風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第323回  興浜北線・豊牛駅跡

路線の思い出  第323回  興浜北線・豊牛駅跡 〔北海道〕

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裏が原野の物置
後に建てられた火ノ見櫓
何の目的で残されたのだろう・・ この駅跡は

《路線データ》
       営業区間と営業キロ        輸送密度(’79) / 営業係数(’83)
     浜頓別~北見枝幸 30.4km         111    /  2201       
 
     廃止年月日         転換処置        廃止時運行本数
       ’85/ 7/ 1           宗谷バス          6往復

豊牛駅(とようしえき)は、かつて北海道(宗谷支庁)枝幸郡浜頓別町字豊寒別にあった、国鉄・興浜北線の駅である。 興浜北線の廃線に伴い、1985年7月1日に廃駅となった。

廃止時点で、単式ホーム1面1線を有する駅で、ホームは線路の東側(北見枝幸方面に向かって左手側)に存在した。 分岐器を持たない棒線駅となっていた。 駅舎は構内の北東側に位置し、ホームから少し離れていた。 無人駅となっており、有人駅時代の駅舎は改築されて、斜内駅と同型のマスプロ設計の小型駅舎に建て替えられていた。 なお、駅舎内にトイレを有していた。

駅名の由来は、駅所在地は『豊寒別』と『プイタウシ』の中間にあり、「牛が豊かになるように・・」との地元の要望から『豊寒別』の『豊』、『プイタウシ』の『ウシ』・・即ち『牛』の1文字づつを取って命名したものである。

なお、『豊寒別』はアイヌ語の『トイカムペッ(toy-kamu-pet)』(土・かぶさる・川)に由来するとされ、『プイタウシ』はアイヌ語で「エゾノリュウキンカの根を掘る所」の意とされている。

駅跡周辺には小さな漁村がある。海岸までは約0.2km。 駅裏は原野になっている。
2010年時点では駅舎が残存しており、物置として利用されている。 以前は駅舎の中に入る事ができたが、2012年時点では扉は施錠されており、ガラス越しにしか中が見れなくなっている。
旧駅舎の周囲は、畑になっている。



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この補充券が切られてから
30年以上経ってしまった

もう、『オホーツク縦貫鉄道の夢』が潰えて30年以上の時が経った。 あれほど熱中して追い求めた事も、少しずつ・・少しずつワテの中でも風化して行っているような気がする。

なぜそんな事を記したかというと、春の北海道旅で北オホーツクのこの地を訪れたのはクッチャロ湖のハクチョウが目当てで、すぐ近くにある興浜北線の事はほぼ素通しの計画を立てていたのである。

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今回はこの遺構に
立ち寄る気は全くなかった

それに、ハクチョウのいるクッチャロ湖は浜頓別町の中心部にあって、食糧調達などで遠出する必要もなく、宿泊場所もクッチャロ湖前の駐車場がトイレ完備であるのに加えて、駐車場のすぐ上の高台にはクアハウスもある「温泉付き」なのである。

要するに、ハクチョウを狙う滞在型(滞在型といっても2泊3日だけど・・)の旅をするにおいて、全てのモノがホテルなどに泊まる事もなく(あっても泊らんけど・・)全てが賄えるのである。
従って、全てが賄った「クッチャロ湖=浜頓別の街」から離れる必然性がなく、近くとは言え、興浜北線の遺構に立ち寄るような予定も立たなかったのである。

計画としては、じっくりとハクチョウさん達の生態行動を捉えて激写する事に、日が出てる間の丸1日を費やそう・・というものだった。 だが・・、餌付けされての食いっぱぐれる事のない安心からかハクチョウさんは超ぐうたらで、餌が撒かれる時まで芝生の上に上って首をとぐろ巻きにして寝てやがるのがほとんどなのである。

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ハクチョウよりカモの方が
投げられる餌により近い
ポジションで待機してるよ・・

それよりもハシッコイのがマガモで、観光客がハクチョウに向けて投げ入れる食パンの切れ端を、緩慢な動きのハクチョウから全て掠め取っているのである。 残るは、餌を取り逃したハクチョウ同士でバタつきあってるのである。

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投げられる餌はカモが素早くゲットして
餌を取り逃したハクチョウ同士て群れ合っていた

そんな感じで、朝に飛来してくるシーンを撮り終えると、ハクチョウさんたちはこのようにぐうたらな姿で微睡みタイムに突入するのである。 また、餌が巻かれる時も、寝ていた奴までもそもそとやって来て、タライ2杯分の餌がほぼなくなるまで餌場にタムロして離れない=写真を撮るようなシーンはやってこないのである。

もう、待ってるだけ時間のムダ・・な状況になってきたのである。 そこで、餌付け場所の水鳥観察館から巣へ帰るべく飛び立つであろう夕方に全てを賭ける事にしたのである。 餌が巻かれる時間は朝の11時位・・。 まぁ、湖面が斜陽に輝くのが16時前後として、スタンバイの時間を考えると15時に戻ってくれば十分だろう。

予期せずに11時から15時までの時間が空いた訳である。 ・・となると、浜頓別の街にいても逆に「4時間のヒマつぶし」は何もする事がなく、苦しいだけとなるのである。 ・・で、この浜頓別界隈で15時までに必ず戻れる「ヒマつぶし」場所となれば、「かつて取った杵柄」の『興浜北線の遺構めぐり』となったのである。

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ターゲットがヤマとなって
久しくなった頃に訪ねて・・
名も無き野花が切ないまでに
時の無常観を漂わせていた・・
その情景に心奪われたのだが・・

興浜北線での思い出自体は斜内の方が大きいのだが、斜内駅は前年の春の北海道旅で訪ねて、以前魅せられたあの情感深い情景から、野花は刈り取られて資材置き場に変わっていてガッカリしたので、別の駅跡にする事にした。

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以前訪ねた北見枝幸駅跡は
駅の面影が全く無かった

取り敢えず北見枝幸から戻るように遺構を訪ねてみたが、北見枝幸駅跡は公園と石碑となっているのを知っていたのでパスとした。 次の問牧は公民館となっているようで、これもパスとした。
乗降場の山臼は駅があった位置が判らずパスで、目梨泊は工事現場の資材置き場となっているようだったので、これもパスとする。

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興浜北線の最大の遺構
斜内山道へ・・

そして、興浜北線の最大の遺構である北見神威岬灯台下をめぐる斜内山道の線路跡だが、撮影したあの時によじ登った岩の上で目を瞑ると、あの時の記憶が甦ってジーンときたよ。

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この岩の上に立ち・・

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生涯の『お宝写真』を撮ったのを
思い出してジーンとなったよ

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その時を思い出して
同じようにシャッターを押してみる

また、岬をめぐる列車を手を振って見送った灯台上にも昇り、あの時と全く違う海が広がるだけの景色を眺めて、再びジーンときたよ。

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岬をめぐる列車を
手を振って見送った灯台に昇って
海を見下ろしたが・・

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あの時と違う
ただ海が広がる情景に
無常感が漂っていた

かつて国道238号だった下の道も、斜内山道の岩盤を刳り貫いた北オホーツクトンネルの開通で冬季閉鎖の側道に格下げられて全く車がやってこなくなり、あの頃から30年経った事を思い知らされる。

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岬の下をめぐった国道も
捨て去られしモノが奏でる
鎮魂歌を響かせていた

斜内は前述の如くなので飛ばして、乗降場の豊浜はバス停のみを見つけて、今回取り上げる豊牛に向かう。 そう・・、この豊牛は冬の旅で一度訪れよう・・と思っていたものの発見できずに通り過ぎてしまったので、実は今回が初めての駅跡訪問だったのである。

豊牛駅跡は『豊牛』バス停ポールの立つ脇道を20mほど入った所にあり、車で流していると見逃す確率の高い奥まった所に駅があった。 駅舎は完全に物置と化しており、鍵が掛けられていた。
中には現役時代に掲示されていた時刻表がそのまま掲げられていたが、ガラス越しでしか撮れず、ガラスに反射してハッキリ撮れなかったよ。

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ガラスの反射で
まともに撮れなかったよ

次の頓別乗降場跡は発電用の風車が建っていて、ちょっと車では立ち寄れ無さそうだったし、そろそろ14時も周って時間切れとなってきたのでクッチャロ湖に戻る。 戻り着いたクッチャロ湖では、ハクチョウが斜陽に輝く湖面で午前中のぐうたらとは別モノのように優雅な舞を舞っていた。

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午後・・ 湖面でたたずんでいた
ハクチョウたちが優雅に舞い始めた

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その舞は求愛の舞なのだろうか・・

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この湖の主役である事を主張する
雄壮の舞なのだろうか・・

そして、滅多に見れる事のない『ハッピーリング』もゲットできたし、胸がジーンとくる懐かしい思い出も甦ったし、この春の旅もかけがえのない思い出の旅となったのである。

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ハクチョウのつがいの愛の語らい・・
『ハッピーリング』

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No Subject * by 鉄道日本一周
北海道での火の見やぐら、珍しいですね。
しかも後になって作られている…なんて、驚きです。
斜内桟道素敵です。

Re: No Subject * by  風来梨
日本一周さん、こんばんは。

> 北海道での火の見やぐら、珍しいですね。
> しかも後になって作られている…なんて、驚きです。
> 斜内桟道素敵です。

この興浜北線は、私が社会に出て自由に旅に出れるようになる前に廃止となったので、撮れたのはこの1回コッキリです。
実は夏にも訪れたのですが、その時は痛恨のフイルム間違いで撮った写真全ボツでしたから・・。

だから、廃止になった後も何度も訪れた所ですね。
それと火ノ見櫓は豊牛駅跡だけでなく、隣の斜内駅跡にもありました。

路線の思い出 第200回 斜内駅
https://furai58.blog.fc2.com/blog-entry-1223.html

No Subject * by ラスカル
今晩はヽ(*’-^*❤☆♪

白鳥のハッピーリング、素敵ですね♥
ナイス🌟♪v(*'-^*)^🎀

興浜北線好きでした * by hanagon60
興浜北線は私も大好きな路線でした。ポイントとなる斜内山道の情景が今も目に浮かびます。
豊浜仮乗降場でお昼寝した事もありました。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-393.html

Re: No Subject * by  風来梨
ラスカルさん、こんばんは。

> 今晩はヽ(*’-^*❤☆♪
>
> 白鳥のハッピーリング、素敵ですね♥
> ナイス🌟♪v(*'-^*)^🎀

いいタイミングで撮れました~。
結構狙っている写真撮りが多いみたいですが、なかなか魅せてくれません。 撮った時は、心もハッピーリングでした。

Re: 興浜北線好きでした * by  風来梨
はなゴンさん、こんばんは。

> 興浜北線は私も大好きな路線でした。ポイントとなる斜内山道の情景が今も目に浮かびます。
> 豊浜仮乗降場でお昼寝した事もありました。
> https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-393.html

あら~、はなゴンさんも乗られてましたか!
恐らく、この興浜北線は「復活したら乗ってみたい路線No.1」ですからね~。 この頃は良かったですね。 穏やかに時が流れてました。 願わくば、もう一度・・、流氷接岸時に北見神威岬で撮りたいなぁ。

コメント






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No Subject

北海道での火の見やぐら、珍しいですね。
しかも後になって作られている…なんて、驚きです。
斜内桟道素敵です。
2019-06-23 * 鉄道日本一周 [ 編集 ]

Re: No Subject

日本一周さん、こんばんは。

> 北海道での火の見やぐら、珍しいですね。
> しかも後になって作られている…なんて、驚きです。
> 斜内桟道素敵です。

この興浜北線は、私が社会に出て自由に旅に出れるようになる前に廃止となったので、撮れたのはこの1回コッキリです。
実は夏にも訪れたのですが、その時は痛恨のフイルム間違いで撮った写真全ボツでしたから・・。

だから、廃止になった後も何度も訪れた所ですね。
それと火ノ見櫓は豊牛駅跡だけでなく、隣の斜内駅跡にもありました。

路線の思い出 第200回 斜内駅
https://furai58.blog.fc2.com/blog-entry-1223.html
2019-06-23 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

今晩はヽ(*’-^*❤☆♪

白鳥のハッピーリング、素敵ですね♥
ナイス🌟♪v(*'-^*)^🎀
2019-06-25 * ラスカル [ 編集 ]

興浜北線好きでした

興浜北線は私も大好きな路線でした。ポイントとなる斜内山道の情景が今も目に浮かびます。
豊浜仮乗降場でお昼寝した事もありました。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-393.html
2019-06-26 * hanagon60 [ 編集 ]

Re: No Subject

ラスカルさん、こんばんは。

> 今晩はヽ(*’-^*❤☆♪
>
> 白鳥のハッピーリング、素敵ですね♥
> ナイス🌟♪v(*'-^*)^🎀

いいタイミングで撮れました~。
結構狙っている写真撮りが多いみたいですが、なかなか魅せてくれません。 撮った時は、心もハッピーリングでした。
2019-06-26 *  風来梨 [ 編集 ]

Re: 興浜北線好きでした

はなゴンさん、こんばんは。

> 興浜北線は私も大好きな路線でした。ポイントとなる斜内山道の情景が今も目に浮かびます。
> 豊浜仮乗降場でお昼寝した事もありました。
> https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-393.html

あら~、はなゴンさんも乗られてましたか!
恐らく、この興浜北線は「復活したら乗ってみたい路線No.1」ですからね~。 この頃は良かったですね。 穏やかに時が流れてました。 願わくば、もう一度・・、流氷接岸時に北見神威岬で撮りたいなぁ。
2019-06-26 *  風来梨 [ 編集 ]