋田の三県にまたがる安山岩やデイサイトを主な岩質とする成層火山で、活火山に指定されている。 約80万年前以降に活動を開始し、最新の火山活動では1944年に小規模な水蒸気噴火を起こし昭和湖を形成した記録がある。

この山の山名の由来は初夏の山頂西側に馬の雪形が現れる事からで、宮城では栗駒山、岩手では須川岳、秋田では大日岳とも呼ばれている。 標高1,627mの山頂からは、鳥海山、月山、蔵王連峰、岩手山、早池峰などの東北の名峰の数々が見渡せる。

また秋には全山が紅葉で鮮やかに彩られ、「神の絨毯」と称される。 紅葉は9月中旬に山頂付近から始まり、山腹、山麓へと広がって10月の10日前後が紅葉のビークとなっている。 また、登山口に湧く須川温泉の山の直下から湧出する豊富な湯量と効能は、草津の湯に勝るとも劣らないと言われている。



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栗駒山・イワカガミ平登山コース 行程図

   須川温泉より紅葉の栗駒山へ       駐車場・トイレ・山小屋情報
一ノ関市街より車(1:20)→須川温泉駐車場(栗駒山登山口)(0:15)→名残ヶ原
(0:40)→昭和湖(0:40)→須川分岐(0:20)→栗駒山
帰路は往路の通り戻る・所要1:40 →須川温泉駐車場(栗駒山登山口)より車(1:20)→一ノ関市街

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東北の峰て最も紅葉が美しい
と評判の栗駒山に行ってみよう

さて、今回は、「東北随一の紅葉の峰」と云われている秋の栗駒山を訪ねてみよう。
そして、この栗駒岳の“売り”は、登山口にこちらも「東北地方でも随一」と云われる須川温泉がある事と、行程が登山口より頂上で所要2時間程度とお手軽な事である。 それでは、前夜初の日帰りで栗駒山の紅葉を訪ねてみよう。

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こんな素晴らしい紅葉を魅せられるなら
駐車場がごった返すのも仕方ない事だろうね

さて、こういう手軽で人気のある山は、シーズンともなると時間とともに行楽客でごった返す。
下手すれば駐車場が満杯(もちろん、臨時に設けられる駐車場も満杯になる)で、行楽不可能になってしまうケースも考えられるのである。

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駐車場に車を止めれなかったら
栗駒山の行楽が不可能となるし・・

『その防止法』と言えるかどうかは解らないが、手としては平日の前夜に広大な駐車場で車中泊をして、朝早くに出発してお昼前には山の周遊を終えて帰路に着けるようにする事であろう。 これを実行するに当たっての心配事は、『明日の天候』の事であるが、こればかりは天気予報を見極めつつ天に祈るしかないだろう。

さて、翌朝5時に起きてから支度(トイレなど)をして、6時には出発できる体制を整えておこう。
秋の6時といえば、漸く明るくなり始めた頃で、しかも標高が高い山岳区域ゆえに気温は低く寒いので、前夜の車中泊を含めて防寒の用意は必須だろう。

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朝早く出るとミルク色に染まった
山の情景が望める事だろう

6時に出発すると、もう行動を起こしている人もかなりいて、この6時という時間が山では“早朝”とまでは言えない事が理解できるだろう。 さて登山路は、須川温泉の源泉噴出地をかすめるように敷かれた石段を登ると、山上庭園が広がる探勝路に出る。

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朝日が射してきて
周囲の紅葉が彩り鮮やかに

ここは点在する溶岩石の奇岩とカエデやドウダンなどの低木が織り成す亜高山低木林帯で、色づいた紅葉と真っ赤に熟れた木の実が早朝の秋の気配を演出してくれる。

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栗駒山の外輪山は
彩り鮮やかに染まっていた

この庭園を過ぎると、視界が開けて栗駒山が正面にそびえる《名残ヶ原》の草原に出る。
草原内は木道が敷かれているが、木道はかなり朽ちているので足元には注意したい。
視界の広がった草原では、山肌を全面に飾る紅葉の枝垂れ模様が望まれるだろう。

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名残ヶ原の池塘

そして、この頃より漸く朝日も昇ってくるので、山肌に光が当たる場所が徐々に広がって美しい色づきを魅せてくれるのを楽しみながら登っていこう。

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夏は一面のお花畑になる草原は
獣の毛並みのように柔らかく色づいて

この《名残ヶ原》の草原を縦断して端までゆくと、木道は途切れて硫黄臭のする《セッタ沢》上の土手を伝っていく。 硫黄の噴出孔より上までこの土手を伝うと沢に下りて、《セッタ沢》より分かれる《三途ノ川》に沿って頂上を目指す《笊森ルート》を分けて、水が徐々に枯れていく《セッタ沢》に沿って登っていく。

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セッタ沢の上に広がる
紅葉を目指して登っていこう

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名残ヶ原を俯瞰して

紅葉のクライマックスはこの辺りから始まる。 栗駒岳の頂上から鮮やかに色づいた紅葉が続き、それを見ながらの楽しい登路が続く。

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セッタ沢の上に登ると展望が良くなる

この緩やかな登りを詰めると木道が現れ、それを詰めて丸い丘を越えると、昭和19年の噴火でできた火口湖の《昭和湖》の畔に出る。 この火口湖はエメラルドグリーンの湖水を湛え、それに日の光が当たるとサファイアのように輝くのである。 だが、まだ時間が浅く、湖全体を照らす程に陽が上がっていないので、このシーンは下山時に見る事にしよう。

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昭和初期の栗駒山の噴火で
出現した火口湖・昭和湖

さて、この《昭和湖》より、この山行で最も勾配のキツい登りが始まる。 まぁ、キツいといっても、一般行楽客レベルが“キツい”と感じるに過ぎないものであるが。 《昭和湖》よりは潅木で覆われた支尾根に取り付く。 丸太と石で階段状に整備された坂を20分程踏ん張ると《昭和湖》を俯瞰する所に出て、それよりは潅木の林を抜け出して視界が良くなる。

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紅葉の紅と草原の緑との調和

後は鮮やかな紅葉を見ながら、栗駒山の主峰へと続く稜線へとつながるなだらかな支尾根を伝っていく。
この辺りからは日も高くなってきて逆光シーンとなり、紅葉に光をかざして輝く様を楽しむ事ができる。

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栗駒本峰から連なる
紅葉を前傾に山なみを望む

また、斜光線の妙も楽しめるのだ。 このように稜線を周り込むまでの間、紅葉に当たる光の変化を楽しみながら行けるのである。 紅葉に当たる光が織り成す情景の妙を楽しみながら登ると、いつの間にか栗駒岳の稜線の上に登り着いている事だろう。

稜線上の絶景
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頂上から途切れる事なく続く紅葉の波

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振り返ると通称・天馬峰が
まろやかな姿を魅せていた

楽しい時間帯はあっという間だ。 《須川分岐》という銃走路分岐で稜線に乗ると、後は稜線上に突き出たアクセントの《天狗岩》を越え、順光となって鮮やかに彩る本峰の紅葉を眺めつつ坂を詰めていくと栗駒山 1627メートル 頂上に着く。

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栗駒山頂上標

頂上からは、南の《イワカガミ平》側の展望が大いに開けてくる。 だが、紅葉は北側程にはなく、広大な草原風景が広がる。 また、登頂した頃は《イワカガミ平》は完全な逆光となっているので、あまり写欲は湧かなかったのであるが・・。 ちょうど小腹も空いてきたので、持ってきたパンでも千切りながら、ひととき頂上登頂の喜びを享受しよう。

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頂上より須川温泉方向の紅葉を望む

さて、頂上で半時間も滞在すると身体も冷えてくるので、頃良い時で帰路に着こう。
下りも往路を行くが、紅葉の撮影は登ってきた時にみた情景のおさらいに加えて日の光の上がり具合からの変化を楽しみながら行こう。 きっと、朝まだ日が当たらず暗かった所も日が当たっているハズだし、暖かくなってきて水蒸気が霧となって幻想的な風景を創り出すかもしれないから。

撮っておき・・
栗駒山・紅葉四景
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紅・橙・黄色・緑・・
大地のキャンパスを彩り染め上げる

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強い日差しを浴びる斜面の西側は
黄色基調の紅葉が広がっていた

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秋の空にたなびく筋雲が
紅葉の絶景を一層引き立てる

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昼近くとなり空の雲が流れ始め
雲の影が彩る紅葉に明暗を刻む

後は、これを楽しみながら行こう。 それと、高くなった日の光によってエメラルド色に輝く《昭和湖》も押さえておきたい。 このようにカメラ片手にゆっくり歩いても、11時過ぎには須川温泉に戻り着く事が叶うだろう。

帰り道を愉しんで
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斑点となった紅葉もいいね

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名残ヶ原まで戻ってきたら
紅葉情景も落ち着いてくる

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青空に黄葉をかざしてみた

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斜光にかざすと
得も云えぬ美しい色彩となる

後は“山の後の温泉”であるが、今登った峰より出でる最高級の温泉が湧いているので、是非とも堪能したい。 ここの硫黄泉は、湧出温度が高すぎて、源泉より『スパ・スライダー』となる水路を通す事で、冷ましてから浴槽に注いでいるのである。 もちろん泉質は、最も温泉らしい(と、ワテが思う)硫黄泉である。

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色着き始めた紅葉の
切り取りを愉しんだ後は

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火山で熱せらりた熱い湯で
心地良い疲れを癒そう



秋はヤマに行かねばならんので
記事を書く時間があまりない

だってこの秋は前回の鹿島槍から
4蓮チャンで出撃予定だしィ


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震災以前? * by hanagon
これは素晴らしい紅葉ですね。ちょうどピークの頃でかなり混雑したのでは?
山行の時期は随分と以前の事でしょうか。東日本震災以降、昭和湖は白くなっているようですので。
私が栗駒山に登ったのは仙台赴任時、震災3年前に起こった岩手宮城内陸地震発生後で、山頂の紅葉が始まったところでした。
この地震で栗駒周辺は震度7。あたりが大きな被害に遭った事もあり、須川温泉含めてほとんど人はいませんでした。

ちなみに * by hanagon
ちなみにその時の記事です。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-371.html

Re: 震災以前? * by  風来梨
hanagonさん、こんにちは。

> これは素晴らしい紅葉ですね。ちょうどピークの頃でかなり混雑したのでは?
> 山行の時期は随分と以前の事でしょうか。東日本震災以降、昭和湖は白くなっているようですので。
> 私が栗駒山に登ったのは仙台赴任時、震災3年前に起こった岩手宮城内陸地震発生後で、山頂の紅葉が始まったところでした。
> この地震で栗駒周辺は震度7。あたりが大きな被害に遭った事もあり、須川温泉含めてほとんど人はいませんでした。

これは、東日本大震災の2年後だったかと思います。 昭和
湖は、確か白く白濁していたと思います。 でも、日が影って遠目から撮ったので,白い湖水の色が消えて影になったようですね。

この年は拠ん所ない事情で1ヶ月ヒマができ、東北の山をめぐることができたので、この他にも紅葉の山をめぐることができました。 リンク頂いた記事は後ほど拝見させて頂こうかと。

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震災以前?

これは素晴らしい紅葉ですね。ちょうどピークの頃でかなり混雑したのでは?
山行の時期は随分と以前の事でしょうか。東日本震災以降、昭和湖は白くなっているようですので。
私が栗駒山に登ったのは仙台赴任時、震災3年前に起こった岩手宮城内陸地震発生後で、山頂の紅葉が始まったところでした。
この地震で栗駒周辺は震度7。あたりが大きな被害に遭った事もあり、須川温泉含めてほとんど人はいませんでした。
2019-10-13 * hanagon [ 編集 ]

Re: 震災以前?

hanagonさん、こんにちは。

> これは素晴らしい紅葉ですね。ちょうどピークの頃でかなり混雑したのでは?
> 山行の時期は随分と以前の事でしょうか。東日本震災以降、昭和湖は白くなっているようですので。
> 私が栗駒山に登ったのは仙台赴任時、震災3年前に起こった岩手宮城内陸地震発生後で、山頂の紅葉が始まったところでした。
> この地震で栗駒周辺は震度7。あたりが大きな被害に遭った事もあり、須川温泉含めてほとんど人はいませんでした。

これは、東日本大震災の2年後だったかと思います。 昭和
湖は、確か白く白濁していたと思います。 でも、日が影って遠目から撮ったので,白い湖水の色が消えて影になったようですね。

この年は拠ん所ない事情で1ヶ月ヒマができ、東北の山をめぐることができたので、この他にも紅葉の山をめぐることができました。 リンク頂いた記事は後ほど拝見させて頂こうかと。
2019-10-14 *  風来梨 [ 編集 ]