風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第72話  涸沢・奥穂高

よも”ヤマ”話  第72話 涸沢・奥穂高 〔長野県・岐阜県〕 ’93・8
涸沢岳 3110m〔名峰次選 21峰目〕、奥穂高岳 3190m【名峰百選 30峰目】

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前穂高岳
槍・穂高連峰最後の3000m峰だ

  槍・穂高連峰 やり・ほたかれんぽ (中部山岳国立公園)
北アルプスのハイライトとして登りたい山・・。 また、眺めても美しい姿の山として圧倒的に人気があるのが、この槍・穂高連峰である。 標高が日本第3位の奥穂高岳 3190メートル や、極めて山容秀麗な槍ヶ岳 3180メートル がそびえ立つ北アルプスの代表となる山域だ。 登山ルートはバリエーションルートも含めて色々あるが、一般的なコースは上高地から槍沢経由のコースである。

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槍と北アルプスの山なみを望む

ちょっと上級の方ならば、やっぱり縦走コースの『表銀座』・『裏銀座』を目指す事だろう。 
これらのコースは北アルプスの展望が素晴らしく、人気共々第一級の縦走コースだ。 
また、登山の“玄人”を自負する方には、槍ヶ岳から大キレットを通り奥穂高岳へ抜ける嶮しいコースもある。



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南岳~奥穂高 連峰岩稜部行程図

   行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR松本駅より鉄道(0:25)→新島々よりバス(1:15)→上高地(3:00)→横尾
     (1:40)→槍沢ロッヂ
《2日目》 槍沢ロッヂ(1:40)→氷河公園分岐(2:30)→槍ヶ岳山荘より槍ヶ岳往復・所要約1時間
     (2:30)→南岳(0:10)→南岳小屋
《3日目》 南岳小屋(1:20)→大キレット・長谷川ピーク(2:20)→北穂高岳(2:20)→涸沢岳
     (0:30)→穂高岳山荘
《4日目》 穂高岳山荘(0:50)→紀美子平より前穂高岳往復・所要約50分(2:45)→岳沢
     (2:00)→上高地よりバス(1:15)→新島々より鉄道(0:25)→JR松本駅
   ※ 前話『第71話 大キレット』の続きです。

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難関・大キレットを越えて
北穂山荘前のテラスで感慨深く・・

槍・穂高縦走で最大の難所《大キレット》を踏破して北穂高岳の頂に立ったが、ここから涸沢岳までの稜線も脆い岩場の登降が続くので、まだまだ気は抜けない。

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今や大キレットより通過が困難な
北穂~涸沢岳岩稜

・・ていうか、毎年登山道整備が入る《大キレット》より、人気がなくて整備も後回し気味の北穂~涸沢岳の方が、今や難路になってるし。 コレは、この盆に四半世紀ぶりに実際に通って確認した事なので本当だよ。 

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北穂の降り口より前穂を望む

北穂高岳からは、巨石がゴロゴロと転がる中を縫うように下っていく。 下りきった所が涸沢岳のコルだ。←ぢ・つ・わ・・、この時は『奇跡の体力』のホルダーで体力バリバリだったから、超アッサリ記述だけど、ルンゼ内の一枚岩盤の懸垂下降の鎖場あり~の、鎖の無いヘツリのトラバースあり~の、ハシゴとハシゴの間がボルト伝いの『空中散歩』だの、高低差50m超の鎖付き直登だの・・と、実にコケティシュなルートである。

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四半世紀ぶりに
北穂~涸沢岳岩稜を通った感想
「大キレット」よりずっとエグいよ・・

ここから見上げる涸沢岳は何の変哲もない岩場の登りに見えるが、ホールドのままならない程の脆い岩場が続きかなり危険だ。 《大キレット》を乗り越えて緊張感が切れてしまうからなのか、むしろ《大キレット》より涸沢岳の方が転落や落石の事故が多い・・との事である。 浮石に気をつけて、ホールドする岩を選びながら登っていこう。←ここも「ぢ・つ・わ・・」以下の同文です、ハイ。 

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高低差50m超の
鎖付き直登の場面でっす

最後にオーバーハングのチムニーを鎖片手に這い上がると、稜線の上に出る。 ここまでくれば、山頂までは目と鼻の先だ。←この「オーバーハングのチムニーを鎖片手に這い上がる」場面が、前述の高低差50m超の鎖付き直登でっす。

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涸沢槍と槍ヶ岳
あの時はコレが何でもなかったのね・・
この盆休みに四半世紀ぶりに通過して
その嶮しさに愕然としたよ

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涸沢岳でのアリバイ写真
写ったタワケの表情を見ると
多少はキツかったのかな?

涸沢岳 3110メートル の頂上は細長く、奥穂高岳が眼前に迫ってくる。 この奥穂高岳の大きさに、ここまで歩いてきたのだ・・という感慨がまた湧き出してくる事だろう。 後は、眼下に見下ろせる《穂高岳山荘》に向かってゆっくりと下っていこう。 

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涸沢岳より望む笠ヶ岳

なお、この槍・穂高の縦走においての逆行は、この涸沢岳頂上直下の50m超の鎖付き直登が下りとなり、北穂からの350mがほとんど鎖ナシの下り行程になるなど、あらゆる面で不利である。
“スリル”を求めるのは楽しいが、これが“恐怖”に変わってしまうと足が竦んでしまってどうにもならないのである。 従って、逆縦走は、よほど岩稜歩きに慣れた人でないとお薦めできないだろう。

まずは、正方向から、このスリルある稜線の縦走を楽しもう。 明日は、標高日本第三位の高峰・奥穂高岳を踏んで下山しよう。←付け加えると、歳食ってからの幕営装備一式担いでの縦走も、止めといた方が無難です by 体験者のタワケより。



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岳沢ルート 下山行程図

 《4日目》 奥穂高岳を踏んで上高地へ下山
奥穂高岳のコルにある穂高岳山荘からは、3方向に下っていく事ができる。 距離の長すぎる《白出沢》への下山路は例外として、比較的気軽に下れるルートは、『ザイデングラード』から《涸沢カール》に抜ける道だろう。 しかし、この道はスニーカーで登ってくる者がいるなど、あまり面白みがないのであえて“パス”しよう。 そして、《大キレット》からの緊張感を持続するべく、《岳沢》から《上高地》へ下っていこう。 

まずは、山荘の横手の岩塊に垂れ下がる鎖を片手に登っていく。 尾根上に登り着くまでハシゴや鎖が数ヶ所あるが、尾根上に飛び出ると踏み固められた砂礫の道が頂上まで続いている。 約50分ばかり登ると、日本第三位の高峰・奥穂高岳 3190メートル の頂上だ。 しかし、頂上に立つ大岩がなければ、標高では南アルプスの間ノ岳 3189メートル に抜かれてしまう・・との事である。

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奥穂山頂は『白無の世界』だったので
北穂のテラスから魅た槍ヶ岳おば・・

槍ヶ岳と並ぶ北アの盟主・奥穂高岳からは、天気が良ければ北アの山々の全てが見渡せる絶景が見渡せる。 頂上には方位盤があり、それが示す通りの360°の大パノラマの展望が広がるのだ。
だが、生憎ワテが初めて登った時は、雨と霧で「白無(霧)の世界」だったよ。 

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ご覧の様に奥穂への「初めて」は
白無の世界でした・・

とにかく、我が国第三の高峰に立った高揚を味わったなら、岳沢ルートを下りていこう。 
ルートは、奥穂高岳から延びる吊尾根の飛騨側につけられた道を歩いていく。 所々高巻いたり、鎖で一枚岩を急降下する所もあり、思ったよりも歩き辛い。 また高巻き地点や鎖場の下降地点などは判り辛く、岩にかかれたペンキ印だけを頼りに下っていく。 1時間少々、この岩場下りをこなすと、前穂高岳への分岐点・《紀美子平》に着く。 

ここは槍・穂高縦走ルート上の最後の3000m峰・前穂高岳 3090m への分岐だが、今回は天気が思わしくなかったからだろうか・・、当時のワテは「次回まわし」としたようだ。 《紀美子平》からは、スラブ状でツルツルと滑る岩の上を鎖を伝いながら2~300mの長さで下っていく。 

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この日は上高地に着く
直前まで雨模様だったので
大キレットの思い出おば・・

これを下りきってちょっとした岩塊を乗り越えると、《雷鳥広場》と呼ばれるハイマツの丘に出る。 
ここから眺める西穂高岳・ジャンダルム・奥穂高岳の眺めは絶品との事である。 だが、この時は雨で全く展望ナシであった。

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この日は奥穂頂上での
『白霧のアリバイ写真』を撮ったのみ・・
なのでどこで撮ったか不明の花おば・・

《雷鳥広場》からはハイマツ・お花畑、そしてダケカンバの林・・と、目まぐるしく変わる尾根道を下っていく。 途中にある土砂崩れ跡のガラ場や潅木帯の大きな段差を鎖やハシゴを使いながら下っていくと、樹林帯を飛び抜けて《奥明神沢》に出る。 後は草付きの急傾斜をジグザグに下ると、《岳沢》前のキャンプ場に出る。 

《岳沢》の上方には、落差100m以上と思われる《滝沢ノ大滝》が掛かっている。 この滝は不定滝で渇水期は涸れる事もあるし、逆に大雨の後などは3条にも4条にも掛かる事もある。 この滝を奥に見ながら沢を岩伝いに飛び越えていくと、《岳沢ヒュッテ》だ。

好天時はいいのだが、荒天時は沢が濁流となって渡れなくなる。 その為に、《岳沢》を渡らずに森の中を掻き分ける間道が設けられている。 荒天の場合はこの道を利用しよう。 ちなみにこの時は、森の中を掻き分ける『間道』を通ったようだ。 

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何の脈絡もなく常念岳で締める
雨で写真撮ってないので
もうヤケクソ・・

《岳沢ヒュッテ》からは、下方で再び沢を渡って、先程の間道を併せて整備された登山道を下っていく。 
約2時間、《帝国ホテル》の赤い屋根が見えてきてからが特に長く感じる。 やがて樹林帯の中に突入し下っていくと、《上高地》の治山道路の砂利道に出る。 ここからは、《上高地》を歩く観光客のいでたちを目にしてガックリと力を落として、下界との“架け橋”・《河童橋》を渡って《上高地バスターミナル》に向かう。 

《上高地》をゴール地点にすると、どうしても最後が締まらないのである。 下山を終えて感慨深い山行の余韻に浸れないのが、このコースの“玉にキズ”であろう。 《上高地》は全国有数の観光地である。
バス便の心配はないだろう。 上高地・小梨平のキャンプ場にある温泉で山の汗を落としてからでも、十分帰路に着けるだろう。



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No Subject * by 根室大喜
温泉だけでええです^^)登山者用の温泉に入浴だけ行きます

Re: No Subject * by  風来梨
根室大喜さん、こんにちは。

> 温泉だけでええです^^)登山者用の温泉に入浴だけ行きます

温泉だけなら、上高地より麓の温泉郷の方が断然いいです。
長野県・岐阜県の北アルプス周辺は、温泉の宝庫ですから。

北海道なら、糠平の先の幌加にある五色温泉が秘湯感満点ですね。 本当に五色の温泉が湧き出ているし。

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No Subject

温泉だけでええです^^)登山者用の温泉に入浴だけ行きます
2019-08-23 * 根室大喜 [ 編集 ]

Re: No Subject

根室大喜さん、こんにちは。

> 温泉だけでええです^^)登山者用の温泉に入浴だけ行きます

温泉だけなら、上高地より麓の温泉郷の方が断然いいです。
長野県・岐阜県の北アルプス周辺は、温泉の宝庫ですから。

北海道なら、糠平の先の幌加にある五色温泉が秘湯感満点ですね。 本当に五色の温泉が湧き出ているし。
2019-08-23 *  風来梨 [ 編集 ]