風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

TOP >  『日本百景』  >  『日本百景』 春 >  第378回  大台・滝見尾根 その1

第378回  大台・滝見尾根 その1

『日本百景』 春  第378回  大台・滝見尾根 その1  〔奈良県〕

n378 (23)
西ノ滝と中ノ滝
両雄の揃い踏み・・

大台ケ原・滝見尾根
 大台・西ノ滝、中ノ滝 おおだい・にしのたき、なかのたき 
            落差 西ノ滝 180m 中ノ滝 250m 奈良県・上北山村

n378 (17)
落差250m・・ 我が国第二の落差を誇る大瀑布も
現状では遠く離れた所からの遠望のみ・・だ

大台ケ原には、日本第二の落差といわれる《中ノ滝》がある。 だが、今のこの滝の展望は、大台駐車場より主峰・日出ヶ岳
 1695メートル の山腹をめぐるようにつけられた《大台周遊路》の《大蛇嵓》にある展望所より、遙か遠くに望むのみである。

なぜなら、《中ノ滝》の前にそびえ立つ尾根に探勝ルートが設定されていないからだ。
そしてこの尾根こそが、滝好きが通行を待望する『滝見尾根』という名の尾根なのである。

n378 (20)
滝見尾根を下って行けば
大迫力の滝姿を堪能できるが・・

かつて、このルートにも探勝ルートはあったのだが、スニーカーでやってくる一般行楽客レベルでの『探勝路』として活用できない事や、メインルートである《大台周遊路》から離れている事などから“通行禁止”の処置が取られ、廃道として放置されているのである。

しかし、“禁止”と言われると“行ってみたい”と思うのが、この筆者の悪なる性癖である。 
この事を踏まえて、安易なる進入は厳に謹んで頂きたい。 もし、探勝されるのであれば、事故などを引き起こした場合は刑事を含めての全ての責を負わねばならぬ事を記しておきたい。

車が500台は駐車できるという《大台駐車場》がスタート地点だ。 『滝見尾根』は《シオカラ谷》より派生している尾根なので、周遊路は逆コースを取ろう。 駐車場を出てしばらくすると、《シオカラ谷》に向かって急下降していく。 

n378 (1)
ここまでは行楽客でも・・
シオカラ谷吊橋

n378 (10)
中ノ滝・西ノ滝という大瀑布を従える東ノ川は
まだ優しき清流だ・・

急下降といっても、一般行楽客のスニーカー履きでも対応できるように、キチンと石段で整備されている。 これを下りきると、吊橋の架かる《シオカラ谷》である。 行楽客が沢に下りて水遊びに興じている。 その脇に、ゼブラのロープと『通行止』の看板で塞がれた『滝見尾根』の進入口がある。

このロープを掻いくぐると、かなりに細い踏跡がクマザサに埋もれるように続いている。
だが、この辺りではルートを見失う事はない。 なぜなら、すぐの右脇に東ノ川が流れ、左脇は雑木に埋もれた土崖だからである。 沢を望みつつ、クマザサを掻き分けて進んでいくと、《東ノ滝》の落ち口に差し当たる。 

n378 (9)
落水が弾け飛ぶ東ノ滝の落ち口

n378 (24)
吸い寄せられるような滝の落ち口・・
でも・・吸い寄せられると滝に落ちて「さよなら」だ

《東ノ滝》の落ち口は、白亜の大きな岩のナメ床を水が弾けるようにスライドしている。
落ち口の前はアングルが突き立てられ、鉄の鎖が掛けられている。 これを目にする限りは、「かつては探勝ルートだったのだな・・」と認識できる。 そして、ここにも先程と同じく、ゼブラロープと『通行止』の看板によって人の進入か阻まれていた。

n378 (8)
ゼブラロープのそばにある小滝

再び人の進入を阻むゼブラロープを掻いくぐると、はっきりとした踏跡が《東ノ滝》となって落ちる沢の方へ向かって続いている。 だがこれが“クセモノ”で、この踏跡を伝って沢方向へ下っていくと、毎度お馴染みである“筆者のオチャメ”を体験するハメとなるのである。 

n378 (3)
滝の釜はエメラルドグリーンに輝き美しいのだが・・
沢まで下ると崖で行き詰まってしまう

その“オチャメ”とは、徐々に沢が函状となっていくに伴って崖に追い込まれて、最後はそれにヘバりつきながらのトラバースを強いられて行き詰ったのである。 筆者のような“オチャメ”をすると、確実に崖の上にヘバりついた1時間は“ロス”となってしまうので念の為。 
ちなみに筆者は、無理やり土砂崖を這い上がって尾根上に戻って事なきを得たのだが・・。

どうやらあの踏跡は、《東ノ川》を遡行してきた者が《東ノ滝》を高巻く為につけた跡のようである。
なお、《東ノ滝》は奥まった位置に滝が掛かっているので、沢を遡行していかねば見る事ができないようである。 この落差25mの直瀑は、またいつか機会があれば探勝してみたい・・と思う次第である。

n378 (2)
苔生した岩が転がる
不明瞭な尾根上を伝うのが
正しいルートのようだ・・

さて、正しいルートは、この踏跡をやり過ごして苔生した岩が転がる不明瞭な林をとにかく真っ直ぐに渡っていけばいいようである。 この不明瞭な岩苔地帯を抜けると大きな岩が立つ尾根筋に出て、丸太の桟橋(この渡しはやや危険)で尾根上へつめていく。 
後は、『通行止』の処置に首を傾げたくなる程の“普通”の登山道が続いていく。 所々、丸太をかましていた鉄のアングルが残置されている。  

尾根のピークを過ぎるとやや急な下り基調となり、そろそろに目的の滝たちが姿を現してくれる。
ちなみに“オチャメ”をかました筆者は、沢の崖を喘ぎ登ってこの安定した登山道に飛び出した時、複雑な気持ちと切なさを大いに抱いたのであるが・・。 まぁ、その事は忘れて、この行程の目的である“偉大なる大台の滝”に魅せられる事にしよう。

滝見尾根・展望台より・・
大台・中ノ滝 キャラリー
n378 (6)
新緑と落差250mの大瀑・中ノ滝

n378 (7)
水量が乏しいのが残念・・

n378 (12)
250mの大爆布の上と・・

n378 (19)
下に切り分けてみる・・

n378 (22)
望遠で撮ると
落差があり過ぎて全部入らない

n378 (17)
最後はオーソドックスに・・

更に尾根を下っていくと、大きな岩の展望所にたどり着く。 ここから望む《大台・中ノ滝》と《西ノ滝》が圧巻だ。 大きくそびえる《千石嵓》と、それを刻む繊細なる白布と虹を架ける勇壮な瀑布・・。
これを目にすれば、先程までの緊張の汗を十分に癒してくれる事だろう。 しばし、この滝好きが“最も味わいたい”と思う情景に酔いしれよう。

滝見尾根・展望台より・・
大台・西ノ滝 キャラリー
n378 (5)
落差では中ノ滝に譲るものの
落水の変化に魅せられる西ノ滝

n378 (16)
狭まった滝の落ち口より
加速度をつけて落水が押し出され・・

n378 (11)
滝の中上部は岩塔が落水を切り分け・・

n378 (13)
岩塔によって切り分けられた流れが・・

n378 (14)
分かれた落水は
岩塔下で再び合わさり・・

n378 (15)
再び岩塔で切り裂かれ
滝床に落水を叩き落とす・・

n378 (21)
その叩きつける落水の飛沫が舞って
七色の虹を架けていた・・

n378 (4)
ラストはその虹の架る滝姿をば・・

なお、続きの東ノ川の河床まで下りきって滝に魅せられるクライマックスは、次回の『第379回 大台・滝見尾根 その2』にて・・。

にほんブログ村 旅行ブログ 山・高原へ
『山と高原』ほ参加120ブログと競争率が低いので
簡単に上位が取れていい・・



関連記事
スポンサーサイト



No Subject * by 根室大喜
虹が掛かる滝を見てみたい^^)

Re: No Subject * by  風来梨
根室大喜さん、こんばんは。

> 虹が掛かる滝を見てみたい^^)

日差しを浴びる所の滝に晴れた日の午前中に滝のそばに行くと、滝に虹のかかる絶景を望めますが、朝に滝の前に行くのがひと苦労ですね。

だから「虹のかかる滝」は、結構難易度が高いかも・・。

No Subject * by バンポマダム
絶景ですね。
音と共に見る滝はすごい迫力でしょうね。
虹の滝は魅せられます!!

次回はもっと迫力ありますよ * by  風来梨
バンポマダムさん、こんばんは。

> 絶景ですね。
> 音と共に見る滝はすごい迫力でしょうね。
> 虹の滝は魅せられます!!

次回のその2は、滝下まで降りていきますので、ものすごい迫力ですよ。 一般行楽客は通行禁止の廃道ですけど・・。

乞う、御期待!

コメント






管理者にだけ表示を許可

No Subject

虹が掛かる滝を見てみたい^^)
2019-05-22 * 根室大喜 [ 編集 ]

Re: No Subject

根室大喜さん、こんばんは。

> 虹が掛かる滝を見てみたい^^)

日差しを浴びる所の滝に晴れた日の午前中に滝のそばに行くと、滝に虹のかかる絶景を望めますが、朝に滝の前に行くのがひと苦労ですね。

だから「虹のかかる滝」は、結構難易度が高いかも・・。
2019-05-22 *  風来梨 [ 編集 ]

No Subject

絶景ですね。
音と共に見る滝はすごい迫力でしょうね。
虹の滝は魅せられます!!
2019-05-23 * バンポマダム [ 編集 ]

次回はもっと迫力ありますよ

バンポマダムさん、こんばんは。

> 絶景ですね。
> 音と共に見る滝はすごい迫力でしょうね。
> 虹の滝は魅せられます!!

次回のその2は、滝下まで降りていきますので、ものすごい迫力ですよ。 一般行楽客は通行禁止の廃道ですけど・・。

乞う、御期待!
2019-05-24 *  風来梨 [ 編集 ]