2018-03-20 (Tue)✎
路線の思い出 第253回 宗谷本線・抜海駅 〔北海道〕
宗谷本線の木造駅の聖地・抜海駅
《路線データ》
営業区間と営業キロ 輸送密度 / 営業係数(’15)
旭川~稚内 259.4km 746 / 489
運行本数〔音威子府~稚内〕(’18)
音威子府~稚内 特急 3往復、普通 3往復
幌延~稚内 普通 上り1本
凍てつく冬でも列車は定刻に
空気を運んでやってくる
抜海駅(ばっかいえき)は、北海道稚内市抜海村字クトネベツにあるJR北海道・宗谷本線の駅である。 相対式ホーム2面2線を有する駅で、列車交換可能な交換駅となっている。 互いのホームは、駅舎側ホーム南側と対向ホーム南側を結んだ構内踏切で連絡している。 駅舎側が下りの1番線、対向側ホームが上りの2番線となっている。
1983年4月時点では、2番線の旭川方から分岐し対向側ホーム横までの行き止まりの側線を1線有していたが、この側線は1993年3月までには撤去されている。
稚内駅管理の無人駅となっている。 駅舎は構内の西側に位置し、1番線ホーム中央部分に接している。 駅舎は開業時に建築された木造のものがそのまま使用されているが、木製板張りの劣化が激しく一部がサイディング張りに改修されている。
サイディング張りに改装されて
見た目は古さを感じない抜海駅舎
修繕時期によって補修素材が違い、パッチワークのようになっている。 正面出入口部分の形状は改築され、雪が入らないように「雪切り室」と呼ばれる二重扉になっている。 ホーム側には貝殻を貼り付けた文字を利用した駅銘板が掲示され、冬季間の地吹雪が激しいため厳重な覆いで囲まれている。
トイレを有する。 最北の無人駅で、最北の木造駅舎となっている。 ’12~’16年の乗車人員の平均は1.6人との事。
駅名の由来は当駅の所在する地名からで、抜海市街のはずれにある岩が子供を背負った様に見えて、この岩がアイヌ語から「パッカイぺ」(子を背負う・もの)、あるいは「パッカイスマ」(子を背負う・石)の意味を持つ『抜海岩』と名付けられた事が地名となったものである。
駅はクマザサに覆われた無人の荒野の中にあり、人家は2010年9月の時点で3軒ほどしかない。
駅前には牧草地が広がっていて、店舗などは無い。 道道106号までは一直線の道路が伸びており、抜海原生花園を挟んで日本海を望む事ができる。
日本海には利尻富士が浮かんでいる
抜海の市街地は道道106号を羽幌方面に1.5kmほど下った抜海漁港付近にある。なお、同港付近では冬季にゴマフアザラシの群れが見られる事がある。
かつてはこの駅に降りる『撮り鉄』の目的は
「利尻富士と列車を絡めて撮る」事だった
恐らく・・であるが、『撮り鉄』で抜海駅に降り立つなら・・というか、この稚内口の無人駅に降り立つなら、10中8~9が宗谷本線の列車を利尻富士と絡めて仕留める意図を持っての事だろう。 そういうワテも、この地で利尻富士と宗谷本線の列車を絡めて撮るべく降りている。
まぁ、レンタカーなどの車で来るのなら当てはまらない事なのだが、鉄道に乗ってくる・・となると、この抜海駅で降り立っての『利尻富士と宗谷本線の列車』の撮影はかなり困難な事となるのである。
ここまで6km近くも歩いたのね
それは隣駅の南稚内までの駅間距離が12km近くと長く、その上に利尻富士を望める撮影場所が抜海と南稚内のほぼ中間にあって、歩いていくのがギリギリ可能な距離である事であろう。 極寒の最北の地で6km近く歩くって事は、天候の急変などに見舞われたなら逃げ場所が無く、マジで”生命の危機”に直面するのである。
天候急変があったら
途端に「生命の危機」となるよ
また、最近のデジタル使いの傍若無人な撮影が相次いだ為か、利尻富士の見える高台へは立入禁止の処置が取られているようで、今やほぼ締め出しとなっているのである。
そして減便につぐ減便で、今や特急を含めて6往復余りの列車しかなく、日の上がる間ずっと張りついても、利尻富士と絡めて撮影が可能な列車は1日に3~4本ほどしかないのである。 しかも、冬の宗谷地方は吹雪いて荒れ狂う事が多く、真冬ならば利尻富士が姿を魅せるのは極稀れな事なのである。
こんな困難な条件が揃いまくっているからであろうか、冬は毎年のように通ってもお目当ての利尻富士は裾野以外に姿を現さず、空振りしまくっているのである。 まぁ、社会人になってからのこの地への訪問は全てレンタカーで・・なので、利尻富士が見えなくても『残念』で済むのであるが。
だが、始めてこの地を訪れたハイティーン(死語)の頃は、始めに記した通りに鉄道でやってきて、利尻富士の望める撮影場所まで歩いて、下から高低差50mの土手を駆け上って撮る”ブリバリ撮影”をやってのけていたのである。
あの頃は熱かったなぁ
身体も心も
まぁ、今よりも有利な点としては、あの頃は撮影禁止場所とはなっておらず、また列車の運行本数も普通列車6往復、急行【宗谷】、【礼文】、【利尻】(この列車は夜行で撮影不能だが)の3往復あり、この場所ひと所で粘る事ができたのであるが。
でも”最大の違い”は、初めて訪れたあの時は『撮り鉄』に対して『情熱大陸バカ』を自負する程に熱くシャカリキだったのである。 だから、利尻富士を絡めての撮影は、抜海を降り立って歩いて向かった初めて訪れたあの時のみ、利尻富士と宗谷本線の列車を絡めて撮る事ができたのである。
これらの写真を目にするといつも思うよ
『情熱大陸バカ』よ・・永遠に・・と
そう・・、熱き情熱によって困難な条件克服して、唯一戦果をゲットしたのである。
要するに、『熱き情熱は便利な機能や機構を凌駕する』って事なのですね。
今回も利尻富士が姿を現さず
”坊主”で帰るのを防ぐべく
バルブでの「夜の光線」に作戦変更
:
気合が入ってないのでデキは今イチ
便利なモノに慣れてしまった昨今は、条件が悪くなるとすぐに撮影を見合わせて車で他の場所に移動するなど、粘りも気力も落としまくっているよ。 それを「歳のせい」やら「必死に追いかけるなどカッコ悪い」と下らぬ言い訳に走るから始末が悪い。 いくら誤魔化しても、熱き情熱を注いでいたあの頃のみ結果を残しているのだから。
結果が残っているのは
『撮り鉄』に情熱を注いだあの頃の1回だけ
なお、帰りは運良くヒッチハイクに成功して、抜海まで乗っけてもらった事を憶えている。
熱き情熱は、幸運も呼び寄せるのかな?
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No title * by たけし
>あの頃は熱かったなあ・・身体も心も・・<
確かに情熱が伝わってくる内容の記事です。
いえ、現在も熱いじゃありませんか!山の記事には驚かされることばかりですし!
確かに情熱が伝わってくる内容の記事です。
いえ、現在も熱いじゃありませんか!山の記事には驚かされることばかりですし!
No title * by オータ
今季の 宗谷本線は 名寄以北の運休が 相次ぎました…
列車が 走れないのか!? 走らないのか!? 近頃 疑問に思ってきました…
国鉄時代のような 熱い気持ちが 鉄道マンになくなった気がしてなりません.
列車が 走れないのか!? 走らないのか!? 近頃 疑問に思ってきました…
国鉄時代のような 熱い気持ちが 鉄道マンになくなった気がしてなりません.
No title * by 風来梨
tomさん、こんばんは。
3月になると、ようやく厳しい冬型も緩んで利尻富士も姿を魅せてくれますね。
でも、社会人の身になってからは、学生のように春休みもないので、3月に北海道に往くのは難しいですね。
若い時に撮れて良かったとつくづく思いますね。
3月になると、ようやく厳しい冬型も緩んで利尻富士も姿を魅せてくれますね。
でも、社会人の身になってからは、学生のように春休みもないので、3月に北海道に往くのは難しいですね。
若い時に撮れて良かったとつくづく思いますね。
No title * by 風来梨
たけしさん、こんばんは。
利尻富士を絡めての『撮り鉄』は、採金の冬は毎年のように通ってますが、全くダメですね。
やはり、熱い情熱がなければ・・
熱い情熱と気力と若さを思い返しては、日々枕を涙で濡らすワタシ・・
山もオチャメ三昧になっちゃったし・・
利尻富士を絡めての『撮り鉄』は、採金の冬は毎年のように通ってますが、全くダメですね。
やはり、熱い情熱がなければ・・
熱い情熱と気力と若さを思い返しては、日々枕を涙で濡らすワタシ・・
山もオチャメ三昧になっちゃったし・・
No title * by 風来梨
オータさん、こんばんは。
話題として取り上げられるのはいつも赤字のことで揶揄されて、バカな一部の者が切り捨て論をぶつような状況では、現場で働く鉄道マンの気持ちが腐るのも理解できますね。
やはり、昔の国鉄時代は、最後の後ろ楯が国でしたので、自信と誇りをもって業務に当たれたのでしょうね。
企業たるJRは利益追求が求められますが、これ以上に日本の国土の輸送力の維持が使命だと思いますね。 だから、北海道のような輸送量の希薄な場所で鉄道の民間化は無謀だったと思います。 安心して鉄道マンが任務に着ける状況にするには、再国有化しかないと私は思いますね。
話題として取り上げられるのはいつも赤字のことで揶揄されて、バカな一部の者が切り捨て論をぶつような状況では、現場で働く鉄道マンの気持ちが腐るのも理解できますね。
やはり、昔の国鉄時代は、最後の後ろ楯が国でしたので、自信と誇りをもって業務に当たれたのでしょうね。
企業たるJRは利益追求が求められますが、これ以上に日本の国土の輸送力の維持が使命だと思いますね。 だから、北海道のような輸送量の希薄な場所で鉄道の民間化は無謀だったと思います。 安心して鉄道マンが任務に着ける状況にするには、再国有化しかないと私は思いますね。
No title * by 鳳山
木製板張りは風情がありますが劣化するんでしょうね。
ナイス
ナイス
No title * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。
その上に北海道の・・、しかも冬型の低気圧が発達しながらの通り道が、利尻島の浮かぶ日本海なんですよね。 だから稚内地方の冬の荒れ模様は、北海道でも一~二を争う凄ましさです。
この気候条件が、建物の劣化を早めるのでしょうね。
その上に北海道の・・、しかも冬型の低気圧が発達しながらの通り道が、利尻島の浮かぶ日本海なんですよね。 だから稚内地方の冬の荒れ模様は、北海道でも一~二を争う凄ましさです。
この気候条件が、建物の劣化を早めるのでしょうね。
No title * by 風来梨
tomさん、こんばんは。
トラックバックありがとうございます。 撮影された所は、"お立ち台"の所のようですね。 今は、この場所に『立入禁止』の立て看板があるそうです。
私のは、この"お立ち台"より少し抜海寄りですね。
私の撮影場所だと、利尻富士が横位置に現れます。
ても、急行【礼文】と利尻富士は、ヨダレモノの羨ましさです。
トラックバックありがとうございます。 撮影された所は、"お立ち台"の所のようですね。 今は、この場所に『立入禁止』の立て看板があるそうです。
私のは、この"お立ち台"より少し抜海寄りですね。
私の撮影場所だと、利尻富士が横位置に現れます。
ても、急行【礼文】と利尻富士は、ヨダレモノの羨ましさです。
No title * by 旅の途中
この場所でSL撮影しました。夏と冬にそれぞれ利尻富士とSLが同時に撮影できる場所でしたが、利尻富士を拝むことはできませんでした。
No title * by 風来梨
旅の途中さん、こんばんは。
雪のある時期の利尻山は、気圧配置からなかなか晴れてくれないのですよね。
私も最初の1回以外は全て空振りでしたから。 ちなみに、海上に浮かぶ利尻富士が最も望めるのは5月の連休辺りとの事ですね。
雪のある時期の利尻山は、気圧配置からなかなか晴れてくれないのですよね。
私も最初の1回以外は全て空振りでしたから。 ちなみに、海上に浮かぶ利尻富士が最も望めるのは5月の連休辺りとの事ですね。
No title * by 風旅記
こんばんは。
宗谷本線の情景を思い出しながら拝見させて頂きました。
この駅には、冬の夜に降り立ち、小一時間だったと思いますが寒さに耐えながら過ごしたことがありました。
風を避けられるだけでも待合室がありがたかったこと、暗闇の中雪煙を巻き上げて走り去った特急サロベツの勇壮さに心打たれたこと、稚内に戻る普通列車の車内が暖かかったこと、ありありと思い出します。
自分の足で目指すポイントまで歩き、ほんの数枚を撮ってこの上ない充実感を感じる旅、確かに若いときの活力ゆえにも思えますし、今でもできると思いたい気持ちもあります。
当方のブログですがSSL対応のため、URLが変更になりました。
お手隙の際で構いませんので、ホームページに掲載頂いておりますリンクを更新して頂けますでしょうか。
お手間をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。
風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
宗谷本線の情景を思い出しながら拝見させて頂きました。
この駅には、冬の夜に降り立ち、小一時間だったと思いますが寒さに耐えながら過ごしたことがありました。
風を避けられるだけでも待合室がありがたかったこと、暗闇の中雪煙を巻き上げて走り去った特急サロベツの勇壮さに心打たれたこと、稚内に戻る普通列車の車内が暖かかったこと、ありありと思い出します。
自分の足で目指すポイントまで歩き、ほんの数枚を撮ってこの上ない充実感を感じる旅、確かに若いときの活力ゆえにも思えますし、今でもできると思いたい気持ちもあります。
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お手間をお掛け致しますが、宜しくお願い致します。
風旅記: https://kazetabiki.blog.fc2.com
No title * by 風来梨
風旅記さん、こんにちは。
かつては夜行急行も運行される含め主要本線だった宗谷本線・・。 今や名寄以北は、経営危機に瀕したJRが運営放棄を匂わせるような行動を取ってます。
普通列車が1日僅か3往復半・・。 特急も3本中2本が旭川止まりとなルなど「本当に乗ってもらいたいのか?」って思う経営をしています。 でも、現場で運行に携わる鉄道マンは、切り詰められ続ける予算でも定時運行を必死で維持してます。 われわれのようなエトランゼの旅人は、そんな姿に惹かれるのだと思います。
ホント、いっときのお祭り騒ぎであるオリンピックの為だけに、大会後は使いもしないような無駄な競技施設を造り、この国に住む日本人ではなく外人を優遇する為に免税など仕掛けてますが、そんな日本人以外の為に金を湯水の如く使うのなら、地方に住む日本人の為に金を、我々の税金を使って欲しいと思いますね。
それは、国土の末端地域を維持して国土を保全する為に・・。
かつては夜行急行も運行される含め主要本線だった宗谷本線・・。 今や名寄以北は、経営危機に瀕したJRが運営放棄を匂わせるような行動を取ってます。
普通列車が1日僅か3往復半・・。 特急も3本中2本が旭川止まりとなルなど「本当に乗ってもらいたいのか?」って思う経営をしています。 でも、現場で運行に携わる鉄道マンは、切り詰められ続ける予算でも定時運行を必死で維持してます。 われわれのようなエトランゼの旅人は、そんな姿に惹かれるのだと思います。
ホント、いっときのお祭り騒ぎであるオリンピックの為だけに、大会後は使いもしないような無駄な競技施設を造り、この国に住む日本人ではなく外人を優遇する為に免税など仕掛けてますが、そんな日本人以外の為に金を湯水の如く使うのなら、地方に住む日本人の為に金を、我々の税金を使って欲しいと思いますね。
それは、国土の末端地域を維持して国土を保全する為に・・。
No title * by 風来梨
ブログの先頭にある告知を目にされて御承知だと思いますが、Yahoo!ブログは12月15日(実質は記事の投稿が出来なくなる8月末)をもって廃止となります。
そこで私は、このブログを維持すぺく、FC2ブログへと移転しようと考えています。
風旅記さんはFC2ブログで活動されてますので、その内容とかFC2ブログの使用上の疑問点とかを教えてもらえませんでしょうか?
スマホ入力で質問するのは文字入力のミスが多くなるので、この土日にそちらのブログにコメントで伺いを立てようと思っております。
移転に際してのご教示をお願いします。
そこで私は、このブログを維持すぺく、FC2ブログへと移転しようと考えています。
風旅記さんはFC2ブログで活動されてますので、その内容とかFC2ブログの使用上の疑問点とかを教えてもらえませんでしょうか?
スマホ入力で質問するのは文字入力のミスが多くなるので、この土日にそちらのブログにコメントで伺いを立てようと思っております。
移転に際してのご教示をお願いします。
昭和60年の3月にここは訪れています。「利尻」を南稚内で降りてこの中間地点を訪れています。抜海に行ったと思っていましたが、画像がないので南稚内に戻ったのかもしれません。
若干、雲が多かったので貴殿の利尻富士の方が見事ですね。