風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第330回  鶴見線・海芝浦駅

路線の思い出  第330回  鶴見線・海芝浦駅 〔神奈川県〕

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首都圏屈指の海浜情景を魅せる海芝浦駅
だがここは企業私有地故に制限にまみれている

《路線データ》
       営業区間と営業キロ             輸送密度 / 営業係数(’15)
鶴見~扇町・浅野~海芝浦・武蔵白石~大川  9.7km    13942  /  133
        
運行本数 (’19)
扇町方面    平日ラッシュ時6分毎、日中20分毎、土・休日ラッシュ時8分毎、日中30分毎
          (浜川崎・弁天島への区間運行含む)
海芝浦方面   平日ラッシュ時15~30毎、日中1時間毎
          土・休日ラッシュ時30分毎、日中は1~2時間毎
大川方面    朝夕のみの運行で日中は運行ナシ、平日9往復、土・休日3往復


海芝浦駅(うみしばうらえき)は、神奈川県横浜市鶴見区末広町二丁目にあるJR東日本・鶴見線(海芝浦支線)の駅で、海芝浦支線の終着駅である。 JRの特定都区市内制度における「横浜市内」の駅として扱われている。 新芝浦駅から当駅までの路線、当駅の敷地は東芝エネルギーシステムズの私有地となっている。

単式ホーム1面1線を有する駅で、終点側の端に改札口があり簡易Suica改札機のみが置かれている。 2008年度の1日平均乗車人員は3,250人との事である。 無人駅の為、2009年度以降の乗車人員は公表していない。

ホームが海(京浜運河)に面しているという非常に珍しい駅である。ホーム上には一部に屋根がある。
駅ホームが直接海に面しているという特徴があり、ホーム内に隣接して「海芝公園」が併設されている。 駅名の由来は、この駅が海に接している事と、東芝の前身である「芝浦製作所」を合せたものである。

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従業員以外は外に出られない・・という
閉鎖極まる駅を造った閉鎖極まる企業

東芝エネルギーシステムズ京浜事業所の敷地内にあり、駅の出口はそのまま工場の門になっている。
駅舎も東芝エネルギーシステムズの建物の一部である。 駅がある埋立地は全体が業務区域としての東芝エネルギーシステムズの敷地で、基本的に当該事業所の許可を得た者しか駅から出る事ができず、それ以外の者は駅から出られない。

そのため、事業所への外訪者は新芝浦駅で下車し、京浜事業所の正門に回るように守衛から誘導される。 このような性質から、朝夕の通勤時間以外の運転本数が少なくなっている。 なお、切符回収箱や簡易Suica改札機・乗車駅証明書発行機が設置されている。

一般客は駅の外に出られない為、普通乗車券で海芝浦駅で折り返し乗車する場合は往復の運賃が必要となるが、自動券売機は近年に撤去されて存在せず、簡易Suica改札機で改札を行うか、切符回収箱に行きの切符を投入し、帰りは乗車駅証明書発行機で乗車証明書を受け取り、下車有人駅で精算を受ける必要がある。

駅改札付近の屋根付きの小屋が、駅ホームと東芝門・海芝公園を連絡する空間である。
この直近にトイレと飲料自動販売機が設置されている。 一般客が利用可能な販売施設はこれのみである。

事業所利用者を想定しているため、2018年現在のダイヤでは全日9~16時台には1~2時間に1本の設定、終電も平日は22時台、土日祝は20時台である。 終電を逃すと、駅ホームに終夜閉じ込められる事になる。

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企業倫理を犯して叩かれて
漸く譲歩したのがこの公園

海芝公園(うみしばこうえん)は、海芝浦駅に隣接する私設公園である。 東芝が当駅の待合客に憩いの場を提供したいとの考えから、東芝エネルギーシステムズ京浜事業所が敷地の一部を整備し「海芝公園」と名づけ運営・管理し、一般客に開放している。 1995年5月の開園で、2006年現在は入園無料で、開園時間は9時~20時30分。 但し、元日は初日の出を拝む客の為に、始発電車の到着時に開園する。

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駅からの景観は
京浜運河を見渡せるビュースポットだ

この場所からの眺望は、東京湾が一望でき鶴見つばさ橋など見晴らしがよく、地域住民の散歩・見学の場となっていたり、小学校の写生学習の場として使用される他、カップルや家族連れが来訪する場所となっている。



ワテの『鉄』の知識は、真剣に鉄道趣味をやっている方から石を投げられかねない位にナンチャってな『○鉄』であり、この駅の存在はここ4~5年位前に懇意にして頂いてるブログさんの記事を見て『初めて』知ったのである。 それまでは、都会のロンシー(ロングシート)の通勤車両が行き交うような「眼中にない」路線であり、駅だった。

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この景観素晴らしき駅を
5年位前までは知らなかったのである

そして、この駅の存在を知って「訪れよう・・」と思ったまではいいが、ナンチャってな『○鉄』である事でもあり、この駅だけを主目的に訪れるまでには至らないのである。 それで、コチラ方面の景勝地を訪ねる旅をして、帰りの夜行バスの時間待ちの「そのついで・・」に立ち寄る計画を立てたのである。

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普通の人はコレと駅めぐりを
一緒には計画しませんよねぇ

だが、その「コチラ方面の景勝地」が、駅めぐりをするに相応しくない格好で挑むべくの景勝地だったのである。 それは、沢渡渉を含む滝めぐりだったのである。 そして、渓谷入口でのレンタカーの車中泊&自炊というこのタワケの「いつも通り」の旅程だったが為に、到底駅めぐり・・、しかも都市近郊路線を訪れる恰好ではなかったのである。

その姿は、水に濡れないように両足の裾を股下までまくり上げて、それでも水に浸かってしまってダボダボのゴアゴアとなり、まくり戻してもシワだらけとなったジャージ、「破れてもいいモノ」として着てきたヨレヨレのTシャツで、そのTシャツの首輪がよれているのを隠す為にタオルを首に巻いてゴマかし、自炊道具とシュラフや雨合羽など装備一式を詰めたデカザックを担ぎ、そして極めつけは登山靴は嵩張るので渡渉靴を直に履いてきていたのである。

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こんな靴・・
しかも沢に浸かった後なので
ボロボロで生乾きだったし
小石や水ゴケの痕もあったし・・
※ キャラバンシューズの広告ウェブより

思えば、「よく職質を受けなかったものだ・・」と本人も感心する見事な『不審者』ぶりである。
これでレンタカーを返した橋本駅から横浜線の通勤電車に乗ったのだから、ワテは結構な『なんでもアリ』の道を突き進んでいるよ・・な。 でも、さすがに、橋本から京王線で東京周りで鶴見に行く根性はなかったけど・・。

そして、鶴見のコインロッカーにデカザックを預けて、ショルダーのカメラバックと三脚だけ持って海芝浦駅へ・・。 ちなみに、土休日は『1日3往復』の大川支線は、この少し前にこの滝の『リベンジ失敗』(大雨が降って渡渉断念)の時に、水に浸かってないが為に今回よりシワのないジャージと「濡れてない」渡渉靴という、幾分かマシなバージョンであった。 要するに確信犯なのね、このタワケは。

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横浜ペイブリッジが暮れに
溶け込もうとする時間帯に絶景の駅に着く

・・で、タワケのいでたち以外は何事もなく、海芝浦へ・・。 着いたのは、陽の落ちる1時間位前の17時半位だった。 駅全体が経営が傾いている東芝の敷地内で、我が国の鉄道線で最も『行動範囲が限定されて著しく不自由な駅』が、この『海芝浦』駅であろう。

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以前はこの駅名標を目にして
帰る他に術がなかったのだ

それは、この地を私有地とする企業・東京芝浦電気は極めつけに閉鎖的な企業で、永らく駅敷地を所有する事業所の従業員及び関係者以外は、ホーム上以外の立ち入りを一切禁止する処置を取っていたのである。 この駅から見る京浜運河の情景は、首都圏では指折りのビュースポットの景観を魅せて、観光客を呼べる場所だというのに・・。

まぁ、こんな閉鎖的な考えを堅持しているから、東芝の評判や『企業評価』は、落ちるだけ地に落ちたようである。 それに加えて、ココム違反事件や事業での巨大損失と赤字決算を繰り返し、東芝も「顧客と成り得る人々をぞんざいに扱う事は自らの首を絞める」と言う事に漸く気が着いたようで、1995年に敷地の一部を公園整備して一般に開放する事にしたのである。

だが、これまでの『冷たい』イメージが定着して久しい「遅かりし」決断だったようで、今や東芝の電化製品は日常生活の中でほとんど目にしなくなったのである。 実際にワテの居宅の家電製品を見回してみても、「♪みんな~みんな・・東芝! 東芝のマ~ク」は一つも見当たらない。 実際に東芝の家電はそこまで落ちぶれているのである。

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このロゴの時は良く見かけたが・・
※ グーグル画像を拝借

関西圏に居住するワテだから・・でもあるが、今までは東京の・・、しかも電車路線の駅など眼中になかったし、そこが立入禁止である事などどうでも良かったのである。 だが、ちょっとした事でこの地に立ち寄る機会ができて、その運河から見る夜景をカメラを通して語る機会ができたなら、やっぱりこの企業の『度量の狭さ』が目についたのである。

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このロゴに変わってから
東芝の家電は見かけなくなったな・・
※ グーグル画像を拝借

まぁ、天下の大企業である東芝では一般ユーザーの気持ちが左右する『家電製品』のシェアなど大した問題で無いかもしれないが、その一般ユーザーが抱いた『不評』は、めぐりめぐって企業主幹事業へジワジワと浸透していくものである。 そのいい例が、大企業・東芝の今もなお続く著しい業績不振であろう。

相次ぐ所有不動産の売却やら、音楽や携帯電話といった事業からの撤退、配当見送りや粉飾決算など、『東芝』でググってもロクでもない話題しか出てこないのである。 京浜運河のビュースポットを活かして活況づける・・などの人を呼ぶ事を拒否して陰に籠ってしまった大企業の成れの果て・・を表しているのが、この海芝浦駅での対応だとワテは思うのである。

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敷地を開放して『納涼ビアガーデン祭』でもすると
企業の評判は良くなる事請け合いだよ

夏の休日の夜に敷地を解放して、一般客を相手にビアガーデンやバーべキューイベントを催したり、海上花火大会を催したり、小さなコンサートを開いたりするだけで閉鎖的なイメージは簡単に払拭できるのだ。

でも、東芝という会社は、それをする事をヨシとしないようで、ココム違反事件(発覚は1987年)などで大々的に企業倫理を叩かれていた1995年に漸くビュースポットを《海芝公園》として『一部開放』したのみである。 そう・・現在も、奥行き50m程で幅3m程の小敷地のみの解放しか行われていないのである。

まぁ、この地を訪れて現状を垣間見て、この企業に対してのイメージを悪く持ってしまった事もあり、辛辣な批判めいた事を記してしまったのであるが、その情景をカメラに収めるべくこの地に立っていても、一般の人々と共有しようとしないこの企業に対しての不遜な気持ちがカメラを通して情景と語るうちに鼻歌として現れたよ・・、ワテは。

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いっとき写真を撮るより
替え歌の歌詞を考える方に熱中したよ・・

「♪禿る禿るトウシバ! 落ちる落ちるトウシバ! 転ぶ転ぶトウシバ! 喚く喚くトウシバ! 家電はみんなパナばかり、トウシバのマ~クはどこいった!」などと鼻歌を掛けながらカメラをいじっていたのである。 でも、この歌を守衛に聞かれたらつまみ出されるかもね。

でも、こんな素晴らしい海の情景を未だにごく一部しか解放しないこの企業の度量の狭さを鑑みると、自然と憎まれ口が浮かんでくる・・それが度量の狭い”ワテ”という人間である。 それでは、その素晴らしき海情景をごろうじろ。

海芝公園にて
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暮れゆく横浜ベイブリッジと・・

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雲間から一瞬夕陽が射して
得も言えぬ紅色の空に・・

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もうちょっと船の光跡を
流せば良かったかな・・

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《鶴見つばさ橋》の弱い光と
海浜コンビナートの強い光の調和

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横浜ムベイブリッジを望むと
黄金色の光がボンヤリと海を照らしていた


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たまには海の景色もいいよね・・


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No Subject * by 鳳山
東京湾の絶景ですね。東芝は昔は超一流企業だったのに最近では凋落が激しいですね。防衛産業の一角ではあるので何とか復活して欲しいのですが…。

Re: No Subject * by  風来梨
鳳山7さん、こんばんは。

> 東京湾の絶景ですね。東芝は昔は超一流企業だったのに最近では凋落が激しいですね。防衛産業の一角ではあるので何とか復活して欲しいのですが…。

海の絶景もいいですね。 ここは夕暮れから夜景が素晴らしいです。
それと東芝・・。 財閥意識を捨てて、もっと庶民的な考えを持てば復活できると思います。
前の東芝メモリの売却も、国民のほぼ全てが拒絶するチョンのSKを含めた三国資本に売り払うなど、どうも国民感情からズレているんですよね。 だから、経営を立て直せないのですよ。

東芝は、もっとユーザーである国民の声を聴いて操業すべきですね。

No Subject * by 風旅記
こんばんは。
海芝浦駅、ふと気になりまして、久しぶりにこちらの記事にコメントを入れさせて頂きました。
私は内部の事情は全く分からない者ですが、この一帯の広大な工場群で働く人が減っているのではないかと感じることがあります。
訪ねた時間が合っていないだけかもしれませんが、3両の列車が混み合うこともなく、この駅から淡々と発車していく様子は、“工業地帯を走る”鶴見線としては寂しい風景にも映ります。
隣の新芝浦駅も運河に面していて、この風景を見たくて幾度も訪ねています。
夜の独特な静かさが印象に残り、また行ってみようと誘われるような駅です。

Re: No Subject * by  風来梨
風旅記さん、こんにちは。 ご無沙汰しております。

鶴見線は都会のパラレルワールドですね。
国道駅のアンティークな眺めや2つの路線が大きく反れていく
大きな三角ホームの浅野駅、土日は1日3本だけの大川支線、
ネコの駅の扇町駅、そして海の際のベイエリア絶景駅の海芝浦

普段は電化路線は見向きもしないのですが、この路線は
ちょうど滝めぐりで関東に訪れる時にムリヤリ行程に組んで訪れましたよ。

訪れたのも、狙い通りの夕暮れから夜の最も絶景の時で、満足する写真が撮れました。
また訪れたいのですが、関東に行く用事がなかなか無くて・・。

コメント






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No Subject

東京湾の絶景ですね。東芝は昔は超一流企業だったのに最近では凋落が激しいですね。防衛産業の一角ではあるので何とか復活して欲しいのですが…。
2019-07-27 * 鳳山 [ 編集 ]

Re: No Subject

鳳山7さん、こんばんは。

> 東京湾の絶景ですね。東芝は昔は超一流企業だったのに最近では凋落が激しいですね。防衛産業の一角ではあるので何とか復活して欲しいのですが…。

海の絶景もいいですね。 ここは夕暮れから夜景が素晴らしいです。
それと東芝・・。 財閥意識を捨てて、もっと庶民的な考えを持てば復活できると思います。
前の東芝メモリの売却も、国民のほぼ全てが拒絶するチョンのSKを含めた三国資本に売り払うなど、どうも国民感情からズレているんですよね。 だから、経営を立て直せないのですよ。

東芝は、もっとユーザーである国民の声を聴いて操業すべきですね。
2019-07-27 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

こんばんは。
海芝浦駅、ふと気になりまして、久しぶりにこちらの記事にコメントを入れさせて頂きました。
私は内部の事情は全く分からない者ですが、この一帯の広大な工場群で働く人が減っているのではないかと感じることがあります。
訪ねた時間が合っていないだけかもしれませんが、3両の列車が混み合うこともなく、この駅から淡々と発車していく様子は、“工業地帯を走る”鶴見線としては寂しい風景にも映ります。
隣の新芝浦駅も運河に面していて、この風景を見たくて幾度も訪ねています。
夜の独特な静かさが印象に残り、また行ってみようと誘われるような駅です。
2023-02-20 * 風旅記 [ 編集 ]

Re: No Subject

風旅記さん、こんにちは。 ご無沙汰しております。

鶴見線は都会のパラレルワールドですね。
国道駅のアンティークな眺めや2つの路線が大きく反れていく
大きな三角ホームの浅野駅、土日は1日3本だけの大川支線、
ネコの駅の扇町駅、そして海の際のベイエリア絶景駅の海芝浦

普段は電化路線は見向きもしないのですが、この路線は
ちょうど滝めぐりで関東に訪れる時にムリヤリ行程に組んで訪れましたよ。

訪れたのも、狙い通りの夕暮れから夜の最も絶景の時で、満足する写真が撮れました。
また訪れたいのですが、関東に行く用事がなかなか無くて・・。
2023-02-20 *  風来梨 [ 編集 ]