風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第45話  白山・山上お池めぐり

よも”ヤマ”話  第45話  白山・山上お池めぐり 〔石川県・岐阜県〕 ’92・7
白山・御前峰 2702m (二度目の登頂) 、白山・大汝峰 2684m 【名峰百選 12峰目】


白山をめぐるパーカーの群れ

   白   山 はくさん (白山国立公園)
富士山・立山と共に『日本三大霊山』の一つに数えられる白山は、越前・加賀地方にまたがる両白山地の主峰である。 “白山”という名はこの山群の総称で、最高峰の御前峰 2702メートル 、次いで大汝峰 2684メートル ・剣ヶ峰 2677メートル 
と、3つの峰から構成されている。

・・日本海から吹きつける季節風をまともに受けるこの山域は冬季に大量の降雪があり、この雪が“万年雪”となって年中この山を白く輝かせる。 それが、この山“白山”の名前の由来である。




白山・エコーライン~山上周遊ルート 行程図

    行程表                駐車場・トイレ・山小屋情報
《1日目》 金沢市街より車(1:40)→別当出合(2:20)→甚ノ助ヒュッテ(0:20)→南竜道分岐
     (0:30)→エコーライン分岐(1:20)→白山・室堂
《2日目》 白山・室堂(0:45)→白山・御前峰(0:40)→白山・剣ヶ峰(0:50)→白山・大汝峰
     (0:25)→千蛇ヶ池(0:30)→白山・室堂(1:10)→甚ノ助ヒュッテ
     (1:40)→別当出合より車(1:40)→金沢市街
       
       ※ 前回の『第44回 白山・エコーラインルート』からの続きです


白山の3つの峰で
展望・花と最も魅力ある大汝峰へ

前回にも愚痴をこぼした通り、ネタは我が登山史+滝めぐり体験分だから、この『よも”ヤマ”話』に関してはまだ400話相当のネタがあるが、記事を書く時間と掲載写真を仕込む時間が全く取れないよ。
困ったもんだ、全く。

さて、愚痴はこれまでで切り上げて、前回の続きを始めましょうか。 白山・室堂の宿坊では登山シーズン中に限り、天気が良く御来光が拝めそうならば、日の出の1時間半前に大太鼓を打って知らせてくれる。 それに合わせて出発する。 朝起きれるが不安がってた彼も、大太鼓を合図に宿泊者の全てがゴソゴソと動き出すのを耳にして、寝坊する事なく起きて出発。


まずは白山最高峰で御来光を

宿坊を出て山の方向を見上げると、カンテラを照らした登山者の帯が頂上からきれいに連なっていた。
どうやら、気の急く登山者は大太鼓が打たれる前から登り始めているようだ。


対峙する剣ヶ峰の背後に
北アの峰々が連なって

ワテと彼の位置は、この登山者の帯の真ん中くらいのようであった。 この帯に乗って頂上までいく。
そのまま帯に付いて惰性で登っていくと、約45分で《白山奥宮》の祠の立つ白山・御前峰 2702メートル に登りつく。 空はもう明るくなっていて、程なく御来光が昇るようである。


この日は下に雲が厚く
御来光は今イチであったが
北アの山なみ展望は抜群だったよ

頂上は左右に細長く、前後は至って狭い。 この中に御来光目当ての登山者が列をなして群がるので、のんびりとカメラを構えるには難点がある。 頂上からの眺めは、北アの黒部五朗岳から槍・穂高、乗鞍までが一団となって雲海に浮かんでいる。 山なみの右端より昇る御来光のシーンは、霊山とおぼしき荘厳な情景である。 御来光が昇ると、宮司の音頭で“万歳三唱”と祝詞が挙げられる。 それに従って、ワテと彼も”万歳三唱”をする。  


八ヶ岳と御岳の方向から
雲に覆われた御来光光線が射し込んで・・

御来光を眺めたなら、大汝峰の頂に立つべく先に進む。 御前峰山頂からは、大汝峰に向かってガレた岩ザクをジグザグに下っていく。 途中に《天柱石》と呼ばれる奇怪な岩塊を見て、火口の底に下り立つ。 


御前峰より下っていくと
翠ヶ池が見えてくる
 
周囲は灰色のガレ岩に覆われた荒涼たる風景で、昨日から眺めた白山の緑豊かな山容とのギャップはかなり大きい。 火口の底から標識に従って火口壁を乗り越えると、《紺屋ヶ池》・《油ヶ池》・・と火口湖群に差しあたる。 これらを眺めながら下ると、エメラルドグリーンに輝く《翠ヶ池》が現れる。


翠ヶ池と白山・御前峰のビューポイントで

この《翠ヶ池》に対峙して白山の3つ目の峰・剣ヶ峰がそびえ立っているが、この剣ヶ峰には登山路が設定されておらず、今回は山が初めての彼を引き連れている事だし、かというワテも山に関してはまだまだ素人の域であったので今回は剣ヶ峰は見送る事にしよう。


左へせり上がる岩峰が剣ヶ峰だが
登山路がないので今回は見送り

剣ヶ峰には七年後に登ったが、大きな岩をよじ登っていくような感じて、下りは急傾斜を斜め切って、直接《翠ヶ池》の畔に下り立ったよ。 まぁ、下りに関しては、『奇跡の体力』の最盛期の若い頃だからできたんだろうね。


これより登る大汝峰は
砂礫が積み重なったような峰だ

《翠ヶ池》畔まで下ると、左前方に迫り立つ大汝峰に向けて歩いていく。 池底にある赤い石で血のように赤く染まった《血ノ池》を越えると、大汝峰への登道が分岐している。


御前峰と剣ヶ峰を背に
大汝峰へと登る彼の雄姿を1ショット

先程の剣ヶ峰の黒光りした溶岩帯と異なり、白い砂礫のガレた急斜面だ。 登っていくごとに《翠ヶ池》がエメラルドグリーンの輝きを放ち、ピラミタルな剣ヶ峰を投影し始める。


今回のベストショット
“大汝”より“剱” 水墨画のような情景

大汝峰は白山の3つの峰においては”展望を司る峰”と云われていて、登山路も切られている。
だが、勿体なくも約半数の登山者が御前峰で引き返すので、この山頂に立つと人が少なく静かに大展望を享受できる。


大汝峰の登りに挑む
彼の雄姿を1ショット!


大汝峰の砂礫地には
イワギキョウが可憐な姿を魅せていた


岩陰に白い真珠・アエノツガザクラが・・


ライトグリーンを魅せる
《北弥陀ヶ原》が視界に入ると
大汝峰の頂上は近い

砂礫の花咲く細い尾根筋を伝って大汝峰 2684メートル 頂上に登りつめると、”展望を司る峰”と云われる通りに、白山山系随一の素晴らしい展望を望む事ができる。


大汝峰より白山を一望する

剣ヶ峰と御前峰の影の間に真綿のような雲海が漂い、その上を北アの山が一列をなして浮かんでいる。
またその奥には八ヶ岳や南アルプス、富士山なども見渡せる。 素晴らしい眺めを心ゆくまで眺めたなら、頂上を後にしよう。


北アの山なみが雲海に
一列に並んで浮かんでいた


剣ヶ峰の奥の
天の海原に浮かぶは御岳か?


八ヶ岳と中アと周囲の山々が
雲海に溶け込んで

《血ノ池》に戻ると、山頂散策路は《室堂》へ戻るべく左へ大きく進路を変える。 更に進むと、《百姓池》と『熱雲堆積物』と呼ばれる白砂と巨岩が現れる。 この『熱雲堆積物』は1554~56年にかけて、《翠ヶ池》の火口から赤熱した岩石や火山灰が火山ガスと共に山の斜面を雪崩の如く流出したものである。 

これらの砂地や巨岩の間には、砂礫に咲く高山植物が可憐な姿を魅せている。 ハクサンコザクラ・アオノツガザクラ・コイワカガミ・イワギキョウなど、色とりどりの花を愛でながら歩いていく。

白山頂上丘に咲く花々

キジムシロ


アオノツガザクラ
白く光る真珠のような


チングルマ


ハクサンコザクラ
可憐という言葉は
この花の為にあるのだろう


砂礫に咲く代表的な花
イワギキョウ


黒の女王・クロユリ


キバナシャクナゲ


”ハクサン”銘柄の元祖
ハクサンフウロ

やがて、最後の火口湖で伝説の色濃い《千蛇ヶ池》に出る。 この池は夏でも水面が雪で覆われた温帯性の寒帯湖で、日本列島の温帯に属する地域では唯一のものという。 そして、この珍しい池には、当然ながら伝説もついてくる。 その伝説とは、泰澄大師が千匹の悪蛇を万年雪に封じ込めた・・というものである。 


伝説の色濃い《千蛇ヶ池》
伝説のフォローもバッチリ!

それよりもこの伝説の凄い所は、“もし、万年雪が解けたなら、《御宝庫》と呼ばれる白亜の岩が上から崩れ落ちて地面を塞ぐ”という後のフォローまで考えてある事だろう。 この御都合主義を指摘したワテに、取り敢えず同意してくれたよ。 意味は理解していなかったようだけど。


花を愛でての山游では
4~5時間経つのはあっという間だ


眩いばかりのミヤマキンバイ

あとは、《室堂平》の草原地帯に咲くミヤマキンバイやクロユリ・ハクサンイチゲの群落の中を通って、《水屋尻雪渓》の縁を横切ると、《室堂》の宿舎が見えてくる。 だが、カメラを手に、そして彼に花の写真の撮り方を教えながら歩いていたので、室堂に戻り着いたのは10時前となっていたよ。 

宿舎でひと息着いたなら、小屋に置いてあった荷物を引き上げて下山に取りかかろう。 
山頂上めぐりでは素晴らしい眺めと美しい花々に時間を取られてタイムオーバーとなったので、下山道は最短コースの砂防新道を取る事にしよう。 

弥陀ヶ原から下山道に咲いていた花々

亜高山域の湿地帯に咲く
ヨツバシオガマ


白く小さく可憐な花
ツマトリソウ


薄紅の妖精・コイワカガミ


真に”大”の文字
ミヤマダイモンジソウ


珍種・ウスバキスミレ

《五葉坂》を下り、《弥陀ヶ原》の草原を突っ切ると、《弥陀ヶ原》の端に立つ《黒ボコ岩》の前に出る。 この岩は分岐となっていて、岩の右手に周り込むと『観光新道』へ、左手に周り込むと最短コースの『砂防新道』に続く。

下山路で見かけた花々

ゴゼンタチバナ


イブキトラノオ


光が透けて魅惑的なキヌガサソウ


花名不詳デス

この岩の下に続くジグザグ道を下ると、《延命水》なる冷たい湧き水が岩雫となって流れ落ちている。
彼はガブ飲みのキライがあるようで、おいてある杓子満々に注いだ《延命水》をイッキ飲みしてたよ。←もしかして糖尿の気があるのか?


ナデシコや


タンポポなどの
里の花に変わっていくと

この後、《十二曲》という最も急なつづら折りの坂を下りきると《三ノ越》、後は多少ガレた道に気をつけながら小沢を何本か横切ると《南竜道分岐》の左側に出る。 後は、往路で通った道を忠実に下っていく。


程なく別当出合に架かる
吊り橋が見えてくる

ワテもまだ若く、登山初体験の彼もガタイは良くて体力もありそうだったので、下山口の《別当出合》まで休憩する事無くイッキに下りきる。 下山を終えて、《白山温泉》で山の汗を洗い落としてから、大阪への帰路に着く。


















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No title * by たけし
26年前の山行記録、興味深く拝見しました。
高山植物のすべてが詰まったような白山。素晴らしいです!
年月は経っても山容は昔のまま(あたりまえ!)人間の姿、性格に変化があってもいつも同じ姿で迎えてくれる山には様々な想いがあって、切なくなることもしばしばです。

No title * by 鳳山
一度行ってみたいと思っていた白山の写真、堪能させていただきました。

ナイス

No title * by 風来梨
たけしさん、こんばんは。

この白山は、初心者ルートとしてはうってつけですね。 この後はハチャメチャな山行に突入していく私ですが、登る山の順序だけは『初心者向け』の白山と正解だったようです。

お陰で花も撮れて、山が生涯のライフワークになりましたね。

No title * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。

白山は花の名峰として有名で、普段は山に登らない人でも「1度登ってみたい」山ですね。

機会があればぜひ! コースも初心者向けで、天候が良ければ花と展望の両方が堪能できますよ。

コメント






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No title

26年前の山行記録、興味深く拝見しました。
高山植物のすべてが詰まったような白山。素晴らしいです!
年月は経っても山容は昔のまま(あたりまえ!)人間の姿、性格に変化があってもいつも同じ姿で迎えてくれる山には様々な想いがあって、切なくなることもしばしばです。
2018-06-26 * たけし [ 編集 ]

No title

一度行ってみたいと思っていた白山の写真、堪能させていただきました。

ナイス
2018-06-26 * 鳳山 [ 編集 ]

No title

たけしさん、こんばんは。

この白山は、初心者ルートとしてはうってつけですね。 この後はハチャメチャな山行に突入していく私ですが、登る山の順序だけは『初心者向け』の白山と正解だったようです。

お陰で花も撮れて、山が生涯のライフワークになりましたね。
2018-06-27 * 風来梨 [ 編集 ]

No title

鳳山さん、こんばんは。

白山は花の名峰として有名で、普段は山に登らない人でも「1度登ってみたい」山ですね。

機会があればぜひ! コースも初心者向けで、天候が良ければ花と展望の両方が堪能できますよ。
2018-06-27 * 風来梨 [ 編集 ]