2018-12-23 (Sun)✎
路線の思い出 第293回 芸備線・道後山駅 〔広島県〕
雪の秘境駅・道後山
《路線データ》
営業区間と営業キロ 輸送密度 / 営業係数(’83)
広島~備中神代 159.1km 3184 / 332
運行本数(’16)
広島~三次は上下各30~60分毎の運転 区間運行も多数あり 快速 5往復運行
三次~備後庄原 2往復(内1往復 平日は備後西城まで延長運転)
三次~備後落合 6往復(内1往復 平日に運休日あり)
三次~備後庄原 2往復(内1往復 平日は備後西城まで延長運転)
三次~備後落合 6往復(内1往復 平日に運休日あり)
備後落合~新見 3往復(内 下り1本は快速)
東城~新見 3往復(内 1往復は土・休日運休)
秋の訪問時に撮った道後山駅
道後山駅(どうごやまえき)は、広島県庄原市西城町高尾にあるJR西日本・芸備線の駅である。
備後落合駅に向かって右側に、単式ホーム1面1線を有する駅である。 かつては相対式ホームで2面2線を有したが、片側(駅舎反対側)の線路が撤去されて、現在は単式ホームのみの停留所規格となっている。
鉄道利用者より
駅舎を重用してスンマセン
駅舎はあるが新見駅管理の無人駅であり、自動券売機等の設備はない。
駅事務室は改修されて、現在は消防機庫として消防車が入っている。
地形的には珍しい「谷中分水」の分水界にある。
全てが撤去されて
今あるのは駅前の集落跡の廃屋のみ・・
2011年までは駅西側に高尾原スキー場が隣接しており、かつてはスキーヤーで賑わっていた。
無人駅であったが冬季のスキーシーズンは期間限定の有人駅となり、スキー用の臨時列車が停車していた時期もある。 ホームのすぐそばにレストハウス「高尾原山荘」やリフト、臨時切符売り場があり、スキー場の閉鎖後もしばらく残されていたが、2015年3月20日に全て解体撤去されてゲレンデ跡が残るのみである。
1日平均の乗車人員は2011年の調査再開以降、最新調査年の2017年に至るまで7年に渡って0人との事である。 スキー場の閉鎖で、集落居住者のほぼ全てが流出して周囲はゴーストタウンとなり、取り残された駅も秘境駅として有名になってしまった。
芸備線のこの区間は、1日3往復でしかも貨物列車などの運行もない・・という『完全無欠』の3往復区間で、しかも朝1本と夕方の1本は早朝・日没後と、撮り鉄の視点で考えると全国的にも最も撮影の辛い区間である。 そして、レールバス型の魅力に乏しい車両に変わってからは、恐らくこの区間が撮り鉄の撮影目的となる事はないだろう・・と思う。 そう・・、ここにいる偏屈なタワケを除いて。
しかも圧巻(←何が圧巻なの? 圧巻でなくて奇特だろ?)なのは、真冬に車でなくて1日3往復の列車に乗って訪れている・・という事である。 だが、これは始めから立てた『撮り鉄旅』の計画ではなく、ぢ・つ・わ・・、四国の名峰・三嶺への登山が雪の為に断念となって、その為に購入した『セ・セ・セ・セ青春18きっふ』が余ってその消化をするべく、四国からわざわざここまで『セ・セ・セ・セ青春18きっふ』を使ってやってきたのである。
まぁ、こういう切符の購入目的がポシャった場合の機転が利く”冴え”だけは、我ながら大したモノだと思うよ。 要するに、「切符を無駄にしてなるものか!」という、人並み外れた巨大な「コス辛力」の賜物であろう。 だから、テントを担いでアイゼンとピッケルを持っての、格好としてはかなり場違いで恥ずかしい成りでの撮影行となったのである。 まぁ、この格好でも何とも思わない「面の皮の厚さ」も、同じく大したモノである。
でも、ここに来る事が予定外なら、その計画全ても全く白紙の状態で、もちろん泊る所も決めてないので、必然的に背に担ぐ『簡易宿泊装備』の出番となり、山で食うハズだった食糧が『おせち料理』(訪れたのは年末年始だったのですね)となり、持って来ていた袋のラーメンが『年越しそば』となったのである。
更に付け加えればピッケルが『一脚』の代わりとなったよ。
・・で、その背に担ぐ『簡易宿泊装備』をおっ広げる所は・・というと、もう無人駅以外にないのである。 そして、以前の秋に訪れた際に「こういう状況」を想定したのかしないのか(←想定してたら気味の悪い奴だなぁ)、キッチリと駅の『駅寝適合度』を調査して駅寝可能駅を把握していたのである。
風雪を凌げる軽いサッシ戸・・
広過ぎず狭過ぎずの土間・・
誰もやってこない環境・・
どれをとっても最高の条件の道後山駅
※ グーグル画像を拝借
それで、最も安心して一晩の駅寝ライフを送れる「条件が最も・・どころか”抜きんでて”整った駅」が、この道後山駅だったのである。 その”抜きんでて整った”条件とは、まずトイレが秘境駅には奇跡的ともいえる「水洗トイレ」なのである。
この高さの長椅子は
地べたに設営したテントからだと
丁度いい『食卓』となる
※ グーグル画像を拝借
次に、担ぐ2人用(実質は単身用)テントを立てて”広過ぎず、さりとて狭過ぎず”の駅舎の広さで、テントを設営すると『テーブル』となる椅子も、ちょうどいい高さの椅子なのてある。 戸締りも良好で風雪を完全にシャットアウトする事が適ったのである。
バスケットイスに枕代わりとなる座布団まで・・
この駅は「駅寝の神様」の駅だった
※ グーグル画像を拝借
また、テントのある今回は不要だったが、通常の駅寝ならば極上の設備である『バスケット型の長椅子』もあったりしたのである。 要するに、「駅寝の神様」のような駅だったのである。
外は時折吹雪く状況だったが・・
そして、ゴーストタウンにある『秘境駅』という事で誰一人とてやってくる事はなく、プライベートの保持も抜群なのである。 そして、道路からも離れているので、通り去る車の騒音も皆無だ。
早速、この駅に入り、『おせち料理』を拵える。 今日のメニューは親子丼と鯖の生姜煮と洋風のポタージュ(カップスープ)だった。 そして、コチラに来る途中の岡山のコンビニで買った『ハムの燻製』や正月限定の『ミニおせちセット』(こうや豆腐や金時豆やニンジン、カマボコが入っていた)を添えて、テントの中は「風呂無しアパートに住む貧乏学生の正月風景」なみのモノとなったよ。
中は暖かい正月風景だったよ
そして、明日は餅のないぜんざい(小さい頃に餅を喉に詰まらせた事があるので、わらびもちや大福もちなど甘い系以外は苦手)にカップメンと、血糖値が気になる程に甘ったるい「駅寝ライフ貴族」と化していたよ。
駅ノート絵師・まったりDRerさん
また、この駅には、「駅寝の場」としての優れたアイテムが備わっていたのである。
それは、駅を訪れた者が書き記す『駅ノート』が充実していて、それを見ていると退屈する事がなかったのである。 この駅が『秘境駅』と呼ばれて、一部の者(『駅降り鉄』さんですね)だけに有名となった事により、その内容も秀逸だったのである。
駅ノート絵師・黒潮しららさん
それは、方々から『駅ノート絵師』と呼ばれる方々が訪れて、漫画家顔負けの『美少女駅娘』の絵を描いていたのである。 もう、グーグルで『駅ノート絵師』で検索して出てくるほとんどの方々の絵が、数冊の『駅ノート』に描かれていたのである。 もう、「駅寝ライフ貴族」から「駅寝ライフオタク」になっちまいそうだよ。
駅ノート絵師・大海あすかさん
・・で、肝心の翌朝の『撮り鉄』は、皆様方の予想通りに『撃沈』しますた。
やっぱり、恵まれた環境!?だと、良いモノは産み出されないのですネ。 まぁ、ワテの写真レベルでの「良いモノ」であるのは念の為。
3往復では『撮り鉄』どころではないので
翌日は備後落合に出たのだけれど・・
木次線は毎年雪が降ると
除雪せずに運休で
駅舎寄りの木次線ホームは
雪で埋まっておりました
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Re: 意義 * by 風来梨
hanagonさん、こんばんは。
木次線は、おろちループとスイッチバック観覧のトロッコ列車が結構いい乗車率を誇っている(しかも列車の運行費はツアー旅行会社持ち)から、その為だけに残していると聞いた事があります。
だから、冬は「全くヤル気ナシ」で、雪が振ったら一切除雪せずに冬眠に入るようです。
芸備線は観光の目玉がないので苦しいですね。 でも、JR西i日本は芸備線が豪雨被害にあっても、JR北海道のように路線放棄せずに復旧させた所をみると、緊急時の迂回の使命路線としての指定されているのかも・・と考える私です。
木次線は、おろちループとスイッチバック観覧のトロッコ列車が結構いい乗車率を誇っている(しかも列車の運行費はツアー旅行会社持ち)から、その為だけに残していると聞いた事があります。
だから、冬は「全くヤル気ナシ」で、雪が振ったら一切除雪せずに冬眠に入るようです。
芸備線は観光の目玉がないので苦しいですね。 でも、JR西i日本は芸備線が豪雨被害にあっても、JR北海道のように路線放棄せずに復旧させた所をみると、緊急時の迂回の使命路線としての指定されているのかも・・と考える私です。
冬季に雪が積もったら運休する木次線も含めて、存続が危ういのでは…?