風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第329回  神戸電鉄・菊水山駅

路線の思い出  第329回  神戸電鉄有馬線・菊水山駅 〔兵庫県〕

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菊水山駅
百万都市・神戸随一の秘境駅だった
※ ウィキペディア画像を拝借

《路線データ》
       営業区間と営業キロ              駅廃止時運行本数
     湊川~有馬温泉 22.5km          上下とも、概ね2時間に1本

菊水山駅(きくすいやまえき)は、かつて兵庫県神戸市北区山田町下谷上字中一里山にあった神戸電鉄有馬線の駅である。 六甲山中の緑深い山腹の標高173メートルに位置する駅で、「秘境駅」と見なされていた。

相対式ホーム2面2線を有する地上駅で、ホーム有効長は5両分の無人駅であった。 駅出入口は新開地方面行上りホームの北寄り鈴蘭台方に接続しており、鈴蘭台方面行下りホームと出口や上りホームの往来は、ホーム北寄りにある構内踏切を利用していた。

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無人駅の典型・・
構内踏切に庇だけの待合所
※ グーグル画像を拝借

利用者極少に伴って2005年3月26日から営業が休止となり、駅施設撤去費用の捻出が困難なゆえに廃止せずに放置状態となっていたが、利用客が見込めない事から2018年3月23日に正式に廃止された。
2004年の平日調査での1日あたりの乗車人員は18人との事。

上りホームにのみ屋根の付いた簡易的な待合所とベンチが設置されていた。 駅舎は存在しなかったが、用途不明の小さいプレハブが建っていた。 自動券売機等は廃止まで設置されなかった。

無人駅で自動改札機などは設置していない事から、下車時は車掌や運転士に乗車券を手渡し、乗車時は車掌から手書きの乗車証明書を受け取り降車駅で運賃を精算した。 その為、2001年の粟生線、2004年の有馬線でワンマン運転を開始した後もワンマンカーは一切停車せず、当駅に停車する各駅停車は必ず車掌が乗務し、更には車内自動放送も行われなかった。


周辺に住居や施設がほとんどない山中で利用客が極端に少なく、基本的には鈴蘭台駅止まりなどの区間列車が2時間に1本程度停車したが、西鈴蘭台駅折り返し列車が減少した2001年6月のダイヤ改正以降は、例外的に有馬温泉駅・志染駅・押部谷駅発着の普通列車の一部も停車した。


停車列車は、到着後に極めて短時間で車両のドアの開閉と出発合図の吹鳴を行い発車していた。

近隣の主要駅では、通過列車について菊水山に停まらない旨を案内し、当駅停車列車に限り「各駅停車」と案内していた。 


2018年現在、ホームは残存するが、駅ホーム下の入口の階段はフェンスで閉鎖されておりホームや構内踏切などに立ち入りは不可能である。 駅までの経路は市道に接続しているが狭隘道路で、曜日や時間で通行が制限されるため注意を要する。




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高校時代に部活の拠点駅となった
駅も廃止になっちまったよ
※ ウィキペディア画像を拝借

ぢ・つ・わ・・この駅、高校のW・V部(校内では蔑称を込めて『ワンゲロ』と呼ばれていた)の部活動である『六甲山月例山行』での拠点駅となっていたんだよね。 そして、六甲全山縦走における最初の脱落ポイントにも指定!?されていたんだよね。

何を隠そう・・、ワテも、社会人になっての再アタック時では、この駅にお世話(とどのつまり、脱落した)になったんだよね。 でも、若い時に勤めていた不動産屋の会長とやらが、「根性論」を前面に押し出す「六甲全山縦走」を推し進めていて、創業者でワンマンの会長にヨイショすべく、営業所の店長クラスの上司が率先して新人社員を刈り出して参加させていたのである。

立場の弱い新入社員は、嫌々「店長命令」命令に従っていたよ。 だから、毎年完走者はナシ(稀に数年に一度完走者が出ていた・・との事)だったよ。 ぢ・つ・わ・・、コレが嫌で入って1~2ヶ月で辞めたのも結構な数でいたみたい。

でも、ワンゲロの経験者で高校の現役時代に『六甲全山縦走』を完遂したワテは、妙な期待を背に受けていたのである。 当然、会長にヨイショする店長クラスの上司も、お出迎えの車を仕立てる程に「かかり気味」だったよ。

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電柱を探し歩く山行って・・
こんなのでモチベーションが
上がる訳ないよ
※ グーグル画像より拝借

でも、完走しても『金一封』が出る訳でもナシ・・、そして『六甲全山縦走』の歩行延長54kmは、高校の現役時を持ってしても至難な『行』であった現実を知る『経験者』は、現実を直視できたのである。

云わば、『営業の墓場』を体得したスチャラカ野郎が、日々鍛錬もナシに達成できる訳がないのだ。
ちなみに『営業の墓場』とは、昼に公園の陰の木立に車を止めて寝る事で、お昼の時間には自社・他社を問わず不動産屋の車が駐っていて、中で営業マンが眠りこけていた。 その様相は、真に『営業の墓場』だったのである。

そんな訳で、期待されようがされまいが「どこで抜けるか?」、「抜ける際の目立たぬようにフェイドアウトする方法はないか?」と、後ろ向きな思考で凝り固まっていたのである。

でも、経験者という事で他の営業マンより注目されていたのである。 なので、他の営業マンより『目立たぬように抜け出る方法』を考えねばならんし、上手く言えば「完走した」とホラを吹ける状況に持っていく方法を模索していたのである。 この「ホラを吹ける状況」とは、この日1日を『行方不明』になる事である。 後は、営業で鍛錬を重ねつつあった『口八丁・手八丁』でゴマかしきる・・という寸法だ。

朝の4時からスタートして、マジで神戸市内のスーパーマーケットの前とか歩いたよ。
でも、他の奴は、早速スーパーマーケットの前のバス停より始発の循環バスに乗って消えていったよ。
まぁ、その後に、配属の営業所からも姿を消した奴もいたみたい。

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予想通り大方の脱落地点
となったスーバー前バス停
※ グーグル画像を拝借

でも、ワテはコイツらと一緒にフェイドアウトする事は適わず(縦走大会前の全社員決起集会で、「経験者~」との賛辞を受けてしまったし・・)、取り敢えず皆が脱落するのを待つ事にした。
でも、ちょっと根性の座った空気の読めない『迷惑な奴』がいて、当然皆が消えているハズだった《須磨アルプス》に登ってきやがる。

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今にして思えば・・
コイツ根性あるジャン!
※ 六甲山全山縦走ウェブより拝借

当時のワテは心の中で「ついてくるなぁ~ このボケェ!」、「とっとと落ちろ(脱落しろ)よ! 何頑張っとるんじゃ!?」と叫んだよ。 でも、街中から紛いなりにも山道となる《須磨アルプス》に入ると、そいつの足がモタつき始めたのである。 そりゃぁ、当然だろう。 《須磨アルプス》は200~300mのヤマの連なりとはいえ、今までの舗装道で平坦な市街地から100~200mのオーダーのアップダウンの山道となるのだから・・。

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山に興味もなく運動もしない奴は
この階段を見ただけで萎えるわなぁ・・
※ 六甲山全山縦走ウェブより拝借

・・で、そいつも、そこはかとなく消えていったよ。 これで、ようやく待ちに待った「望まれる展開」となったのである。 後は、当初の予定通り「目立たぬようにフェイドアウト」する事と、「完走した」とのホラを吹き切れない状況になった時の代替手段である「道をロストして変な所へ出ちゃいましたぁ」という『カードが切れる』状況に持っていく事である。

でも、このタワケ・・、こういう事になると途端に頭がキレるなぁ・・。 その一つでもまともな事に使えば、結構な立ち位置に立てたかもしれないのにねぇ。 つくづく「残念な奴」だなぁ、ワテって・・。

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「道を間違えてしまいましたぁ~」
の言い訳にうってつけな駅
※ ウィキペディア画像を拝借

・・で、さすがに「全山縦走のホラ」を吹くのは躊躇われた(良心の呵責からの事ではないのは念の為)ので、脱落の言い訳を「道を間違えましたぁ~」の一本に絞る事にしたのである。

・・となると、『全山縦走路』で最も道が不明瞭でややこしいのが、出だしの『市街地のスーバーマーケットめぐり』で、ここはもう通過してしまったし、「経験者」として持ち上げられている以上は、ここでのフェイドアウトは無理筋なのである。

次は、《須磨フルプス》の低山の連なりの底部にある集落からバスかタクシーを呼んでフェイドアウトする方法だが、ここも空気の読めない位に「頑張った奴」がいたせいでポシャったのである。
この「頑張った奴」が脱落したのは、恐らく源平合戦の折りに源義経が平家の本陣に向かって駆け下った・・という急坂の下にある神戸電鉄の鵯越駅であろう。 この鵯越駅も、『六甲全山縦走』における脱落の一大拠点となっているし・・。

これで、「向かう所に障害物ナシ!」の状況となったのである。 まぁ、やっこさんが鵯越駅で脱落しただろうから、「経験者」としてのワテはそれより1グレード上の菊水山駅をフェイドアウト地点にする事にしたのである。

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駅の入口からしてコレだしィ・・
※ 六甲山全山縦走ウェブより拝借

そして都合のいい事に、実際に菊水山駅周辺の全山縦走路はかなり不明瞭で、道迷い発生多発地点だったのである。 正しいルートは踏切を渡って貯水池の脇をかすめて菊水山に取り付くのであるが、「フェイドアウトがしたくてたまらない」ワテにとってはどうでもいい事である。

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駅から下る階段
秘境駅のムード満点!
秘境駅は道迷い脱落の
格好の言い訳ネタとなる
※ ウィキペディア画像を拝借

それより、この菊水山駅周辺で道を間違える奴の行動パターンである「踏切を渡らずに直進して鈴蘭台へ抜けてしまった! 残念・・」というのを目指したのである。 そして、それに真実味を出す為に、一度鈴蘭台まで出てから菊水山駅まで引き返したのである。 「ヤル気はあったんだよ! でも道を間違えてタイムオーバーとなって断念せざるを得ませんでしたぁ」というシーンを演出する為に・・。

でも、こういう事となると途端に完璧主義となるなぁ・・。 このタワケは。
・・で、菊水山から鈴蘭台まで往復2時間近くをほっつき歩いてアリバイを造り、菊水山駅に戻る。
列車は2時間に1本で、駅に戻り着いたら次の列車まで1時間チョイ待ちであった。

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この嫌々駆り出された山行で
唯一幸せな心地となれたのが
駅のベンチでの列車を待つひととき
※ グーグル画像を拝借

駅のベンチで、ポカリスエットの粉末を入れた水筒と行動食のココナツサブレを取り出して、青空の下でバリバリと食って2時間に1本の列車を待つ。 このシチュエーション・・、結構幸せだったかも・・と思えるのである。 この『会長ヨイショ全山縦走』で唯一良かったのはこの事かな?

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このウルトラマン・・
昔々に六甲から下りてきた時
横転して転がっていた事もあったなぁ・・
アレを目にした時は興奮したよ
※ ウィキペディア画像を拝借

なお、この会長は兼業するパチンコ屋と焼肉屋で傾いて(モロにチョンでしたよ、この会長)、不動産屋の経営権も手放すハメになっちまったようで・・。 最後に、前の危ない記事の後押しネタとなったよ。
ハイ、お後が宜しいようで。


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古今東西チョンに関わると
ロクな事がない・・というお話でした


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