風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第387回 剱沢(剱岳展望)

『日本百景』 夏  第387回  剱沢(剱岳展望) 〔富山県〕

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山体を照らす斜陽と湧き立つ雲が
更に嶮しさを魅せて・・

  剱   岳 つるぎたけ (中部山岳国立公園)
立山連峰の中でひときわ嶮しく、氷河地形を顕著に示しているのが剱岳である。
山頂は氷食尖峰で、氷河が永い時をかけて多くの嶮しき谷を創りだしている。 これらの谷は、《長次郎谷》・《平蔵谷》など、これらの谷を世に広めた先駆者達の名前がつけられている。

剱岳の魅力は、何といっても“奥の深い”楽しみ方にある。 初心者ならば、室堂からお花畑を突っ切って剱の頂に立つコースがお勧めである。 山歩きに慣れた中級者ならば、剱沢雪渓を渡って仙人池・黒部渓谷に至るコースがいい。 剱沢の万年雪渓を突っ切って、裏剱の八ッ峰と仙人池を目指すのである。

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剱沢より望む剱・八ッ峰

このコースの全般に渡って眺められる裏剱の景観は、とにかく“素晴らしい”のひとことに尽きる。
八ッ峰を映す仙人池や彩り鮮やかな池ノ平、そして夏の“まだ人知れぬ”池ノ平山のお花畑、秋の燃える紅葉と、魅力が盛りだくさんである。

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山の花も大いなる魅力だ

そして、上級者ならば、楽しむ観点はやはり“直に観る・・”であろう。 《長次郎谷》から標高差1000mの雪渓を乗り越えて頂上に立ったり、八ッ峰を“眺める”ではなく直に登るというのも上級者ならではの楽しみ方であろう。 また、一生涯をかけて、“幻の滝”・剱大滝にアタックするのも夢がある。

・・このように、どのレベルの登山者でも楽しめるのが、この剱岳である。



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剱沢~長次郎雪渓登攀ルート 行程図

    行程表              駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR富山駅より鉄道利用(1:05)→立山駅よりケーブルとバス(1:00)→室堂
     (0:20)→雷鳥平(1:50)→剱御前小屋(0:50)→剱沢キャンプ場
《2日目》 剱沢キャンプ場(0:40)→長次郎谷出合(2:10)→熊ノ岩
     (1:00)→長次郎谷・左俣ノコル(0:20)→剱岳(2:30)→剱沢小屋
     (2:30)→室堂よりバスとケーブル(1:00)→立山駅より鉄道利用(1:05)→JR富山駅

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バリエーションルートを登って
憧れの嶮峰へ・・

 《1日目》 室堂より剱沢へ
岩登り初級者向けコースから稜線の岩峰完全縦走まで、柔剛様々な登山コースを抱く剱岳。
神々しいまでの岩峰美を魅せる剱岳。 さて、今回はこの魅力尽きない剱岳に、バリエーションルートである《長次郎雪渓》を使って登高してみよう。

一般のコースでは味わう事のできない様々な情景や体験、“一歩間違えれば”というスリル、登高を終えて下を見下ろす高揚感。 全ては、登った者にしか味わえぬ感覚だ。 それでは、あの高揚感を体感しにいこう。 

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初夏のこの時期は
高山植物も最盛期となる

まず、このコースをアタックするに当たって一番考慮せねばならないのは、「如何にしたなら、《2日目》の午前中に剱岳の上に立てるか?」という事である。 従って、「その為にはどうすればいいのか?」を考える必要が多分にある。 アイゼン・ピッケルの装備は当然の事として、最も行程を左右するのは雪渓の状態、つまりコースの状況なのである。 

もし、途中にクレバスがあったならこのコースの登高は不可能となるし、雨が降って一夜を経たならガチガチのアイスバーンとなっている事だろう。 また、気候や気温によって、雪渓の着き具合も毎年違ってくる。 これらの状況を判断して、“行くか!、戻るか?”の判断を的確にして頂きたい。

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午後になると入道雲が湧き立ち
突然のスコールとなる事も・・
湧き立つ雲の情景は素晴らしい!の一言だけど・・

この日の行程をこなせるかどうかは、全てケーブルの乗車時間次第・・といってもいいだろう。
お盆や紅葉シーズンの連休などは、ケーブルの待ち時間で3~4時間食われる事もある。
それにしても、シーズン中の人だかりはただごとではない。 この人だかりと順番待ちで意欲を殺がれないようにしたいものである。 それでは出発しよう。

《室堂》のバスターミナルを3階まで上がると、《室堂平》のゲレンデだ。 眼前にある『銘水百選・立山の湧水』で水筒を満たしてから、剱御前の後にひょっこりと突き出す剱岳に向かって歩いていこう。
ターミナルから剱岳のそびえ立つ左側へ進路を取ると、程なく《ミクリヶ池》に出る。
ここは、水面に立山の山屏風が投影される絶好の撮影ポイントである。

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雪を乗せた立山連峰と
どこまでも深い蒼を魅せるミクリヶ池

《ミクリヶ池》を越えると、《ミクリヶ池温泉》の建物の前を通る。 ここから、この温泉の湯元である《地獄谷》に向かって、標高差150m下っていく。 下る程に、硫黄臭が鼻をついてくるだろう。
《雷鳥沢ヒュッテ》を過ぎて更に下った所が、《雷鳥沢》のキャンプ場だ。 この先にある《雷鳥沢》を桟橋で渡ってから、剱御前に向かって登り返していく。

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雷鳥坂の上りのキツさは
残雪模様を魅せる室堂の情景で癒そう

登山道は、剱御前の南斜面に広がる沢地形の縁に沿ってついてあり、これをジグザグに切りながら登っていく。 やがて、沢地形の上部に出て山肌の左側を巻くようになると、この登りの頂点である《剱御前小屋》は近い。 《剱御前小屋》の建つ《別山乗越》からは、待ちに待った剱本峰の勇姿が望めるであろう。

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別山乗越から望む剱岳

剱岳本峰へ直接登るルートと異なる点といえば、《別山乗越》で《剱山荘》への道を取らずに《剱沢》へ下る事くらいである。

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剱沢より下ってきた
別山乗越からのルートを望む

下に剱沢と《剱沢小屋》、そしてシーズンならキャンプを張る登山者の色とりどりのテントが望めるだろう。 さぁ、明日は、夜明けと共に出発だ。 明日の体験に胸をときめかせつつ早めに休もう。

剱岳ギャラリー 剱沢にて
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斜陽に輝く剱岳の通称『ゴキブリの頭』

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一時は雲が立ち込めて
明日の天気が案じられたが・・
最後は最高の夕景を魅せてくれた

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夜明けの光で
かぎろい色に染まる剱の谷

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さぁ・・あのギザギサに尖った岩峰を
間近に魅せられにいこう!


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特別な山 * by hanagon
剣沢からの剱岳がやはり一番カッコいいですね!感慨を覚えます。
この山は自分にとっては特別な山となっています。
というのも、親友とも言うべき私のかつての相棒の命を奪った山が剱岳なのです。
ずいぶん昔に一般ルートの別山尾根から登ってはいたのですが、そのことがあって以降、剱岳を見る目が変わらざるを得なくなりました。
もっとも技術・体力が落ちた今の自分にとっては、背伸びしないと登れない山となってしまったのが恨めしい限りなのですが…

Re: 特別な山 * by  風来梨
hanagonさん、こんばんは。

> 剣沢からの剱岳がやはり一番カッコいいですね!感慨を覚えます。
> この山は自分にとっては特別な山となっています。
> というのも、親友とも言うべき私のかつての相棒の命を奪った山が剱岳なのです。
> ずいぶん昔に一般ルートの別山尾根から登ってはいたのですが、そのことがあって以降、剱岳を見る目が変わらざるを得なくなりました。
> もっとも技術・体力が落ちた今の自分にとっては、背伸びしないと登れない山となってしまったのが恨めしい限りなのですが…

思い入れのあるヤマ・・、ありますよね。 私も日高のカムエクは、ヤマ人生最大の『オチャメ』をやらかしまして、ホームページのハンドルネームにする位に思い入れがあります。 その『オチャメ』な事は、いずれ『よも”ヤマ”話』にて・・。

私もかつてとは別人な位にヘタりにヘタりまして、所要タイムがかつての1.5倍(下手すりゃ2倍)に落ちてしまいました。
特に下りは、2時間コースが4時間かかってしまいます。 日が暮れてカンテラかざして歩いて、着いた宿泊地でお小言を食らう事もしばしばですね。

その対応策として、何でもアリ(どこでもテント張っての野宿・ビバークを厭わない)になってます。(悶)

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特別な山

剣沢からの剱岳がやはり一番カッコいいですね!感慨を覚えます。
この山は自分にとっては特別な山となっています。
というのも、親友とも言うべき私のかつての相棒の命を奪った山が剱岳なのです。
ずいぶん昔に一般ルートの別山尾根から登ってはいたのですが、そのことがあって以降、剱岳を見る目が変わらざるを得なくなりました。
もっとも技術・体力が落ちた今の自分にとっては、背伸びしないと登れない山となってしまったのが恨めしい限りなのですが…
2019-07-14 * hanagon [ 編集 ]

Re: 特別な山

hanagonさん、こんばんは。

> 剣沢からの剱岳がやはり一番カッコいいですね!感慨を覚えます。
> この山は自分にとっては特別な山となっています。
> というのも、親友とも言うべき私のかつての相棒の命を奪った山が剱岳なのです。
> ずいぶん昔に一般ルートの別山尾根から登ってはいたのですが、そのことがあって以降、剱岳を見る目が変わらざるを得なくなりました。
> もっとも技術・体力が落ちた今の自分にとっては、背伸びしないと登れない山となってしまったのが恨めしい限りなのですが…

思い入れのあるヤマ・・、ありますよね。 私も日高のカムエクは、ヤマ人生最大の『オチャメ』をやらかしまして、ホームページのハンドルネームにする位に思い入れがあります。 その『オチャメ』な事は、いずれ『よも”ヤマ”話』にて・・。

私もかつてとは別人な位にヘタりにヘタりまして、所要タイムがかつての1.5倍(下手すりゃ2倍)に落ちてしまいました。
特に下りは、2時間コースが4時間かかってしまいます。 日が暮れてカンテラかざして歩いて、着いた宿泊地でお小言を食らう事もしばしばですね。

その対応策として、何でもアリ(どこでもテント張っての野宿・ビバークを厭わない)になってます。(悶)
2019-07-14 *  風来梨 [ 編集 ]