2017-09-21 (Thu)✎
よも”ヤマ”話 第34話 田代山湿原・帝釈山 〔福島県・栃木県〕 ’91・ 8
田代山 1971m 〔名峰次選 9峰目〕、帝釈山 2060m 〔名峰次選 10峰目〕
誰もいない・・訪れる者もいない・・
広大な湿原が広がる田代山湿原
田代山湿原 たしろやましつげん (尾瀬国立公園)
田代山 1971メートル の頂上に広がる田代山湿原は、素晴らしき景観を抱いているにもかかわらず、あまり知られていない。 それは、すぐそばに国民的な観光地・尾瀬があるからであろう。
田代山 1971メートル の頂上に広がる田代山湿原は、素晴らしき景観を抱いているにもかかわらず、あまり知られていない。 それは、すぐそばに国民的な観光地・尾瀬があるからであろう。
しかし景観は、始めに述べた通りなかなかのもの。
特に、この山上湿原に咲くミズバショウの群落と、会津駒ヶ岳の眺めは素晴らしい。
賑わいを避け、静かに心ゆくまで湿原散策を楽しむのなら、この湿原はお薦めである。
だが、この美しき山上湿原も、スキー場などの開発の波にさらされている。
果たして、この美しい自然とスキー場との、どちらが後世に恵みをもたらすのであろうか。
いつまでも護って、後世に伝えたいものである。
賑わいを避け、静かに心ゆくまで湿原散策を楽しむのなら、この湿原はお薦めである。
だが、この美しき山上湿原も、スキー場などの開発の波にさらされている。
果たして、この美しい自然とスキー場との、どちらが後世に恵みをもたらすのであろうか。
いつまでも護って、後世に伝えたいものである。
田代山湿原・帝釈山ルート 行程図
会津高原駅より車(1:20)→猿倉登山口(1:40)→田代山湿原・弘法沼
(0:10)→田代山避難小屋(1:00)→帝釈山(0:50)→田代山避難小屋
(1:30)→猿倉登山口より車(1:20)→会津高原駅
この放浪旅も旅に出てから1ヶ月以上が経ち、その間に車のミッションが故障して、もしかしたら”ハチロク乗り”になってたかも・・というハプニングまで発生したので、東北に入ってからはグダグタとダレ始めていた。 それも『影鳥海』を期待した鳥海山が雨ん中だったので、グダグタ感に拍車をかける形となったのである。
北海道に渡っていた時は25日間でアポイ岳から羅臼岳まで9ファィトと、3日に一度は山や湿原トレッキングを行っていたのが、東北に戻った途端に疲れがどっと出て、プーで金もないのに民宿やYHに連続的に泊ったり、登山口まで行っては天候が今イチなのを理由に引き上げて沈殿したり・・と、グタグタになっていたのだ。
この年の夏の東北地方は天候不順で連続して曇天か雨空が続き、無意味に日数を消化していたのである。 もう、雨を凌ぐべく車で行けそうな景勝地を地図で探してはめぐっていたのである。
この間、青森の滝百選のくろくまの滝、十二湖、山形の滑川大滝、福島の五色沼などをめぐるが、いずれも雨か霧模様であった。
くろくまの滝
滝への道は思いっきりダートだったよ
十二湖・青池
滑川大滝は雨による霧&増水で
滝壺への道は水面下になるわ
濃い霧で御覧のようになるわ・・と散々だった
この時のワテの頭の中では、「東北をウロウロする事で天候不順を凌いで、ターゲットの尾瀬ヶ原はどうにかいい天気の中で」というのがあったようで、ムリクリ日程を延ばしていたみたいである。
でも、7/30に東北の大間に戻ってから、10日間連続で雨模様だったのよ。
で・・、東北に戻って10日目・・、この日も雨だったが辛抱たまらず尾瀬の登山口の小沢平にやってくる。 尾瀬の会津側のメインの登山口は御池だが、この小沢平からは三条ノ滝を通るルートとなっていて、山と共に滝にも興味を抱き始めたワテは、このルートを選んだのである。
・・で、「少しの雨なら尾瀬へ向けて登ろうか」と前夜に小沢平で車寝したのだが、翌日はこの10日間で最大の土砂降りだったのである。 もう、鳥海山の比ではない位の土砂降りで、災害の多い昨今ならは、貧弱な一車線国道のR352など即効通行止になって孤立していただろう・・って位の土砂降りだった。
この雨で諦めて桧枝岐に引き返すが、この桧枝岐は『尾瀬の会津側の入口』っていう事以外には何もない村で、雨を凌ぐべくの日程潰しが利かない所だったのである。 今ならばこういう観光地では必ずある『道の駅』やら『コンビニ』などこの当時はまだなく、車を待機させる場所はおろか、その日の食糧を買う事にも詰まってしまったのである。
人口密度が我が国最少の村・桧枝岐村
当然・・観光客相手の店以外に何もない
※ 桧枝岐村地域おこしのパンフレットより
なぜなら、盆休みに入ったこの観光地で開いている店屋は旅館の出店か土産物屋ばかり・・、つまり観光客相手の店ばかりで、村民の普段の生活為の店は全て盆休みで閉っていたからである。
仕方がないので、途中に「盆休みに強い=年中無休で開いている」農協のAコープを見かけた50キロ手前の舘岩村(現在は合併して南会津町)まで引き返す。
会津高原尾瀬口駅
舘岩村は合併して南会津町となり
野岩鉄道の駅もある「都会から尾瀬への入口」だ
※ ウィキペディア画像を拝借
その戻る途中・・、雨が止んで来たよ。 でも、ここまで戻ったなら、尾瀬まで向かうのも1日掛かりとなる。 なぜなら早朝から尾瀬に登るべく、小沢平に前夜の内に着いておかねばならないからだ。
・・となると、天気予報で確実天気が良くなるまで、この辺りで沈殿するしかないのである。
それはもう、晴れる日がくるまでの日程潰しの手段として「只見線の撮り鉄復活」も考えた位である。
だが、車のラジオの天気予報で「この明後日からようやくこの梅雨のような雨が去り、待望の夏空が広がる」との予報が流れ、「ヨッシャァ! ここで1~2日凌げは尾瀬に行ける!」との状況になったのである。
そこで、早速地図をみて、明日1日を使ってめぐる所を探す。 すると、あった!、《田代山湿原》が・・。 今はかなり観光地化されて登山ツアーも催される田代山湿原だが、当時は『公園指定外』と全くのノーマークで、訪れる者もほとんどいなかったのである。
取り敢えず偵察で、田代山湿原の登山口である《猿倉》までダート林道を車で飛ばす。
それはもう、ヘアピンカーブ連続のダート道だったよ。 でも、なぜか「ドリフトして下さい!」と言わんばかりに道幅が広かったが・・。 ハチロクだったなら、ドリフトしまくってただろうね。
林道の途中で見かけた無名滝
どうやら日詰滝は間違いのようだ
その《猿倉》でトイレと水と駐車スペース(大きな駐車スペースがあった)を確認し、登山口にあった案内板で湯ノ花温泉と木賊(とくさ)温泉があるのを知って、今日は木賊温泉に入ってダート道の入口で車寝と決める。 車寝場所を登山口の《猿倉》にしても良かったけど、明日いっぱいは雨が降るかもしれないので、「大雨による田代山湿原ハイク断念」も見越して、下の林道入口で車寝としたのである。
もちろん、湯ノ花温泉は田代山湿原ハイクの帰りに入る予定である。
湯ノ花温泉の共同露天風呂
コレは下山の後に入らねば
※ グーグル画像より拝借
・・で、「翌日は雨の降りそうな曇天で、時折日差しも射す」という微妙な天気だった。
ダート道を行く時は薄日が射していた位だったし。 でも、標高が上って《猿倉》に着いた位からポツポツ雨が降り出したよ。 でも、「これ位の雨は想定内」と登り始める。
雨に濡れたイソツツジ
登山自体は湿原へのトレッキングレベルの登山道で、沢沿いのザクザクの急な登りが一か所ある位で、それを登りつめて《小田代》まで出ると桟道の敷かれた湿原ハイクとなる。 でも、花はもう終わりを迎えていて、秋の花がチラホラ・・といった状況だった。
秋の花・林道と雨の水滴
《小田代》を越えてひと登りすると、メインの《田代山湿原》に着く。 ここも花はもう終わり・・の状況だったが、誰もいない広大な湿原は目にすると広潤に満たされた気持ちとなる。
始めは霧で視界がほとんどなかった
「霧で隠された桟道の端まで行ってみたい」
という思いに駆られて
霧で視界はほとんどなかったが、進路となる桟道が霧でかき消されると「この霧をかいくぐった先に行ってみたい」、「この湿原の端まで行きたい」という願望がもたげてくる。
桟道を歩き続けると、参道が3差路となった分岐に着く。 ここが田代山湿原の頂点・田代山山頂 1971m だ。 ここで待ちに待った一瞬の霧の晴れ間ができて、会津駒ヶ岳が姿を現してくれた。
待望の「一瞬の霧の晴れ間」
会津駒ヶ岳が姿を現してくれた
雨天で暗いながらも
山が完全に姿を現した
何かこの空模様は、これよりの放浪旅の運気が上向いているのを予感させるように感じた。
そう・・、長い雨でのグダグタ感を解消してくれる晴れ間だと感じたのである。
田代山湿原でアリバイ写真
後ろの山名標にある
「←帝釈山2km」が気になって
これに気を良くして、予定ではここで引き返すつもりだったのが、田代山の頂上にある『帝釈山 2km』を目にして、「2km位なら」と帝釈山も登ってしまう事にする。 この時はまだ【名峰百選】や〔名峰次選〕の選定など全く頭になかったが、この時の機転で登った帝釈山からの眺望で山の奥深さを知り、また名峰200峰の全踏破の18歩目を刻む事ができたのである。
その帝釈山だが、登っている内に登山ルートの樹林帯から強い夏の日差しが射し込んでくる。
どうやら、天気は急速に快方に向かっているようだ。 もう、暑くなって雨合羽は脱いでザックに丸めて叩き込んで、北海道の山以来久々にTシャツ一枚となって登っていく。
樹林帯の中を少したわんで登り返すと、横に細長い帝釈山の山頂に登り着く。 そこからの情景は、田代山や尾瀬方向は今まで降っていた雨雲に覆われて何も見えなかったが、東側の田代山林道の方向はハッキリと見渡せた。 そこには日光の山なみが重厚に重なって見えて壮観だった。
田代山林道のうねりと重厚な山風景が
この山の奥深さを物語る
日光・男体山と女峰山
この時は山名も判らず
ただただ山岳風景を堪能した
それは、この放浪山旅で初めて目にした山々が重厚に重なる山岳風景だったのである。
この帝釈山に登って重厚なる山岳風景を目にして、雨が続いて倦怠感に捕われた心が一気に晴れて更に山に登りたくなったよ。
さっきの雨雲が
どんどん向うへ流れていく
この山に登ってこの山風景に
魅せられた事が
ターンニングポイントとなったよ
ちょっとオーバーかもしれないが、この山に登った事がこの旅におけるターンニングポイントになったのかもしれないね。
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No title * by たけし
田代山湿原、舘岩村、湯の花、木賊温泉。
懐かしくて写真を見つめ、記事を何度も・・・
ありがとうございます。
舘岩村のメインロ-ド?あの何とも言えない、懐かしいようなホッ!とするような、何となく垢ぬけたテ-マパ-クみたいで人をみかけない・・・
文章にすることができません。芥川賞作家でも難しいんじゃないかなあ?
懐かしくて写真を見つめ、記事を何度も・・・
ありがとうございます。
舘岩村のメインロ-ド?あの何とも言えない、懐かしいようなホッ!とするような、何となく垢ぬけたテ-マパ-クみたいで人をみかけない・・・
文章にすることができません。芥川賞作家でも難しいんじゃないかなあ?
No title * by 風来梨
鳳山さん、こんばんは。
25年前の記事の頃は、ほとんど知られていない秘境でした。 取り分け、近くに尾瀬ヶ原があるが故に、完全に埋没してましたね。 でも、近年は尾瀬国立公園に指定され、訪れる人もかなり増えましたね。
帝釈山は、「遥かなる」という形容がピッタリのやまですね。
25年前の記事の頃は、ほとんど知られていない秘境でした。 取り分け、近くに尾瀬ヶ原があるが故に、完全に埋没してましたね。 でも、近年は尾瀬国立公園に指定され、訪れる人もかなり増えましたね。
帝釈山は、「遥かなる」という形容がピッタリのやまですね。
No title * by 風来梨
たけしさん、こんばんは。
田代山湿原や木賊・湯ノ花温泉に訪れた事がおありとは通ですね。
そうですね。 なんか寂れて潰れたテーマパークのような雰囲気の村でしたね。 北海道・芦別のカナディアンロッキーのような・・。
でも今は、合併して尾瀬への玄関口となってますね。 最も玄関口の機能は、駅のある旧田島町に集約されていますが。
田代山湿原や木賊・湯ノ花温泉に訪れた事がおありとは通ですね。
そうですね。 なんか寂れて潰れたテーマパークのような雰囲気の村でしたね。 北海道・芦別のカナディアンロッキーのような・・。
でも今は、合併して尾瀬への玄関口となってますね。 最も玄関口の機能は、駅のある旧田島町に集約されていますが。
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