風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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第370回  能登半島・外浦

『日本百景』 春  第370回  能登半島・外浦  〔石川県〕


曽々木海岸に打ち寄せる白波

   奥能登 おくのと (能登半島国定公園)
能登半島の最北端・禄剛崎付近はひと昔前までは交通が至って不便な“秘境”であった為、『奥能登』と呼ばれている。 

この『奥能登』の見どころとしては、高さ47mの断崖絶壁に白亜の灯台が建つ禄剛崎。 そして、奇岩連なる狼煙 のろし 海岸などである。 特に、禄剛崎の海岸段丘に栽培されているスイセン畑は美しく、一見の価値がある。




能登半島・景勝地 位置図
※拡大して見てネ

    行程表                駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR和倉温泉駅より車(2:30)→珠洲市街・見附島〔軍艦島〕など散策(1:10)→禄剛崎
     (0:15)→木ノ浦海岸
《2日目》 木ノ浦海岸(0:35)→曽々木海岸(0:20)→白米の千枚田(0:35)→輪島市街
     (1:10)→JR和倉温泉駅
        ※ 前回『第369回 能登半島・禄剛崎園地』からの続きです。

  《2日目》 奥能登・外浦を眺めつつ帰路へ
狭いハコ(車内)の中で吹きすさぶ冬の海風を一夜耐えたなら、必ず朝の荒々しい情景を真っ先に味わう事ができる。 ここは、昨夜の苦行の“褒美”として、心ゆくまでこの冬の海風がおりなす情景を味わおう。


強烈な海寄りの風で
波が坂巻立っていた
 
鈍重な寒冷前線の雲間より射す朝日が、ほのかに海をオレンジ色に染めてくれる。 そして、寄せる波が砕けて霧散し、白い帯の羽衣をまとったかのような姿を魅せる岩礁群。 風に煽られつつも、今日の餌物に向かって何度も飛びかかるカモメたち。 これらは、全て海辺でなければ目にする事のできないシーンだ。 ここは、思いのゆくままこの“贅沢”を味わおう。


厳しい季節風が吹きずさむなど
体感は真に”冬”なのだが
朝の光が差し込むとほのかな温かみを感じる

朝の海景を心ゆくまで味わったなら、『奥能登』の《外浦》を眺めつつ帰路に着こう。
輪島へ向かう最中の《鰐崎》や《大崎》でも、荒れ狂う冬の日本海の情景が堪能できる。


奥能登の日本海側“外浦”は
岩うつ波の情景に事欠かない

訪れたこの日の気圧配置であるが、三陸沖に950ヘクトパスカルという猛烈な低気圧があり、そのお陰で猛烈な冬型の気圧配置だったので、冬でもなかなか見られない情景も目にする事ができた。
その一つが、沖合海上に立つ数本の竜巻である。


シケる海原の沖には
数本の竜巻が立っていた

岩礁に砕け散る波が創る“波の花”や引き波の美しい模様などの素晴らしい情景が次々に現れ、それを目にする毎に撮影をするべく車を止めるので、なかなか前には進めない。


海上に竜巻が発生する猛烈な冬型で
荒れ狂った波涛が
岩礁を飲み込もうとしていた


引き波さえも渦巻いて
岩礁にぶち当たって砕け散る

また、内側に目を配っても、日本海沿岸の冬を感じ取る事ができるだろう。 海辺に建つ民家の垣根に施されたスノコの風雪避けも、この地方ならではの風物詩だ。


厳しい冬を耐え抜く海辺の集落は
エトランゼの旅心を誘って

《外浦》の海岸線を眺めつつ車を進めていくと、やがて珠洲市街で内陸側に迂回した国道249号線と合流する。 これよりは少し街の雰囲気が漂い始める。 国道に合流してからの最初の観光地は《中田浜》の“揚浜塩田”であるが、今の季節は何もなく広い砂浜が広がるだけなので割愛しよう。 
この地を訪れるのに最良の季節は、やはり夏から秋にかけて・・だろう。 更に輪島へ向かって進むと、《外浦》最大の景勝・《曽々木海岸》である。 


曽々木海岸
奥能登・外浦の最大の観光地だ
岩礁の上を渡っていける

《曽々木海岸》は『奥能登』でも有数の観光地で、内の陸地側は観光旅館が建ち並び少し無粋だが、冬の海の情景は間違いなく“イチ押し”である。 ジオラマのように迫力いっぱいに視界に迫る波濤。


ジオラマの如く押し寄せる波


押し寄せる波が大爆発する時

海辺にある岩礁に寄せて砕け散り、“波の花”と散華する潮騒。 寄波をかわしつつ周囲を伺うカモメの群れ。 そして、左の海崖の方向に目を配ると、落差40mはあろうか・・という海岸瀑が白布を掛けている。 


遠目から見ると
何の変哲もない海岸瀑だが

この滝は“垂水ノ滝”と呼ばれるのだが、別名の“逆さ滝”が示すが如くかなり珍しい滝なのである。 
それは、海崖を駆け上る強い季節風によって煽られて、落ち口付近の飛沫が上に巻き上がる現象が見られる滝なのである。 なかなか思い通りにはこの現象を撮影できなかったが、このシーンを取りあえずはゲットできて良かった・・と思う。


近寄ってアップで魅ると
飛沫が海風で上に巻き上っていた

また、この内陸側には《岩倉寺》や《時国家》(上・下と2つある)という能登の国分寺跡があり、時間が許せば歴史旧跡を訪ねるのもいいだろう。 この《曽々木海岸》を過ぎると市街地の端の色が更に濃くなってきて、ひとまず《外浦》の海岸線めぐりのメインは終わった感じがするだろう。

岩うつ波涛とカモメたち

押し寄せる波濤に
羽ばたくカモメたち
冬は鳥達に
ひとときの休息も与えない


せっかくの憩いのひとときを
波濤に邪魔されて


10mはうち上がったか
すざましい波濤が押し寄せて


その波濤が
彼らの憩いの場を呑み込んで

後に残るは、撮影地としても有名な《白米の千枚田》であるが、私が旅したこの日は残念ながら《曽々木海岸》を出た直後に厚い雪雲の中に入ってしまって吹雪となり、一面真っ白な雪原となって千枚田は訪れる・・どころか見つける事さえ叶わなかったのである。

《白米の千枚田》・・。 これは、次回の“宿題”となってしまった。 “宿題”ができるという事は、この『日本百景』という文集が進化できるという証だと思う。


岩礁を洗う波が
“花”を残して

後は、《輪島の朝市》に寄って、土産物を手にして帰路に着くのもいいだろう。 
ワテの訪れた日に関しては、かなりの降雪でそれどころではなかった事もあり、これも割愛したい。 この『日本百景』は風景に的を絞っているので、『朝市』などのグルメに関しては、そちらに詳しいガイド本を参照された方がいいだろう。


またいつか
この情景を魅に訪れよう

残るは、起点のJR和倉温泉までの安全運転だけだ。 全てを終えて肩の荷が降りたなら、旅の締めくくりに北陸有数の温泉である和倉温泉で旅の汗を落とすのも一興だろう。












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