風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第60話  大雪~トムラウシ縦走 その1

よも”ヤマ”話  第60話  大雪・トムラウシ縦走 その1《表大雪》 〔北海道〕 ’93・7
大雪・旭岳 2290m 、間宮岳 2185m (いずれも二度目の登頂) 、松田岳 2136m
北海岳 2149m 〔名峰次選 14峰目〕

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トムラウシへ・・
大平原を伝う山旅

   表大雪 おもてたいせつ (大雪山国立公園)
主峰・大雪旭岳
 2290メートル を中心として、間宮岳 2185メートル ・中岳 2113メートル ・北鎮岳 2244メートル ・・、《御鉢平》を挟んで北海岳 2149メートル 
までが、『表大雪』と呼ばれている。 その名の通り、人気・知名度・登山の難易度の全てが『表』なのである。 

しかし、この手軽さは、登山経験の浅い人やトレッキング派にとっては大変有り難いものなのだ。
何せ、楽に北海道の屋根に立ち、雄大な大雪の展望をはじめ、壮大なお花畑や様々な模様の《雪形》など、心に残る景色を手軽に満喫できるのである。 また、秋の紅葉も、山全体が彩り鮮やかに移り変わり壮観だ。



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縦走路から望む石狩連峰

   行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》JR旭川駅よりバス (1:30) →旭岳温泉よりロープウェイ
    (0:20)→姿見ノ池(1:45)→旭岳(1:20)→間宮岳(0:50)→北海岳
    (1:05)→白雲岳避難小屋
《2日目》白雲岳避難小屋(0:40)→高根ヶ原・大雪高原温泉分岐(2:30)→忠別岳
    (1:30)→五色岳(1:10)→化雲岳分岐(0:40)→ヒサゴ沼避難小屋
《3日目》ヒサゴ沼避難小屋(0:35)→ヒサゴ沼分岐(0:30)→トムラウシ・日本庭園
    (1:25)→北沼(0:30)→トムラウシ山(1:30)→トムラウシ・日本庭園
    (0:20)→ヒサゴ沼分岐 (0:45)→化雲岳(0:50)→小化雲岳
    (1:30)→第一公園 (1:20)→滝見台 (0:45)→天人峡温泉よりバス
    (1:05)→JR旭川駅

この頃は『奇跡の体力』の一歩手前の我が身体の最盛期を迎えつつある時で、この壮大な縦走を3日間でこなせたのである。 もう、行程表を記していて手が震えたよ。 同時に、まぶたに涙が溜まっていたよ。 今日もこの涙で枕を濡らすのだろうな・・。

それは、特に《3日目》の行程・・。 ヒサゴ沼の避難小屋からトムラウシを往復して、10.5kmの天人峡までイッキに駆け下りる事ができていたのである。 今ならトムラウシの往復で1日、下山で1日の2日行程でないと絶対にムリなオーダーである。 そう・・、今とは完全なる別人である事実に驚愕したよ。 今のかつての2倍近くかかる行程タイムに、「あの時と今は別人である」と否定できなくなるし・・。

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今回は北のヤマでの
本格的な縦走山行だ・・

まぁ、それは置いといて、北のヤマでの初めての本格的な小屋泊山岳縦走に挑むのである。
まぁ、ヤマに望む体力も『絶好調』なら、生活状況も前話の仙丈ヶ岳から始めた2度目の放浪旅(もちろん仕事辞めてプー)の真っただ中で、生活面でも(ワテ的に)絶好調だった訳で・・。

なので、ほとんどが日帰り行楽客のロープウェイの乗客のマイカーで駐車できなくなる公算大な朝日岳温泉の駐車場は見送って、放浪中の移動&宿スペースである車は下山口の天人峡温泉に置いといて、バスで旭川に戻ってロープウェイ乗場である旭岳温泉まで折り返していたのである。

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旭岳温泉の旅館組合支援による
バスの優待制度・・
高山植物のように
美しく慈愛に溢れる制度でした

当時の旭川駅~旭岳温泉のバスは観光客を誘致すべく旭岳温泉の旅館組合の支援があり、「旅館宿泊客に限りバス運賃がタダ」の特典があったのである。 そして、その『旭岳温泉の旅館組合』の中に旭岳温泉のユースホステルも含まれていたのである。 まぁ、「放浪旅バンザイ!」で生活面で絶好調!(仕事辞めてブー)の身の上では飛びつかぬ訳がないのである。

確か・・、天人峡温泉~旭川のバスも、天人峡温泉でホテルの風呂に入って、ホテルフロントにあった「御自由にお取りください」とある『バス無料チケット』を掠め取り、タダで往復したような・・。
こういう情報を仕入れる嗅覚は、ロクデナシだけに天性のモノを備えているタワケであった。

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大雪~トムラウシ縦走 1日目
姿見ノ池~旭岳の行程図

さて、前日に旭岳温泉のユースホステルに泊り、朝6時半の始発のロープウェイに乗り、朝の7時頃から登り始める。 朝はガスが巻いていて視界不良で、ほとんど写真を撮らなかったようだ。
得てしてこういった山の懐では、朝は霧が立ち込める事が多いし・・。

それに、火山灰土のザラザラと滑る黒土の登りで、花も火山灰土を好むイワブクロ以外に花も見当たらず、ガスで光量不足で旭岳頂上までは一枚も写真を撮らなかったようだ。

でも、頂上に着くと、今までガスに巻かれていたのが嘘のように雲一つないピーカン快晴となって、『北海道の屋根』の絶景が見渡せたのである。 その時の『アリバイ写真』がコレ。
しかし・・、別人だね、コリャあ・・。

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今ワテがこの前に現れて
「この人の20ウン年先の姿です」と
言ったらブン殴られるかも・・

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でも絶景は長くは続かなかった・・

駄菓子菓子・・、そのビーカンは頂上だけで、下り始めると程なく雪渓から上がるガスが立ち込めて、再び「旭岳に登る最中」と同じ情景となる。 もちろんアイゼンなど持って来ていないので、ズル滑りしたよ。 だが、今ならコケまくる雪渓の下りでも、この雪渓の下りでは転んだ記憶がないのである。

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大雪~トムラウシ縦走 1日目
旭岳~白雲岳避難小屋の行程図

やはり、足の踏ん張る力が今とはケタ違いに強烈だったのだろう。 今なら足も上らないので、何でもない所で躓いて転ぶなど、過去の栄光を思い返しては「枕を涙で濡らす」状況の今日この頃である。

雪渓を下りきると紅白のツガザクラの咲くお花畑だ。 だが、霧雨が降りだして、またもや写真を撮れず。 雪渓したの最低鞍部より間宮岳までは小さな上下を繰り返しつつ登っていくような感じで、チラホラとエゾコザクラのお花畑があるが、この先の大絶景と比べれば掲載する程の規模でもないようだ。
まぁ、大絶景のお花畑は、話を進める内に追々写真を貼りつけようと思う。

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エゾコザクラ
この先の花の絶景に比べると序の口でした

間宮岳を越えると、中岳分岐を経て裾会平からロープウェイ駅へ戻る『一周ルート』と、裏大雪の入口である白雲岳方面へ抜ける『縦走ルート』に分かれる。 詳しく言えば『一周ルート』が御鉢平の火口壁の北側を回り、『縦走ルート』は火口壁の南側を周るのである。

そしてどちらも御鉢平の有毒ガスの影響で草木はなく、火山灰土の火口壁上を伝っていく。
伝っていく事一時間足らずで、〔名峰次選〕14峰目の大雪北部の中央に据える展望の峰・北海岳2149mの頂上だ。

北海岳の頂上でもガスに巻かれて眺望はなかったが、晴れていたら『白鳥・千鳥』の雪形の望める大雪北部の展望を司る名峰だ。 それでは、これより15年を経てヘタレ始めた時に撮った『白鳥・千鳥』の雪形おば・・。

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夕焼けに染まる『白鳥・千鳥』の雪形
※ 別の機会に撮ったモノです

後は、北海岳から白雲岳の裾に形成されるクレーター状の窪みを通り、登り返して白雲避難小屋分岐へ・・。 ここは登山道が十字に交差する稜線上の要害だ。

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右に行くと
大雪随一の絶景を魅せる白雲岳へ・・

これを左に行くと大雪で最も咲く花の種が多いと云われる名峰・小泉岳に、右に行くとクレーターのお花畑を経て見事なストライブの絶景を魅せる白雲岳に至る。

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クレーターの『花の器』に盛られた
チングルマの大群落

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このストライプの絶景が
この白雲岳を【名峰百選】に選んだ理由だ

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雲の織りなすオーケストラと
ストライプの絶景
※ 3枚いずれも別の機会で撮ったモノです

でも、今日は霧雨なので、大雪・トムラウシ縦走路上にある白雲岳避難小屋に向かって分岐を真っ直ぐ進む。 結構ガチャガチャした脆い下りを終えると、『ドイツのお菓子箱』のような白雲岳避難小屋と、完全な湧き水の水場がある。

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ドイツのお菓子箱のような
白雲岳避難小屋

小屋はシーズン中管理人が常駐して宿泊料は当時で600円、小屋前のテント場は100円の志でOKとの事。 まぁ、来年は『志』になるんだけどね・・。←予告
それでは、目指すトムラウシと高根ヶ原の朝の絶景を一つまみして、次回の『その2』につなぐとしようか・・。

避難小屋の高台から望む
高根ヶ原の絶景
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高根ヶ原の大平原が
朝の光に焼けて・・

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『神遊びの庭』が
朝日でほのかに染まる

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朝の眩い光が花々を彩って・・

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コマクサを甘く照らす

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石狩岳と高根ヶ原の万年雪渓

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朝露でドレスアップしたチングルマ

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歩きながら撮ると
少しづつトムラウシが近づいてくるような・・

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少しづつ・・に
堪え性のないワテはドアップで・・

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でも実際は石狩連峰が
視界の左端に移るまで歩かねばならない

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だから息を止めて花を撮って
気合いを入れ直して歩いていく

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今日はピーカンで暑くなりそうだ・・


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No Subject * by 根室大喜
この辺りの温泉は入りましたが、登ったことはありません(;ーー)山登りの苦労はしたくありません。人生の苦労だけで充分です

Re: No Subject * by  風来梨
根室大喜さん、こんにちは。

ヤマに登らない方にもヤマの写真や記事を見て頂いて、ヤマを空想してもらえば光栄ですね。 それも、写真撮り冥利ですね。

コメント






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No Subject

この辺りの温泉は入りましたが、登ったことはありません(;ーー)山登りの苦労はしたくありません。人生の苦労だけで充分です
2019-05-29 * 根室大喜 [ 編集 ]

Re: No Subject

根室大喜さん、こんにちは。

ヤマに登らない方にもヤマの写真や記事を見て頂いて、ヤマを空想してもらえば光栄ですね。 それも、写真撮り冥利ですね。
2019-05-29 *  風来梨 [ 編集 ]