風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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路線の思い出   第240回  高森線(現 南阿蘇鉄道)・中松駅

路線の思い出   第240回  高森線(現 南阿蘇鉄道)・中松駅  〔熊本県〕


簡素な棒線駅だった
旧国鉄時代の中松駅
※ グーグル画像を拝借

《路線データ》
        営業区間と営業キロ        輸送密度(’79) / 営業係数(’83) 
        立野~高森 17.7km             751  /   693    
 
         廃止年月日       転換処置       廃止時運行本数
          ’86/ 4/ 1          南阿蘇鉄道          6往復

中松駅(なかまつえき)は、熊本県阿蘇郡南阿蘇村大字一関にある旧国鉄・高森線(現 南阿蘇鉄道高森線)の駅である。 1986年4月1日に、旧国鉄より第三セクター・南阿蘇鉄道に経営移管された。


現在の中松駅舎
改築されてデザイン駅舎となっている
※ ウィキペディア画像を拝借

その1年後に駅舎が改築されて、現在のデザイン駅舎となっている。 開業時は有人駅であったが1971年に無人駅化されて、南阿蘇鉄道に経営移管された現在も無人駅である。 なお、無人駅ではあるが、土・休日は駅舎内でそば屋が開店する。

経営移管前の旧国鉄時代は1面1線の停留所規格の棒線駅であったが、南阿蘇鉄道への経営移管の後に駅舎の改築(1987年)に続いて、1989年8月に交換設備が設けられ、相対式の2面2線の駅となった。 この交換設備の設置によって、南阿蘇鉄道路線で唯一の列車交換可能駅となった。

現在は2016年4月に発生した熊本地震の影響により、当駅から立野方面が不通となっている。



この駅に訪れたのは南阿蘇鉄道への転換前・・、旧国鉄時代の棒線駅だった頃の事である。
だから、今の中松駅は見た事もないし、あまりその土地柄にマッチしないデザイン駅舎には何ら興味も湧かないので、強いて訪ねる事もないだろうと思う。

・・で、その中松駅に、もう30年以上も前の小僧だったワテが下車した動機は、言うまでもなく『廃止一次対象ローカル線』に指定された高森線の撮影の為である。


立野駅に停車中の高森線列車

そして、その高森線を撮り鉄するに当たって、当時の小僧のワテはあるビジョンを描いていた。
それは、「阿蘇の山なみをバックに高森線列車を撮る」という事である。

この頃のワテは、鉄道に対する知識は”ナンチャって”な『○鉄』であった事は今と変わりないが、撮り鉄と背景の沿線風景に関してはかなり熱心であったようである。

でも、今のようにネットなんぞない時代、そして車の免許どころかまだ原チャリの免許さえも持たない=移動力が全くない小僧だったこの当時のワテ・・である。 だから、阿蘇の山々がどの駅の周辺で撮るのが良いのか・・って事を、事前に調べる術を全くといっていい程に持たなかったのである。


せいぜい調べる事ができるのは
鉄道雑誌に乗るような有名撮影地くらいか
有名撮影地の第一白川橋梁にて

となると、残るは撮影当日に現地で車窓を見渡すなど、事前の『ロケハン』をする事である。
まぁ、車でもあれば車で流して『ロケハン』できるので、より『アングル決め』が確実になるが、前述でも言った通り「免許を一切持たない小僧」だったのである。


だが経験未熟な小僧は
この橋梁の魅力を引き出す事ができず

そして、「列車に乗って車窓を眺める」って事も、鉄道旅をしながら撮り鉄する小僧にとっては「難しい注文」となったのである。 それは、当時の国鉄時代は1日僅か6往復で、その中の貴重な昼間の1往復を車窓を眺める『ロケハン』の為に使う・・なんて事は「勿体無くてできない」のである。


この時は高千穂から
高森にやってきたのですね

それに、輪を掛けて都合の悪い事に、この高森線へは高千穂線の終点・高千穂より、当時運行されていた路線バス(このバス路線も遠の昔に廃止となったみたい)に乗って入ってきたので、高森線の『撮り鉄』は完全に「ぶっつけ本番」だったのである。


真剣にその場所の情景を想像する事で
魅せられる情景が頭に浮かぶのだ

もう、こうなれば旅に出る前に地図を見て、山の位置と鉄道線の方向から情景を”想像”するしかなかったのである。 でも、こういう想像や妄想を重ねていくと、何かと発想力が豊かになる(・・と思う)のである。 機械に頼らず、己の頭を使ってその情景を想像する・・って事は、同時に人間としての能力を磨いているって事なのだと思う。

だから、ワテは撮った後でも、出来上がりの想像でワクワクできるフイルムが好きなのだ。
そして失敗しても、「次こそは」とリベンジ心が湧き立つフイルムを使い続けているのだ。 
決して、「失敗や納得できない事をPCという機械でサルベージしよう」なんて思わない。
それが評価を受けるステップだとしても、そんなの「クソ喰らえ」である。 この2つの気持ちを捨て去るデジタルは、一生涯使わないと言い切れるだろう・・、ワテは。


色褪せようが
いつまでも手元に残るフイルムと共に

それはある時、多くのデジカメ使いの持つ価値観を知って、この考えに確信が持てた。
それは、「コンテストなどで(審査員の)評価を受ける為には、右にある月を左に変える事も厭わない」・・、即ち、審査員の言う完璧な画像の為には撮った写真を偽造する事も厭わないし、それで入賞(評価を受けた)したら、「この上なく嬉しい」というのだ。


「嬉しい」ってのは評価される事?
それとも思い通りのモノを創り出せた事?

これを聞いた時、さすがに「はぁ~!?」と思ったよ。 思わず喧嘩腰に、「そんなんで入賞できて、嬉しいですか?」、「見る人を騙す様なマネをしての入賞に何の価値があるのか、全くもって解らんわ!」と言った事を覚えている。 

だからワテは、仕事で使う写真など全く気持ちが入らない事の写真を撮る以外に、デジタルカメラを手にする事はないですね。 まぁ、アリバイ写真を頼まれた「他人の為に」ならあるけど。






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No title * by たけし
フィルムの場合、残り枚数を気にしながらの撮影は緊張感があり、それだけ1枚の写真に想いが込められます。そして残り2枚は必ず残しておくことが鉄則でした。
デジカメはシャッタ-押しまくりや連写で、数多くの中からお気に入りだけ選び出せばよいのですから真剣味がなくなりましたね。
私は50年前からミノルタSR-1?7だったかな?納戸に押し込んだままですが健在です。

No title * by たけし
北海道から九州までロ-カル線をくまなく制覇した風来梨さん、バイタリティある行動力に脱帽です。

No title * by 風来梨
たけしさん、こんにちは。

>1枚の写真に想いが込められます

そうなんですよ! だから、今でもどこでどんな風に撮ったコマなのか・・ってのを、ほとんどのコマで憶えています。 もちろん、失敗写真も含めて。 そして、失敗したコマでも、後々に『お宝』のコマに昇華する事もありますし・ね。 だから、ほとんど全コマ残してます。


>残り2枚は必ず残しておくことが鉄則

そういう事がないように、山にはいつも5~6本持って行ってますね。
あと、気をつけなければならないのが、疲れたりすると魔がさしたようにフイルムを巻き戻しせずに裏蓋を開けたり、巻き戻しボタンを押さずにフイルムが破断したりする『自爆』ですね。

それと、撮影中に巻き上げをせずに必死にシャッターを押す「うれしはづかし」ですね。 コレ・・、結構ハズいです(笑)

>北海道から九州までロ-カル線をくまなく制覇・・

それでも、乗り残しや乗れなかった路線、撮れなかった路線も結構あって、思い返すたびに悔いる事ありますよ。 まぁ、これだけ乗れた事は、かなりの幸運だったのだろうと思いますが・・。

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フィルムの場合、残り枚数を気にしながらの撮影は緊張感があり、それだけ1枚の写真に想いが込められます。そして残り2枚は必ず残しておくことが鉄則でした。
デジカメはシャッタ-押しまくりや連写で、数多くの中からお気に入りだけ選び出せばよいのですから真剣味がなくなりましたね。
私は50年前からミノルタSR-1?7だったかな?納戸に押し込んだままですが健在です。
2017-12-28 * たけし [ 編集 ]

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北海道から九州までロ-カル線をくまなく制覇した風来梨さん、バイタリティある行動力に脱帽です。
2017-12-28 * たけし [ 編集 ]

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たけしさん、こんにちは。

>1枚の写真に想いが込められます

そうなんですよ! だから、今でもどこでどんな風に撮ったコマなのか・・ってのを、ほとんどのコマで憶えています。 もちろん、失敗写真も含めて。 そして、失敗したコマでも、後々に『お宝』のコマに昇華する事もありますし・ね。 だから、ほとんど全コマ残してます。


>残り2枚は必ず残しておくことが鉄則

そういう事がないように、山にはいつも5~6本持って行ってますね。
あと、気をつけなければならないのが、疲れたりすると魔がさしたようにフイルムを巻き戻しせずに裏蓋を開けたり、巻き戻しボタンを押さずにフイルムが破断したりする『自爆』ですね。

それと、撮影中に巻き上げをせずに必死にシャッターを押す「うれしはづかし」ですね。 コレ・・、結構ハズいです(笑)

>北海道から九州までロ-カル線をくまなく制覇・・

それでも、乗り残しや乗れなかった路線、撮れなかった路線も結構あって、思い返すたびに悔いる事ありますよ。 まぁ、これだけ乗れた事は、かなりの幸運だったのだろうと思いますが・・。
2017-12-28 * 風来梨 [ 編集 ]