風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第61話  大雪~トムラウシ縦走 その2

よも”ヤマ”話  第61話  大雪・トムラウシ縦走 その2 《高根ヶ原~忠別岳》 〔北海道〕 ’93・7
大雪・平ヶ岳 1752m 忠別岳 1963m 〔名峰次選 15峰目〕

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大雪の盟主・旭岳を背景に
お花畑の大平原が広がる

   裏大雪 うらたいせつ (大雪山国立公園)
『表大雪』の裏側にそびえる白雲岳 2230メートル を中心とした山々は、『裏大雪』と呼ばれている。 『裏』と呼ばれるだけに、交通手段・設備などは『表大雪』に遅れをとっているが、高山植物をはじめ、山頂からの眺望、漂う原始の香り・・など、山の魅力にあふれる地域だ。

・・『裏大雪』の最大の魅力は、何といっても原始の香り漂う大平原と、それを覆い尽くすお花畑である。 さて、この地域のプロフィールだが、赤岳 2078メートル 手前の《コマクサ平》や、咲く花の種類が『日本一』といわれる小泉岳 2158メートル 、主峰・白雲岳の裾野に広がる《高根ヶ原》の大平原とそこに咲く壮大なお花畑の群落、白雲岳山頂より眺める見事な縞模様の雪渓や、冠型の独特の山容を誇るトムラウシ山 2141メートル 、《高根ヶ原》の大平原から望む“遙か遠き山”『東大雪』・石狩岳 1967メートル 、《大雪高原温泉》の“秘境”沼めぐりコース、原始の香り漂う平ヶ岳 1752メートル ・忠別岳 1963メートル 、《五色ヶ原》の入口となる五色岳 1868メートル など、尽きない魅力を秘めている。



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大雪~トムラウシ縦走 2日目
白雲岳避難小屋~忠別岳の行程図

   行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》JR旭川駅よりバス (1:30) →旭岳温泉よりロープウェイ
    (0:20)→姿見ノ池(1:45)→旭岳(1:20)→間宮岳(0:50)→北海岳
    (1:05)→白雲岳避難小屋
《2日目》白雲岳避難小屋(0:40)→高根ヶ原・大雪高原温泉分岐(2:30)→忠別岳
    (1:30)→五色岳(1:10)→化雲岳分岐(0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《3日目》ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
    (1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(1:30)→トムラウシ・日本庭園
    (0:20)→ヒサゴ沼分岐 (0:45)→化雲岳(0:50)→小化雲岳
    (1:30)→第一公園 (1:20)→滝見台 (0:45)→天人峡温泉よりバス
    (1:05)→JR旭川駅

      ※ 前回の『第60話』の続きです。

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今回めぐる忠別岳は
著しい左右非対称な山容を示している

  《2日目》 高根ヶ原を経てヒサゴ沼へ
北海道の夜明けは早い。 夏至に近くなると、午前3時過ぎには空が白みがかっている事もある。
だから、通常は「ものすごく早い出発」である5時出発も、それほど早い出発に感じないのである。
下手したら、朝も7時を周ると昼間のような感覚になる事もある。

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コレ撮ったの・・
朝の5時ちょっと過ぎですよ・・

要は、それほどに速い朝の情景の移り変わりである。 この山域で朝の情景をカメラに収めようとすると、5時にはもう縦走を開始して高根ヶ原に降り立っていなくてはならないだろう。
・・で、今回は、高根ヶ原の情景とそこに咲く花を、贅沢に『2話』分のページを使って書き記す事にしようか・・。

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《高根ヶ原》の大平原とトムラウシ山が
オレンジ色に輝く光景を眺めたなら
さあ・・出発だ

《高根ヶ原》の大平原とトムラウシ山が朝日でオレンジ色に輝く光景を眺めたなら、さあ・・出発しよう。 白雲岳避難小屋の建つ高台より緩やかに下っていくと高根ヶ原に降り立ち、爽やかな朝の大平原をトムラウシ山に向って、ひたすら真っすぐに歩いていく。 もちろん、朝露を浴びたお花畑が辺り一面に咲き競っている中を・・である。

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朝露でドレスアップしたチングルマ

花を見るなら、やはりこの時間帯であろう。 ハクサンイチゲの花が朝露を浴びて浮き立つように咲く様や、チングルマの花びらが朝日を浴びて輝く光景など、カメラと山を趣味にしていることの幸福をひしひしと感じるひとときである。

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朝の光を浴びて”浮き立つ”

朝のお花畑の大平原をのんびりと歩いていくと、《大雪高原温泉分岐》に出る。
辺りの景色はより開けて、“遙か遠き山”・石狩連峰や《五色ヶ原》の真っ平な丘なども見渡せる。
その間には、《大雪高原沼》が陽の光を浴びて黄金色に輝いているのも見渡せる。

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大雪高原沼と遠くにそびえる石狩連峰

振り返れば、雪のストライブでドレスアップした旭岳と、ゴツゴツした岩塊を黒光りさせる白雲岳が大平原の果てにそびえ立ち、前景をコマクサの大群落が埋め尽くしている。 また、小高い丘の上には、“ドイツのお菓子箱”のような《白雲岳避難小屋》がチョコンと建っている。 やがて、朝の光がオレンジ色から眩しい光に変わっていく。

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雲海のバックライトで輝く石狩連峰

・・広い大地の隅々がこの光に照らされて、背丈の低い花々が足元に次々と現れてくる。 
リシリリンドウ・タカネスミレ・ミヤマリンドウ・エゾノツガザクラ・キバナシオガマ・チングルマ・ヒメイチゲ・・などが、次々と現れて楽しませてくれる。

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魅惑の深い紫・・
リシリリンドウ

またこの辺りも、“土の花”『構造土』があちらこちらに点在している。 辺り一面に花・・、そして大地の“土”までもが花となっている大平原を、朝の散歩気分を味わいながら歩いていこう。 

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雪の帯のストライプに飾られた
旭岳が寄り添う絶景の中をゆく

やがて、辺りが砂礫地から草地に変わり、花の種がコマクサからエゾノハクサンイチゲやエゾコザクラに変わると、花と緑と雪縞模様の山なみが限りなく続く、さしも広い大平原も終わりとなる。

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花がエゾノハクサンイチゲの群落に変わると
さしも広い高根ヶ原も一段落となる

しかし、山の眺めの趣は、一向に変わることなく素晴らしい。 今度は、エゾノコザクラの“ピンクのじゅうたん”が目を楽しませてくれる。 なお、そのエゾノコザクラがおりなす『ピンクのじゅうたん』は次の話で記す事にしよう。

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淡い紫を魅せるチシマフウロ

エゾノコザクラの“ピンクのじゅうたんやエゾノハクサンイチゲの群落を見ながら進むと足元が急に開け、今自分が小高い丘の上に立っているのが判る。 そして足元には、《忠別沼》がコバルトブルーに輝いている。 道は《忠別沼》に向って緩やかに下っていく。 《忠別沼》は、《高根ヶ原》と忠別岳に挟まれた窪地状の所にあり、両サイドは思った以上に開けている。 

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大雪・旭岳と忠別沼

左手には、黒くいかつい稜線を魅せる石狩連峰や、濃い緑の大地を延ばす《五色ヶ原》などが見渡せる。 
左手の眺めは、日差しを背後に受けてシャドウ気味だ。 一方、右手は雪の縞模様を抱く旭岳と、特異な岩塊をもたげる白雲岳、そして冠の形をした頂を魅せる“盟主”トムラウシ山と、その裾野に広がる《化雲平》のまだら模様の雪渓など、明るい山岳風景が広がる。 

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緑の忠別岳と・・ トムラウシと・・
絶景の中をゆく山旅が味わえる

また、《忠別沼》の静かな水面に影を落とす大雪の山々も魅惑的だ。 だが、この《忠別沼》付近は歩くのが困難な湿地帯で、ぬかるみに足を取られると泥水が靴中に入って来てエライ目に合うので注意が必要(その後に木道が敷設されて、今は快適に歩けるようになっている)であったが、最近では木道が敷設されて“文字通り”絶好のオアシスとなっている。 沼のアクセントをつけての好展望を満喫したなら、先に進もう。

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忠別岳に続く広潤な道

《忠別沼》からは、忠別岳に向って緩やかな稜線を登り返していく。 ハイマツ帯を登って忠別岳の稜線に出ると、砂礫地のだたっ広い道となる。 忠別岳の頂上に続くこの道はとても緩やかで、「山に登るというよりも丘を歩く」といった感じだ。

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緩やかな丘を登りきったら
断崖絶壁だった

途中、コマクサ・ハクサンチドリ・ミヤマアズマギクといった花が漠然とした砂礫地の眺めに潤いを与えてくれる。 歩いていく内に限りなく緩やかな道がやや傾斜を増して、岩が乱立した所を縫うように登っていくと、忠別岳 1963メートル 頂上だ。 

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奥大雪の雄大な山なみを背景に
「ゴキゲン」のアリバイ写真

頂上からの眺めは雄大で、360°山なみの大展望が広がる。 ある程度離れてそびえ立つ旭岳と白雲岳、そしてそこから広がる《高根ヶ原》の大平原と、今まで歩いてきた道程が見渡せて感慨深い。

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下半分が崖となった忠別岳からは
旭岳が広げる美しい裾野が見渡せる

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今回は未だ・・となる
残雪眩しい黄金ヶ原も見渡せる

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忠別岳の崩壊地形とトムラウシ

また、まだ遠きトムラウシ山の眺めにも、これからの道程にときめきを覚える。 そして何より素晴らしいのが、エゾノハクサンイチゲの大群落越しにトムラウシ山がそびえ立つ風景である。 

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トムラウシの頂上丘と
一面に咲くエゾノハクサンイチゲの絶景

忠別岳での雄大な眺めを味わったなら、そろそろ先に進もう。 あまりにも素晴らしい眺めの数々に、時の流れを忘れそうになるのをこらえながら・・。

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いつまでも眺めていたいが・・
まだ今夜の宿・ヒサゴ沼避難小屋
までの半分を過ぎた位だ

  ※ 次回の『第62話』は、『高根ヶ原の花情景』おば・・


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No Subject * by 根室大喜
そのあたりの温泉には入ったことありますが、登山は、散歩やと言われてるも藻琴山でも途中挫折しました。雲海は一度見たことあり感動しました^^)駄菓子菓子登山ではありません。六甲山の中腹辺りに住んでいて、ちょっと山の方に向かって歩いたとこで偶然見かけただけでした

Re: No Subject * by  風来梨
根室大喜さん、こんばんは。

> そのあたりの温泉には入ったことありますが、登山は、散歩やと言われてるも藻琴山でも途中挫折しました。雲海は一度見たことあり感動しました^^)駄菓子菓子登山ではありません。六甲山の中腹辺りに住んでいて、ちょっと山の方に向かって歩いたとこで偶然見かけただけでした

雲海は、ヤマに登っても天気が良くなければ見れないので、幸運だったと思いますよ。

少なくとも都会の街中では見られない情景が、この雲海ですね。

No Subject * by yamazaru20190528
風来梨さんへ

いろいろとご教示ありがとうございます。

現在、このことを一つ一つ遂行していますが
IT音痴の私です(汗)
マニュアルの中の言葉の意味が理解できず
マニュアルのマニュアル・・・またそのマニュアルが必要な状態で・・・
悪戦苦闘しています(笑)

今後とも宜しくご指導ください。

確実に一つづつ * by  風来梨
> 風来梨さんへ
>
> いろいろとご教示ありがとうございます。
>
> 現在、このことを一つ一つ遂行していますが
> IT音痴の私です(汗)
> マニュアルの中の言葉の意味が理解できず
> マニュアルのマニュアル・・・またそのマニュアルが必要な状態で・・・
> 悪戦苦闘しています(笑)
>
> 今後とも宜しくご指導ください。


こんばんは。 大変ですが、一つづつクリアしていけば、1ヶ月程でスムーズに扱えるようになりますよ。

私で、ブログの本体構築に2週間、スラスラと記事が書けるようになるまで3週間かかりましたから・・。

それと、ブログURLがたんぽぽさんのブログになっているので、修正した方がいいと思います。

No Subject * by 鳳山
地図で見たらものすごい秘境ですね。たどり着くだけでも一苦労しそう。それだけ雄大な景色です。

Re: No Subject * by  風来梨
鳳山さん、こんばんは。

> 地図で見たらものすごい秘境ですね。たどり着くだけでも一苦労しそう。それだけ雄大な景色です。

ここは、真に「地上の楽園」ですね。 あぁ、彼の国の「地上の楽園」とは違いますよ。(笑)

私は、このルートを歩いた事で、『北海道のヤマフリーク』になって、放浪までしちゃいました。(笑)

コメント






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No Subject

そのあたりの温泉には入ったことありますが、登山は、散歩やと言われてるも藻琴山でも途中挫折しました。雲海は一度見たことあり感動しました^^)駄菓子菓子登山ではありません。六甲山の中腹辺りに住んでいて、ちょっと山の方に向かって歩いたとこで偶然見かけただけでした
2019-06-03 * 根室大喜 [ 編集 ]

Re: No Subject

根室大喜さん、こんばんは。

> そのあたりの温泉には入ったことありますが、登山は、散歩やと言われてるも藻琴山でも途中挫折しました。雲海は一度見たことあり感動しました^^)駄菓子菓子登山ではありません。六甲山の中腹辺りに住んでいて、ちょっと山の方に向かって歩いたとこで偶然見かけただけでした

雲海は、ヤマに登っても天気が良くなければ見れないので、幸運だったと思いますよ。

少なくとも都会の街中では見られない情景が、この雲海ですね。
2019-06-04 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

風来梨さんへ

いろいろとご教示ありがとうございます。

現在、このことを一つ一つ遂行していますが
IT音痴の私です(汗)
マニュアルの中の言葉の意味が理解できず
マニュアルのマニュアル・・・またそのマニュアルが必要な状態で・・・
悪戦苦闘しています(笑)

今後とも宜しくご指導ください。
2019-06-05 * yamazaru20190528 [ 編集 ]

確実に一つづつ

> 風来梨さんへ
>
> いろいろとご教示ありがとうございます。
>
> 現在、このことを一つ一つ遂行していますが
> IT音痴の私です(汗)
> マニュアルの中の言葉の意味が理解できず
> マニュアルのマニュアル・・・またそのマニュアルが必要な状態で・・・
> 悪戦苦闘しています(笑)
>
> 今後とも宜しくご指導ください。


こんばんは。 大変ですが、一つづつクリアしていけば、1ヶ月程でスムーズに扱えるようになりますよ。

私で、ブログの本体構築に2週間、スラスラと記事が書けるようになるまで3週間かかりましたから・・。

それと、ブログURLがたんぽぽさんのブログになっているので、修正した方がいいと思います。
2019-06-05 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

地図で見たらものすごい秘境ですね。たどり着くだけでも一苦労しそう。それだけ雄大な景色です。
2019-06-06 * 鳳山 [ 編集 ]

Re: No Subject

鳳山さん、こんばんは。

> 地図で見たらものすごい秘境ですね。たどり着くだけでも一苦労しそう。それだけ雄大な景色です。

ここは、真に「地上の楽園」ですね。 あぁ、彼の国の「地上の楽園」とは違いますよ。(笑)

私は、このルートを歩いた事で、『北海道のヤマフリーク』になって、放浪までしちゃいました。(笑)
2019-06-06 *  風来梨 [ 編集 ]