風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第384回  九重・平治岳 その1 (上り)

『日本百景』 夏  第384回  九重・平治岳 その1 (上り) 〔大分県〕

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山肌をピンクの斑点で染め上げて・・

  九重山群 くじゅうさんぐん (阿蘇くじゅう国立公園)
瀬ノ本・飯田高原を控えてそびえ立つ山群は、『九重山群』と呼ばれている。 
九州本土の最高峰・中岳 1791メートル をはじめ、久住山 1787メートル ・三俣山 1745メートル ・大船山 1786メートル ・星生山 1762メートル など、1700m級の山々がひしめいている。 九重の山容は、全体的に丸みのあるトロイデ型火山の集まりで、頂上がデコボコした特異な山頂が多いのが特徴であろう。 

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ミヤマキリシマのピンクと
丸みを帯びたトロイデ火山の組み合わせ

そして、この九重山群の魅力は花・登山・温泉の3つからなるが、まずは花・・。
大船山・平治岳 1643メートル の山頂付近にあるミヤマキリシマの大群落は、息も着かせぬ美しさである。

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息も着かせぬ鮮やかな
ピンク色を魅せてくれる

次に登山・・。 花の大船山、九州本土の最高峰・中岳、特異な山容を魅せる三俣山など、志す山がたくさんある大いなる魅力を秘めた山域である。 

最後に温泉・・。 標高1300mの高所に湧く《法華院温泉》、湧蓋山 1500メートル 山麓の《筋湯》など、“湯の里”でもあるのだ。



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九重・花の峰へ・・ 登山ルート行程図

   行程記録             駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 熊本市街よりバス(3:35)→長者原(2:00)→法華院温泉・坊ヶツル
《2日目》 法華院温泉・坊ヶツル(1:10)→大戸越 (0:40)→平治岳
     (0:35)→大戸越(1:35)→段原(0:35)→大船山(0:25)→段原
     (1:45)→法華院温泉・坊ヶツル
《3日目》 法華院温泉・坊ヶツル(1:45)→長者原よりバス(0:50)→JR豊後中村駅

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山を染める花の峰へ・・

  《1日目》 坊ヶツルへ・・
やっと行く事ができました! ヤマを染めるピンクの花園の峰へ・・。 今までなかなか行けなかったのは、その花が咲き乱れる時期が6月初旬と、訪ねるには最も難しい時期であるのが大きな理由だろうね。

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放浪期でも6月初旬は
放浪資金を稼ぐ為に働いていたし・・

そして、九州というワテの住んでる関西から微妙に遠すぎる位置も、二の足を踏んでいた理由だろう。
だが、長距離の夜行列車は遠の昔に全滅したが、それに取って代わった長距離の高速夜行バスが、大阪から「プラス有給1日」の金・土・日の3日で、九州のヤマを訪ねる事を可能にしたのである。

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かつては前夜発では到底行けなかった
九州の桃源郷・坊ヶツルへ到達が可能となった

大阪から夜行バスで熊本まで出るが、もう駅と鉄道は交通の起点とはならないらしい。
夜行バスも熊本駅まで出るとバスの乗り継ぎが間に合わない設定となっており、手前の『熊本交通センター』というバスセンターで、全てのバスの乗り継ぎが可能となる設定となっている。 この事に、鉄道駅の地盤沈下を垣間見た思いがするよ。

『熊本バスセンター』で、《山なみハイウェイ》を通って阿蘇と九重の山域をめぐる〔九州横断特急〕なるバスに乗って、約3時間半で登山口の長者原に着く。 この日は生憎の雨模様だったので登山者のマイカーも思ったより少なかったようだが、それでも車の駐車場所を確保するだけで時間を食うのはできたら避けたい=バスで来た方が有利だろう。 それに渋滞にでもあったなら、山行自体を中止にせざるを得ないハメになるし・・。

それでは、いで湯の湧く山中の宿泊地・坊ヶヅルまでの行き帰りに1日を使って、花の峰・平治岳や【名峰百選】の峰・大船山の周遊にたっぷり1日を使う贅沢な山旅をプロデュースしようと思う。

〔九州横断特急〕なるバスは、熊本地震で分断された豊肥本線の阿蘇駅(この駅も鉄道駅としてより『道の駅・阿蘇』として使われているようだ)と瀬ノ本高原のドライブインで休憩停車をしてムダ金を使わせて、3時間半かかって九重山群の登山口である牧ノ戸峠や長者原に着く。 かつては絶対に不可能であった「大阪を前夜発で、昼過ぎに九重の登山口に着く」という奇跡的な移動が可能となったのである。

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山中で見つけた白いスミレ・・
このバスに乗るのは白いスミレを
見つける位に困難だと思っていたが・・

でも、こんなに貴重なバス便で、予想では超満員で「3週間前でバスチケットが取れたのは奇跡的」と思っていた〔九州横断特急〕の座席は半数程の埋まる程度のガラ空きで、しかもその利用客のほとんどが九重登山ではなく、黒川温泉などの阿蘇の温泉郷めぐりの客ばかりであった。

さて、バスは定刻通りに長者原に着き、折からの降ったり止んだりの空模様の中を歩いていく。
今日の宿泊場所である坊ヶヅルまで4.7km、コースタイムで約2時間の道のりだ。
ルートの前半は、森林帯の火山岩がゴロゴロ転がる道をタラタラと登っていくような感じだ。

途中で激しい雨が降り出して、ザックから合羽を出して着たりした(最初から着ると暑いので着なかった)ので、思ったより時間を食ってコースタイムを切る事ができなかったよ。

森林帯より出ると、雨ヶ池という「雨が降った時だけ池ができる」湿地帯と、正面にデカデカと三俣山がそびえた庭園状の所に出る。 でも、「今年はまだ早くハズレの年かな」と登山者が口々に言ってた通り、まだミヤマキリシマは路傍にチョコチョコと咲く程度であった。

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坊ヶツルまでは
萎れ気味の花が咲いてるのみだった

この湿原を越えると、雨ヶ池越という峠に出る。 峠といっても登り着いた感は全くなく、目指す坊ヶヅルが眼下に広がる展望所といった塩梅だ。

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山中の絶好の宿泊地・坊ヶヅル

この峠を越えると、樹林に囲まれたやや急な坂(といっても大した事はない)を過ぎて、砂利道となった坊ヶヅルに着く。 今日はこの坊ヶヅルで、明日の花の峰の夢を紡ごう。



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三俣山とピンクの花の波の絶景

  《2日目》 九重・ピンクに染まる山の周遊行
朝は満を持して4時に起きる。 今日は坊ヶヅル連泊でテントをデポったままの周遊行程であるが、5時に出発するには、あるミッションをクリアせねばならない。 それは「先着2名様」までのボットン便所だ。 もう、飯よりも先に暗い内からロックオンして初めてゲットできるミッションだが、予想に反して4時過ぎではまだ渋滞とはなっておらず、ミッションは無事クリア。

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登り始めはドス曇りだったが・・

・・で、5時過ぎには登り始める。 まぁ、夏至に近い時期なので、陽の昇りが遅い九州でも、5時半には明るくなっている。 平治岳の取付である大戸越まで標高差にして200mちょっとで、ヘタレとなったワテをしても息も挙がらずに大戸越に上り着く。

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大戸越に着く頃には日差しが射してきて・・

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鮮やかなピンク色のコロニーが
アチラコチラに・・

折から射してきた陽の光で、ピンク色に染まった山肌がまだら模様のピンクの斑点を示しているのが望まれた。 その鮮やかなピンクの斑点・・、新緑の緑と相俟って絶景を醸し出す。 ここからは、もう文で書き表すのは不可能だ。 ワテの稚拙なウデで撮った写真で語るとしようか・・。

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ピンクの斑点の山に登っていく・・

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山肌をビンクに染めるモノ・・

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登っていく毎に
大船山の緑が眩く・・

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坊ヶツルの草原が広がる展望所で一服

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ミヤマキリシマのコロニーを入れると
展望所の眺めが絶景となった

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肩まで登り着くと
大船山との標高の違いが手に取るように判る

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平治岳の南峰は
露岩をアクセントに・・

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肩から本峰へ平行移動

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平行移動で最高峰・中岳が
ゆっくりと左へ移動する

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やがて三俣山が視界に入ってきて・・

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山肌がピンクの斑に染まった峰を
巻くように登ると・・

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平治岳の頂上が見えてくる

以前は鎖場があった程に急だった平治岳の上りも、登山者の増加で危険な所は全て丸太がかましてあったよ。 やがて肩に登り着き、ピンク色に染まる山体へつめていくと、平治岳 1643m の頂上だ。
頂上では、山がピンクに染まる絶景を堪能しよう。

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平治岳頂上到着!

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ミヤマキリシマの背後に雲海が・・

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ミヤマキリシマと大船山

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雲海とミヤマキリシマの
コラボを狙ってみる

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三俣山に向かって連なる
ビンク色の花の波

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湧き立つ雲海と
ミヤマキリシマのコラボ

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山と新緑の緑とピンク色の花・・

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望遠で引っ張って
雲海を強調してみた

今日はたっぷりと時間をとる周遊行程といえども、あまり時間を浪費し過ぎるのも後々になって困るので、キリの良い所で腰を上げよう。 ・・次回の『第385回』は、『平治岳・その2 (下り) 』編を語ろうか。


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と考えるバカがいるだけでゾッとする



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No Subject * by ●kuromaru
こんにちは。
九州の山は遠くてほとんど登ったことがないのですが、花もキレイでなかなか素晴らしいですね。
時間と金に余裕ができれば行きたいのですが、いつの日のことになるのやら…

No Subject * by 鳳山
九重は近くは通ったことがあるんですが、一度は登ってみたいですね。私のような登山の素人には難しいかもしれませんが。

やはりミヤマキリシマ * by hanagon60
九重は遠い昔に登った事がある、九州唯一の山です。
法華院温泉に入りたかったので、その時は小屋泊まりでした。
中途半端な時期だったので花も紅葉もなし。やはりここはミヤマキリシマの時が一番ですね。

Re: No Subject * by  風来梨
●さん、こんばんは。

> こんにちは。
> 九州の山は遠くてほとんど登ったことがないのですが、花もキレイでなかなか素晴らしいですね。
> 時間と金に余裕ができれば行きたいのですが、いつの日のことになるのやら…

私も時間と金という理由で、今まで行けませんでした。 特に6月というと祭日がないので、日程を組み辛いつきなのですよね。
もう、夜行バスの乗り継ぎというアプローチがオンリーですね。

何でも、これでも例年に比べれば花が少なく「ハズレ年」だそうです。

Re: No Subject * by  風来梨
鳳山さん、こんばんは。

> 九重は近くは通ったことがあるんですが、一度は登ってみたいですね。私のような登山の素人には難しいかもしれませんが。

大丈夫ですよ~。 山中の温泉付きリゾート、法華院温泉の山小屋どまりだと、空身で温泉療養付きで山に登れますよ。
ヘタレて歩行時間がかつての2倍となった私でも、登山口の長者原から法華院(坊ヶヅル)まで、テントを担いでも2時間程で行けます。

Re: やはりミヤマキリシマ * by  風来梨
はなゴンさん、こんばんは。

> 九重は遠い昔に登った事がある、九州唯一の山です。
> 法華院温泉に入りたかったので、その時は小屋泊まりでした。
> 中途半端な時期だったので花も紅葉もなし。やはりここはミヤマキリシマの時が一番ですね。

かつては大船山の鞍部でテントを張って夜明けと共に山を歩いた猛者でしたが、別人のようにヘタれて坊ヶツルでテントデポの空身で、かつてより時間がかかってたりします。 その時は5月のゴールデンウイークで、一面笹原でした。

その時の記事は下のURLです。 宜しければどうぞ。
https://furai58.blog.fc2.com/blog-entry-1244.html

ミヤマキリシマ・・、絆されました。 来年もまた行きたいな・・と。

コメント






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No Subject

こんにちは。
九州の山は遠くてほとんど登ったことがないのですが、花もキレイでなかなか素晴らしいですね。
時間と金に余裕ができれば行きたいのですが、いつの日のことになるのやら…
2019-06-30 * ●kuromaru [ 編集 ]

No Subject

九重は近くは通ったことがあるんですが、一度は登ってみたいですね。私のような登山の素人には難しいかもしれませんが。
2019-06-30 * 鳳山 [ 編集 ]

やはりミヤマキリシマ

九重は遠い昔に登った事がある、九州唯一の山です。
法華院温泉に入りたかったので、その時は小屋泊まりでした。
中途半端な時期だったので花も紅葉もなし。やはりここはミヤマキリシマの時が一番ですね。
2019-06-30 * hanagon60 [ 編集 ]

Re: No Subject

●さん、こんばんは。

> こんにちは。
> 九州の山は遠くてほとんど登ったことがないのですが、花もキレイでなかなか素晴らしいですね。
> 時間と金に余裕ができれば行きたいのですが、いつの日のことになるのやら…

私も時間と金という理由で、今まで行けませんでした。 特に6月というと祭日がないので、日程を組み辛いつきなのですよね。
もう、夜行バスの乗り継ぎというアプローチがオンリーですね。

何でも、これでも例年に比べれば花が少なく「ハズレ年」だそうです。
2019-06-30 *  風来梨 [ 編集 ]

Re: No Subject

鳳山さん、こんばんは。

> 九重は近くは通ったことがあるんですが、一度は登ってみたいですね。私のような登山の素人には難しいかもしれませんが。

大丈夫ですよ~。 山中の温泉付きリゾート、法華院温泉の山小屋どまりだと、空身で温泉療養付きで山に登れますよ。
ヘタレて歩行時間がかつての2倍となった私でも、登山口の長者原から法華院(坊ヶヅル)まで、テントを担いでも2時間程で行けます。
2019-06-30 *  風来梨 [ 編集 ]

Re: やはりミヤマキリシマ

はなゴンさん、こんばんは。

> 九重は遠い昔に登った事がある、九州唯一の山です。
> 法華院温泉に入りたかったので、その時は小屋泊まりでした。
> 中途半端な時期だったので花も紅葉もなし。やはりここはミヤマキリシマの時が一番ですね。

かつては大船山の鞍部でテントを張って夜明けと共に山を歩いた猛者でしたが、別人のようにヘタれて坊ヶツルでテントデポの空身で、かつてより時間がかかってたりします。 その時は5月のゴールデンウイークで、一面笹原でした。

その時の記事は下のURLです。 宜しければどうぞ。
https://furai58.blog.fc2.com/blog-entry-1244.html

ミヤマキリシマ・・、絆されました。 来年もまた行きたいな・・と。
2019-06-30 *  風来梨 [ 編集 ]