2017-07-23 (Sun)✎
よも”ヤマ”話 第29話 裏大雪 〔北海道〕 ’91・ 7
大雪・赤岳 2078m、小泉岳 2158m〔名峰次選 8峰目〕、
大雪・白雲岳 2230m【名峰百選 5峰目】
裏大雪 うらたいせつ (大雪山国立公園)
『表大雪』の裏側にそびえる白雲岳 2230メートル を中心とした山々は、『裏大雪』と呼ばれている。 『裏』と呼ばれるだけに、交通手段・設備などは『表大雪』に遅れをとっているが、高山植物をはじめ、山頂からの眺望、漂う原始の香り・・など、山の魅力にあふれる地域だ。
・・『裏大雪』の最大の魅力は、何といっても原始の香り漂う大平原と、それを覆い尽くすお花畑である。 さて、この地域のプロフィールだが、赤岳 2078メートル 手前の《コマクサ平》や、咲く花の種類が『日本一』といわれる小泉岳 2158メートル 、主峰・白雲岳の裾野に広がる《高根ヶ原》の大平原とそこに咲く壮大なお花畑の群落、白雲岳山頂より眺める見事な縞模様の雪渓や、冠型の独特の山容を誇るトムラウシ山 2141メートル など、すぐにでも飛んで行きたい山が揃っている。
『表大雪』の裏側にそびえる白雲岳 2230メートル を中心とした山々は、『裏大雪』と呼ばれている。 『裏』と呼ばれるだけに、交通手段・設備などは『表大雪』に遅れをとっているが、高山植物をはじめ、山頂からの眺望、漂う原始の香り・・など、山の魅力にあふれる地域だ。
・・『裏大雪』の最大の魅力は、何といっても原始の香り漂う大平原と、それを覆い尽くすお花畑である。 さて、この地域のプロフィールだが、赤岳 2078メートル 手前の《コマクサ平》や、咲く花の種類が『日本一』といわれる小泉岳 2158メートル 、主峰・白雲岳の裾野に広がる《高根ヶ原》の大平原とそこに咲く壮大なお花畑の群落、白雲岳山頂より眺める見事な縞模様の雪渓や、冠型の独特の山容を誇るトムラウシ山 2141メートル など、すぐにでも飛んで行きたい山が揃っている。
また、《高根ヶ原》の大平原から望む“遙か遠き山”『東大雪』・石狩岳 1967メートル 、《大雪高原温泉》の“秘境”沼めぐりコース、原始の香り漂う平ヶ岳 1752メートル ・忠別岳 1963メートル 、《五色ヶ原》の入口となる五色岳 1868メートル など、尽きない魅力を秘めている。
行程表 駐車場・トイレ・山小屋情報
層雲峡温泉より車利用(0:50)→銀泉台(3:00)→赤岳(0:30)→小泉岳(0:50)→白雲岳
※ 帰路は往路を戻る 下りの所要は銀泉台まで約3:30
車が故障して代車の『ハチロク』になったというアクシデントはあったものの、その後もつづがなく放浪旅をつづけるワテであった。 でも、コレって、普通の人なら動揺してしまって旅の継続もままならないものだ・・と思うが、このタワケはドツボにハマればハマる程に逞しくなるようである。
このアクシデントを
切り抜けただけでも奇跡だけれど
※ グーグル画像を拝借
取り敢えず、車の修理上がりの連絡があると即効深川方面に戻らねばならない事もあり、予定通り!?深川にほど近い大雪の山々をめぐる事にする。 最初は車でなければ行く事が不可能な裏大雪を攻める事にする。 この旅に出る前から、「裏大雪は表の最高峰・旭岳の山域に比べて、高山植物の咲く規模が段違いに多い」と言う事を聞いていたので、密かに楽しみにしていた山域である。
前夜に層雲峡の大函の駐車スペース(この頃はまだパーキングエリアの概念はなかったみたい)にハチロク・レビンを止めて、後部座席を畳んで荷物スペース化して、そのクーペの底に足を突っ込んで寝ると、ファミリアより断然就寝スペースが広くなって快適だったりして。 ファミリアは、椅子をリクライニングするだけだったからね。
さて、翌朝6時に車を出して、銀泉台道路に入っていく。 道は完全にダートで、後輪駆動のハチロクは面白い程にケツが滑る。 そう・・、ドリフト小僧の憧れ、『全開ドリフト』だ。 まぁ、この頃に『イニシャルD』のような漫画はなかったし、『ハチロク』もこの頃は性能今イチのGTカーでしかなかった(この頃はS13シルビアが絶大な人気を誇っていた)のであるが。
でも実際はいう程に速くなかったよ・ハチロク
ワテの乗ってたパルサーの1800GTIの方が速かったし
ちなみにパルサーのGTI-Rは別物だね
ランエボとタメ張れるらしいし・・
正直言うとスカイラインGTRやランエボに勝つなんて無理!
まぁワテが相手ドライバーならハチロクでも勝てるけど・・ね
※ グーグル画像より拝借
国道273号線の分岐からダートを12~13kmゆくと、銀泉台ヒュッテが建つ銀泉台の登山口だ。
この施設は登山口にある登山者向けの宿泊施設だったが、10年ほど前の2006年より営業休止となったとの事である。
車を降りて山の支度を整えてから、ヒュッテの裏にある登山口を越えて出発。 ルートは裏大雪の山々の特徴であるなだらかな傾斜で、所々豊富な残雪を残していた。 標高を稼ぐ頂上直下周辺は岩コロ地帯の急登となるが、周囲に咲く花を見ながら行くと(若かったからだろう)全く苦にならないルートである。 このように歩いたルートそのものは書き記すほどの出来事もなかったので、そこで見た花々を中心に記事を書いていこうと思う。
ヒュッテの建つ登山口から約1時間程で《第一花苑》と呼ばれる所に出る。
ここはまだヒュッテからそれ程高度を上げておらず、花も僅かしかなかった。
まぁ、ちょっと小休止するにはいい感じの広場だろう。
花の波は、この《第一花苑》より標高にして100m程登った《第二花苑》から・・となる。
まずは、ピンクの可憐な花を着けたエゾコザクラが、ピンクの斑点の絵模様を魅せてくれる。
そして、山の傾斜を埋めるように咲くウコンウツギが、山の傾斜を黄色に染め上げるのだ。
山野をピンクに彩っていた
そして続く《コマクサ平》では、高山植物の女王・コマクサが岩の影に隠れるようにひっそりと・・じゃなかった、全て・・と言っていいほどの岩という岩の影に咲いていて”ひっそり”どころではなかったのである。
岩という岩の陰に咲き乱れていた
コレを目にして岩陰にひっそりと隠れ咲く
コマクサのイメージが揺らいだよ
続く《奥ノ平》では、キバナシャクナゲやエゾツガザクラ、イワブクロなどが、庭園状となった大地を彩っている。 《奥ノ平》庭園のお花畑を過ぎると、赤岳の頂に向かっての岩コロ場をよじ登る急登となっていくが、ここも岩場に花が咲き乱れているのだ。
エゾコザクラの紅とチングルマの白
ひと所に密集するイワブクロ
岩場を彩るチングルマや、エゾミヤマクワガタ、エゾコザクラなど、花を見るごとに足を止めてカメラを仕向ける・・これの繰り返しだ。 これだけ花があると登りの疲れは一切感じなかったが、花に見とれて足を止めるので、頂上になかなか登り着かなかったよ。
花が小さくて目立たないミヤマクワガタも
あれだけ咲き誇ると
エゾコザクラの可憐な容姿
最後のキツ目の登りも
花コロニーに癒されて苦にならない
で・・、コースのキツさはそれほどでもないのに、コースタイムと同じ位と時間短縮できずに赤岳 2078m の頂上に立つ。 赤岳の頂上には大きな岩塊があり、その岩の上に上ると小気味良いアリバイ写真が撮れるので、近くの人にお願いして御機嫌の1ショット。
岩の上でゴキゲンの
アリバイ1ショット!
でも、今はこういうアリバイ写真のお願いがし辛いんだよね。 登山者が持つカメラは、そのほとんどがスマホだし。 なぜなら、スマホで撮ってる人に重量のあるフイルム一眼レフで、「(手ブレせずにしっかりと構えて)シャッターを押してくれ」なんて頼めないし。 下手すると、シャッターボタンが判らないのもいる位だし・・ね。 だから、いつも岩の上にカメラを置いて、セルフタイマーで撮ってたりして。
逆に、スマホで「アリバイ写真を撮ってくれ」と頼まれるのも苦手なんだよね。 アレって、シャッター押した感覚がないから写真を撮ったという実感が皆無だし、上手く写っているかどうかも判らんしィ。
だからスマホでアリバイ写真の撮影を頼まれると、いつも撮った後に「キチンと写ってるか確認して下さいね」というのが口癖になってしまったよ。
赤岳からは『カムイミンタラ』の
雄大な山なみが望まれる
さて、赤岳の頂上からは、北海岳や北鎮岳・白雲岳といった山々の織りなす「神々の遊び場」=”カムイミンタラ”たる情景が広がる。 もちろん、北鎮岳の『白鳥千鳥』の雪渓も見える。 まぁ、この時は『白鳥千鳥』の雪渓の事は知らなかったけど。
《御鉢平》の有毒温泉が噴出する1ヶ所だけが
草木すら生えない沈黙の情景だった
そして、手前には白い煙を噴き出す《御鉢平》の有毒温泉の噴出口を覗く事ができる。
花に染められた山台地の一角にあるこの《御鉢平》の窪みだけが、硫黄岩剥き出しで花や緑が全くない沈黙した空間であるのも目をひく。
赤岳からは高山植物の咲く花の種が日本一と言われる小泉岳へと進むが、小泉岳はどこが頂上か解らない位のまろやかな丘状の山で、ピークを踏んだ感覚はまったくないが、その噂通りの花の波は圧巻だった。
花びらを割る顎が特徴のキジムシロ
珍しい花なのだがここでは
ありふれるように咲いていた
小さな花弁がぼんぼりのようになって
タカネイソツツジ
周囲を紅の斑点で染める程に咲いていた
エゾツガザクラ
ウコンウツギも
ここではありふれた花となったよ
黄色い花のキジムシロ、細かい花の”ぼんぼり”であるイソツツジ、赤い斑点で大地を染める位の勢いのあるエゾツガザクラ、岩の影に咲くタカネツメクサ、もうウコンウツギに至っては見飽きる位に咲いていたよ。
岩陰に密生して咲くイワツメクサを目にすると
写真を撮るのに熱中してしまうよ
その他にもチングルマのコロニーや、ミヤマキンバイ、イワウメ・・、そして最も見たかったホソバウルップソウの魅惑的な紫も目にする事ができた。 この花を見て、この花の由来の島で露助に占領されて踏み入れる事の叶わない得撫島の姿を想像するのである。
濡れた露岩の際に咲く
イワウメ
黄色いサクラソウのような
キンポウゲ
コロニーを形成して咲き競う
チングルマ
その魅惑的な紫に他国に占領されて
踏む事のできない得撫島を想像して
花の小泉岳より緩やかに下っていくと、ドイツのお菓子箱のようなのがちょこんと建つ白雲岳の避難小屋が見える小屋分岐に出る。 ここで、この先に歩くトムラウシの山姿とそこへ続く道を確認して、白雲岳へ向かって登っていく。
分岐より望むトムラウシに
近々の登頂達成を誓って
小屋分岐からは《白雲平》と呼ばれる月面のクレーター状の窪みが点在する中を撓む様に降りてから、ゴーロ帯をイッキに登っていく。 このクレーターの中にはチングルマやキンポウゲがコロニー状に咲き競い、それはクレーター毎に花種が分かれるので、クレーター自体が花の器となる。
クレーターの中に咲き競う
キンポウゲの花
クレーターを花の器にせしめる
チングルマの花コロニー
どこからもなく
コイツの鳴き声が岩にこだまして
※ ウィキペディア画像を拝借
そして、どこからか、キーキーと甲高い声のナキウサギの鳴き声がこだましてくる。
まぁ、ナキウサギを撮るのは至難の技なので、ウィキペデイア画像を拝借する事にします。
ちなみにナキウサギは天塩岳で1枚だけ撮れたけど、写りが小さ過ぎてボツでした。
・・で、最後の感動は、白雲岳の頂上にあった。 頂上より望む旭岳は、残雪がストライプの模様を描く・・真に神たる自然が創造し情景であった。 この情景が忘れられず、後にワテが選定する【名峰百選】の1つに真っ先にこの白雲岳を選定したのである。
感動の眺望が広がる
【名峰百選】・白雲岳の頂上にて
やがて空の下り坂を示す雲が
旭岳を越えて湧き立ってきた
そろそろ帰り時かも
今回は初めての大雪と言う事もあり、ロクな装備も持ってきていなかったので往路を戻る事にするが、この裏大雪に登った事で北海道の山の虜となってしまったよ。 下山の最中は、次に行く予定の北海道の最高峰・旭岳の事より、近い将来に行くと決めたトムラウシへの事を想像していた位だし。
下り着いた銀泉台では
キタキツネがお出迎え
- 関連記事
スポンサーサイト