2019-09-19 (Thu)✎
路線の思い出 第343回 芸備線・東城駅 〔広島県〕
かつては町の中心駅だった事を示す
立派な建付けの駅だった
※ ウィキペディア画像を拝借
《路線データ》
営業区間と営業キロ 輸送密度 / 営業係数(’15)
広島~備中神代 159.1km 1734 / 513
※ 芸備線の広島近郊区間の輸送密度は
9000人以上で、備後落合~東城は
一ケタの8~9人と極端に差がある
運行本数(’16)
備後落合~新見
備後落合~新見 3往復(内 下り1本は快速)
東城~新見 3往復(内 1往復土・休日運休)
東城駅(とうじょうえき)は、広島県庄原市東城町川東にあるJR西日本・芸備線の駅である。
野馳駅との間に岡山県と広島県との県境が走り、旅客流動も当駅を境に分かれている。新見駅発の芸備線のうち、半分の列車は当駅で折り返す。 当駅から備後落合方面へ向かう列車は1日に3往復のみであり、全国でも有数の閑散路線となっている。
鉄道よりも駅前にあるバス停から発着するバスの発着の方が賑やかで、広島方面へ向かう高速バス(後述)は1日6往復(うち広島行き4往復、庄原行き2往復)運行されているほか、福山行き路線バスや、庄原市東城地区内を走る路線バスも運行されている。
元々は相対式ホーム2面2線を有する駅であり、駅舎側のホームが2番線、向かい側のホームが1番線と、一般的な付け方とは逆に番線番号が付けられていたが、旧1番線への跨線橋は老朽化に伴い使用できなくなっており、立ち入ることができない。そのため現在は単式ホーム1面1線のみで運用され、備後落合方面・新見方面とも2番線に停車する。
但し、使われなくなった1番線は現在も場内・出発信号機が残っている為に上り本線として扱われており、上り列車は下り本線(2番線)に逆線停車する扱いとなっている。 なお、夜間時間帯には1本列車が留置される。
新見駅管理の簡易委託駅であり、窓口では朝から日中にかけて(休日は朝のみ)携帯車発機による乗車券を販売している。 2017年度の1日当たりの平均乗車人員は12人との事。
かつてあった急行【やまのゆ】号の
乗車位置表示が残っている
※ ウィキペディア画像を拝借
急行列車が運転されていた時期は、急行列車も停車しており、ホームには1972年~1980年の間に運行されていた急行【やまのゆ】の号車案内がいまだに残っている。
列車が着いても乗り込む客はおらず
車内も乗客がおらず・・
東城駅・・、この駅は今や全国有数の閑散路線の閑散駅となっている。 そう・・、当駅から備後落合までの区間は、あまりにも輸送密度が低すぎて廃止となった北海道の原野を行き交った路線の数値よりも低い『ひと桁』の8やら9という輸送密度の数値が示されていたのである。
チラホラと建物がありスーバーもある
普通の田舎の里風景をゆく路線が
1日の乗客8~9人という現実
でも、その中心駅である東城駅を擁する東城の街が寂れているか・・というと、今は対となる西城町と共に庄原市に編入されているが、西城町よりずっと町勢がある町である。 そして、県都の広島や福山へ向けて毎時1本の高速バスが発着している。 だが、そのバス乗り場は悲しいかな・・駅前のロータリーで、駅に立ち寄っても駅舎はバスの待合所として使われるのみである。
跨線橋は渡れぬように
蓋が被せられていた
その改札ラッチより先にあるホームまで進む人がほとんどない駅は駅施設が陳腐化し、跨線橋は「倒壊の危険あり」として使用禁止処置が取られ、跨線橋を渡った先の列車交換が可能な対向ホームは、正式に廃止される事なく放置プレーとなっている。
そして、その列車交換可能な対向ホームも使用する必要が無い位に列車本数が減じられて、今や当駅から先の備後落合方面は1日3本、新見側は1日6本・休日は1本減便で5本まで減らされている。
今や日に数本の空気を運ぶ
列車のみとなってしまった
※ ウィキペディア画像を拝借
だが、決して寂れた街ではないのだ。 駅前通りには信用金庫の地域本店があり~の、クアハウスはあり~の、車はバンバン行き交っているの・・、百貨店スーバーあり~のと西城町以上に便利で、ともすれば三次市なみの町勢を感じたのである。
駅から1kmも離れると
大自然の絶景となる
でも、それは『山間のオアシス』が如く、駅から1kmも外に出ると続く駅は秘境駅のオンパレードとなるのだ。 1日の乗車人員の平均がゼロコンマな駅や、周囲に建つ家は全て廃屋な駅だったり、スキー場跡のゴーストタウンな駅が連なるのだ。 また、少し小マシな岡山県の新見側でも、休日には朝の1便が運休となる為に「一番列車が午後1時過ぎ」となるような閑散路線ぶりとなる。
この地域に違わず地方の町のその多くでは、世帯の居住人数分の車を所有している・・といい、鉄道は車の免許を持たない子供の通学手段としてしか用に供さないようになっている。 そう・・、必要なのは高速道路で、車の免許をもたない者でも時間に1本とかつての国鉄時代より利便のよいバスに乗って直接広島や福山の地域の中心都市に出ているのである。
車両に魅力を感じない
この路線を再び訪ねたのは
かつて困難を克服した
「1日3本」に魅かれて・・だろうか
そんな大自然の中を行き交う訳でもなく、かつてのように魅惑的な車両が通る訳でもないこの路線に何故にいっとき通ったかというと、この地域の里の秋風景が素晴らしいモノだった事と、やはり「1日3本」という撮影の困難さがあったからだろう。
今はワテ自身も車を所有して『1日3本』もさして困難ではなくなったが、車など無かった昔は自らの足で歩いて、この困難な『1日3本』の状況を乗り越えたのだ。 そして、『お宝写真』をゲットするなどの自分の人生で誇りに思う数々の旅体験が、こういった「かつて熱くなった状況」の『1日3本』を再び追うキッカケとなったのだと思う。 それでは、1日3往復の秋をごろうじろ。
道後山の山肌を染める紅葉と
色着く紅葉に巣食うイモムシの
ようなレールバス型気動車
自然情景に合わないと思った
この車両でも絵になる紅葉の絶景
稲が刈り取られて
冬を迎える農村の情景
一時期は夜勤明けで高速を車で飛ばして
この地に向かう根性があった
でも今はそんな気力はない
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No Subject * by 根室大喜
立派なえきですね^^)
Re: No Subject * by 風来梨
根室大喜さん、こんばんは。
> 立派なえきですね^^)
元は町の中心駅で、急行列車も停まった駅だったのですね。
でも、駅だけが利用者がなくて寂れてしまって・・。
> 立派なえきですね^^)
元は町の中心駅で、急行列車も停まった駅だったのですね。
でも、駅だけが利用者がなくて寂れてしまって・・。
備後落合~新見 * by hanagon
記事に書かれているとおり東城駅は立派なのですが、芸備線の備後落合~新見間はいまや日本一の閑散路線といっても過言ではないかもしれませんね。
地元に近い事もあり、落合以西は何度も乗った(大好きな木次線経由で)のですが、以東は一度しか乗っていません。
その後岡山赴任時代に沿線の秘境駅を巡った事を思い出しました。記事にしているのはひとつだけですが。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-446.html
地元に近い事もあり、落合以西は何度も乗った(大好きな木次線経由で)のですが、以東は一度しか乗っていません。
その後岡山赴任時代に沿線の秘境駅を巡った事を思い出しました。記事にしているのはひとつだけですが。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-446.html
Re: 備後落合~新見 * by 風来梨
hanagonさん、こんばんは。
> 記事に書かれているとおり東城駅は立派なのですが、芸備線の備後落合~新見間はいまや日本一の閑散路線といっても過言ではないかもしれませんね。
> 地元に近い事もあり、落合以西は何度も乗った(大好きな木次線経由で)のですが、以東は一度しか乗っていません。
> その後岡山赴任時代に沿線の秘境駅を巡った事を思い出しました。記事にしているのはひとつだけですが。
> https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-446.html
そうですね。 何でも東城~備後落合の3往復区間は1日の輸送密度が8~9と一ケタだそうで・・。 これは、あの有名な『日本一の赤字線』の美幸線の32よりも悪い数字で・・。 実質、定期の乗客は集落のある小奴可から東城へ数人だけで、後は春・夏・冬の『青春18きっぷ』の使える休み期間中に『乗り鉄』が平均値を押し上げた・・との事です。 まぁ、このシーズン中は、唯一使える昼の列車は『鉄』だけで40~50人乗っていて、増結される事もあったようですから・・。
> 記事に書かれているとおり東城駅は立派なのですが、芸備線の備後落合~新見間はいまや日本一の閑散路線といっても過言ではないかもしれませんね。
> 地元に近い事もあり、落合以西は何度も乗った(大好きな木次線経由で)のですが、以東は一度しか乗っていません。
> その後岡山赴任時代に沿線の秘境駅を巡った事を思い出しました。記事にしているのはひとつだけですが。
> https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-446.html
そうですね。 何でも東城~備後落合の3往復区間は1日の輸送密度が8~9と一ケタだそうで・・。 これは、あの有名な『日本一の赤字線』の美幸線の32よりも悪い数字で・・。 実質、定期の乗客は集落のある小奴可から東城へ数人だけで、後は春・夏・冬の『青春18きっぷ』の使える休み期間中に『乗り鉄』が平均値を押し上げた・・との事です。 まぁ、このシーズン中は、唯一使える昼の列車は『鉄』だけで40~50人乗っていて、増結される事もあったようですから・・。
No Subject * by 風旅記
こんばんは。
芸備線のまだ体験したことのない風景を拝見させて頂き、いつか訪ねたくなりました。一日3往復しか列車が走らないと聞けば、公共交通機関として今の時代の感覚からは完全に取り残されているように思いますが、そこにある鉄道の風景には全く別の価値観のような魅力があるのが不思議にも思えます。
きっと、車窓に絶景が広がるでなく普通の地方の風景なのでしょうから、どれだけブームになっていても観光列車を走らせられるような路線でもないのかと思います。だからこそ、静かに淡々と旅する人が集まる路線になればいいと願ってしまいます。私もその1人でありたいと思いながら…
風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
芸備線のまだ体験したことのない風景を拝見させて頂き、いつか訪ねたくなりました。一日3往復しか列車が走らないと聞けば、公共交通機関として今の時代の感覚からは完全に取り残されているように思いますが、そこにある鉄道の風景には全く別の価値観のような魅力があるのが不思議にも思えます。
きっと、車窓に絶景が広がるでなく普通の地方の風景なのでしょうから、どれだけブームになっていても観光列車を走らせられるような路線でもないのかと思います。だからこそ、静かに淡々と旅する人が集まる路線になればいいと願ってしまいます。私もその1人でありたいと思いながら…
風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
Re: No Subject * by 風来梨
風旅紀さん、こんばんは。
> こんばんは。
> 芸備線のまだ体験したことのない風景を拝見させて頂き、いつか訪ねたくなりました。一日3往復しか列車が走らないと聞けば、公共交通機関として今の時代の感覚からは完全に取り残されているように思いますが、そこにある鉄道の風景には全く別の価値観のような魅力があるのが不思議にも思えます。
> きっと、車窓に絶景が広がるでなく普通の地方の風景なのでしょうから、どれだけブームになっていても観光列車を走らせられるような路線でもないのかと思います。だからこそ、静かに淡々と旅する人が集まる路線になればいいと願ってしまいます。私もその1人でありたいと思いながら…
> 風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
この芸備線3往復区間は朝・昼・夜と完璧に割り振られた3往復で、途中下車したらその日の内に備後落合を踏んで新見まで戻ってこれないかもしれない路線ですね。 でも、途中には備後八幡・内名・道後山と降りてみたい秘境駅が続きます。 撮り鉄など目論もうなら、車で来るか駅寝が必要です。
それだけに、この3往復区間を撮った時の達成感は大きいです。 でも、この区間を『乗り鉄&撮り鉄』のコラボをしたのは、私以外に見当たりませんでした。
その時の行動紀です。 宜しければどうぞ。
『路線の思い出 293回 道後山駅』
https://furai58.blog.fc2.com/blog-entry-1474.html
> こんばんは。
> 芸備線のまだ体験したことのない風景を拝見させて頂き、いつか訪ねたくなりました。一日3往復しか列車が走らないと聞けば、公共交通機関として今の時代の感覚からは完全に取り残されているように思いますが、そこにある鉄道の風景には全く別の価値観のような魅力があるのが不思議にも思えます。
> きっと、車窓に絶景が広がるでなく普通の地方の風景なのでしょうから、どれだけブームになっていても観光列車を走らせられるような路線でもないのかと思います。だからこそ、静かに淡々と旅する人が集まる路線になればいいと願ってしまいます。私もその1人でありたいと思いながら…
> 風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
この芸備線3往復区間は朝・昼・夜と完璧に割り振られた3往復で、途中下車したらその日の内に備後落合を踏んで新見まで戻ってこれないかもしれない路線ですね。 でも、途中には備後八幡・内名・道後山と降りてみたい秘境駅が続きます。 撮り鉄など目論もうなら、車で来るか駅寝が必要です。
それだけに、この3往復区間を撮った時の達成感は大きいです。 でも、この区間を『乗り鉄&撮り鉄』のコラボをしたのは、私以外に見当たりませんでした。
その時の行動紀です。 宜しければどうぞ。
『路線の思い出 293回 道後山駅』
https://furai58.blog.fc2.com/blog-entry-1474.html