2018-12-25 (Tue)✎
よも”ヤマ”話 第54話 中央アルプス・厳冬期 その1 〔長野県〕 ’92・12
伊那前岳 2883m
千畳敷カールより宝剣岳を見上げて
中央アルプス ちゅうおうアルプス (中央アルプス県立自然公園)
中央アルプスは南北アルプスの間に連なる“木曽山脈”の総称で、高さも南北アルプスのそれにひけをとらない。 最高峰は木曽駒ヶ岳 2956メートル で、そのすぐ横に剣先の如く鋭く尖った頂を魅せる宝剣岳 2931メートル が並ぶ。 また、この中央アルプスの山々は氷食が著しく、鋭く尖った峰を持つ山が多いのが特徴である。
・・中央アルプスの魅力は、何といっても氷河による浸食でできた数多くの“カール”地形と、そこに群生するお花畑であろう。 濃ヶ池・千畳敷・極楽平のカールが、夏になると高山植物の花々に飾られた天然の“うつわ”となり、悠然と構える峰々に囲まれた『神の園』となる。
中央アルプスは南北アルプスの間に連なる“木曽山脈”の総称で、高さも南北アルプスのそれにひけをとらない。 最高峰は木曽駒ヶ岳 2956メートル で、そのすぐ横に剣先の如く鋭く尖った頂を魅せる宝剣岳 2931メートル が並ぶ。 また、この中央アルプスの山々は氷食が著しく、鋭く尖った峰を持つ山が多いのが特徴である。
・・中央アルプスの魅力は、何といっても氷河による浸食でできた数多くの“カール”地形と、そこに群生するお花畑であろう。 濃ヶ池・千畳敷・極楽平のカールが、夏になると高山植物の花々に飾られた天然の“うつわ”となり、悠然と構える峰々に囲まれた『神の園』となる。
中央アルプス・厳冬期 行程図
《1日目》 JR駒ヶ根駅よりバス(0:50)→しらび平よりロープウェイ(0:10)→千畳敷
(1:00)→浄土乗越(0:40)→伊那前岳(0:40)→浄土乗越
《2日目》 浄土乗越(0:30)→木曽中岳(0:40)→木曽駒ヶ岳(1:10)→浄土乗越
《2日目》 浄土乗越(0:30)→木曽中岳(0:40)→木曽駒ヶ岳(1:10)→浄土乗越
(0:25)→宝剣岳(0:30)→浄土乗越(1:10)→千畳敷よりロープウェイ
(0:10)→しらび平よりバス(0:50)→JR駒ヶ根駅
『よも“ヤマ”話』も久々だねぇ
10月の初旬以来、久々の『よも“ヤマ”話』だねぇ。 でも、ネタがない訳じゃない・・っていうか、今までに300以上の山行をこなし、コレに滝や渓谷・知床岬踏破などの「体験」を加えると、ネタ数にして1000話に迫るか、もしかしたら超えるかもしれない・・という、ネタに困る事は有り得ない“超優良株”な書庫なのであるが、仕込みの手間がものすごくかかるのである。
もう。この「仕込み」が面倒で、物臭さでヘタレな筆者(タワケ)はいつも後回しにしているのである。
でも、写真のスキャンに半日以上かかり、記事を書くのに半日以上かかり、写真の貼り付けや記事の添削などのいわゆる「記事の構成」に半日かかるのである。
コレに定期でアップしている『路線の思い出』や四季の景勝地を紹介する『日本百景』の記述を加えると、週末の土日ではホントに『よも“ヤマ”話』を書く時間などないのである。 今回の第54話も3週間前から掲載写真の選定とスキャンをして、添付地図の作成や写真のカットや加工やらで2週を費やして、ようやく記事を書くのに取り掛かれるのだ。
コレで記事作成作業中にヤフーブログが凍って、書きかけの記事が「アボ~ン」となったりすると、マウスを叩きつけたくなる程に憤慨するのである。 現に何回かこういう憂き目になってるしィ。
だから最近はワードに記事内容をコピーしたり、未公開の書庫にアップしたりの自衛策を施してるよ。
まぁ、ヤフーブログのシステムがクソ過ぎる・・という愚痴は「終わりなき愚痴」となってしまうので置いといて、それでは『第54話 中央アルプス・厳冬期 その1』を書き記すとしよう。
宝剣岳と対峙する
南アルプスの山なみ
《1日目》 千畳敷カールより中央アルプス稜線へ
夏ならば日帰りでもこなせる初心者コースを、正月のいわゆる〔厳冬期〕に挑んでみた。
もちろん、ある目的も兼ね備えてである。 《しらび平》からのロープウェイは、冬は朝9時から動き始める。 夏ならば6時から運航しているロープウェイも、冬はかなり遅めだ。
この遅いロープウェイの始発時刻であるが、「稜線上の拠点となる《浄土乗越》まで1時間ちょっとの登山行程では、時間が余り過ぎるから丁度よい」と思われるだろうが、稜線上の天候次第ではビバークや天候待ち・・、そして最悪の場合は登山断念も有り得るのである。 従って、千畳敷カール駅に到着した時点での天候の“見極め”が大変重要になってくる。
夏ならば日帰りでもこなせる初心者コースを、正月のいわゆる〔厳冬期〕に挑んでみた。
もちろん、ある目的も兼ね備えてである。 《しらび平》からのロープウェイは、冬は朝9時から動き始める。 夏ならば6時から運航しているロープウェイも、冬はかなり遅めだ。
この遅いロープウェイの始発時刻であるが、「稜線上の拠点となる《浄土乗越》まで1時間ちょっとの登山行程では、時間が余り過ぎるから丁度よい」と思われるだろうが、稜線上の天候次第ではビバークや天候待ち・・、そして最悪の場合は登山断念も有り得るのである。 従って、千畳敷カール駅に到着した時点での天候の“見極め”が大変重要になってくる。
これら事を頭に思い浮かべると、この「9時始発」というのは、かなり精神的にキツく感じる「遅すぎる」始発時刻なのである。 だから、絶対にロープウェイの始発便に乗り遅れまいと、朝の6時から《菅ノ台》の駐車場前のバス停で並んだのである。
でも、「考える事はみな同じ」で、6時にバス停で待っても、バスに乗り込むのに小一時間、ロープウェイの駅である《しらび平》でも、ロープウェイの順番待ちで小一時間待たされて、結局ロープウェイに乗れたのは9時半の『第3便』だったよ。
千畳敷カールより
中央アルプスの核心部へ
・・で、千畳敷カール駅に着いたのは10時前。 取り敢えず、「行けるか、戻るか」の判断を千畳敷での天候で“見極め”る。 幸い、ピーカンで雲一つない・・というまたとない天候で、アイゼン装着などの登山の支度を始める。 アイゼンは、もちろん、10本爪以上の前爪付きだ。 アイゼンは途中で外れると『遭難フラグ』が立つので、念入りに靴に装着する。 でも、外れるんだな・・コレが。 何度もコレで「プチ・オチャメ」ってるしィ。
しっかりとアイゼンを装着して
気合を入れて
いざ!雪山のゲレンデへ
アイゼンを装着したら、ピッケルを持って、気を引き締めてロープウェイ駅の建物から“ゲレンデ”に飛び出す。 《千畳敷カール》から《宝剣山荘》の建つ《浄土乗越》までは標高差250m・・、所要1時間強の急登だ。
ここで雪崩に巻き込まれると
絶対に助からないから
ここで注意しないといけないのは、“雪崩”である。 これに巻き込まれたなら、まず助からない。
そして、この“雪崩”は天気の良い、いわゆる『小春日和』に発生しやすいので厄介だ。
この事からも安全な場所で登山情報を分析し、雪の状態や天候を判断する“見極め”が重要になってくるのである。
そして、この“雪崩”は天気の良い、いわゆる『小春日和』に発生しやすいので厄介だ。
この事からも安全な場所で登山情報を分析し、雪の状態や天候を判断する“見極め”が重要になってくるのである。
一筋に刻まれた雪道を
直線的に登っていく
また登り道も、《夏道》のようにジグザグを切っている訳はなく、アイスバーンの“滑り台”の直登なのである。 転倒すると滑落に直結するので、夏道のように“うっかり”転倒もできない。 コリは、山での「エース・トライゲッター」のワテには、かなり重く圧しかかる「枷」なのである。
山でこんな『オチャメ』なアリバイ
写真を撮られるタワケだから
:
山では「エース・トライゲッター」(コケまくり王)だ
そして、ルートファインディングにも神経を使わねばならない。 それは、雪庇を踏み抜くとたちまち滑落してしまうからだ。 雪質を見極め、足を踏み出す場所を決めて登る一歩一歩が重要となるのである。 「雪の上では単なる“歩く”という行為が、これ程奥深いものに変わるのか」と改めて感じるのである。
《浄土乗越》へ登る最中に
目にした木曽の御岳山
それでも、この頃は『奇跡の体力』完全発動の一歩手前だったので、一時間程度の所要で午前中に《宝剣山荘》の建つ《浄土乗越》に登り着く事ができた。 ロープウェイで始発を逃して「どうなる事か」と焦ったが、午前中に稜線上に立てたので「早く着き過ぎた事だし、時間潰しに濃ヶ池へ散歩していこうか」と態度がデカくなる。
早く着いて態度がデカくなって
『オチャメ』を呼び起こす
・・で、《濃ヶ池》へ繰り出すが、早速『オチャメ』ったのである。 即ち、道を間違えて東に外れていく宮田高原への下山ルートに入ってしまったのである。 30分近く歩いて、前に立つ雪に埋もれた道標を見ると、「宮田高原 5H」などと書いているではないか! そして、夏の写真で見た窪地にあるハズの《濃ヶ池》への道が、稜線上の雪庇帯になっとるではないか!
「始めは広い稜線上のルートだったから」とか
「道間違えちゃったよ あっはっは・・」
で済む問題ではないのだが
・・要するに、道を間違えたのである。 でも、道標の「宮田高原 5H」の下に「伊那前岳スグ」と手書きで記されていて、これを信じて「取り敢えずは高峰1峰ゲット」と突き進む。
でも、若かったなぁ・・、あの頃。 厳冬期の冬山道を間違えても突き進む根性があったしィ。
気がつけば稜線上の
痩せ尾根に向かっていたよ
・・で、道標から10分程度で着いた伊那前岳からは、宝剣岳が勇壮なデカックいい姿を魅せていた。
道は間違ったけど、それ以上に元が取れたのである。 だが帰りは、「少し調子に乗り過ぎた」天罰がこのタワケに襲い掛かる。
伊那前岳では宝剣岳や空木岳などの
中アの名峰が目白押しの絶景が広がり
富士山が最も大きく見えたのも
この伊那前岳の頂上だったが
:
この後に「お約束(オチャメ)」が待っていた
そう、稜線上の痩せた道の下り(・・といっても、大した痩せ尾根ではなかったが)で、両サイドが雪庇だらけの中を下っていかねばならなくなったのである。 この稜線の北側の雪庇を踏み抜くと「《濃ヶ池》の水底に潜む山の護り神」(←貧乏神の間違いだろ?)となり、南側の雪庇を踏み抜くと「《千畳敷カール》に咲く花」(←ムサい花だろうな、このタワケが花になると・・)となる事が必至だからである。
宝剣山荘にタムロする
登山者を見て少しホッとしたよ
なので雪庇を確認すべく、一歩一歩手を突っ込んで体を支えながら降りていったよ。
そう・・、《浄土乗越》に戻るまでの40分以上の間、一歩一歩で手を雪面に突き刺したおかげで、帰ってから、両手が第二度の凍傷になっちまったよ。
帰って1週間ほどしてから、手の皮が信じられぬ程にズル剥けして、ジャンケンができなくなっちまったよ。 この手でジャンケンすると、対戦相手は「妖怪でも見たような態度」でフェイドアウトするしィ。
だからジャンケンでは、手のひらや指を差しださなくていい『グー』以外だせなかったしィ。
日が傾き始めた山荘の裏手にて
南アルプスの山々を望む
この年最後の夕暮れ
雪に覆われると
より触れ難い情景となる宝剣岳
時が経って空の色も濃くなってきた
シュカプラが美しい波模様を魅せて
名峰を更に引き立てる
そしてクライマックス
それも「この年最後の夕暮れ」という
最高のファイナルな夕景を望んで
でも、何とか『オチャメ』は軽微なモノで終わり、無事に《浄土乗越》に建つ《宝剣山荘》にチェックインする。 後は小屋の周りで年の最後・『大晦日の夕景』で、宝剣岳が美しく染めるのに魅せられながらこの年の全ての行事を終える。 明日は木曽駒ヶ岳への登頂だ。 でも、宝剣岳は冬季は登山禁止なんだって。
冬は登ってはいけないんだって
※ 《2日目》の行程は、次回の『第55話』にて。
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No title * by chinu
こんばんは。いつも、時間をかけて構成や執筆をしているんですね。私は短文で少しの写真ですが、その文章が本当に正しいのか検証するので、無茶苦茶時間がかかります。
皆さん時間をかけているのを知ると、少しホッとします。
今回は、冬山のノウハウが少し理解できたので良かったです。
皆さん時間をかけているのを知ると、少しホッとします。
今回は、冬山のノウハウが少し理解できたので良かったです。
No title * by 風来梨
オータさん、こんばんは。
撮れた写真は自分で言うのもなんですが、『神情景』でした。 でも、撮った奴の行動は『オチャメ』でした。
その『オチャメ』の様子は、次回の第55話で・・。
予告編
筆者の談話によりますと、「厳冬期の山行ゆえに、いつもの山行に比べて『オチャメ』の濃度は薄かったですよ!」との事です。
撮れた写真は自分で言うのもなんですが、『神情景』でした。 でも、撮った奴の行動は『オチャメ』でした。
その『オチャメ』の様子は、次回の第55話で・・。
予告編
筆者の談話によりますと、「厳冬期の山行ゆえに、いつもの山行に比べて『オチャメ』の濃度は薄かったですよ!」との事です。
No title * by 風来梨
chinuさん、こんばんは。
ホント手間がかかりますね。 でも、その手間が楽しくてしょうがないのでしょうね。 休みの日は、山や「撮り鉄」に出かける以外は、部屋に籠ってパソの前で記事を書いたりしこんだりして、それに飽きたらパソゲームの『四川省』やら『ソリティアスパイダー』、『麻雀』などに没頭する・・という、楽しくも不毛な過ごし方をしてます。
力を入れた記事は、期日指定投稿で前の記事との感覚を開けたりしてます。 こんな記事の書き方をしてるので、平日は全く記事を書く気が起きないですね。 それに、Yahooブログに書きかけの記事のセーブ機能がないので、記事を書き始めたらアップまでしなければボツになりますし・・ね。 だから、平日は記事を書けないですね。
>冬山のノウハウ・・
私の場合、『オチャメ』がかなりの部分を占めますので、『反面教師』として活用する方がいいかと思われ・・(笑)
ホント手間がかかりますね。 でも、その手間が楽しくてしょうがないのでしょうね。 休みの日は、山や「撮り鉄」に出かける以外は、部屋に籠ってパソの前で記事を書いたりしこんだりして、それに飽きたらパソゲームの『四川省』やら『ソリティアスパイダー』、『麻雀』などに没頭する・・という、楽しくも不毛な過ごし方をしてます。
力を入れた記事は、期日指定投稿で前の記事との感覚を開けたりしてます。 こんな記事の書き方をしてるので、平日は全く記事を書く気が起きないですね。 それに、Yahooブログに書きかけの記事のセーブ機能がないので、記事を書き始めたらアップまでしなければボツになりますし・・ね。 だから、平日は記事を書けないですね。
>冬山のノウハウ・・
私の場合、『オチャメ』がかなりの部分を占めますので、『反面教師』として活用する方がいいかと思われ・・(笑)
No title * by 鳳山
厳冬期の中央アルプス、厳しくとも美しい景色です。
ナイス
ナイス
No title * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。
厳しいですけど、一生心から離れない情景が見られますよ。
そして、その氷の世界での一挙手一投足にも・・。
厳しいですけど、一生心から離れない情景が見られますよ。
そして、その氷の世界での一挙手一投足にも・・。
No title * by 風来梨
本年度の更新は、これにて終わりです。
なぜなら、またもや明日から北海道に行くから・・。
行ってる間はスマホのみなので、年末年始の御挨拶のコメで手一杯ですね。
ちょうど、記事の期日が25年前の大晦日その日の事だから、ものすごく当てはまってますね。 来年は、北海道から帰って来てからで、書く事ができればこの後編をアップしようかと・・。
それでは、「乞う御期待」と良いお年を・・。
なぜなら、またもや明日から北海道に行くから・・。
行ってる間はスマホのみなので、年末年始の御挨拶のコメで手一杯ですね。
ちょうど、記事の期日が25年前の大晦日その日の事だから、ものすごく当てはまってますね。 来年は、北海道から帰って来てからで、書く事ができればこの後編をアップしようかと・・。
それでは、「乞う御期待」と良いお年を・・。
No title * by 鳳山
今年もたいへんお世話になりました。来年もよろしくお願いします。
良いお年を!
良いお年を!
No title * by 風来梨
鳳山さん、こちらこそお世話になりました。 来年も、面白い歴史絵巻をご披露下さい。 凄く期待して待ってます。
それと年末の経過を鑑みれば、来年にアノミンジョクが消えて念願叶ういい年になりますよ。
それでは、よいお年を.
それと年末の経過を鑑みれば、来年にアノミンジョクが消えて念願叶ういい年になりますよ。
それでは、よいお年を.
神々しく 心が洗われるような 白と青(紺碧)の 世界ですね。
お疲れ様でした…