2019-09-17 (Tue)✎
『日本百景』 晩夏 第397回 尾瀬めぐり・その3 至仏山 〔群馬県〕
朝の尾瀬より望む
霧をまとった至仏山の幻想的な眺め
尾瀬ヶ原 おぜがはら (尾瀬国立公園)
湿原の代名詞・『尾瀬』は、群馬・福島・新潟の三県にまたがっている。 この標高1400~1600mに位置する広大な湿原は、開花期になると様々な花が咲き乱れる。 6月初旬のミズバショウと残雪覆う至仏山 2228メートル ・燧ケ岳 2356メートル の景観には、思わずため息が出る。
・・尾瀬ヶ原は燧ケ岳の噴火によってできた『堰止め湖』であったのが、長い時を経て湿原化したものである。 周囲を取り巻く山々からの雪解け水はこの湿原を潤し、やがて只見川となって日本海に注ぐのである。
尾瀬ヶ原・至仏山 散策ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 会津高原駅より車(1:40)→尾瀬・御池(1:40)→熊沢田代(1:45)→燧ケ岳・柴安嵓
(2:40)→下田代十字路
《2日目》 下田代十字路(1:40)→山ノ鼻 ※ 尾瀬ヶ原の散策を含めると所要3:30
《3日目》 山ノ鼻(1:10)→鳩待峠(2:30)→至仏山(1:50)→鳩待峠
(0:50)→山ノ鼻(1:40)→下田代十字
《4日目》 下田代十字路(0:30)→元湯山荘(0:50)→三条ノ滝(0:40)→燧裏林道分岐
(1:40)→上田代(0:30)→尾瀬・御池より車(1:40)→会津高原駅
※ 前回の『尾瀬めぐり・その2』の続きです
ツリガネシャジン
:
盆を過ぎるとヤマは
色の濃い秋の花盛りとなる
《3日目》 至仏山を往復して下山
山に登るには、早朝出発は絶対条件だ。 その為にも、ここはテント幕営が望ましい。
《山ノ鼻》の『民宿』は一般客、しかも家族連れが多いので、早朝の出発はし辛いであろうから。
《山ノ鼻》から《鳩待峠》へは階段状の木道を登っていくが、周囲の光景には幻滅させられる。
何と、電柱に高圧電線が架かっているではないか。 昨日の《尾瀬ヶ原》を味わった目には、腹立たしくも映る『物』である。 《尾瀬ヶ原》にそびえる至仏山の優雅な姿を『魅』とするなら、これは『非』そのものだ。
山ノ鼻から鳩待峠は語る事もないので・・
アズマギクの花おば・・
『尾瀬』の負の部分を垣間見た感じである。 この電柱ゆえ、《鳩待峠》までの道に私は何の感慨も湧かなかった。 実際、沢沿いの樹林帯を歩いていくだけなので、これといって目を引くものもないが・・。
見るべきものもないので、足早に《鳩待峠》へ登り着く事ができるだろう。 要するに《鳩待峠》までは、まだ俗界を抜け出してはいないのだ。 従って、《山ノ鼻》から《鳩待峠》の間は割愛しよう。
ハクサンイチゲ
:
綺麗な花には棘がある
が如く毒を含む花だ
・・さて、《鳩待峠》の広場奥にある登山口をくぐると、ササに覆われた緩やかな傾斜の道が続いている。 所々、急傾斜となるこの道を登りつめると1886.9mのピークをかすめるように通り抜け、その頂から広がる湿原の中を歩いていく。 この湿原には、タテヤマリンドウやイワオトギリなどの背丈の低い可憐な花が咲き競っている。
オヤマ沢の湿原より望む
頂を覗かせる至仏山
この小湿原を抜けて更に15分程登ると、至仏山の湧き水・《オヤマ沢》の清水を口にする事ができるだろう。 この《オヤマ沢》の湧き水はコース唯一の水場なので、水筒などに汲んでおくといいだろう。
この水場より少しばかり登ると、展望が開けて正面に笠ヶ岳 2058メートル や上州武尊山 2158メートル などが望める。
笠ヶ岳や上州武尊などが望める
再び《オヤマ田代》なる湿原を通り、『湯ノ小屋温泉』からの登路と合わさって前方に小至仏山の岩稜がそびえるガレ場に出る。 一度このガレ場を急下降して、ゴツゴツした小至仏山への“岩登り”に至る。
所々、補助ロープをつけている箇所もあるので、足元には注意したい。 なお、この辺りは、“花”の至仏山の中でも一番のお花畑だ。
魅惑的な色彩と可憐な姿を魅せる
タテヤマリンドウ
オゼソウ・アズマギク・チングルマ・ハクサンイチゲ・イワカガミなど、色とりどりの花々が咲き乱れるのだ。 小至仏山の岩稜を登りつめると、ハイマツ越しに至仏山の頂が望まれる。 麓の《尾瀬ヶ原》から見た優雅な姿とは違って、ゴツゴツした岩尾根を集めてドーム状を成していかつい感じである。
尾瀬ヶ原から見た姿からは想像できない
ゴツゴツした岩登りもある
小至仏山からは見た目通り、ゴツゴツした岩の転がるガレ場をトラバース気味に登っていく。
至仏山の手前に立つ岩の門をくぐり抜け、ひと登りすると至仏山の山頂である。 山頂からは、《尾瀬ヶ原》の広がりとその背後にそびえる燧ケ岳のおりなす素晴らしき眺めを望む事ができる。
至仏山の山頂にて・・
至仏山山頂にて・・
:
まるまると肥えてますね~ ワテ
今より15㎏は太ってたけど
体力は今の5倍以上だったよ
上州武尊や笠ヶ岳など
ワテがあまり知らぬ山が望めた
至仏山の尾根を入れると
頂上らしい情景となるね
でも肝心の尾瀬ヶ原と燧の方向は
陰っていてハッキリ望めなかった
また、四方遮るものはなく、平ヶ岳 2141メートル や越後三山・会津駒ケ岳 2133メートル など名峰目白押しだ。 山頂にある山なみの挿絵入りコンパス盤で、山の名前と方位を確かめながら望むと、より一層楽しめるだろう。 展望を十分に堪能したなら、往路を戻ろう。
至仏山を振り返る
再び燧ヶ原に向けて
尾瀬ヶ原を歩いていこう
後は、車でアプローチしたのなら元来た道を《下田代十字路》まで戻り、『尾瀬めぐり・その1』で下山した裏燧林道を下って車を止めた場所《尾瀬・御池》に戻らねばならない。 なお、その行程はリンクを辿って参照してもらうとして割愛しよう。
帰りの尾瀬ヶ原にて・・
コオニユリ
羊の刻に花開く
ミステリアスな花・ヒツジグサ
今日は長くなるので
下十字田代で1泊する事にしようか・・
マイカー登山の不利な所は、「車の回収をせねばならない」という制約が課される事だろう。
だが尾瀬は、旅行社などが主催するツァー旅行でもない限り入口の《尾瀬・御池》や《鳩待峠》へのアプローチが困難で、乗り継ぎのバスや列車を確保するのが難しいだろう。 しかし、ツァー旅行では旅としての自由度を失うので、尾瀬へのアプローチに関しては「痛し痒し」といった所だろうか。
皆が勤めや学校に出る
朝に記事を書くのって・・
結構複雑な気分だよな・・
山に登る時もそうなのかな?
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No Subject * by 根室大喜
こっちではオニユリというよく似たユリが咲いています^^)
Re: No Subject * by 風来梨
根室大喜さん、こんばんは。
> こっちではオニユリというよく似たユリが咲いています^^)
オニユリの高層湿原地帯で咲くのがコオニユリですね。
高層地帯に咲く植物は、厳しい自然環境に耐える為に影響を極力受けない様に花も小ぶりりになります。
> こっちではオニユリというよく似たユリが咲いています^^)
オニユリの高層湿原地帯で咲くのがコオニユリですね。
高層地帯に咲く植物は、厳しい自然環境に耐える為に影響を極力受けない様に花も小ぶりりになります。