2017-10-30 (Mon)✎
路線の思い出 第233回 関電トンネルトロリーバス・黒部ダム駅 〔長野県〕
同じ関電の経営でも
黒部渓谷鉄道より対応がいいよ
特別車料金ないしィ
※ ウィキペディア画像を拝借
《路線データ》
営業区間と営業キロ 運行本数
扇沢駅~黒部ダム駅 6.1km 4月中旬~11月末運行(冬季運休)
4月中旬~11月第1日曜日 19往復
11月第1日曜日~11月末 15往復
GW・盆期間・紅葉のシーズン多客時 21往復
黒部ダム駅(くろべダムえき)は、富山県中新川郡立山町にある関西電力が経営している関電トンネルトロリーバスの駅であり、立山黒部アルペンルートのルート上にある。 黒部平駅からの立山黒部貫光黒部ケーブルカーを利用してきた乗客は、黒部湖駅で降りて黒部ダムの堰堤頂上を徒歩で移動し、ここでトロリーバスに乗換えとなる。
駅は全てトンネル内に作られている。 主要な出入り口は黒部ダムの堰堤上からまっすぐ続くトンネルであるが、駅から直接ダム展望台に登る地下階段もある。
バス乗場はループ状となって
転車やバックは不要だ
※ ウィキペディア画像を拝借
プラットホーム(トロリーバス乗り場)部分は、トロリーバスが方向転換できるように関電トンネルがループ状になっている部分に設置されている。 但し、トンネル内である構造上、扇沢駅に比べ乗降用のホームが短い為に、客が降りたトロリーバスは到着した同じ位置で扇沢駅へ向かう客を乗せて発車する。
今も水を噴き出す破砕帯
『黒部の太陽』で描かれた難工事が偲ばれる
※ グーグル画像を拝借
プラットホームのすぐ右側(バス進入側)には「黒部ルート」の一部分の関西電力専用トンネルの「黒部トンネル」が分岐しているが、その入り口は普段は遮断機にて封鎖されている。 2019年4月の電気バス転換・鉄道事業廃止が発表されており、当駅は「鉄道駅」ではなくなる予定となっている。
剱の谷へ紅葉狩り
(超ヘタレバージョン) 行程図
:
行程自体は初回とルートが同じで
あるので初回掲載の地図を流用
行程記録
《1日目》 富山地鉄・立山駅よりケーブルカーと高原バス利用(1:10)→室堂(2:10)→別山乗越
(1:10)→剱沢(3:20)→真砂沢小屋前
《2日目》 真砂沢小屋前(1:40)→ハシゴ谷乗越(1:40)→内蔵助平(3:20)→内蔵助谷出合
《2日目》 真砂沢小屋前(1:40)→ハシゴ谷乗越(1:40)→内蔵助平(3:20)→内蔵助谷出合
(1:40)→黒部第四ダムよりトロリーバス利用(0:15)→扇沢よりバス
(0:35)→JR・信濃大町駅
※ 前回の『第310回 大タテガビン』からの続き
十二単をまとうが如くの絢爛絵巻を魅せた《大タテガビン》の紅葉に見とれて、気がつけば黒部ダムからのトロリーバス最終便へ間に合わなくなる瀬戸際の時間となっていた。
気がつけば最終バスに乗り遅れる
”瀬戸際”となっていた
もし、このトロリーバス最終便に乗って扇沢駅へ戻る事ができなければ、黒部ダムには宿泊施設がない事やトロリーバスが下界への唯一の交通手段である事から、ビバーク必至となってしまうのである。
まぁ、テントを持っている事からビバークは可能だが、食糧は山行の終了間際という事で食い尽くしてしまったし、何よりも「最終便に間に合わなかった」という無様な姿が、アルペンルートを利用する度にトラウマとなってチラつくだろうね。
《大タテガビン》の紅葉は裾の部分から影がかかり、それがあっという間に中央部、そして岩盤の頂上部までスッポリと影となっていった。 そして、黒部渓谷を挟んで対峙する後立山の山々が夕日となり始めた斜陽を浴びてより眩く輝いていた。
夕日の直前・・
最も強い光が山を輝かす
そう・・、陽の光が一日の最後を示すべく最も強い光を浴びせる、あの夕日の前に放つ強い光だ。
この強い光に輝いた山々に影が掛かっていくと、夕日の柔らかい光に変わってそれが途絶えると「日中」が終わるのである。 その激しい光の移り変わりが終わるまでに、黒部ダムにあるトロリーバスの駅に着かねばならないのだ。
この光の変化が途絶えるまでに
黒部ダムに着かねばならないのだ
だがその下り道は、崩壊の著しい沢沿いのヘツリ道で、前回の記憶が全くアテにならない程に崩壊していたのだ。 あり丁寧に言えば、ロープを握って降りた急な下り坂は地スベリを起こして崩落したのかハシゴと鎖場と変わっていたのである。
かつては坂だったものが
完全に崩落していた
そして、崩落した岩石が落ちた沢は荒れに荒れて、巨大なささくれだった崩落岩盤が沢を埋め尽くしていたのである。 その崩落した岩々のササクレ立つ様は、崩落して時が経っていない事を如実に物語っているのである。
ヘツリ道は大崩落して
手を滑らすと切る程に鋭く尖った岩が
転がる荒れ沢となっていたよ
この崩落岩盤の為に正規のルートは完全に破壊され、このささくれ立った崩落岩盤の通れそうな所を縫う様に伝っていく。 もちろん、「飛び石伝い」なんて事が通用する程に甘い訳が無い。
なぜなら、岩と岩の間に落ちれば串刺しにでもなりそうな位にささくれ尖っているからだ。
もうここは、ペンキでマーキングされた指標通りに伝う以外になさそうである。
この崩壊地を伝っている時は、もはや「最終便に間に合うか」なんて考えは消し飛んでいた。
当然である。 タタでさえ苦手な下りで、慌てて岩の間に落ちたら『死亡フラグ』がおっ立つ状況なのだから。
対峙する山々が陰るまであと僅か
・・で、何とか全てが陰る直前に《内蔵助沢出合》に出る。 ここで黒部渓谷の《下ノ廊下と》合流し、《下ノ廊下》を《黒部ダム》まで遡行していくが、黒部渓谷の《下ノ廊下》は一級の人気ルートで、完璧なまでにルートが整備されていて、今までの顔が引きつるような危険極まりない状況から開放されるのである。
道が視認できる程に整備されていたよ
でも、この《下ノ廊下》とて、落ちれば黒部渓谷のおりなす100m以上の奈落の底である事には変わりないが・・。 前回に陽の光を帯びて輝く無名滝が、今は完全に影った「落日寸前」だったよ。
今回の無名滝
完全に影っていた
ちなみに前回の無名滝
この時の通過時刻は13時過ぎだったよ
ヘタッたなぁ(悲)
でも、この滝の周りに簡易の桟橋が設置されるなど、下ノ廊下のルートは更に整備されているようだった。
黒部の岩盤も完全に影っていた
:
瀬戸際なのに
写真撮ってる場合かよ
《内蔵助平》から《内蔵助沢出合》まで3:20かかったが、《下ノ廊下》を伝って黒部ダムの下までは1時間ちょっと。 でも、地図で距離を見ると、同じ位の距離なんだよね。 まぁ、《大タテガビン》に見とれて時間を費やしたとはいえ、如何にあの崩落道が時間を食ったか・・という事を如実に示しているのである。
着いた時
陽の光がダム堤体に隠れていたよ
・・で、《黒部ダム》の堤体の下に着いたのは、16:30頃だった。 当然、観光客の姿はなく、シ~ンと静まり返っていた。 この時にはトロリーバスの最終便の時刻は知らなかった(調べてなかったのか! このタワケは・・)が、「恐らく17時だろう」と予想を立てる。
そう・・、今立っている《黒部ダム》の堤体の直下から、ダム堤体の頂上部にある駅まで登りつめねばならないのである。 その標高差は165mとの事で、30分ではチョイと厳しめだ。 この事から、「トロリーバスの最終便が17時ならビバークが決定的で、17時半ならばセーフ!」という微妙な状況となったのである。
「アウト!」なら
このトンネルの入口付近でビバーク確定
※ グーグル画像を拝借
その状況で、希望を抱ける救いを”見つけ”たのである。 この登りの途中で一人の観光客を発見したのである。 この観光客の身なりは完全に「日帰りハイカー」で、こんな格好の人がこの黒部ダムでビバークなど有り得ない(ビバーク用具もないだろうし)ので、「この人より早く登りさえすれば絶対に最終間に合う」という目算が着いたのである。
これで思いっきり気合いが入ったよ。 この堤体の登りはかなり急なのだが、テント一式担いでこの観光客をごぼう抜きしてぶっちぎる事に成功する。 この時のいっときだけ『奇跡の体力』が復活したよ。
高低差165mを25分位で登りきり、16:58に関電トンネルの抗口に入る。 トンネルの中ほどにあるトロリーバスの改札には17:03に到着。 17:05のラス前のバスが真に出発せんとする所だったよ。
バスが発車するのを見て少し狼狽えかけたが、最終のトロリーバス便が次の17:35発と知って背負っている肩の荷がズシリと重くなったよ。 どうやら、今までは疲れを忘れる程に『テンパって』いたようだ。
この改札口に着いて
さすがにホッとしたよ
※ グーグル画像を拝借
荷物を待合室の長椅子に置いて、キツめの刺激が欲しいと自動販売機で普段は飲まぬコーラを買ってラッパ飲みする。 まぁ、30分の時間ができたので、コーラのペットボトルを片手に、黒部ダムを世に知らしめた映画『黒部の太陽』の展示コーナーを見学する。
当時の”世紀の男前”も
今なら『キモい』オッサンだな
※ グーグル画像を拝借
でも・・、『濃いわ!』 もうドロドロに。 石原裕次郎・・、当時の”世紀の男前”も、今なら『キモい』の一言で干されるだろうね。 女優の髪型も「気味悪い」の一言だったよ。
スケールのデカい映画だったのね
※ グーグル画像を拝借
『黒部の太陽』の資料を『ウゲェ~』と思いつつ見ているとあっという間に時間が過ぎて、最終バスの発車5分前に・・。 ワテとごぼう抜きした観光客の二人きりだった駅の改札前は、いつの間にか黒部ダムをうろついていた観光客や最終のケーブルカーからの乗継ぎ客を含めて14~15人になっていた。
でも、ワテ以外の他の者は、全て土産物を手にしてるよ。 これを見て、ワテも扇沢で土産物を買う事にしたよ。 トロリーバスが扇沢に着いた頃には、空が完全に暗くなっていたよ。
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No title * by たけし
時間に追われての山行は焦りで、転倒滑落の原因なのに・・・
しかもテント担いで!流石というか、凄すぎます。
ハラハラドキドキです。
しかもテント担いで!流石というか、凄すぎます。
ハラハラドキドキです。
No title * by 風来梨
たけしさん、こんばんは。
11月の壁紙の件では、グチに賛同頂き有難うございます(笑)
やっぱり、自由闊達にシャッターが切れる手持ち撮影は、やってて楽しいですね。 失敗しても「次こそは!」って気になるし。
11月の壁紙の件では、グチに賛同頂き有難うございます(笑)
やっぱり、自由闊達にシャッターが切れる手持ち撮影は、やってて楽しいですね。 失敗しても「次こそは!」って気になるし。
No title * by 風来梨
たけしさん、こんばんは。
>時間に追われての山行は焦りで、転倒滑落の原因なのに
恥ずかしながら、今月の9日に西穂高から奥穂への縦走と涸沢の紅葉狩りを目論んで山に行って、敗退して最終ロープウェイに間に合わすべく時間に追われていると、何でもない所で木の根の郭に足を刈られました・・。 それもロープウェイの駅まで、あと1km足らずの地点で・・(悲) 要するに、紅葉狩りに行って足を刈られちゃいました(泣)
割とキツい捻挫をやっちまって、その日は痛くてビッコむでしか歩けなくてロープウェイに間に合わず、道中でビバークするハメに・・。
翌日は5時出発で、1km足らずを1時間半かけて歩きましたよ。
「助けを呼んだら金がかかる」のゲスな下心を前面に打ち出して・・。
全治1か月で最近ようやく治ってきました。 今度の衆院選の不在者投票の理由に、「捻挫の為」と真っ当な理由が書けました(爆)
やっぱり、慌てる乞食はなんとやら・・ですね。
>時間に追われての山行は焦りで、転倒滑落の原因なのに
恥ずかしながら、今月の9日に西穂高から奥穂への縦走と涸沢の紅葉狩りを目論んで山に行って、敗退して最終ロープウェイに間に合わすべく時間に追われていると、何でもない所で木の根の郭に足を刈られました・・。 それもロープウェイの駅まで、あと1km足らずの地点で・・(悲) 要するに、紅葉狩りに行って足を刈られちゃいました(泣)
割とキツい捻挫をやっちまって、その日は痛くてビッコむでしか歩けなくてロープウェイに間に合わず、道中でビバークするハメに・・。
翌日は5時出発で、1km足らずを1時間半かけて歩きましたよ。
「助けを呼んだら金がかかる」のゲスな下心を前面に打ち出して・・。
全治1か月で最近ようやく治ってきました。 今度の衆院選の不在者投票の理由に、「捻挫の為」と真っ当な理由が書けました(爆)
やっぱり、慌てる乞食はなんとやら・・ですね。
黒部ダム駅は、あとでジックリ拝見してからします・・・
日の丸構図ですが、コンテストに出すわけでなく決定的瞬間をとらえるものですからリアル感があって好きです。
写真集より新聞社主催のファミリ-写真のほうが心に響いてきますものね。
スポ-ツ選手への流し撮りは三脚を使ってるんですかね?
手持ちのほうが自由に撮影できると思うし。