風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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名峰次選の山々 第23回  針ノ木岳・蓮華岳

名峰次選の山々 第23回  『154 針ノ木岳 ・ 155 蓮華岳』 富山県・長野県 
針ノ木山系(中部山岳国立公園)  針ノ木岳 2821m 、 蓮華岳 2799m 
コース難度 ★★★  体力度 ★★★★★
 

北アルプス・裏銀座縦走路 全行程図

    行程表            駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 JR信濃大町駅よりバス(0:40)→扇沢(2:00)→大沢小屋 
     (0:30)→針ノ木大雪渓(2:30)→針ノ木峠・針ノ木岳へは往復1時間半
《2日目》 針ノ木峠(1:00)→蓮華岳(4:30)→七倉岳(0:20)→船窪
《3日目》 船窪(4:00)→不動岳(3:00)→烏帽子岳(0:45)→烏帽子小屋
《4日目》 烏帽子小屋(3:20)→野口五郎岳(2:30)→水晶小屋
《5日目》 水晶小屋(0:45)→水晶岳(2:30)→赤牛岳(3:15)→水晶小屋(2:40)→三俣
《6日目》 三俣(2:00)→双六小屋(5:40)→槍ヶ岳山荘・槍ヶ岳へは往復1時間
《7日目》 槍ヶ岳山荘(4:20)→双六小屋(2:00)→鏡平(4:00)→新穂高温泉よりバス
     (1:40)→JR高山駅
 

針ノ木岳の朝
 
  《1日目》 針ノ木雪渓を登高して針ノ木岳へ
さて今回は、山好きなら誰もが“登山の総決算”として選択するであろう『北アルプス・裏銀座縦走路』の完全縦走にチャレンジしてみよう。 このプランを実行しようとするならば、まず考えなければいけないのが“休暇”の事であろう。 

宿泊施設の充実した北アルプスではオンシーズンならばさして危険はないが(と言っても、山をナメてもらっては困るのだが)、これだけの“欲張った”計画を立てると、予備日を含めて1週間以上必要とするのである。 “まとめての休暇はちょっと”というならば分割して攻める方法もあるが(ワテもそうした“クチ”である)、できればイッキに踏破したいものである。 それでは、山好きならば誰もが憧れる“雲上のプロムナード”を歩いてみよう。
 
北アルプスの観光拠点である《扇沢》が、今回の登山口となる。 一般の観光客ならば、これより『立山・黒部アルペンルート』のトロリーバスやケーブル・ロープウェイを伝っていくのであるが、こちらは駅の左脇に観光客の群れを避けるが如く目立たぬ所にある登山口をくぐる。 

眼前に立ち阻む山屏風に向かって進んでいくのだが、途中まではトロリーバスの保守道路を山道と絡めながら進むので、舗装道路が多く味気ない。 やがて、トロリーバスのトンネル入口で舗装道路と別れて山道に入っていく。 雪渓を控えている山域だけあって、スラッジ状の岩がゴロゴロと出現する歩き辛い道だ。
 
『日本三大雪渓』
針ノ木大雪渓

《鳴沢》・《赤沢》と2つの沢を渡り、しばらく歩くと《大沢小屋》だ。 いよいよ、この先より『日本三大雪渓』といわれる《針ノ木雪渓》の登高が始まる。 
小屋より土手を1kmほど伝うと、雪渓の下端が見えてくる。 さぁ、アイゼンを足に装着して登高開始だ。 

この《針ノ木雪渓》はそれ程急な雪渓ではないが、《白馬大雪渓》よりも急なので軽アイゼンとピッケルは必要だろう。 
だが、この長い行程でアイゼンが必要となるのはここだけなので、荷物の重さ(7日分の食料と趣味!?のカメラを担ぐと)を考えると悩む所であるが、安全と速やかな雪渓登高の為にも是非持参して頂きたい。 

雪渓の状態は8月ならば約1.5km程残り、中央部から上部にかけてがやや急だ。 
これが初夏の頃となると、最上部の砕石帯が全て雪渓となってかなり急となるので、初夏に登る場合は雪渓の状況確認が必要となる。

途中、雪渓の中の“島”の上に出て少し急な雪渓を渡ると、雪渓帯はくびれて消えていく。 後は、急な斜面をイッキ登りしていくだけだ。 標高差で500m。 傾斜はかなり急で、所々ジグザグを切って登っていく。 高山植物の養生中で、所々にムシロが被せてある。 この坂をつめると、《針ノ木峠》の狭い鞍部に出る。 しかし、“この狭い鞍部によくぞまぁ”という程に、《針ノ木小屋》が“目一杯”に建っている。

小屋でテントの手続きをして(7日間の長丁場である。 全て小屋泊だと莫大な費用が必要となる)、テントの中に荷物をデポって空身で針ノ木岳を往復してこよう。 所要は、往復で1時間半位だろうか。 
ルートは小屋の裏手から、これまた狭い斜面に設けられたテント場をかすめて前衛峰へイッキに登っていく。 

前衛峰の上に立つと、対峙している蓮華岳 2799メートル が見えてくるだろう。 
だが、まだまだ蓮華岳の方が高い。 これより砕石帯をストレートに登っていくのだが、この蓮華岳の頂が目線位に到るまで登りつめると針ノ木岳 2821メートル の頂だ。
 

均整のとれた姿を魅せる
針の木岳
 
頂上からは、幾重にも雪渓筋を従えた岩の殿堂・剱岳が真正面にそびえ立つ。 右手には、鹿島槍が双耳峰をはっきりと魅せている。 もちろん、《黒部湖》の蒼い水と白いアーチダムも望める。
そして、左側の果てには槍・穂高の勇姿も。
 

鹿島槍方向を望む
 
針ノ木岳の頂上は、この項目で望む展望では間違いなくトップクラスであろう。 いつまでも・・名残惜しいが、頃よく引き上げて峠に戻ろう。 《針ノ木小屋》は雪渓上部よりポンプアップで水を汲み上げているので、水は有料だ。 貴重な水である。 決して無駄遣いはせぬように。 明日は、大きなアップダウンを数度越えるキツい行程が待っている。 早めに休憩しよう。
 

朝・・染まり始める
槍・穂高連峰
 
 《2日目》 “蓮華ノ大下リ”を経て船窪へ
朝、テント場より望むと、槍・穂高を始めとする北アルプスの雄峰群が、かぎろい色の空にそびえ立っている事だろう。 そして、その横に富士山の美しい三角錐も・・。 夜明けの絶景の中で出発準備ができるのは、幕営山行の“特典”である。

さて、ひと通りの準備が整ったなら出発だ。 小屋前の狭い峠の上に立ち、四方の山々がオレンジ色に染まるのを確かめてから真っすぐに進路を取ろう。 まずは、蓮華岳の急登だ。 
朝一からの急登にふくら脛が悲鳴を上げるが、それ程長くは続かないのでこらえよう。
 

剱岳方向を望む
 
やがて、峠に建つ小屋と針ノ木岳の頂が望めるようになると砕石帯の緩やかな丘の上に出て、コマクサの咲き乱れる好展望の中を行くようになる。 右を望むと、槍・穂高を始めとする北アの雄峰。
左は鹿島槍や妙高・火打などの頚城の山々と、果ては秩父の山々も・・。 振り返れば、針ノ木岳とその背後には剱の勇姿が。 そして正面は、朝日を満面に浴びて光幻に輝く蓮華岳が、ひときわ大きくそびえ立っている。
 

コマクサを借景に望む槍・穂高
 
“コマクサを前に散らばせて北アの山々”もいいし、チングルマの実に光を当てて輝かせるのもグットだ。
このようにカメラ片手で行くと、1時間もあれば登り着く蓮華岳に1時間半はかかってしまう。 
やがて、蓮華岳の頂上へ。
 

稜線を鶴翼に広げる蓮華岳
 
蓮華岳 2799メートル の頂上は細長く、一番端に三角点がある。 頂上からの展望は、雪渓谷を幾筋にも従えた剱岳が印象的だ。 そして、逆光に黒光りする鹿島槍も、稜線のうねりをはっきりと望む事ができる“そそる”眺めだ。
 

蓮華岳三角点
 
いい眺めを思う存分楽しんだなら、さぁ、ここからが体力勝負だ。 500mものイッキ下りを擁する《蓮華ノ大下り》や、ことごとく乗越を越えるアップダウンが、これより2日行程5回に渡って続くのだ。 
もちろん、ただ上下するだけではない。 鎖場やヘツリ、崖の際などの“オプション”たっぷりのルートでもあるのだ。 

足下を見下ろせども鞍部まで望むことができない、そんな急で長い大下りを下っていく。 滑りやすい砕石のザラ場をジグザグに切って進んでいくが、途中の慰みと言えば“白いコマクサ”位であろうか。
周りを見渡すと、今朝出発した《針ノ木峠》が指呼の間にあり、しかも進む毎にどんどん上に見上げる位置となっていく。 これを見ると、思いっきり下っているのが実感できるだろう。
 

蓮華の大下リで見つけた
白いコマクサ
 
やがて、砕石帯を抜け出して、ストンと落ちる崖の下りに差しかかる。 これより、鎖とハシゴが交互に現れるちょっとした難所だ。 荷物を一式担いでの鎖場下りは慎重を期さねばならない。 踏ん張るのに力を使う上に、重心が高くなり不安定となるからだ。 また、このガラ岩帯は滑りやすいので、ゆっくり下っていこう。 これを下りきると、狭いコルの上に立つ。最初の鞍部である《北葛乗越》だ。 

蓮華岳は今下った崖に隠れて全く見えなくなり、閉鎖感を感じる所だ。 狭いコルを横断すると、いきなりの急登が待ち受けている。 ハシゴも使ってイッキに150m登り返す。 登り返して尾根上に出ると、草付きの中を緩やかに登るようになる。 再び展望も良くなってきて、腰掛けるにちょうどいい岩も点在してくるので、ここらでひと休みするのもいいだろう。 

荷物が重い事もあり、予想以上にヘバっている自身を認識できる事だと思う。 ともすれば、北アの一般ルートでこれ程キツい所もそうはないのではないかと思うのだが。 さて、汗を乾かして息を整えたなら、目指すは眼前にそびえる北葛岳の頂だ。
 
標高差にして約200m近くある登りは、重い荷物を担いで疲れた体に結構効いてくる。 草付きがハイマツに変わり、開けたハイマツ帯をつめると北葛岳 2551メートル 頂上だ。 蓮華岳や針ノ木岳と程よく離れていて、展望は良好だ。 針ノ木岳のスラリとした山容と今まで苦労の末に下ってきた《蓮華ノ大下リ》がデカデカとそびえ立ち、真に対照的な眺めを魅せてくれる。
 

黒部湖を望む 
 
そして、本日の終点である《船窪》も見えてくる。 ほんの近くに見える小屋との間には大きな乗越のアップダウンが存在し、頂上で直角に向きを変えた降り口には『小屋まで 3:00』と記した道標がある。 
“3時間”はオーバーかもしれないが、まだまだ遠いのである。 

越中側を巻くように潅木帯をどんどん下り、ハシゴでトドメを差すように下りきると、これまた狭い両端ともガレた鞍部に下り着く。 これが2つ目の《七倉乗越》だ。 このコルからも、前と同じようにハシゴをも使ってイッキに露岩帯を登りつめる。 これを肩までつめて左に展開する尾根を伝い、尾根上のコブを2~3越えると七倉岳 2509メートル だ。 ここまでくれば、小屋はもうすぐだ。 小屋の前には《不動谷》を挟んで不動岳がそびえ立ち、《不動の大崩壊》が生々しい崩落の爪痕を魅せている。
 
不動の大崩落
水場はこんな所にあった

小屋でテントの手続きをして、テント場まで歩いて20分(登り返すとなると30分はかかるであろう)。 
たぶん、手続き場所より最も離れたテントサイトではないだろうか。 
そして、何よりも厄介なのが“水汲み”だ。 冷たくていい水を得ることができるのではあるが、その場所は《不動谷》の崩落箇所の“落ち口”にあり、ロープを握りながらの“水汲み”となるのだ。 
 
何でも、過去にここで転落死亡事故が数回あったとの事である。 《不動谷》に落ちた落石がカンラカンラと響き渡る中での水汲みは、“そそる”ものがある。 朝、眠気まなこで水を汲みにいくのは危険だ。
明日の分も汲み置きしておいた方がいいだろう。 明日は本行程中、最もハードな行程が控えている。
それに備えて、早めに休息を取ろう。

   ※ 続き《3日目》以降は、次回『名峰次選 第24回 烏帽子岳』を御覧下さい。
 
   ※ 詳細はメイカサイトより『北アルプス・裏銀座縦走路』を御覧下さい。
 
 

 
 
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No title * by yamanbou
おはようございます。歩いてみたいロングコースですねぇ、時間があれば・・・。 ヒマができると、今度は体力がなくなるんでしょうねぇ。 鹿島槍に登った時、針の木岳、蓮華岳は登りたいと思いました。

No title * by 風来梨
こんばんは。

恐らく、北アルプスの一般ルートでは最もキツイのではないか・・と思うのがこのルートです。 バリエーションルートに進むと、毛勝山とか、槍の北鎌尾根とか、西穂~奥穂などありますが・・。

でも、歩いたら解る何ともいえない充実したルートです。
針ノ木雪渓は8月にはいると上部の雪がなくなりますので、狙い時といえば8月かも・・。

コメント






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No title

おはようございます。歩いてみたいロングコースですねぇ、時間があれば・・・。 ヒマができると、今度は体力がなくなるんでしょうねぇ。 鹿島槍に登った時、針の木岳、蓮華岳は登りたいと思いました。
2011-06-03 * yamanbou [ 編集 ]

No title

こんばんは。

恐らく、北アルプスの一般ルートでは最もキツイのではないか・・と思うのがこのルートです。 バリエーションルートに進むと、毛勝山とか、槍の北鎌尾根とか、西穂~奥穂などありますが・・。

でも、歩いたら解る何ともいえない充実したルートです。
針ノ木雪渓は8月にはいると上部の雪がなくなりますので、狙い時といえば8月かも・・。
2011-06-03 * 風来梨 [ 編集 ]