2019-09-07 (Sat)✎
よも”ヤマ”話 第75話 裏剱・仙人池 その3《仙人池・水鏡》〔富山県〕 ’93・10
秋の仙人池は絶景を欲しいままに・・
剱 岳 つるぎたけ (中部山岳国立公園)
立山連峰の中でひときわ嶮しく、氷河地形を顕著に示しているのが剱岳である。 山頂は氷食尖峰で、氷河が永い時をかけて多くの嶮しき谷を創りだしている。 これらの谷は、《長次郎谷》・《平蔵谷》など、これらの谷を世に広めた先駆者達の名前がつけられている。
剱岳の魅力は、何といっても“奥の深い”楽しみ方にある。 初心者ならば、室堂からお花畑を突っ切って剱の頂に立つコースがお勧めである。 山歩きに慣れた中級者ならば、剱沢雪渓を渡って仙人池・黒部渓谷に至るコースがいい。 剱沢の万年雪渓を突っ切って、裏剱の八ッ峰と仙人池を目指すのである。
水面の澱みが収まった瞬間を狙って・・
このコースの全般に渡って眺められる裏剱の景観は、とにかく「素晴らしい」のひとことに尽きる。
八ッ峰を映す仙人池や彩り鮮やかな池ノ平、そして夏の「まだ人知れぬ」池ノ平山のお花畑、秋の燃える紅葉・・と、魅力が盛りだくさんである。
池ノ平より望む紅葉の十二単を
まとった八ッ峰の絶景
そして、上級者ならば、楽しむ観点はやはり「直に観る」であろう。 《長次郎谷》から標高差1000mの雪渓を乗り越えて頂上に立ったり、八ッ峰を「眺める」ではなく「直に登る」というのも上級者ならではの楽しみ方であろう。 また、一生涯をかけて、『幻の滝』・剱大滝にアタックするのも夢がある。
・・このように、どのレベルの登山者でも楽しめるのが、この剱岳である。
池ノ平から望む紅葉と八ッ峰・岩屏風
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR富山駅より鉄道利用(1:05)→立山駅よりケーブルとバス(1:00)→室堂
(0:20)→一ノ越(1:00)→立山・雄山(0:15)→立山・大汝山(1:00)→真砂岳
(1:00)→立山・別山(0:20)→剱御前小屋(0:30)→剱沢キャンプ場
《2日目》 剱沢小屋より一服剱まで往復1時間40分(0:30)→剱沢雪渓取付(0:50)→真砂沢ロッジ
(1:30)→近藤岩・二股(2:20)→仙人池(途中の仙人峠より池ノ平まで片道30分)
《3日目》 仙人池(1:20)→仙人温泉(1:20)→阿曽原温泉(4:30)→欅平より渓谷鉄道利用
(1:20)→宇奈月温泉駅より鉄道利用(1:30)→富山駅
※ 前回『第74話 裏剱・仙人池 その2』の続きです。
『仙人池・水鏡』の絶景に御招待・・
今回は、仙人池ヒュッテに着いてから日没までに魅せられた『仙人池・水鏡』の写真を思いっきり羅列掲載する事にしよう。 なので、下山に入るのは次回の『第76話 裏剱・仙人池 その4』の記事で・・という事で。
この絶景を魅るには
条件的な注文が多いのである
:
少しでも水面が澱むと『×』だ
この年の紅葉は、やや遅めだったのか紅葉の勢いが今イチだったのか、鮮やかな色着きは無かったように思われる。 だが、赤の紅葉はキツめの色を魅せて、色着きが今イチの黄葉やオレンジ色に染まる山の紅葉との対比が有り過ぎるようであった。
水面の澱みが消えるまでの
忍耐を要するのである
やがて水面の澱みは収まらないものの
空が少し明るくなってきた
また、仙人池に着いてからの午後は総じて曇天で陽が射さず、八ッ峰の岩肌がくすんで黒く沈んだ色調の写真となったのは少し残念な事である。 まぁ、陽の光が射さないから、紅葉もくすんで例年に比べて今イチに見えたのかもしれないが・・。
だが再び空が曇って陰り出してきた
・・総じてこれの繰り返し
陽が影って澱みも収まらないので
写真アングルにはタブーの黄金分割おば・・
だが、幸い風はほとんどなく、次なる「願い」であった八ッ峰を仙人池に投影する『水鏡』は、波も立たずかなりいい条件となったみたいだ。 それでは、着いてからのデーライトの『仙人池・水鏡』をごろうじろ。
『水鏡』を撮り始めてから
待つ事小一時間・・
ようやく澱みも収まり
空も明るくなる絶好の瞬間が・・
アングルを変えて
前に紅葉を持ってきたり
八ッ峰の全てを出すアングルを採ったり
だが空が再び陰り出して
空の陰りが持ち直したかと思うと
水面が澱んだり・・と
「撮り始めてからの小一時間」の繰り返し
同じ写真ばかり撮っていては退屈になってくる(・・事もない絶景でずっと撮ってても飽きないけど)ので、この場を離れて八ッ峰の方へ30分ほど歩いた池ノ平へ向かうとしよう。 池ノ平まではほぼ平坦で、荷物を担いでなければ楽々に歩ける道だ。 次に訪れた時はテントを担ぐ22㎏の荷物持ちで、仙人峠から池ノ平までの30分はかなりシンドかった記憶があるのでこのように記したのであるが・・。
池ノ平からは迫力ある八ッ峰の
絶景が欲しいままに・・
池ノ平からは、八ッ峰の岩屏風が眼前に迫り寄る迫力ある情景の写真が撮れるが、朝の陽の光が八ッ峰に当たった時がお勧めの場所で、曇って八ッ峰の岩肌がくすんでしまうと手応えをあまり感じないのである。 それでは、池ノ平での情景をごろうじろ。
クレオパトラニードルと
三ノ窓雪渓を望遠で引っ張る
今度は八ッ峰のギザギザを引っ張って・・
次はちょっと退いて標準で
最も美しい紅葉を取り入れようか・・
今年のより色濃い赤い紅葉を
八ッ峰に着せてみようか・・
池ノ平で撮り終えると、夕日が出るのを期待して仙人池に戻るとしよう。 池ノ平からもカメラと交換レンズだけの空身なので、30分もあれば戻り着く。
仙人池に戻っても
空はくすんだままだった
空がずっとスッキリしないので
少し倦怠感を抱いてくる
夕刻が近づきつつある時
西の空の隅の雲が切れ出してきた
仙人池に戻って小一時間ほど経つと、曇天だった雲が薄くなって、日が射さないまでも雲越しに光芒を放つようになってきた。
やがて青空が広がって来て
絶好の撮影チャンスがやってくる
ここは日が射さずくすんでしまった八ッ峰の岩肌を、完全に逆向で黒光りにしてしまうと、かなりそそられる情景が撮れそうだ。 逆光が魅せる白と黒のモノトーンの情景だ。 昼間は陽の光が射さずに、少し濁ったように見えていた仙人池の水面も逆光で透き通った黒となり、雲越しの光芒の光を映し出す黒鏡となっていた。
八ッ峰の岩屏風の後ろに陽が沈み
絶景の予感が漂う
その情景を仙人池の水鏡に映し出すと・・
そして、空は徐々に晴れてゆき、日が沈む頃には青空が暮れて、夜を司る紺色の空に変わろうとしていた。 光芒のバックライト浴びた八ッ峰の岩肌は、今日最もそそる情景だったよ。
今日魅た中で最もそそる絶景となった
陽が沈む落日の瞬間は
いつも感動の情景を魅せてくれる
:
これを最後に小屋に入って
眠る準備を始めよう
明日は欅平までの所要時間8時間近くの長丁場だ。 そして欅平からの最終列車は15時過ぎと早く、時間を気にかけての下山となる。 出発も遅くとも6時半までには下り始めないと、欅平で足止めとなってしまう。 なので翌朝は、残念ながらあまり写真を撮る時間はないのである。 明日は早い出発が求められるので、早めに就寝する事にしよう。
※ 続きは、次回の『第76話 裏剱・仙人池 その4』にて・・。
この10月に再び仙人池に
行く事を決定いたしましたぁ~
今年は素晴らしい
紅葉でありますように・・
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