2018-09-16 (Sun)✎
路線の思い出 第278回 くま川鉄道・湯前駅 〔熊本県〕
国の有形文化財に登録された
木造駅舎を持つ湯前駅
※ ウィキペディア画像を拝借
《路線データ》
営業区間と営業キロ 運行本数(’18)
人吉温泉~湯前 24.8km 14往復
旧国鉄・湯前線からの第三セクター移管線 かつてはJR肥薩線の急行【くまがわ】
1往復が乗り入れていた
湯前駅(ゆのまええき)は、熊本県球磨郡湯前町にあるくま川鉄道湯前線の駅で、同線の終着駅である。 夜間滞泊は行っておらず、同駅終着の最終列車は折り返しで人吉温泉行き最終列車となる。
相対式ホーム2面1線の終着駅で、駅舎は北側にある。 2010年10月から無人駅となっていたが、2011年4月より再び有人化された。 自動券売機が設置されている。 普段は北側のホームが使用されており、駅舎または駅舎に隣接するふれあい交流センター「湯~とぴあ」を通って出入りする。
駅舎本屋は、国の登録有形文化財に登録されている。
駅と隣接するクアハウス『湯~とぴあ』
※ ウィキペディア画像を拝借
トイレは駅舎にはないが、隣接するふれあい交流センター「湯~とぴあ」内にある。
南側のホームはレールウイングと呼ばれる広場となっている。 普段は使用されないが、こちら側にも改札口があり乗降ができるようになっている。
かつては当駅から妻線・杉安駅までの延伸計画があったが、建設されぬまま宮崎県側の妻線・佐土原~杉安間が1984年11月末をもって廃止された。 その代替としてあった湯前駅から西米良村の村所を経て杉安駅・西都バスセンターを結んでいたJR九州バスの日肥線も、1996年に湯前駅 ~村所が西米良村営バスに、1998年に村所~西都バスセンターが宮崎交通バスに移管され撤退した。
湯前線は鉄道を追っかけていた少年時代から乗車計画を立てていたのだが、この時に抱いていた「北海道廃止ローカル線優先主義」の為に、『我が青春のローカル線』であった『高原鉄道・宮原線』以外に九州に立ち寄る事がなかったのである。
なぜなら、この頃の『ローカル線めぐり』は、その費用を工面する為に学校長印を無断拝借して学割を不正発行して、なおかつ真面目に学校に通っていては行くヒマもないので学校サボっていく「うしろ暗い旅」がほとんどだったのである。
まぁ、こんな事でもしない限り、北海道の『ローカル線めぐり』の費用が工面できない「金のない小僧」だったから、九州も含めての『ローカル線めぐり』なんて、とてもじゃないが追いつかなかったのである。←しかし、トンデモない小僧だな、コイツは
いつの間にか駅の隣に
温泉クアハウスができてるしィ
※ ウィキペディア画像を拝借
・・で、北海道のローカル線を優先して訪れていると、いつの間にか三次の廃止対象路線だった湯前線も第三セクターに転換されてしまっていたのである。 そして、北海道のローカル線のほぼ全てが『廃止・淘汰』という形で帰結して、その結果と共に鉄道への情熱が冷めていったのである。
こうして湯前線の訪問計画は、鉄道への情熱が冷めてヤマへと気持ちが移り変わると同時に“放ったらかし”となったのである。 だが、ひょんな事から、湯前線の訪問計画が実現したのである。
それは、湯前線が通るこの地にそびえる【名峰百選】の市房山に登る為である。
「くま川鉄道の車両ってこんなのだったのね」
という程に記憶に無かったりして
※ ウィキペディア画像を拝借
だが、この時は意識が鉄道からかけ離れていて、くま川鉄道の列車がどんな車両だったかも記憶にない・・というか、この時は鉄道車両の事など気にも留めなかったのである。 帰りに乗ったアノ車両を除いて・・。
還りに乗った「アノ車両」デス
※ ウィキペディア画像を拝借
それは無職の放浪期の事で、しかも【名峰百選】の登頂が98峰までに迫っていた世紀末の年であった。 ちなみに【名峰百選】の全峰完全踏破は、この峰で1999年12月31日踏破の超ミレニアムだったりするのである。 要するに、これから登る市房山を登頂すると、【名峰百選】全峰踏破の『リーチ』となるのであったのだ。
でも、無職の放浪期なら車で行くのがいつもの『パターン』であるのだが、九州の峰は日帰り登山の単体の峰がほとんどで、しかも微妙に距離が離れているので、車で周ると結構費用がかかるのである。
また、車の運転は、九州までやってくるだけでもひと苦労だ。 残り3峰だけとなった【名峰百選】の為となると尚更だ。
・・で、比べると、周遊券を使って鉄道で行った方が九州への往復が格段に楽だし、夜行列車にも乗れて宿泊費も浮くし、泊まる所がなければテントを張って駅寝をすれぱいいし・・で、鉄道が断然有利だと判明したのである。
その市房山の登山は台風が九州に近づいていた事もあって雨の中の登山で、しかも日帰り登山をした日の前後3日間全て雨だったのである。 市房山に登る前日は、登山口にあるキャンプ場で雨の中テントを張るつもりだったが、キャンプ場管理人の御厚意でテント代のみでログハウスに泊る事ができたのである。
市房山は大雨の中の登山ですた
でも、登山でズブ濡れとなり、さすがに濡れたままでテントを張る訳にもいかず、仕方がないので近くにあった市房ユースホステルに泊る事にした。 この市房ユースホステルは“幻のユース”と呼ばれる位に影の薄いユースで、食事提供ナシで宿泊代も一泊2000円位と格安のユースホステルだったのである。
取りあえず、ズブ濡れになった衣服を洗濯して干して(濡れた衣服を洗濯して干したかったのがユースに泊った最大の理由デス)、『100円入浴券』をもらって近くの湯山温泉で温泉に入りに行く。
メシは食料と自炊用具共に持ってるから心配ないしィ。
市房山は雨でロクな写真が撮れず
:
上手く撮れたのは路傍に咲く彼岸花のみ
二本木峠から望む市房山
翌朝は、この放浪旅の目的だった開聞岳と霧島・韓国岳・・、そしてこの市房山の「九州の残り3峰」を踏破して、【名峰百選】完全踏破の『リーチ』をかけて帰路に着くのだが、市房山が『百名山』より漏れた事に「市房山ほどの奥深い山を見落とす深田久弥は山を見る目がない!」と不快感を示すユースのペアレントさんと意気投合して、湯前駅まで軽トラで送ってくれたのである。 しかも、1往復だけ湯前まで乗り入れる熊本行の急行【くまがわ】の時刻に合うように・・である。
洗濯できて、服も乾燥室で完全に乾かせる事ができて、100円で湯山温泉に入れて、しかも湯前駅まで送ってもらったのでバス代500円カットと、いい事づくめのユース泊であったよ。
座席が『アクアシート』の『アクアエキスプレス』
※ ウィキペディア画像を拝借
・・で、湯前駅から乗ったのが、急行【くまがわ2号】の『アクアエキスプレス』であった。
その車内は球磨川を正面から見物できるように、座席が車窓に対して平行の向きに配置されてあったのである。
座席が何と窓と平行の向きに
※ グーグル画像を拝借
タワケは嬉しがって、その席に陣取る。 その他、カラオケのジュークボックスやリクライニングではないものの深く厚いモケット地のロマンスシートで、これほどの車内設備を有しながらも全車自由席の特別料金不要の列車だったのである(急行券も周遊券だから不要)。
カラオケのジュークボックスも
あって特別料金不要!の
落とし穴にハマってしまったよ
※ グーグル画像を拝借
駄菓子菓子! この展望向けロマンスシートがクセモノだったのである。 湯前線の沿線上は球磨川も寄り添わないので何ともなかったが、球磨川が車窓に寄り添った途端、吐き気を催す物凄い乗り物酔いに苛まれたのである。
そういえば、車窓の正面に向く『アクアシート』は、座ってる奴は一人もいなかったしィ。
座った人も、すぐに席を立って隣の車両に移っていったし・・ね。 川の流れを凝視すると、完全に平衡感覚がヤラれる・・、真に『アクア・ゲロシート』である。
もう、眺めるのを諦め、座席に横たわって吐くのを必死にこらえる。 ここで「そんなに酔うなら、席を移動すればいいだろうが!」と思われるだろうが、一度催すと移動するだけで「吐いてしまう」かもしれないのである。 要するに、酔いが進行してしまって移る機会を逸してしまったって事ですね。
人吉から増結されたコチラに乗ってれば
酔う事もなかっただろうね
※ ウィキペディア画像を拝借
だから、この時の肥薩線の『球磨川ライン』はほとんど目にする事無く、必死に吐くのを堪えてロマンスシートに横たわっていた乗車体験があるのみなのである。
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No title * by 風来梨
pikes peakさん、こんにちは。
いやぁ~、オチャメな内容(但し、本人にとっては普通の行動)ですね。 鉄道記事は多くあれど、こういう内容はなかなかないでしょうね。
ヤマも、滝も、鉄道旅も、内容は私が体験した『オチャメ訪問記』なので、ドン引き必至の過酷な内容となってますねぇ。
その甲斐あってか、7年もブログ続けているのにまだコメントが3000ちょっとの不人気ブログになってたりして・・。
それと、この湯前線と廃止された妻線がつながっていたら、毎年訪ねてたかも・・と思う位に、市房山のそびえる熊本・宮崎県境付近は自然情景の豊かな所ですよ。
いやぁ~、オチャメな内容(但し、本人にとっては普通の行動)ですね。 鉄道記事は多くあれど、こういう内容はなかなかないでしょうね。
ヤマも、滝も、鉄道旅も、内容は私が体験した『オチャメ訪問記』なので、ドン引き必至の過酷な内容となってますねぇ。
その甲斐あってか、7年もブログ続けているのにまだコメントが3000ちょっとの不人気ブログになってたりして・・。
それと、この湯前線と廃止された妻線がつながっていたら、毎年訪ねてたかも・・と思う位に、市房山のそびえる熊本・宮崎県境付近は自然情景の豊かな所ですよ。
No Subject * by 助廣急行
初めまして!助廣急行といいます。
きゃみ様ブログの書き込みからお邪魔させていただきました。アクアエクスプレス懐かしいですねぇ。私は高校生時代、吉塚から香椎に通学してたため、通学にアクアエクスプレスを利用することがありましたが、黒いシート、暗い車内、それから新車?の匂いと、なんだか気分悪くなっていたことを思い出しました^^;
きゃみ様ブログの書き込みからお邪魔させていただきました。アクアエクスプレス懐かしいですねぇ。私は高校生時代、吉塚から香椎に通学してたため、通学にアクアエクスプレスを利用することがありましたが、黒いシート、暗い車内、それから新車?の匂いと、なんだか気分悪くなっていたことを思い出しました^^;
Re: No Subject * by 風来梨
助廣急行さん、こんばんは。
アクアエクスプレスの車両は香椎線に転属されていたのですね。 知らなかった。 貴重な情報有難うございます。
>黒いシート、暗い車内、それから新車?の匂い
そういえば、消毒の臭いも列車酔いの原因かもしれませんね。 複合技の中で川の流れの凝視して、あのような目にあったのでしょうね。
アクアエクスプレスの車両は香椎線に転属されていたのですね。 知らなかった。 貴重な情報有難うございます。
>黒いシート、暗い車内、それから新車?の匂い
そういえば、消毒の臭いも列車酔いの原因かもしれませんね。 複合技の中で川の流れの凝視して、あのような目にあったのでしょうね。
アクアエクスプレス * by 助廣急行
風来梨様、こんばんは!
アクアエクスプレスは元々香椎線で運用するために登場した車両なんです。香椎線から運用を外れ、熊本へと行ったそうですよ?
https://sukekyu.blog.fc2.com/blog-entry-369.html
アクアエクスプレスは元々香椎線で運用するために登場した車両なんです。香椎線から運用を外れ、熊本へと行ったそうですよ?
https://sukekyu.blog.fc2.com/blog-entry-369.html
Re: アクアエクスプレス * by 風来梨
助廣急行さん、こんばんは。
香椎線は確か・・、市房山からの帰りに肥薩線でこの記事の体験した後に、夜行の特急【あかつき】の時間待ちで乗ったかと思います。
その時は、鉄道から気持ちが離れていたので写真は撮らず・・でしたね。 だから、香椎線で覚えているのは海の中道の砂丘と、長者原の2階ホームから、1階の篠栗線を見た事くらいでしょうか。
長者原では、1階の篠栗線ホームが人が並んでいたのに対して、2階の香椎線は私一人の「ローカル線」だった光景が印象に残ってます。
香椎線は確か・・、市房山からの帰りに肥薩線でこの記事の体験した後に、夜行の特急【あかつき】の時間待ちで乗ったかと思います。
その時は、鉄道から気持ちが離れていたので写真は撮らず・・でしたね。 だから、香椎線で覚えているのは海の中道の砂丘と、長者原の2階ホームから、1階の篠栗線を見た事くらいでしょうか。
長者原では、1階の篠栗線ホームが人が並んでいたのに対して、2階の香椎線は私一人の「ローカル線」だった光景が印象に残ってます。
ナイスを押しづらい内容(笑)ですが、大変でしたね....
肥薩線は結構好きで、40の改造車等も多いので、近年よく訪れます。
景色も良いですしね。
くま川鉄道には、そのついでに1度乗りに行きました。
比較的町が続くイメージの路線で、想像とは違いました。