2019-08-08 (Thu)✎
路線の思い出 第333回 三江線・江津本町駅 〔島根県〕
”本町”と名がつくのに
10年連続で乗降人員『ゼロ』が続いていた
江津本町駅
《路線データ》
営業区間と営業キロ 輸送密度 / 営業係数(’16)
江津~三次 108.1km 46 / 1109
廃止年月日 転換処置
’18/4/1 備北交通・大和観光・邑南町営・石見交通
など区間によって分担
運行本数(’17)
江津~三次 下り2本・上り1本
江津~石見川本 上り1本
江津~浜原 3往復
石見川本~三次 上り1本
浜原~三次 2往復
口羽~三次 1往復
※ 廃止日までの残り2週間は昼間便の浜原~口羽の通し運行を実施した
江津~三次 下り4本・上り3本
江津~石見川本 上り1本
石見川本~三次 上り1本
江津~浜原 1往復
浜原~三次 1往復
江津本町駅(ごうつほんまちえき)は、島根県江津市江津町にあったJR西日本・三江線の駅である。
三江線の廃止に伴い、2018年(平成30年)4月1日に廃駅となった。
浜原方面に向かって右側に単式1面1線のホームを持つ停留所規格の駅で、浜田鉄道部管理の無人駅であった。 ホーム上に待合室があるのみで、待合室江津側の脇の入口より直接ホームに入る形になっていた。 自動券売機等の設備はない。 2015年の一日平均の乗車人員は0人(1人以下)との事であるが、この数値は2006年以来10年間連続で乗車人員は0人(1人以下)となっていた。
駅のすぐ東に河口近い江ノ川があり、駅から江ノ川に架かる国道9号線(江津バイパス)の通る橋が見える。 江ノ川の反対側は県道を挟んで丘になっている。 本町という駅名ではあるが、駅から周囲を見渡しても何もない。 だが、県道を北に進みトンネルを抜けると、江津市本町地区へ出る。
山辺神社があり、民家も多い。
駅から集落のある江津市本町地区まで僅か200m足らずなのだが、駅周辺はトンネルを挟んで隔世の感がある眺めとなっている。
撮影旅行記集『三江線・最後の一年』より
残り1年となった三江線の各駅を訪ねてその思い出を語ってきたこの撮影旅行記『三江線・最後の一年』も、いよいよ終着手前の”最後の駅”・江津本町である。 この駅で『撮り鉄』写真を載せるに当たって最初に考えたのは、「『三江線・最後の四季』の最初を飾るこの駅の季節はズバリ『夏』!」って事である。 そう・・、この企画を始めた初期構想の段階では、掲載の順序を今とは逆に「江津から三次へ下る事で構成しよう」と考えていたのだ。
だが、相次ぐ運休トラブルや、自身のケガや多忙で季節ごとに訪れる計画を実行しきれなかった事が重なって、季節を追った内容の旅行記が書けなくなってしまったのである。 それで最初に決めた『三江線・最後の四季』という”お題”を断念して、『三江線・最後の一年』に変えざるを得なくなってしまった事は、この旅行記で何度か書き記している事である。
前述で”お題”の事に触れたのは、この江津本町を訪れたのが、まだ『三江線・最後の四季』として作成していた製作初期の『夏の追っかけ旅』だったからである。 だがその『夏』も、このトップバッターの江津本町で撮った写真があまり『夏』を感じさせるモノではなく、最初から構想が尻すぼみしていく状況だったのだ。
それに加えてこの『夏』の追っかけ旅では、いきなり「線路内への倒木」で列車が半日運休となるアクシデントに見舞われ、撮影計画も崩れ出したのである。 そして、撮影計画が一度崩れ出すと取り返しが着かなくなる事も、続く『追っかけ旅』での相次ぐ運休アクシデントや、それに伴って捗らない製作の進行状況から”思い知らされる”事になるのである。
江ノ川の夏風景を撮ろうとしたこの時も
「倒木の為」の運休で撮影計画が狂ったのである
それは、三江線がワテの住む関西圏からは割と近いといっても、『追っかけ旅』という週末遠征をしなければならぬ程には離れているのである。 もちろん1回の遠征にあたっては2~3万の費用はかかるし、週末が好天続きっていう保証もなく、そしてレンタカーなどの予約もいつも確実に取れるとは限らないのである。
要するに、「ヒマがあればいつでも飛んで行ける」っていう事ではないのである。 そのような状況で、廃止まで1年を切った『最後の夏』にこのような運休アクシデントに見舞われると、もう『夏』は取り(撮り)返せなくなってしまうのだ。
そう・・、過ぎた時は取り戻す事ができないのだ。 それに『最後の・・』という言葉がついたなら尚更なのである。 季節を追うように始めた『三江線の追っかけ旅』で体験した一連のアクシデントや、こういった撮影での不出来から、「季節を追った旅行記を製作するなら、4~5年前から通って撮り溜めをしておかないと成し得ないな」という事を学んだのである。 それでは、その”今イチ”『夏』の季節感をだせなかった写真をごろうじろ。
夏の強い日差しでフレア・ゴーストを呼ぶ
想定通りの写真を撮ろうとしたが
フレアが強すぎて駄写真に・・
これは、この江津本町駅が河口間際となって悠然と流れる江ノ川に沿って位置する事から思いついたアングルであるが、「もっと水上をゆくモーターボートを撮っていればよかったなぁ」と思う。
この時に構想として思い描いたのが「水上を走るモータボートと三江線列車が重なるシーン」なのだが、1回の遠征やそこらで思い描く最高のシーンをゲットできる・・と考える方がムシが良すぎるのである。
それに、この『夏のおっかけ旅』を終えて帰路に着く道すがらで、『作木のカヌー公園』など『夏』の絶景が撮れそうな所を見つけるなど、総じて下調べをしない事からくる「後の祭り」となったのである。
だが、旅に出る前に「下調べ」で”頭デッカチ”になって、旅の醍醐味である「訪れた所での発見や新たな体験」という魅力を損じたくはない。 だからこれからも、旅において「極力下調べはしないし、したくないな」と思うのである。
水上を疾走するモーターボート
これと列車を合わせれば
最高の『夏』シーンとなると思ったのだが・・
対岸の国道からモーターボートや川を背景に撮ると、こんどは江津本町駅の”定番”である「駅から江ノ川を入れて」の撮影に向かう。 対岸の国道から江ノ川の河口付近に架かる橋で国道9号・江津バイパスを渡るが、江ノ川を渡ってそのまま直進すると江津の街に出る。
江津本町駅へは江ノ川を渡った袂で左に折れて県道112号に入るが、この道の少し入って道幅が狭まった所に江津本町地区の集落地に出る。 この地区には結構な数の民家が建っていて、耳にした話である江津本町駅がここ数年の間「乗降客数ゼロ」の日を継続中である事が信じられない光景である。
だが、その県道112号・三次江津線(通称『道路の三江線』)は、集落に少し入った所で左折して集落とはアサッテの方向へ離れていく。 分岐から程なく素掘りのような短いトンネルが現れて、これを抜けると周囲の情景は隔世の感があるが如くに様変わりして『秘境駅』・江津本町駅の前に出る。
集落から駅までは200m足らず・・。 それがこれほどまでに周囲情景が様変わりするとは、「あのトンネルが『バラレルワールド』の扉となっているのでは?」とさえ思えるのである。 そして、駅に着いた途端に雲が立ち込めて薄暗くなり、ポツリポツリと小雨も降り出した。 そう・・、目にした情景が、活気ある地区集落情景から、薄暗く沈黙する駅前の情景に一変した事に合わせるが如くに・・。
駅に着くと当初に思いを描いた通りに江ノ川の雄大な撮ろうと駅ホームに立つが、小雨が降りだすような薄暗い空模様では雄大な川情景もパッとせず、この駅で思い描いた写真は撮れそうにない状況となったのである。
連続写真は変化をつける1枚の
「キー写真」がなければダメ・・の実例
それで困って振り返ると、駅のすぐ直前にトンネルがあって向かってくる列車がトンネルから出て駅に入るシーンが撮れそうなので、「向かってくる列車はライトを灯けていていいかも・・」とそれを狙う事にしたのである。 でも、トンネルから抜け出る前も撮るべきだったかな。
トンネルを抜ける前のシーンを撮らなかった為に
同じようなのが2枚となっちまったよ
これを撮り終えると、振り返って当初の構想通りに「雄大な流れの江ノ川と駅待合室を入れて」撮る。
残念ながら小雨模様の薄暗い空で、雄大な川の流れは表現できなかった・・っていうか、撮るウテがないので始めから無理だったかもしれないが・・。 このシーンは計3枚撮ったが、2枚目は江ノ川が列車に隠れてしまったので最初の駅紹介写真にしちゃったよ。
・・で、江ノ川の入った1枚目と3枚目を掲載するが、駅への進入シーンは1枚目のような「車輌半切れ」な撮り方が今のワテのお気に入りの撮り方である。 それでは、三江線の最後の駅を語る写真をごろうじろ。
最近のワテがハマってる
駅と列車の写真アングルは『車両半切れ』だ
雄大な川を取り入れる
”定番”の撮り方は今イチに・・
満を持して製作した
『三江線・最後の一年』は
閑古鳥が鳴いていた
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Re: No Subject * by 風来梨
根室大喜さん、こんにちは。
> 花と列車と駅の構図で写真を撮ったことがあります^^)
> 花咲線で湿原にかかる赤い橋を渡る一両編成のディーゼル車を撮りたいという野心はあるのですが、待つのが大変で、、、
撮り鉄に課せられた宿命は、一瞬の時がくるのをただ待つ事ですね。 昔廃止となった白糠線では、列車に乗って撮りに行くしかないジャリガキの頃だったので8時間待ちましたわ。
その他、小吹雪の中で3時間待つなど、撮り鉄は苛酷なスポーツですね。
> 花と列車と駅の構図で写真を撮ったことがあります^^)
> 花咲線で湿原にかかる赤い橋を渡る一両編成のディーゼル車を撮りたいという野心はあるのですが、待つのが大変で、、、
撮り鉄に課せられた宿命は、一瞬の時がくるのをただ待つ事ですね。 昔廃止となった白糠線では、列車に乗って撮りに行くしかないジャリガキの頃だったので8時間待ちましたわ。
その他、小吹雪の中で3時間待つなど、撮り鉄は苛酷なスポーツですね。
花咲線で湿原にかかる赤い橋を渡る一両編成のディーゼル車を撮りたいという野心はあるのですが、待つのが大変で、、、