2017-09-04 (Mon)✎
よも”ヤマ”話 第33話 鳥海山 〔秋田県・山形県〕 ’91・ 8
鳥海山 2236m 【名峰百選 8峰目】
鳥海・新山の頂上となる岩屑
今回の山行で撮った唯一の”山写真”だ
鳥海山 ちょうかいさん (鳥海国定公園)
東北の名峰・鳥海山 2236メートル は、山裾を大きく広げて美しい景観のコニーデ型火山である。
またお花畑も、“東北三大花の山”といわれる程に豊富に咲いている。 この山特種のチョウカイフスマ・チョウカイアザミやハクサンイチゲが、特に美しく群落を競っている。
また、山頂からの眺めも盟主たるに相応しく、北に岩木山、東に岩手山、西に日本海、南に朝日・飯豊連峰を望む雄大な眺めである。 しかし、それ以上にこの山の魅力として知れ渡っているのは、“影鳥海”であろう。 これは、朝日を浴びた鳥海山のシルエットが、日本海という大スクリーンに映し出されるのである。 ・・これを見た者は、誰しも自然の偉大さに立ちすくむ事だろう。
東北の名峰・鳥海山 2236メートル は、山裾を大きく広げて美しい景観のコニーデ型火山である。
またお花畑も、“東北三大花の山”といわれる程に豊富に咲いている。 この山特種のチョウカイフスマ・チョウカイアザミやハクサンイチゲが、特に美しく群落を競っている。
また、山頂からの眺めも盟主たるに相応しく、北に岩木山、東に岩手山、西に日本海、南に朝日・飯豊連峰を望む雄大な眺めである。 しかし、それ以上にこの山の魅力として知れ渡っているのは、“影鳥海”であろう。 これは、朝日を浴びた鳥海山のシルエットが、日本海という大スクリーンに映し出されるのである。 ・・これを見た者は、誰しも自然の偉大さに立ちすくむ事だろう。
鳥海山・象潟ルート 行程図
象潟町市街より車(0:45)→鉾立(2:00)→御浜(0:40)→御苗代(1:20)→伏拝岳
(0:25)→鳥海・七高山(0:30)→鳥海・新山(0:30)→大物忌神社(1:40)→御浜
(1:30)→鉾立より車(0:45)→象潟町市街
表題で書いた「北に岩木山、東に岩手山、西に日本海、南に朝日・飯豊連峰を望む雄大な眺め」やら、「この山特種のチョウカイフスマ」やら、「それ以上にこの山の魅力として知れ渡っているのは“影鳥海”」やらは全て十数年先の再登山の時で、最初にこの山に登った時は全てに渡って雨模様で、頂上ではズブ濡れになりながら雨霧で白夢となった頂上の岩屑の上に座っておにぎりを喰った思い出しかない。
ハクサンフウロ
雨の中で花を撮った記憶しかないな
この山行は
そして、登山の全時間帯に渡って雨だったので、登山道の傍に咲く雨に濡れた花々を撮っただけで、山の写真は頂上の岩屑の1枚しか撮れなかったのである。 それに登山の記憶も眺望皆無の雨の中を登っただけで、この登山に関して書き記すような事もほとんどないのである。
このように苦しい持ちネタでは、この33話目を記すのはかなり厳しいのであるが・・。
仕方ないので、その雨の中の記憶をたぐろうと思う。 なお、写真で撮ったのは前述のように登山道の傍に咲く花だけなので、文との整合性は皆無となるので悪しからず。
ヨツバシオガマ
ハクサンチドリとの違いはゲジゲシみたいな
4枚の葉があるのが”ヨツバ”シオガマ
翌朝早くから登山開始ができるように、昨日の内に車(治ったファミリア)で標高1100m地点の『鳥海ブルーライン』終点かつ鳥海山登山口の鉾立に向かい、そこに建つ登山小屋(1宿泊料1500円ほどで素泊のみ)で宿泊する。
前日の天気予報は芳しくなく、宿泊者も少な目だったような気がする。 でも、まだ山のビキナーで、天候の事などあまり考えてはしなかったみたいだな・・、この時のワテは。
その山に登る上で肝心な事=天候に無頓着だったタワケは、明日朝の食糧と行動食はキッチリと下準備していたようである。 まだコンビニなんかなかったから、昨夜の夜食はスーパーで折詰弁当を買い、朝は袋詰めのパン、山中の行動食は鉾立のレストハウスの食堂で登山者向けに売っていた梅干し入りのおにぎり2つにお新香付をあてがう事にしたのである。
おにぎりの形をしたツリガネシャジン
↑
苦しいなぁ
・・で、翌朝5時起きで、6時に出発。 登山ルートは鳥海山のメインルートともいえる《象潟ルート》なので、登山口から簡易舗装された階段道が結構な距離で続くのである。 その簡易舗装された階段道は、左下に見える白糸ノ滝を過ぎて展望所との道標が立つ(雨で)視界ゼロな広場まで続く。
そこからは石畳の道がジグザクに切ってあり、これを登っていく。 しばらくこの石畳みの緩やかな登りが続くが、やがて河原状のだだっ広い丘の上に出る。 ここは六合目で、《賽ノ河原》と名づけられている。 いかにも神社神道の山らしい名称だ。 この辺りは小沢が流れ、腰掛ける岩があちらこちらに転がるいい休憩場所だが、あまりにも広々として、ともすればリングワンダリングに陥りそうな所だ。
この平坦な河原を突っ切るように進むと、やがて石段の急坂となり、これを登りきると尾根筋に出て穏やかな草原の中を行くようになる。 草原の中をしばらく行くと、《御浜神社》の鳥居の立つ《御浜》に着く。 ここは山小屋も併設しているが、近すぎてあまり利用価値はないみたいだ。
《御浜》から先は、いよいよお花畑が現れだす。
《御浜》から先は、いよいよお花畑が現れだす。
ここから尾根のたわみに沿って緩やかに下っていき、そして緩やかに登り返していく。
この尾根筋の上からは、火口湖の《鳥ノ海》が見渡せるハズだが、ワテが最初に登ったこの時は、雨と霧で白霧の世界であった。 この尾根筋のたわみに沿って、ニッコウキスゲ・ツリガネシャジン・ハクサンイチゲの群落が咲き競う。
雨露に輝くツリガネシャジン
この山で撮った花の一番星がコレ
屋根筋のたわみを乗り越えると、八合目の《御苗代》に着く。 ここで、《千蛇谷》に下りて《大物忌神社》を経て山頂に至るコースと、外輪山をめぐるコースに分かれる。 体力的には前者が有利であるが、谷コースであまり面白みがないので、ここは後者の外輪山コースを取る事にする。 進路を右手に取り、ハイマツの茂る急斜面を登っていく。
イワギキョウ
外輪山は岩場なので岩間に咲く花が多かった
このハイマツの急斜面には少々手を焼くが、これを乗りきるとハクサンイチゲ・イワギキョウ・キンポウゲ・ハクサンフウロ・ミヤマリンドウ・イワハゼなどのお花畑となる。 だが、尾根上は痩せて切れ落ちているので、足元は不安定だ。 花を見ながら岩場をよじ登り、ハイマツをはね退けながら1時間程進んでいくと、尾根の頭に出る。
このピークは、伏拝岳 2110メートル である。 ここからは、岩場から脆い砂ガレ場に変わり足元が更に不安定となるが、ほんの20分位で鳥海山第二の高峰・七高山 2229メートル に着く。
もし、晴れていたなら、広々とした日本海を見下ろす事ができるのだろうな。 “影鳥海”を眺めるには絶好の場所との事である。
珍しい白のツリガネシャジン
『影鳥海』の代わりとしては弱いな
さて、次は最高峰に向かおう。 最高峰の新山へは、外輪山の壁を一度急降下して、中心に鎮座するドームのような山塊を登っていく。 だが、外輪山の壁はかなりガレていて浮石や落石が多く、鎖場ともなっているコース最大の悪場だ。 今回は、“下り”となるので慎重に下る。
この難所を下りきると、積み重なった岩をよじ登るように上がっていく。 同じような岩が積み重なって道が判りにくい上に、上りと下りのペンキの矢印が支離滅裂に示されていて、より一層判りにくい。
頂上へは、“胎内潜り”という岩のトンネルをくぐって反対側から巻いて登っていく。
鳥海山の最高峰、鳥海・新山 2236メートル の頂上は、『新山 2236メートル』と示されたプラカードが差してあるだけの至ってシンプルなものだった いや・・、シンプルというよりも侘しいものであった。 特に、この日のように風雨で荒れ狂っている時の侘しさはひとしおだ。 晴れていたなら、飯豊・朝日・岩手山・月山・早池峰山など、雄大な景色が思いのままなのだろうが・・。
雨に滲むヨツバシオガマ
本来なら眺望欲しいままの頂上は
雨で滲んでました
さて、荒天という事もあり、予定通り持ってきたおにぎりを雨の中でついばむだけで、食い終われば早々に引き上げる。 天候も良くなる気配がないので“影鳥海”はお預けとして、《大物忌神社》に立ち寄って《千蛇谷コース》を通って下山するとしよう。 だが、“影鳥海”を目的にこの山に登ったのなら、この《大物忌神社》に泊って晴れるのをじっと待つほかにないだろう。
《千蛇谷コース》は《大物忌》に向かって石段が延々と続く整備された道で、両側は外輪山の壁がそそり立ち、晴れていたとしても眺めは今いちであろう。 花も外輪山コースよりは少なめで、“楽”という以外に特典はなさそうだ。
花名不詳
千蛇谷を下る途中に咲いていた
天気が良ければこのコースを使って幾分楽に頂上に立ち、下りでいい景色を望む外輪山コースを通った方がいいかもしれない。 下り続けるとコースの最後で《千蛇谷》から外輪山の壁に取り付き、トラバースしながら谷を抜けると、《御苗代》で外輪山コースと合流する。 後は、往路を忠実に下るだけだ。
オトギリソウ
雨露を乗せていた
まぁ、『影鳥海』を魅る目的がなければ、完全に整備されたルートで日帰り登山が十分可能な山である。 でも、『日帰り登山』に追い込まれた!?なら、恐らく『影鳥海』や『チョウカイフスマ』はというこの山の名物は目にしていない事だろう。 ワテと同じく、山からの展望も白霧でお預け・・かも。
登山口近くに咲いていたミソガワソウ
登山口に下り着く頃に漸く雨が止んだよ
でも、雨天の登山を体験できた・・という『経験』を経た事はこの先登山を続ける上でプラスとなると思うし、「今度こそ、『影鳥海』とチョウカイフスマを拝む!」といったリベンジの心も宿るだろうから、これはこれで良かった・・のかな?
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No title * by 風来梨
tomさん、こんばんは。
雨の中の撮影でしたので、「一番星」のツリガネシャジン以外はあまり手応えがなかったですね。
私も鳥海山の写真は、これより20年近く後の2回目の登山までお預けでした。
そして麓から鳥海山と背景の「撮り鉄」は、未だに本願成就してませんね。
雨の中の撮影でしたので、「一番星」のツリガネシャジン以外はあまり手応えがなかったですね。
私も鳥海山の写真は、これより20年近く後の2回目の登山までお預けでした。
そして麓から鳥海山と背景の「撮り鉄」は、未だに本願成就してませんね。
No title * by 鳳山
鳥海山、名前には聞いていましたがこんな山頂だったんですね。
ナイス
ナイス
No title * by 風来梨
鳳山さん、こんにちは。
鳥海山は以前、(といっても40年位前ですが)外輪山にある七高山が頂上でした。 ですが、小噴火が起こったのか理由はは定かでないですが、七高山より6m高い鳥海新山が頂上に改められました。
今の最高峰の鳥海新山は岩の積み重なりが盛り上がった様相で、小噴火の痕跡だなと思われますね。
鳥海山は以前、(といっても40年位前ですが)外輪山にある七高山が頂上でした。 ですが、小噴火が起こったのか理由はは定かでないですが、七高山より6m高い鳥海新山が頂上に改められました。
今の最高峰の鳥海新山は岩の積み重なりが盛り上がった様相で、小噴火の痕跡だなと思われますね。
花のお写真お上手ですね。
小生も鳥海にはるか昔に登っていますが、やはり終日雨でした。花を撮っていないばかりか、行き帰りのバスも撮っておらずまともな画像はなかったように思います。鉾立に降りてきたときに初めて海が見えた残念な記憶だけが残っています。