2019-05-25 (Sat)✎
『日本百景』 春 第379回 大台・滝見尾根 その2 〔奈良県〕
その大迫力に圧倒されて
立ちすくむ事だろう・・
大台・西ノ滝、中ノ滝 おおだい・にしのたき、なかのたき
落差 西ノ滝 180m 中ノ滝 250m 奈良県・上北山村
※ 前回『第378回 大台・滝見尾根 その1』の続きです。
今回は沢床まで下って
滝を下から見上げてみようか・・
さて、尾根上の好展望所で“虹の大滝”を心ゆくまで堪能したなら、更にこの先を《東ノ川》の沢床まで下ってみよう。 だが、この先は廃道となったルートの“更なる奥”という事で、道はかなりの難路となっていく。
二つの滝を望む展望台までは
木道の残骸もあったが・・
二つの滝が望めるこの大岩“展望台”までは『廃道』とはいえ滝好きが時折訪れているらしく、急な尾根道ではあるがそれなりに道もしっかりしているのである。 だが、ほとんどの者がこの大岩の“展望台”で目的を達成して引き上げるので、これ以降はほとんど踏まれていない状況となるのである。
この展望台の大岩を降りてその根元を巻くように降りていくのだが、いきなりこの大岩の基部に掘られたルンゼ状の土砂崖を3m程急下降する。 懸垂下降とまでは言わないが、これまでと違って三点支持で下っていかねばならない急下降である。
展望台より下は
踏跡さえも不明瞭となる
この展望台の大岩を降りてその根元を巻くように降りていくのだが、いきなりこの大岩の基部に掘られたルンゼ状の土砂崖を3m程急下降する。 懸垂下降とまでは言わないが、これまでと違って三点支持で下っていかねばならない急下降である。
滝の姿は西ノ滝の方が魅惑的・・
これを額に汗しながら下る(もちろん、ロープはともかくアングルもない)と、クマザサで埋め尽くされルートが不明瞭となる中を縫うように下降していく。 ここもかなりの急下降だ。
シクじれば転落必至の崖下りの心の支えは
後ほど目にする『虹の滝』だ・・
クマザサに覆われた道を身体で掻き分けて、またルートを探りつつ下っていかねばならない。
このクマザサの密生帯を越えると傾斜が幾分緩くなりホッとするが、ホッとしたのも束の間でこの緩衝帯を抜けると再び土砂崖の急下降となる。
滝飛沫が凄すぎて虹の形にならなかった
今度は先程より更に滑りやすい粘土層の土砂崖だ。 この土砂崖にはこれまでのルートでよく見かけた丸太をかましていたアングルが存在するが、これまでと違う点はこのアングルを使わないと下降ができない・・という事だろうか。
でないと降りれない
このアングルを握り、そして足を乗せつつ下っていくと、古びたロープの垂れ下がった2.5mの懸垂下降の地点がやってくる。 この尾根下りの最大の難所だ。 しかも厄介な事に、ロープの垂れ下がる崖の降り口と着地地点が1m程横にズレているのである。 即ち、着地点に降り立とうとするならば、このロープは“ほとんど使えない”という事である。
これを目にすると、拒絶反応を起して身体を硬直させる。 最近鍛錬を怠けていた(以前も言う程はしてないが・・)ツケであろうか。 下は薄暗い樹海の中、常に濡れてズル滑りの岩場である。
ここは木の根を頼りに着地点まで、横1mをトラバースしきってから下るのが得策だろう。
まぁ、下ってみると、僅かながら足を引っ掛ける事のできる岩の窪みもあり、何とかクリアする事ができた。
懸垂下降の難所を越えると
西ノ滝が姿を魅せる
これを越えると、ゼブラロープが垂れ下がった岩崖をトラバース気味に伝い下る。
これを底まで下ると、視界に《西ノ滝》が入ってくるだろう。 だが踏跡は、川床直前の大岩で完全に途切れているのである。 要するに、沢床に出る為には“この大岩を直接下りなさい”という事である。
沢に出るには、恐らく2つの手しかないだろう。 一つはこの大岩を古びた鎖で下る方法、もう一つはこの大岩の根元をトラバース気味に巻き降りる方法である。
沢に出るには、恐らく2つの手しかないだろう。 一つはこの大岩を古びた鎖で下る方法、もう一つはこの大岩の根元をトラバース気味に巻き降りる方法である。
大岩の根元にしがみついて岩のテラスへ・・
正規!?ルートは鎖なのだろうが見た感じでは鎖の劣化が甚だしく、また鎖場の着地点が滑りやすそうな狭い岩の上で直下に沢瀬が渦巻く“あまり宜しくない”状況だったので、ここは大岩の根元をトラバース気味に巻き降りる方法を取る。
岩のテラスの前に
西ノ滝が滔々と白布を掛けていた
こちらは岩の基部がルンゼ状にエグれていて転落の心配はなく、また最後は垂直に近い土砂崖ながら着地点は程よい『岩のテラス』となっていて、安全性を考えたならコチラの方が優利だろう・・と思ったのである。
その飛沫の織りなす迫力は
呆然と立ち尽くすに十分だった
この判断は正解で、何とかこの『岩のテラス』の上に降り立つ。 その前には《西ノ滝》が天より滔々と白布を掛けていた。 呆然と立ち尽くす大迫力がそこにあったのだ。 今までの困難の全てを“小さき事”とあざ笑うかのようなド迫力が・・。
それは今までの困難の全てを
“小さき事”とあざ笑うかの如く・・
ワテの写真の腕でどこまでこのド迫力を表現しきれるか・・は解らないが、いや・・そんな事を考える事自体が“小さい”のである。 ただ、『岩のテラス』の上に呆然と足を投げ出して座り込み、カメラ片手にこの迫力を追う事にしよう。
呆然と足を投げ出した座り込んだ滝情景
滝飛沫が岩で跳ね上がる
西ノ滝の最上部
ここからいのんな滝飛沫に変化する
滝飛沫が三本に分かれ・・
またひとつに合わさって・・
滝飛沫が岩を跳ねて・・
直前で再び分岐して
そして最後は
岩に飛沫を叩きつける
もう・・我を忘れて
シャッターを押し続けたよ
魅せられて心ここにあらず・・
となった滝・西ノ滝
上方を見れば、《中ノ滝》も逆光に白い帯を掛けている。 だが、もはや呆けてしまってそこまで行く気が起きない。 従って、《中ノ滝》の画像は中途半端なものであるが御容赦願いたい。
まぁ、《中ノ滝》までは200m程であるが、沢本流を2~3遡行しなければならず、完全な沢行スタイルが要求されるのではあるが・・。
中ノ滝は緑のベールに包まれて・・
もはや呆けてしまって
中ノ滝は遠目から・・
少し近づいて
望遠で緑のベールを纏わせる
上ではやや迫力不足に見えた中ノ滝も
ここでは迫力あるね
緑のベールを纏わせて神秘的に・・
スローシャッターにして
神秘性もさらにアップ!
帰りは来た道を忠実に戻っていくのだが、やはり登りは技術的には下りより容易である。
下りであれ程苦労した着地点のズレた懸垂下降の岩も、登るとなれば容易に這い上がる事ができる。
下りであれ程苦労した着地点のズレた懸垂下降の岩も、登るとなれば容易に這い上がる事ができる。
ともすれば、登りより下りの方が時間が多分にかかったであろう。 そして、あの展望台となる大岩まで戻ると、ホッとひと息ができる。 もう日は高くなって、朝方に魅せられた『滝の虹』は消えている事だろう。
展望台まで戻るとこういった
『一級国道』並みの足場となる
後は、ゆっくりと確実(往路のように道を外す事なく)に《シオカラ谷》の吊橋、そして終着点の《大台駐車場》まで戻っていこう。
しまった・・営業するの忘れてたよ
なので後貼り
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Re: No Subject * by 風来梨
hanagonさん、こんばんは。
御紹介頂いた記事を見ました。 さすがは沢マスター! 実際に東ノ滝まで遡行されていたのですね。
私は西ノ滝の前でお腹いっぱいになって、往路を引き返しました。
道は、かなり荒廃が進んでいるようです。 行かれるのであれば、お気をつけて。
御紹介頂いた記事を見ました。 さすがは沢マスター! 実際に東ノ滝まで遡行されていたのですね。
私は西ノ滝の前でお腹いっぱいになって、往路を引き返しました。
道は、かなり荒廃が進んでいるようです。 行かれるのであれば、お気をつけて。
滝見尾根は随分と昔に下りに使った事があります。展望地くらいまでならまた機会を作って行ってみたいかなとは思っています。
https://hanagon60.blog.fc2.com/blog-entry-1373.html