2018-09-16 (Sun)✎
『日本百景』 晩夏 第346回 中アのいぶし銀の名峰へ 〔長野県〕
空木岳より望む南駒ヶ岳
中央アルプス ちゅうおうアルプス (中央アルプス県立自然公園)
中央アルプスは南北アルプスの間に連なる“木曽山脈”の総称で、高さも南北アルプスのそれにひけをとらない。 最高峰は木曽駒ヶ岳 2956メートル で、そのすぐ横に剣先の如く鋭く尖った頂を魅せる宝剣岳 2931メートル が並ぶ。 また、この中央アルプスの山々は氷食が著しく、鋭く尖った峰を持つ山が多いのが特徴である。
・・中央アルプスの魅力は、何といっても氷河による浸食でできた数多くの“カール”地形と、そこに群生するお花畑であろう。 濃ヶ池・千畳敷・極楽平のカールが、夏になると高山植物の花々に飾られた天然の“うつわ”となり、悠然と構える峰々に囲まれた『神の園』となる。
中央アルプスは南北アルプスの間に連なる“木曽山脈”の総称で、高さも南北アルプスのそれにひけをとらない。 最高峰は木曽駒ヶ岳 2956メートル で、そのすぐ横に剣先の如く鋭く尖った頂を魅せる宝剣岳 2931メートル が並ぶ。 また、この中央アルプスの山々は氷食が著しく、鋭く尖った峰を持つ山が多いのが特徴である。
・・中央アルプスの魅力は、何といっても氷河による浸食でできた数多くの“カール”地形と、そこに群生するお花畑であろう。 濃ヶ池・千畳敷・極楽平のカールが、夏になると高山植物の花々に飾られた天然の“うつわ”となり、悠然と構える峰々に囲まれた『神の園』となる。
中央アルプス縦走ルート 行程図
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR駒ヶ根駅よりバス(0:50)→しらび平よりロープウェイ(0:10)→千畳敷
(0:40)→浄土乗越・木曽駒ヶ岳までは往復1時間40分
(0:20)→宝剣岳(1:00)→極楽平・三ノ沢岳まで往復3時間
(2:20)→桧尾岳(0:10)→桧尾避難小屋
《2日目》 桧尾避難小屋(1:30)→熊沢岳(2:00)→木曽殿越(1:30)→空木岳
(0:20)→宝剣岳(1:00)→極楽平・三ノ沢岳まで往復3時間
(2:20)→桧尾岳(0:10)→桧尾避難小屋
《2日目》 桧尾避難小屋(1:30)→熊沢岳(2:00)→木曽殿越(1:30)→空木岳
(1:30)→摺鉢窪避難小屋・摺鉢窪避難小屋分岐より南駒ヶ岳まで上り40分・下り30分
(0:20)→摺鉢窪避難小屋
《3日目》 摺鉢窪避難小屋(0:25)→摺鉢窪避難小屋分岐(1:20)→空木岳
《3日目》 摺鉢窪避難小屋(0:25)→摺鉢窪避難小屋分岐(1:20)→空木岳
(2:20)→小地獄・大地獄(1:20)→池山小屋(1:30)→駒ヶ根高原登山口
(0:20)→菅ノ台バス停よりバス(0:15)→JR駒ヶ根駅
《2日目》 稜線縦走路を伝って空木岳・南駒ヶ岳へ
本日の行程は8時間と少々キツい。 従って、早出を心掛けよう。 小屋を出て桧尾岳の頂に戻り、進路を左手に取る。 朝、桧尾岳の上に出ると、波のような稜線の起伏が空木岳に向かって連なっているのが望めるであろう。 雲海を挟んで対峙する空木岳を眺めてから出発しよう。
本日の行程は8時間と少々キツい。 従って、早出を心掛けよう。 小屋を出て桧尾岳の頂に戻り、進路を左手に取る。 朝、桧尾岳の上に出ると、波のような稜線の起伏が空木岳に向かって連なっているのが望めるであろう。 雲海を挟んで対峙する空木岳を眺めてから出発しよう。
まずは、恐竜の背びれの如くギザギサの岩峰の熊沢岳 2778メートル へ向けて登っていく。
桧尾岳との鞍部となる《船窪》を過ぎると、前方にそそり立っていた熊沢岳へと取りかかる。
熊沢岳への登りは、少々足場が悪い岩場となるので注意が必要だ。 一枚岩のトラバースやアングル付の岩場の下降など、重い荷物を担いでいては少々厄介である。
空木岳へ続く痩せた稜線
この登りは見た目程キツくはないが朝一番のアルバイトで、今日の体調の良し悪しを測るにはいいかもしれない。 これを乗りきると、巨大な露岩が突き出た熊沢岳 2778メートル の頂上だ。
頂上は広い丘状で、ウスユキソウの群落が咲き乱れる所だ。
熊沢岳頂上の大岩
展望も、北アルプスの山なみが頃合のいい位置に浮かび立ち、剱や後立山が雄々しい姿で望める。
また、御岳山も堂々とそびえ立ち壮観だ。 思う存分に花と景色を楽しんだなら、空木岳に向かって進んでいこう。
熊沢岳よりは下り基調となり、左手に《池ノ平カール》が望めるはず・・だが、カールの規模が小さい上に《大田切本谷》のスケールが大きいが為に目立たない。 やがて、空木岳が対峙して望めるようになると、東川岳 2671メートル の頂上だ。 これより、200mの急下降で《木曽殿越》の峠へ下っていく。
熊沢岳の宝剣岳側、つまり登り方は幾分緩やかで苦もなく登れるが、下りにかかる空木岳側は《池ノ平カール》を隔てる“窓”状に切れ込んでおり、このカール壁の裏側をトラバースで越えていかねばならない。
カールを雲海が覆う
“雲海のかけ橋”をたどっていく
眺めはカール壁が逆光に黒光りしてなかなかシブイが、この間の通路には鎖があり・・、一枚岩のトラバースあり・・と気を引き締めていかねばならない。 特に“窓”の最低部、やや空木岳よりの長い一枚岩のトラバースは朝露などで濡れていると滑りやすいので気をつけよう。
カールに吸い込まれるように
ガスが晴れてきた
この鎖場を越えると“ルンゼ状”の岩登りとなり、手足を引っ掛けて登っていくとハイマツに囲まれた砂礫の丘の上に出る。 標高2703mのピークである。 この頂上は小庭園を成しており、トウヤクリンドウなどが咲くお花畑となっていた。 また天気が良ければ、《池ノ平カール》を見下ろす眺めと木曽駒ヶ岳・宝剣岳・空木岳のおりなす山岳パノラマも眺める事ができるだろう。
2703mピークからは波打つように連なる稜線のコブを忠実に越えていくが、足場も熊沢岳の“窓”に比べると格段に良くなり、すんなりと東川岳 2671メートル までたどり着ける。 実際には桧尾岳から東川岳まではピークが5つあるが、数を気にして歩くよりは速やかに通過する方が精神的にも楽であろう。
東川岳からは、砕石混じりのザラ場をジグザグに下っていく。 この下りはかなり急で、滑りやすいザラ場なので足元には注意が必要だ。 下る最中に見上げると、東川岳が崖状にそびえていているのが見えるだろう。
下る最中に《木曽殿越》の小屋が見えるが、これがなかなか着かない。 得てして距離というものは、目に見えて意識の中にかかると長くなるものである。 ジグザグに切って下るだけ下ると、やがて小屋が設置したと思われる土嚢の階段を下って《木曽殿越》の小屋前に下り着く。
断崖絶壁の崖っぷちに建てられている
木曽殿山荘
※ 中アの山小屋紹介ウェブより
この小屋は二階建てのプレハブ小屋で、食事付で宿泊できる。 木曽駒に寄っての縦走や、テント・自炊装備を持たない縦走者にはうってつけの小屋である。 ただ、かなりの谷間に位置しているので、朝日の写真目当てならばやや不利かもしれない。
この小屋の名称である“木曽殿”とは、木曽義仲の事である。 830年もの昔に“木曽殿”こと木曽義仲が、仕従を従えてこの峠を乗り越えた・・との伝説よりこの名称がつけられているのだが、史実では“ほとんど疑わしい・・”との事である。
この小屋の名称である“木曽殿”とは、木曽義仲の事である。 830年もの昔に“木曽殿”こと木曽義仲が、仕従を従えてこの峠を乗り越えた・・との伝説よりこの名称がつけられているのだが、史実では“ほとんど疑わしい・・”との事である。
それは、《木曽谷》と《伊那谷》の両側がスッパリと切れ落ちて風が吹き上げる難所を、“戦上手”の義仲が兵馬の危険を犯してまで通る事はない・・という事からである。 故に地名の説明文でも、“木曽殿越の伝説”が事実だとするとすごい事であるが、史実では疑問が残る事柄だ・・とある。
木曽殿の力水
少し細いがいい「力水」だ
※ グーグル画像を拝借
さて、《木曽殿越》の鞍部に下り立つと、必ず実行しなければならない事がある。 それは、《木曽殿の力水》と呼ばれる岩清水へ水を汲みに行く事である。 なぜなら、今日の宿泊地である《摺鉢窪》の避難小屋は水がなく、ここで補給した水が“本日の生活水”となるからである。 この岩清水までは、鞍部に建つ山荘の裏手から『倉本登山道』を下る事約8分である。
行動水と今日1日をやり過ごす為の水の補給を終えたなら、これより+3㎏(水の重さ)を担いで空木岳に向かって標高差400mをイッキ登りせねばならない。 この登りは前半がザラ場の急登で、後半は岩場のよじ登りである。
このザラ場の急坂に息が上がる頃、ハイマツが途切れて《木曽殿越》の鞍部が見渡せる所に出る。
この高台より見下ろす《木曽殿越》は、木曽・伊那の両側が深く切れ落ち、2つの谷を隔てる稜線が刃のように迫り上がって壮観だ。 ここからは空木岳をかたどる大きな岩壁が現れ出し、この岩をヘツッたり、高巻いたり、くぐり抜けたりしながら登っていく。
やがて、最も大きな岩の基部を巻くように進んでいくと、“鎖場跡”の難所に差しかかる。
この高台より見下ろす《木曽殿越》は、木曽・伊那の両側が深く切れ落ち、2つの谷を隔てる稜線が刃のように迫り上がって壮観だ。 ここからは空木岳をかたどる大きな岩壁が現れ出し、この岩をヘツッたり、高巻いたり、くぐり抜けたりしながら登っていく。
やがて、最も大きな岩の基部を巻くように進んでいくと、“鎖場跡”の難所に差しかかる。
以前に鎖が掛けられていた形跡はあるが今はなく、文字通りよじ登らねばならない。 手足で岩を確実にホールドして、注意して登っていこう。 これを越えると、オーバーハング状に迫り出している大岩の伊那側をヘツッて稜線上に飛び出る。 稜線上に積み重なる傾いた岩の上をトラバースしたり、飛び越えたりすると、白亜の岩が散りばめられた空木岳 2864メートル の頂上だ。
空木岳の登りはキツい事はキツいのだが、的確に登っていけるので時間は思った程にかからない。
コースタイムは1:30だが、荷物を担いでのワテでも1:15であったので、たぶんほとんどの人が1:30未満で登りきれるだろう。←コレは『奇跡の体力』を保持していた頃の記述です・・、念の為
空木岳にて
登りきった空木岳 2864メートル からは、360°の大展望が広がる。 北アルプスと、南アルプスに挟まれた位置に立つ高峰ゆえの眺望が展開する。 そして前方に目を向けると、目指す南駒ヶ岳が鋭角的な美しい三角錐を魅せてくれるだろう。
南駒ヶ岳を望む
さて、頂上で素晴らしい展望をたっぷりと味わったなら、前方にそびえる南駒ヶ岳に向かっていこう。
ルートは、空木岳の下りから始まる。 空木岳を成している白いザラ場を急下降していくのだが、途中にはタカネツメクサなどの花が咲き乱れて心地良い。 これを十分に下りきると、今度は赤榔岳 2798メートル への登り返しとなる。 ガレ場をつめていくと頂上だが、それを示すものは木の棒1本と貧相なものであった。
摺鉢窪は典型的なカール地形だ
赤榔岳からは、目指す南駒ヶ岳が山体を斜めにした勇姿を魅せてくれる。 赤榔岳の頂上に乗っかる大岩を巻いて、南駒ヶ岳との鞍部へ向かって急下降していく。 前方には、今日の宿泊場所である《摺鉢窪》の避難小屋とそのカール地形が望まれる。 鞍部まで下ると、《摺鉢窪》への下降路が分かれている。
ここに荷物をデポって、前面にそびえ立つ南駒ヶ岳へアタックしよう。 ガレにガレた傾斜をイッキ登りで200m程つめると、祠の立つ南駒ヶ岳 2841メートル の頂上だ。 私の登った時は残念ながらガスで何も望めなかったが、晴れていれば今までに歩いてきた道程がダイナミックに望める事だろう。
南駒ヶ岳頂上にて
頂上にある露岩には、ペンキで『コスモ→』と描かれてある。 有人小屋は、次の越百山の小屋までないのだ。 ここから3時間の道程である。 《桧尾岳避難小屋》からでは、所要10時間超とかなりキツ過ぎるオーダーである。
・・頂上でひと息着いたなら、荷物をデポッてある《摺鉢窪》へ戻ろう。 《摺鉢窪》の避難小屋は、カール地形の底にポツンと立っている。 カール壁の傾斜はキツく、疲れた足腰には少々コタえる。
カール特有のガレにガレた砕石の下りを乗りきると右背後に南駒ヶ岳の大岩壁がそびえ立ち、コバイケイソウやイブキトラノオのお花畑が広がる楽園に立つ事ができる。
摺鉢窪より南駒ヶ岳を仰ぎ見る
お花畑の中、自然が創造した庭園状に敷きつめられた砕石の道を伝っていくと、潅木に隠されて見えなくなっていた避難小屋がひょっこりと現れる。 小屋内は中央が土間で、つめれば50人は収容できるスペースがあるが、水もトイレ(現在は簡易トイレ有)も電気もない暗い小屋が“満員御礼”となる事はまずないであろう。 小屋の脇に天水を溜めたタンクは存在するが、水質の事を考えるとあまり使う気はしない。
従って、《木曽殿越》より水を担ぎ上げるのが必要となるのだ。
こんなに不便な小屋なれど、小屋の周りに広がる豊かな自然とカール底から望む里の展望を独り占め(たぶん、宿泊者1人きりであろう)にできる高揚感がある。 “山の民”には、これさえあれば十分だ。
摺鉢窪より下界を俯瞰する
孤独だが、“山の民”としての贅沢な一夜を結ぼう。
擂鉢窪のカール壁上からの空木岳は
端正な三角錐の容姿を魅せていた
《3日目》 池山尾根を下山
今日の行程は、空木岳への往路を戻り、《池山尾根》を下って《駒ヶ根》に戻るルートである。
空木岳までのルートは右手に南アルプス、左手には北アルプスと御岳山。 そして、背後には美しい三角錐を魅せる南駒ヶ岳、正面には白亜の頂を魅せる空木岳と展望には事欠かない。
今日の行程は、空木岳への往路を戻り、《池山尾根》を下って《駒ヶ根》に戻るルートである。
空木岳までのルートは右手に南アルプス、左手には北アルプスと御岳山。 そして、背後には美しい三角錐を魅せる南駒ヶ岳、正面には白亜の頂を魅せる空木岳と展望には事欠かない。
空木岳の頂にて
対峙してそびえる御岳山
宝剣岳から続く
この山行で辿ってきた稜線を望む
花も、私の通った夏の終わりでも、トウヤクリンドウやイワツメクサなどが咲き競っていて目を楽しませてくれる。 だが、山歩きを堪能できるのは空木岳の頂上までだ。 空木岳の頂上では《木曽殿越》の山荘からの登山客がゾロゾロとたむろしていて、現実に引き戻されたような感じを受ける事だろう。
後は、この登山客達と連なって下っていくのだが、特に団体登山客はマナーがなっていない(狭い道で団体で立ち止まったり、下山歩行中で傘を差したり・・と、難所を通過する事よりこれらを抜き去る方が困難である)ので、少々厄介である。
空木岳カールを下っていく
頂上から下る事10分足らずで、《駒峰ヒュッテ》の建つ《空木平》に出る。 ここでカールに下る道と、カール壁沿いに歩く道とに分かれる。 ここからは、目的に合わせてコースを選ぼう。
最短ルートを行くなら、カール壁上のコースがいいだろう。 でも、体力的な余裕があって“花”が目当てなら、少し遠回りとなるがカールに向かって下っていこう。
最短ルートを行くなら、カール壁上のコースがいいだろう。 でも、体力的な余裕があって“花”が目当てなら、少し遠回りとなるがカールに向かって下っていこう。
空木カールは
もう秋の気配だった
摺鉢状に削られたカール底部は季節になると、高山植物の咲き乱れる“花のうつわ”となる。
ハクサンイチゲ・オヤマノエンドウ・シナノキンバイ・シクサンフウロ・ウメバチソウ・トウヤクリンドウ・・など、五色の花々がカールに彩りを添える。 花を見ながら下りるからであろうか。
空木カールに咲く花 その1
ウサギギク イブキトラノオ
頂上から見えていた《空木避難小屋》へはなかなか着かない。 またカール底は、岩が不規則に転がる河原状を成しているので、足にもかなり負担がかかる。 これは到底、ガイド本などが示している“30分”では行けそうにない。 従って、本行程表ではやや多く見積もって“1時間”としたのであるが。
空木カールに咲く花 その2
それなりの時間をかけて下っていくと、やがてダケカンバの樹木に囲まれたバラック小屋・《空木避難小屋》が見えてくるだろう。 この避難小屋は管理人の入っている《駒峰ヒュッテ》と違いかなり荒れており、泊るに当たってはそれなりの気構えが必要だろう。
建替えられて綺麗になった
新空木岳避難小屋
※ 避難小屋の上下2枚はグーグル画像を拝借
小屋前から望む空木岳
:
荒廃して不便な小屋なれど
山の雰囲気を味わうには格別の小屋だ
また、水場となる沢の上にトイレの残骸があり、“水”に関しても心許ない感じである。 安全を目指すなら、《駒峰ヒュッテ》か《木曽殿越山荘》に宿泊するのが賢明だろう。 だが、より山を味わうには、こういう悪条件も“また良し”である。
朝の光に染まる
空木岳カール
避難小屋よりは沢沿いに歩いていくと、カール地形の窪みが尽きてくる。 なおもカール壁を斜めに登っていくと、《駒峰ヒュッテ》からの尾根通しの道と合流する。 ここから下の《駒ヶ根高原》まで延々と樹林帯の中をいくので、見通しはほとんど利かない。 また、樹林帯の中を縫うようにいくので、道を見失ってブッシュに迷い込みやすい。
延々と続く薄暗い樹林帯の急下降にいささかウンザリするが、見るべきものもないので以外と早く下っていける。 やがて、コース唯一の鎖場・《大地獄・小地獄》に差しかかる。 だが、鎖場としては何の事もなく、急なハシゴがあるのと岩をヘツる所に鎖が掛けられてあるだけである。 どちらかといえば、空木岳の《木曽殿越》側の方が鎖が必要だと思うのだが。
これを越えると再び樹林帯の中のジグザグ下りとなり、見通しのほとんど利かない中を1時間半程下っていく。 やがて、《池山分岐》という水場施設の残骸が残る木立の丘に下り着く事ができるだろう。
この分岐からは、地名の通り池山 1774メートル まで登山道は続いているが、あまり登り甲斐もなさそうなので無視していく事にしよう。 この分岐からしばらく歩いていくと沢のせせらぎが聞えてきて、やかてこの沢を見下ろす土手の上を行くようになる。
山荘なみの施設に
建替えられた池山小屋
※ ウィキペディア画像を拝借
《池山尾根》の道は長い道程ではあるが、数年前より整備が成されているらしく道標も新しくなり、池山の避難小屋も新しく建替えられたようだ。 前回通った池山の水場も荒廃して全く使えなかったものが、水槽が新設されて豊富な水がポンプアップされている。
避難小屋前にある水場
:
小屋入口の分岐にも
水場が新設されていた
※ ウィキペディア画像を拝借
《池山小屋》の旧小屋は木造の古びたものが沢のそばに建っているのだが、使い勝手はともかく雰囲気は断然こちらが上だろう。 近々取り壊されるらしく、立入禁止となっていた。 山の中でも、“古き良き”ものが失われつつあるように思う。 《池山小屋》を越えると、遊歩道化された道が林道終点まで続く。
林道終点は整備されていて、トイレも設置されていた。
《池山小屋》からは遊歩道然となって、広い緩やかな下り道が続き歩きよい。 あまり見通しの良くない《タカウチバ展望台》を過ぎると、《駒ヶ根高原》のスキー場から延びる林道に出る。 ここでようやく、下界の眺めを見る事ができるだろう。
後は、林道を交差しながら山道を下っていくと、《駒ヶ根高原スキー場》の脇に出る。 そこから舗装道を20分程で、《駒ヶ根高原》の《菅ノ台》のバス停である。 バス便は多くあるので、ホテル街でひと風呂浴びてから帰路に着こう。
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No title * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。
ロープウェイで標高2600mまで上がれて、百名山に名を連ねる木曽駒ヶ岳から、もう一つの百名山の空木岳の間は登山者も多く、食事提供アリの小屋がちょうどいい間隔であります。
でも、それを外れると、私の泊まった摺鉢窪小屋のようにトイレナシ(後に設置)、水場ナシで水の持ち込み要、電気なんかモチロンナシの無人小屋ですね。
でも、不便な小屋なれど、山の雰囲気は満点です。 それに無料だし。
ロープウェイで標高2600mまで上がれて、百名山に名を連ねる木曽駒ヶ岳から、もう一つの百名山の空木岳の間は登山者も多く、食事提供アリの小屋がちょうどいい間隔であります。
でも、それを外れると、私の泊まった摺鉢窪小屋のようにトイレナシ(後に設置)、水場ナシで水の持ち込み要、電気なんかモチロンナシの無人小屋ですね。
でも、不便な小屋なれど、山の雰囲気は満点です。 それに無料だし。
ナイス