風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第396回  尾瀬めぐり・その2 尾瀬ヶ原

『日本百景』 晩夏 第396回 尾瀬めぐり・その2 尾瀬ヶ原 〔福島県・新潟県・群馬県〕

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燧ヶ岳に向かって続く木道

   尾瀬ヶ原 おぜがはら (尾瀬国立公園)
湿原の代名詞・『尾瀬』は、群馬・福島・新潟の三県にまたがっている。 この標高1400~1600mに位置する広大な湿原は、開花期になると様々な花が咲き乱れる。 6月初旬のミズバショウと残雪覆う至仏山 2228メートル ・燧ケ岳 2356メートル の景観には、思わずため息が出る。 

・・尾瀬ヶ原は燧ケ岳の噴火によってできた『堰止め湖』であったのが、長い時を経て湿原化したものである。 周囲を取り巻く山々からの雪解け水はこの湿原を潤し、やがて只見川となって日本海に注ぐのである。



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尾瀬ヶ原・至仏山 散策ルート 行程図

   行程表             駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 会津高原駅より車(1:40)→尾瀬・御池(1:40)→熊沢田代(1:45)→燧ケ岳・柴安嵓
     (2:40)→下田代十字路
《2日目》 下田代十字路(1:40)→山ノ鼻 ※ 尾瀬ヶ原の散策を含めると所要3:30
《3日目》 山ノ鼻(1:10)→鳩待峠(2:30)→至仏山(1:50)→鳩待峠
     (0:50)→山ノ鼻(1:40)→下田代十字
《4日目》 下田代十字路(0:30)→元湯山荘(0:50)→三条ノ滝(0:40)→燧裏林道分岐
     (1:40)→上田代(0:30)→尾瀬・御池より車(1:40)→会津高原駅

今回は尾瀬ヶ原を縦断して、翌日に尾瀬ヶ原で燧ケ岳と対峙していた至仏山に登るべく山ノ鼻に至るとしよう。 なお、日程を端折るなら、下田代十字にテントと荷物をデポっての空身で、尾瀬ヶ原と至仏山を往復して戻ってくるのもいいだろう。 その際の所要時間は、約10時間って所だろう。

《1日目》の行程は前回の『尾瀬めぐり その1 燧ヶ岳』のルートと同一なので、《1日目》の行程は前回を参照して頂く事にしよう。 従って、前回の《その1》から続く《2日目》が、今回の行程となるのである。 それでは、尾瀬ヶ原を散策してみよう。



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早発ちして早朝の1時間の
「とっておきの尾瀬」を味わおう

 《2日目》 尾瀬ヶ原を散策して山ノ鼻へ
朝、少し早く起きて、まだ人の歩かぬうちに《尾瀬ヶ原》に出てみよう。 本来、《尾瀬ヶ原》が抱く、静寂な雰囲気を味わう事ができるだろう。 今日はテント場のある山ノ鼻までの短い行程だが、朝の早いうちに出発しよう。 なぜなら、あと2時間もすると《尾瀬ヶ原》が雑踏と化するからである。

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朝露を浴びるミズギボシ

尾瀬ヶ原が雑踏と化するまでの朝の1時間は、尾瀬を最も味わえる時間帯だ。 朝日を浴びて黄金色に輝く草原やその奥にそびえる至仏山、夜露を浴びて輝くモウセンゴケやキンコウカの花々・・など、『尾瀬』を心ゆくまで満喫できるひとときである。

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朝日に名の如く光るキンコウカ(金光花)

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朝日に光るモウセンゴケ
尾瀬を堪能できる時間は
朝の1時間足らずのみだ

《下田代十字》からのコース概容であるが、緑眩しい湿原の中を真っすぐに延びる木道を歩いていく。
眼前には、山裾を優雅に広げる至仏山がそびえている。

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優雅に裾野を広げる至仏山に向けて
真っ直ぐに延びる木道

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湿原に帯となって漂う霧

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それが日差しの熱で
熱せられて沸き上がり・・

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やがて蒸発して霧散し
とっておきの「朝の一時間」が終わる

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そして・・
日差しが照り注ぐ夏空となる

背丈の高い草に覆われた草原状の丘を30分程歩くと、《尾瀬ヶ原》を蛇行しながら流れる福島・群馬の“県境”である《沼尻川》を渡って、ほどなく《竜宮小屋》の建つ《中田代》に着く。
《尾瀬ヶ原》の景観は、これからいよいよ“最高潮”へと向かっていく。

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尾瀬の魅力・・
それは空の雲を映す池塘の『水鏡』だろう

《竜宮小屋》を出ると木道に沿って大小様々な池塘が点在し、その水面にオゼコウホネ・ヒツジグサ・カキツバタ・ナガバノモウセンゴケなどの水生植物が咲き競っている。 中でも、ヒツジグサの清楚な白とオゼコウホネの黄色には目を奪われる。

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夜半の羊の刻に花開くという・・
ヒツジグサ

またこの辺りは、珍しい《竜宮現象》を見る事ができる。 《竜宮現象》とは、湿原の一方から流れ出た水流が池塘の中をくぐり抜け、他方に流入する現象だ。 木道もこの現象を見やすいように、流入口と流出口で二手に分かれて敷設されている。 

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池塘にその影を映す燧ヶ岳

中でも真に“最高潮”なのは、《尾瀬沼》・《尾瀬ヶ原》の重鎮・燧ケ岳と至仏山の美しきその姿を眺める事であろう。 眼前には優雅でしとやかな至仏山、振り返ると雄々しくそびえ立つ燧ケ岳・・。
そして、これらの山々を水面に映し出す池塘の数々。 『尾瀬』の魅力とは、真にこれであろう。

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池塘を漂う浮島

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国民的行楽地『尾瀬』ゆえに
どうしてもハイカーが入ってしまうね

だが、カメラを構えるとなると、国民的行楽地『尾瀬』ゆえにその人だかりに悩まされる。 
もし、日程に余裕があるのなら《竜宮小屋》辺りを基点にして、早朝の人のいない時間帯に湿原散策するのもいいだろう。 早朝の『尾瀬』は、きっと格別の情景を魅せてくれるはずだ。 

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朝日を浴びてよりミステリアスに・・

さて、この《中田代》を過ぎると、《東電小屋》へ至る《ヨッピ川》沿いの道と合わさって、カキツバタの群落が咲き競う《牛首》を経て《上田代》へと続いていく。 《牛首》は《尾瀬ヶ原》の幅が最も狭まった所で、周りには大きな池塘が数多く点在する。 この池塘に影を落とす燧ケ岳は、また格別である。

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朝露を浴びるコオニユリ
朝露は花の色をより
鮮やかにドレスアップさせる

そして《上田代》。 ここは、コオニユリ・クルマユリ・リュウキンカ・オトギリソウ・といった花は元より、池塘に浮かぶ“浮島”の妙が楽しめる所だ。 花を愛でて、そよ風にのって漂う“浮島”を楽しみながら歩いていくと、さしも広い《尾瀬ヶ原》もそろそろ終わりを告げる。 

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ヤマの頂上に夏雲が
かかり始めるともう昼前だ

《ヨッピ川》を渡ると林の中に分け入り、その中を15分位歩いていくと、行楽客で賑わう《山ノ鼻》に着く。 明日往復する至仏山への所要時間を考えるなら《鳩待峠》まで出たい所であるが、《鳩待峠》はテント設営不可の山荘街・・というより旅館街で、尾瀬にやって来る行楽客を乗せたバスが発着する・・、言うなれば北アの上高地と同じ立ち位置の場所で、あまり寄りつきたくない所である。

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タテヤマリンドウ
山ノ鼻からは植生が
湿性から高山性に変わる

従って、《山ノ鼻》も《下田代十字》同様に設備の整った『民宿街』ではあるが、《鳩待峠》よりは雰囲気はマシという事で、今日はここで1日の行程を終える事にしよう。

   ※ 続きは、次回の『尾瀬めぐり その3 至仏山』にて・・。



休みが平日に絡む様になって

ド平日に記事を書いてるワテ
プーになった心地だ


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憧憬 * by hanagon
尾瀬は幾千の山岳を抱える本邦においても、数多くの魅力を持った山域ですよね。特に朝方の情景は魅惑的です。
私にとっては、下の大堀川からの水芭蕉と至仏山は山歩きを始めた当初からの憧憬でした。若い頃メインで行っていた沢登りでは、憧憬で終わってしまった処がたくさんありますが、ここは関東赴任時、登山始めて26年目にしての訪問でその思いを遂げる事ができ感無量でした。

Re: 憧憬 * by  風来梨
hanagonさん、こんばんは。

> 尾瀬は幾千の山岳を抱える本邦においても、数多くの魅力を持った山域ですよね。特に朝方の情景は魅惑的です。
> 私にとっては、下の大堀川からの水芭蕉と至仏山は山歩きを始めた当初からの憧憬でした。若い頃メインで行っていた沢登りでは、憧憬で終わってしまった処がたくさんありますが、ここは関東赴任時、登山始めて26年目にしての訪問でその思いを遂げる事ができ感無量でした。

尾瀬は、日本人の心の故郷ですよね。 自然散策に興味がなくても、一度は訪れたい所だと思います。 でも、山ノ鼻から鳩待峠の整備散策路の両側に電柱が立ってたのは少しがっかりでしたね。 20年以上前でもこれだから、今は舗装されてるかも。

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憧憬

尾瀬は幾千の山岳を抱える本邦においても、数多くの魅力を持った山域ですよね。特に朝方の情景は魅惑的です。
私にとっては、下の大堀川からの水芭蕉と至仏山は山歩きを始めた当初からの憧憬でした。若い頃メインで行っていた沢登りでは、憧憬で終わってしまった処がたくさんありますが、ここは関東赴任時、登山始めて26年目にしての訪問でその思いを遂げる事ができ感無量でした。
2019-09-14 * hanagon [ 編集 ]

Re: 憧憬

hanagonさん、こんばんは。

> 尾瀬は幾千の山岳を抱える本邦においても、数多くの魅力を持った山域ですよね。特に朝方の情景は魅惑的です。
> 私にとっては、下の大堀川からの水芭蕉と至仏山は山歩きを始めた当初からの憧憬でした。若い頃メインで行っていた沢登りでは、憧憬で終わってしまった処がたくさんありますが、ここは関東赴任時、登山始めて26年目にしての訪問でその思いを遂げる事ができ感無量でした。

尾瀬は、日本人の心の故郷ですよね。 自然散策に興味がなくても、一度は訪れたい所だと思います。 でも、山ノ鼻から鳩待峠の整備散策路の両側に電柱が立ってたのは少しがっかりでしたね。 20年以上前でもこれだから、今は舗装されてるかも。
2019-09-15 *  風来梨 [ 編集 ]