2019-05-05 (Sun)✎
よも”ヤマ”話 第58話 仙丈ヶ岳 〔山梨県・長野県〕 ’93・7
仙丈ヶ岳 3033m 【名峰百選 22峰目】、大仙丈岳 2975m
カールを囲むようにそびえる仙丈ヶ岳
仙丈ヶ岳 せんじょうがたけ (南アルプス国立公園)
雄大なカール地形を抱く仙丈ケ岳 3033メートル は優しい山容を示し、また高山植物の豊富な“花の峰”として知られている。 また、カールの上部は万年雪の雪渓を抱き、高山の魅力を大いに引き立てている。 万年雪と花の“うつわ”であるカールを越えると、雄大な眺めの山頂が待っている。
雄大なカール地形を抱く仙丈ケ岳 3033メートル は優しい山容を示し、また高山植物の豊富な“花の峰”として知られている。 また、カールの上部は万年雪の雪渓を抱き、高山の魅力を大いに引き立てている。 万年雪と花の“うつわ”であるカールを越えると、雄大な眺めの山頂が待っている。
頂上に立つと、360°名峰がそびえ立つ大パノラマが望まれる。
東を見れば、甲斐国の守護神として崇められる甲斐駒ケ岳 2967メートル が、対照的な荒々しい山容を魅せている。 振り返れば、南アルプスの盟主・北岳 3192メートル ・間ノ岳 3189メートル 、更に奥には塩見岳 3052メートル など、山が途切れる事なく連なっている。 左右両サイドも名峰が目白押しだ。 右には鳳凰三山、左には中央アルプス、果てには北アルプスの剱や鹿島槍など、日本の名峰が一度に見渡せるのである。
東を見れば、甲斐国の守護神として崇められる甲斐駒ケ岳 2967メートル が、対照的な荒々しい山容を魅せている。 振り返れば、南アルプスの盟主・北岳 3192メートル ・間ノ岳 3189メートル 、更に奥には塩見岳 3052メートル など、山が途切れる事なく連なっている。 左右両サイドも名峰が目白押しだ。 右には鳳凰三山、左には中央アルプス、果てには北アルプスの剱や鹿島槍など、日本の名峰が一度に見渡せるのである。
この山なみを見渡すなら、やはり日の出が最高である。
日本の名峰が朝日を浴びて紅に染まる姿には、言葉では語り尽くせぬ“感動”がある。
仙丈ヶ岳・藪沢カールルート行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 伊那市街より車 (0:45)→戸台よりバス (1:00)→北沢峠
(1:50)→大滝ノ頭 (0:50)→馬ノ背(0:50)→仙丈避難小屋
(0:30)→仙丈ケ岳より大仙丈岳まで往復1時間(0:25)→仙丈避難小屋
《2日目》 仙丈避難小屋 (0:30)→仙丈ケ岳 (1:45)→大滝ノ頭
《2日目》 仙丈避難小屋 (0:30)→仙丈ケ岳 (1:45)→大滝ノ頭
(1:20)→北沢峠よりバス(1:00)→戸台より車 (0:45)→伊那市街
《1日目》 薮沢カールを経て仙丈ケ岳へ
さて、この年の夏から本格的に3000m級の峰々を目指す放浪旅に出る。
前年は不動産屋に勤めていたので、放浪旅は2年ぶり2度目となる。 この放浪旅の予定では、この後に北海道に渡って大雪山を抑えて、南北アルプスの主軸を総ナメにするという、金があっても若さがなければ成し得ない・・、いや若さだけではなく無職のプーとなって放浪旅を実行する厚顔無恥な度胸も要するのである。
でも、まだまだ山の世界では駆け出しの実力しかなく、また去年は勤めていたので前よりは金の貯えもあったので、放浪旅なのに南北アルプスの盟主めぐりでは山荘に泊りまくるクレイジーな放浪旅であった。
仙丈ヶ岳に咲く花々 その1
その山旅計画を完遂させるべく、ファーストアタックの山は3000m峰では「最も容易で日帰りも可能な峰」と耳にした仙丈ヶ岳を目指す事にした。 まぁ、前年は勤めていて蓄えはあるとはいえ、基本的には使い続けるだけの無職のブーなので、バス運賃が安い戸台から長谷村営(現 伊那市)バスで北沢峠に向かう。
そして、北沢峠の山荘では食料を持ち込んで素泊まりで凌ぐ。 でも、この頃は南アの山荘の素泊まりは安く、4000円程度だったのである。 今みたいに宿泊費が高けりゃ、来年のテントデビューが前倒しになってたろうね。
だが、山荘の素泊まりは朝早く発てる利点があるのだ。 南アルプスの山荘はマシだが、北アの巨大山荘などで朝飯を後番に回されると出発時刻が7時半過ぎと、「ヤマ時刻」的には"昼出発"同様となっちまうのである。
仙丈ヶ岳に咲く花々 その2
愛らしいピンクの花・・
イワカガミ
山荘のスタッフが朝飯の準備に精を出す中、まだ明るくなり始めた5時過ぎにコソっと出発する。
仙丈ヶ岳は冒頭でも述べた通り、南アルプスの中でも比較的楽な“初級編”の山なのでルートもさして厳しい所はなく、歩行時間もあの当時の『奇跡の体力』にリーチをかけたワテならば頂上まで4時間を切る事だろう。
当然の事ながら、前夜北沢峠泊での日帰り山行も可能である。 いや、可能というより、ほとんどの登山者が日帰りでこの山に登っている。 だが、それではこの山の抱く魅力を十分に味わう事ができないのだ。 この山の最大の魅力は冒頭でも述べた通り、朝日を浴びて紅く染まる山々の眺めにあるのだ。
これを見ずして、この山は語れないし、放浪山旅に出る必要もないのだ。
仙丈ヶ岳に咲く花々 その3
魅惑の紫・・
オヤマノエンドウ
登山口をくぐるなり、いきなりの急登だ。 三合目付近までシラビソの樹林が深く、見通しはほとんど利かない。
目の前を小仙丈岳が盛り上がるように立ちはばかっていて、思わず唾を飲み込む眺めだ。
ここは急登で、しかも直射日光で蒸し焼きになりそうな小仙丈岳経由の“直登”コースより、花や雪渓を抱く雄大なカールを越えていこう。 分岐からは、小仙丈岳の山裾を巻くようにトラバースしていく。
しばらくは、樹林帯の薄暗い道だ。 やがて、《薮沢》の沢音が近づいてきて、この沢を徒渉する。
ここまで4時間余り。 たぶん、時間にも余裕がある事だろう。
三合目までの急登に耐えると平坦な尾根上に出て、周囲の樹木もシラビソからダケカンバに変わり、樹林帯の薄暗い雰囲気より解放される。 日差しの差し込む明るい尾根道をしばらく歩いていくと、《薮沢カール》との分岐である《大滝ノ頭》にたどり着く。
「直登ルートを採らんでよかったぁ」
と思うワテは小市民・・
目の前を小仙丈岳が盛り上がるように立ちはばかっていて、思わず唾を飲み込む眺めだ。
ここは急登で、しかも直射日光で蒸し焼きになりそうな小仙丈岳経由の“直登”コースより、花や雪渓を抱く雄大なカールを越えていこう。 分岐からは、小仙丈岳の山裾を巻くようにトラバースしていく。
しばらくは、樹林帯の薄暗い道だ。 やがて、《薮沢》の沢音が近づいてきて、この沢を徒渉する。
この辺りから、チラホラと高山植物が姿を魅せ始める。 沢を渡って、両側を色とりどりの花が飾る丸太の階段を登っていくと、《馬ノ背ヒュッテ》前の広場に出る。
今日の宿泊地・《仙丈避難小屋》は無人の避難小屋(現在は食事まで出る“山荘”となっているようだ)なので、装備を持たない場合は食事提供のあるこの小屋での宿泊となろう。 だが、ここで泊ってしまうと頂上での朝日を望むには決定的に不利となるので、休憩だけに留めよう。
小屋前のベンチでひと息着いたなら、再び登り始めよう。 《馬ノ背ヒュッテ》から、再び尾根筋へ登っていくのだが、その途中に《クロユリ苑》と呼ばれるお花畑がある。
黒の女王・クロユリ
その名の通りクロユリが咲き乱れるのだが、そのクロユリを引き立てるべく満開に咲くシナノキンバイの眩い黄色が印象的であった。
シナノキンバイの群落
ただ花が多いだけでは、“花の峰”の称号は与えられないだろう。 これらの目を引く“何か・・”があるから、“花の峰”と呼ばれるのだと思う。 素晴らしき花の園・《クロユリ苑》が終わると、いよいよ稜線上に出る。
前方には、雄大なカール地形が立体映像の如く迫力ある姿を魅せてくれる。
右側は中央アルプスの山なみが軍艦のように、雲海の雲間に浮かんでいる。
左側は小仙丈岳を登る登山者が、喘ぎながら登っているのを見る事ができるだろう。
夏山の夢を魅せてくれた
ここに立つと、コース選択が“正解”であった事をその“眺め”によって明らかにできるのである。
周囲に花が咲き乱れる緩やかな傾斜を、カール端に向かって登りつめていく。
登っていくにつれ、徐々にカールの全景が見えてきて広潤な雰囲気満点となる。
登っていくにつれ、徐々にカールの全景が見えてきて広潤な雰囲気満点となる。
下に映る屋根が『オチャメの具』となったりして・・
カール最奥にある雪渓と、カール底にちょこんと立つ《仙丈避難小屋》が視界に入ってくると、花の“うつわ”であるカール底も近い。 振り返れば、甲斐国の守護神・甲斐駒ケ岳 2967メートル が、雲海の雲間から白亜の頂を突き出しているのが望まれるだろう。
カール底に取り付いたなら荷物を今日の宿泊場所・《仙丈避難小屋》にデポって、とりあえず仙丈ケ岳に登ってこよう。
カール底に取り付いたなら荷物を今日の宿泊場所・《仙丈避難小屋》にデポって、とりあえず仙丈ケ岳に登ってこよう。
優雅な姿を魅せる名峰へ・・
カールの右側からカール壁に取り付き、カール最奥に残る大きな雪渓を見下ろしながら馬蹄形にカール壁を巻いていくと、カール壁の中央にある仙丈ケ岳 3033メートル の頂上にたどり着く。
今ではあの時の『奇跡の体力』を
語る事はもはや詐欺である
ここまで4時間余り。 たぶん、時間にも余裕がある事だろう。
山頂でひと息着いたなら、大仙丈岳 2975メートル まで行ってみるのもいい。
雷鳥さんがヒナを放ったらかして
ボ~っと山を見つめていた
大仙丈岳へは、ハイマツの中を漕ぎながら進む事約30分である。 この頂に立つと静かな雰囲気の中で、ちょっと違った北岳の眺望が期待できる。
山頂に立って充実した気分を十分に味わったなら、往路を避難小屋まで戻る。
カール底では食事の用意をしながら、暮れに染まっていく甲斐駒ケ岳や鳳凰三山を眺めるのが良し・・である。
カール底では食事の用意をしながら、暮れに染まっていく甲斐駒ケ岳や鳳凰三山を眺めるのが良し・・である。
暮れ色に染まりゆく
黄色く染まった入道雲
雲海に浮かぶ中央アルプスの山なみ
やがて影に呑み込まれていく
・・と、ここまでは何事もなく『オチャメ』ゲッターのタワケにしては物足りない内容であったのだが、当然この後は『ミドル級』の『オチャメ』が炸裂するのである。
営業かけないと埋もれてしまうしィ・・
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