2018-09-23 (Sun)✎
よも”ヤマ”話 第52話 剱岳 〔富山県〕 ’92・9
一服剱 2618m、前剱 2813m〔名峰次選 13峰目〕、剱岳 2998m【名峰百選 17峰目】
前剱より望む剱岳本峰
剱 岳 つるぎたけ (中部山岳国立公園)
立山連峰の中でひときわ嶮しく、氷河地形を顕著に示しているのが剱岳である。 山頂は氷食尖峰で、氷河が永い時をかけて多くの嶮しき谷を創りだしている。 これらの谷は、《長次郎谷》・《平蔵谷》・・など、これらの谷を世に広めた先駆者達の名前がつけられている。
剱岳の魅力は、何といっても“奥の深い”楽しみ方にある。 初心者ならば、室堂からお花畑を突っ切って剱の頂に立つコースがお勧めである。 山歩きに慣れた中級者ならば、剱沢雪渓を渡って仙人池・黒部渓谷に至るコースがいいだろう。 剱沢の万年雪渓を突っ切って、裏剱の八ッ峰と仙人池を目指すのである。
このコースの全般に渡って眺められる裏剱の景観は、とにかく“素晴らしい”のひとことに尽きる。
八ッ峰を映す仙人池や彩り鮮やかな池ノ平、そして夏の“まだ人知れぬ”池ノ平山のお花畑、秋の燃える紅葉と、魅力が盛りだくさんである。
そして、上級者ならば、楽しむ観点はやはり“直に観る”であろう。 《長次郎谷》から標高差1000mの雪渓を乗り越えて頂上に立ったり、八ッ峰を“眺める”ではなく直に登るというのも、上級者ならではの楽しみ方であろう。 また、一生涯をかけて、“幻の滝”・剱大滝にアタックするのも夢がある。
立山連峰の中でひときわ嶮しく、氷河地形を顕著に示しているのが剱岳である。 山頂は氷食尖峰で、氷河が永い時をかけて多くの嶮しき谷を創りだしている。 これらの谷は、《長次郎谷》・《平蔵谷》・・など、これらの谷を世に広めた先駆者達の名前がつけられている。
剱岳の魅力は、何といっても“奥の深い”楽しみ方にある。 初心者ならば、室堂からお花畑を突っ切って剱の頂に立つコースがお勧めである。 山歩きに慣れた中級者ならば、剱沢雪渓を渡って仙人池・黒部渓谷に至るコースがいいだろう。 剱沢の万年雪渓を突っ切って、裏剱の八ッ峰と仙人池を目指すのである。
このコースの全般に渡って眺められる裏剱の景観は、とにかく“素晴らしい”のひとことに尽きる。
八ッ峰を映す仙人池や彩り鮮やかな池ノ平、そして夏の“まだ人知れぬ”池ノ平山のお花畑、秋の燃える紅葉と、魅力が盛りだくさんである。
そして、上級者ならば、楽しむ観点はやはり“直に観る”であろう。 《長次郎谷》から標高差1000mの雪渓を乗り越えて頂上に立ったり、八ッ峰を“眺める”ではなく直に登るというのも、上級者ならではの楽しみ方であろう。 また、一生涯をかけて、“幻の滝”・剱大滝にアタックするのも夢がある。
・・このように、どのレベルの登山者でも楽しめるのが、この剱岳である。
剱岳・別山尾根 登山ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR富山駅より鉄道利用(1:05)→立山駅よりケーブルとバス(1:00)→室堂
《1日目》 JR富山駅より鉄道利用(1:05)→立山駅よりケーブルとバス(1:00)→室堂
(0:25)→雷鳥平(1:40)→剱御前小屋(0:50)→剱山荘
《2日目》 剱山荘(1:30)→前剱(1:30)→剱岳(2:30)→剱山荘 (0:50)→剱御前小屋
《2日目》 剱山荘(1:30)→前剱(1:30)→剱岳(2:30)→剱山荘 (0:50)→剱御前小屋
(1:15)→雷鳥平(0:35)→室堂よりケーブルとバス(1:00)→立山駅より鉄道利用
(1:05)→JR富山駅
今回は憧れの岩峰・剱岳に初めて挑むのであるが、その山行での記録を元にして『行程表』を書き写すのだが、その『元データ』を目にして愕然としたよ。 それは、「何でそんなに早く登れるの?」って事である。
今回掲載した行程表は、メインサイトである『日本百景』の行程データとの整合性を取る為に少し調整を加えたモノを掲載したのだが、その『元データ』では《雷鳥平》から《剱御前小屋》までの登りを1時間3分で登りきっているのであった。 この時点で既にコースタイムより47分のアンダーなのである。
あぁ・・、また今夜も枕を涙で濡らさねばならないよ。
あの時はスゴかった
:
背後に見える登山者は上りで
ワテは登頂を終えた帰りで前剱をも越えていた
それでは、「初めてのアコム」じゃなかった、「初めての剱」をいってみようか。
上で記した様にコレだけ足が早ければ、剱岳は日帰りで踏破できそうなものだが、「これだけの峰を日帰りで駆けるのは勿体ない」というのは建前で、本当はどんなに足が速くても剱岳の日帰り登頂はほぼ無理な事なのである。
それは立山駅に朝6時前に着いたとしても、立山ケーブルの始発がシーズン中でも朝7:00と遅く、しかもその7時の便は旅行会社主催の団体客が押さえており、一般客はほとんど乗れないのである。
なぜなら、団体客は全ての旅行参加者を同時に捌かないといけないので、「次の便回し」にはできないのである。
シーズンに突入した
立山ケーブルはこんな感じ
※ グーグル画像を拝借
それを見越した団体客の行動のトロい事、トロい事。 若気の至りだったこの頃は、このトロい団体客に小さな殺意さえ芽生える事があったよ。 そして、その次の便も団体客がやってきたら乗れないのである。 要するに朝の2便は、一般客の乗車機会は5人から10人未満なのである。
今はこう宣ったワテ自身がトロくなり
トロさを写真を撮るフリをして誤魔化している
そして、ケーブルをフル稼働しても20分に1便が限界なのである。 要するに、一般の客が乗れるのは最速でも7:40って事になるのである。 ・・6時から並んで7:40のに乗れたらすごぶる幸運で、その後もやってくる団体客優先の対応は変わらないので、シーズン中などは3時間から4時間近く待たされるのである。 一説によると、この団体客優先主義の裏には、旅行会社からの多額の「袖の下」がケーブルカーの運行元に渡っているとかいないとか。
もう9時を周ると、ケーブル運行元もさすがに「マズい」と思うのか《美女平》までバス輸送に切り替えて、蛇行の帯と化して並ぶ待ち客をバスに誘導するようである。 立山の時に次いで2度目でケーブルの混み様を知っていたワテは、前日に駐車場で車寝して朝5時から並んでいたので8:40の便ケーブルに乗る事ができたが、この行程表通りに富山駅から電車で来ようものなら、立山駅からケーブル乗場のフロアに上ってきた時は、既に長蛇の列で4時間待ちは確定だろうね。
ヘタすれば4時間待たされかねない
怒りと殺意をトリカブトで表現してみますた
まぁ、立山に登った初めての時は何も知らなかったので、3時間待ちだったけど・・ね。
まぁ、それ以来この地域に訪れる時は、極力シーズン中を避ける様にしているよ。
でも、シーズン中を外すと山小屋は全て閉って、テント必須となるけど・・ね。
話は脱線したが、ケーブル程ではないが《美女平》でも高原バスに乗るのに2~30分待たされて、室堂に着くのは10時前後になっちゃうのである。 ・・という訳で、「いくら足が早くても剱の日帰りはムリ」って事が言えるのである。
さて、この頃のワテは、まだ山荘泊のスタイルでの山行であった。 だから『奇跡の体力』の最盛期に近づきつつあった頃で足も早く、上に記した「コースタイム47分アンダー」を叩き出して、ケーブル乗場のフロアで「小さな殺意を抱いた」トロい団体客のいたツアーに、《剱御前小屋》の手前で追いついたよ。
今日泊る剱山荘と剱岳
この団体客ツアー部隊は《剱御前小屋》で昼食を取るらしく、《剱御前小屋》でタムロっていた。
それを横目に追い抜いて、一路《剱山荘》に向かって下っていく。 ・・で、今日泊る《剱山荘》に着いたのは13時をちょっと回った位のトップ到着だったよ。 トップで着いた御褒美かどうかは知らないが、先着50人位までが入れる風呂に入れたよ。 もちろん、浸かるだけの風呂だったけど。
そして、案内された部屋もワテ一人だったよ。 でも、徐々に到着した山荘の泊り客が入ってきて、最後はワテが着いた1時間半後に《剱御前小屋》で追い抜いたツアー団体客の部隊が入り込んできて、途端に「布団1枚で2人」のスペースになっちまったよ。
・・明日は夜明け前に山荘を出て、一服剱で御来光を迎えるプランで剱岳に登るとしようか。
山荘からこれから登る
剱の峰を見上げる
北アの山荘は総じて朝食が遅いので、持ってきたパンで朝飯は凌ぐ事にして、夜明け前の空が明るくなり出した5時前に山荘を出る。 小屋からイッキ登りで20分程登ると一服剱だ。 『奇跡の体力』にリーチの足で、目論見通りに御来光が昇る前に一服剱に登り着く。 まぁ、今なら40分はかかって、御来光には間に合わないだろうけど。
一服剱からは、かぎいろの空に染まる鹿島槍の双耳峰が望まれる。 双耳峰を鋭角でスライドしながら突き上げる様は、カッコイイの一言に尽きる。 この一服剱でかぎろい色に染まる鹿島槍を目にしてからは、ここで見る鹿島槍が一番のお気に入りとなったよ。
ここから望む鹿島槍が
最も魅せられる
一服剱からは、前剱との鞍部に向かって下っていく。 この下りきった所は《武蔵ノコル》と呼ばれていて、ここから垂直に天を衝くかのようにそびえる前剱へと取り付いていく。
進むにつれて空が
かぎろい色から白く眩くなっていく
この前剱・・、実際に登ってみると見た目ほど急でもなく、割とあっさりと登っていける。
ただ、浮石が多い上に人の行き交いが多いので、常に落石に対する警戒が必要だろう。
朝日に輝く別山尾根と剱沢
この急登を乗りきって前剱 2813メートル の頂上へ出ると、ハイマツの茂った想像以上に広い山頂広場から、剱本峰の『カニノタテバイ・ヨコバイ』と呼ばれる岩峰が立屏風のようにそびえ立っているのが見える。 下山時に振り返ると、この『カニノタテバイ・ヨコバイ』に挑む登山者の姿が望めて、いいシャッターチャンスとなるかも。
前剱より“絶景かな”
前剱より望む剱岳本峰
剱の八ッ峰越しに
鹿島槍の双耳峰が望めた
その鋭角的な双耳峰がカックイイので
ズームで引き寄せて“もう一丁!”
この頂上を越えて痩せた山稜を下ると、最初の鎖場・《前剱ノ門》である。 ここは上りと下りの通路が分けられていて、足場もしっかりしているので安心して通過できる。 問題はこの次の鎖場だろう。
僅か20m程の岩場のトラバースなのだが、真下に垂直傾斜のような《平蔵谷》の雪渓が口を開いていて高度感があるのだ。
平蔵谷が口開くその上を渡る
コース最大の難所より
剱沢を挟んだ立山山塊をば
この鎖場を恐々乗り越えると、岩の間にあるテラス状の高台の上に出る。 この高台の上には落石の為だろうか、屋根のコンクリートブロックが粉々になった《平蔵ノコル避難小屋》の廃墟(現在は屋根は取り払われて囲いだけとなっている)がたたずんでいる。 この避難小屋の廃墟の下を周り込むと、ボルトや鎖・アングルなどが打ち込んである大きな岩壁にぶつかる。 これが、このコースの名物・『カニノタテバイ』である。
剱名物『カニノタテバイ』と『カニノヨコバイ』
:
『カニノタテバイ』が上り専用で
『カニノヨコバイ』が下り専用となっている
※ 写真は『カニノヨコバイ』
だが、後込みする程に難しい事はなかった。 最初の第一歩が大股開きになる事(足が短いので厄介ですね)を除けば、“痒い所に手が届く”が如く欲しい位置にアングルやボルト・鎖がかましてあり、ジャングルジムを上る要領で簡単に這い上がっていける。 この『カニノタテバイ』は、上り専用ルートで行き違いに気遣う必要がないのもいい点である。
『カニノタテバイ』を越えると右にトラバースして、下りルートとなる『カニノヨコバイ』への取付と合流する。 ここまでくれば難路も終わり、ゴロゴロした岩屑の小峰を越えて一投足で標高2998mの鋭い“剱”の上に立てる。 小さな祠のある頂上からは、360°の大展望が望めるであろう。
『カニノタテバイ』を越えると右にトラバースして、下りルートとなる『カニノヨコバイ』への取付と合流する。 ここまでくれば難路も終わり、ゴロゴロした岩屑の小峰を越えて一投足で標高2998mの鋭い“剱”の上に立てる。 小さな祠のある頂上からは、360°の大展望が望めるであろう。
あの頃は若かった
思い返しては今日も枕を涙で濡らす
:
肌もツヤツヤとして張りがあって
アリバイ写真を撮る動作もキビキビしてたよ
後立山の山なみ・・、そして雲海の合間より突き出す槍ヶ岳。 これが目に入ると、北アルプスの高峰を極めた実感がひしひしと湧いてくる。 また、眺めて美しい富士山も見渡せる事だろう。
思う存分“剱”の先からの絶景を見渡したなら、往路を下山する。
剱岳本峰より“絶景かな”
変色しちゃったね
鹿島槍・八峰キレット・五竜岳を眺めていると
下からガスが湧き出してきて
この後は急速にガスに覆われて
「白無の世界」となった
下りは先程も紹介した通り、下山専用のルート『カニノヨコバイ』を下っていく。
この『カニノヨコバイ』の傾斜はそれ程でもないが、1ヶ所足元が見え辛いオーバーハングの一枚岩を下る所がある。 ここは慎重に通過しよう。 この難所を越えて長い鉄ハシゴを下っていくと、《平蔵ノコル避難小屋》の前に下り着く。 後は、ペンキ印の通りに忠実に下っていく。
この『カニノヨコバイ』の傾斜はそれ程でもないが、1ヶ所足元が見え辛いオーバーハングの一枚岩を下る所がある。 ここは慎重に通過しよう。 この難所を越えて長い鉄ハシゴを下っていくと、《平蔵ノコル避難小屋》の前に下り着く。 後は、ペンキ印の通りに忠実に下っていく。
今日は剱御前のあの山屏風を越えて
室堂まで下りきらねばならない
一服剱で朝に登ってきた《剱山荘》への分岐があって、山荘で腰に手を当ててジュースの一杯でも飲みたい衝動に駆られるが、これを振り切って尾根通しの短絡道をゆく。 なぜなら、今日はイッキに室堂まで下って帰阪する予定で、グズグスしていたら室堂からの高原バスの最終に間に合わなくなるからである。
行きの立山ケーブルの如く、室堂の高原バスもバスを待つ下山客で長蛇の列となっているからである。
下山に手間取って室堂到着が遅くなると
行きと同じく長蛇の列に巻き込まれてしまう
※ グーグル画像を拝借
後は《剱御前小屋》も飛ばして、《雷鳥坂》を下って(でも・・登りより8分遅かった)、室堂への登り返しを30分を切る速さで駆け上って、室堂に戻り着いたのは14時ちょっと前。 下山客で込み合い始める前だったよ。 後は拠所ない事情により、(財布が痩せ細る)お土産は買わずに高原バスに乗り込む。
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