風来梨のブログ

このブログは、筆者であるワテの『オチャメ』な日本全国各地への探勝・訪問・体験記です。

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よも”ヤマ”話  第26話  礼文島西海岸

よも”ヤマ”話  第26話  礼文島西海岸  〔北海道〕  ’91・ 7


礼文島西海岸『8時間コース』
断崖絶壁に蒼い海・・ そして高山植物と魅力満載だ

  利尻・礼文・サロベツ りしり・れぶん・サロベツ (利尻礼文サロベツ国立公園)
花の浮島、花の頂、花の大湿原。 花の国立公園・利尻礼文サロベツは見どころがいっぱいだ。 
礼文島ではトド島探検や、エーデルワイス・レブンアツモリソウなどの珍種の咲く西海岸8時間コース、巨岩全体がお花畑となる『桃岩』など。 

サロベツでは、エゾカンゾウの咲き乱れるサロベツ大平原や、利尻富士を眺める丘・・などがお薦めだ。 利尻島では、利尻山を映すオタドマリ沼。 そして、最大の見どころは、やはり利尻山 1719メートル だろう。 山からの眺望は元より、山頂付近に咲く花・花・花・・。 エゾノハクサンイチゲ・チシマフウロ・リシリリンドウ・ミソガワソウ・イワギキョウなど、様々な色彩の花が咲き乱れているのである。




礼文島西海岸・8時間コース 詳細図

   行程表
礼文島・香深よりバス(1:05)→スコトン岬(1:30)→ゴロタ岬(1:20)→西上泊
(3:30)→宇遠内(1:20)→礼文滝(0:20)→地蔵岩・元地よりバス(0:20)→礼文島・香深


ユースホステルなどの若者宿が火付け役となり、今や『礼文島』の観光の“目玉”となっている『礼文島(愛とロマンの!?)8時間コース』を、礼文船泊YH(現在はYH契約を解除して『とほ宿』となっているらしい)の主催するツァーに参加して歩いてみた。

このコースは実質8時間しっかりと歩くので、スタート地点の《スコトン岬》には早めに着く事が望ましいのだが、ユースの主催する一般の宿泊者向けのツアーなので、YH内で朝食を取ってからの出発とやや遅い。

今は宿が車を出してくれるのだろうが、この時は7時過ぎに船泊を通過するスコトン岬行きの路線バスに乗る。 そのバスが《スコトン岬》に着くのが7:30である。 でも、標準8時間の長丁場ルートで、参加者に歩くのが遅い者がいて、それでダダ遅れになったらどうするつもりだったのだろう?
まぁ、途中の先々に逃げ道はあるようだが、当時は携帯やスマホなんて夢の話だったからねぇ。


スコトン岬 ・・ゴロタ浜より
出発の時に撮るの忘れたの

さて、灯台の建つだけの少々侘しい《スコトン岬》を出発すると、しばらくは舗装道を行くが、やがて砂利道となり緩やかに高台に登っていく。 砂利道も尽きると草付きの道となり、海が下方に見えてきて、今自分が海を望む崖の上にいる事が解かる。 しばらく、海が見え隠れする高台の道を歩いていくと、『ゴロタ岬』という看板の立つ海に突き出た崖の突端に出る。 


ゴロタ岬より
切り立った海岸線を望む

この岬は200mの絶壁が直接海に落ち込み、いつの間にこんなに登ったのか・・と思う位の情景が広がる。 岬から再び砂利道となり、これを緩やかに下っていくと、いつの間にか道は草原地帯を歩くようになり、チラホラと山で出会える高山植物が道脇を飾りだす。


崖上の草付に出ると
いよいよ花の期待が高まっていく

ハクサンチドリ、ヨツバヒヨドリ、チシマフウロ・・など、海抜にして僅か200m位の所に咲いているのである。 やはり、“花の浮島”の称号はダテではなかった。


ゴロタ山の頂より続く
ハクサンチドリの花の波


ナデシコ


海沿いを本州の3000m級の
山の冠がつけられた花々が咲き競う

草原地帯もおおむね下り基調で、いつの間にか《鉄府》という小さな漁港に下り着く。 
何でも、ここの砂浜は“穴あき貝”が拾えるらしい・・が、それを探す余裕はちょっとなさそうだ。 
やがて、崖の間の小さな砂浜が尽きると、再び対岸にそびえる崖を登り返すようになる。 
これがやや急で、約150mのイッキ登りだ。

これを乗りきると、海中公園候補地の《西上泊》に着く。 ここはトイレもあり、《スコトン》方向へ砂利道も敷かれ、車でも来る事も可能だ。 挫折の第一地点としては、この《西上泊》だろうか?
ここからの眺めは、そこまで透き通るようなエメラルドグリーンの海で、さすがは海中公園候補地に挙がっただけの事はある。 


岩礁にある
ウミウのコロニー

《西上泊》から先は内陸に入ってゆき、海とは一旦おさらば・・となる。 そして、内陸部につけられた、細いハイキングコースのような道を歩いていく。 花も期待していた程ではないものの、エーデルワイス・ミソガワソウ・ツリガネシャジン・・などが道脇を飾っている。


淡い紫を魅せる
チシマフウロ


海沿いに“高根の花”の
ハクサンチドリ

延々と3時間位歩くと海沿いの崖の上に出て、再び海が見え出す。 この辺りを通る頃が、そろそろ昼食時だ。 海を見渡すこの高台でYH弁当の昼食を取る。 振り返ると、《スコトン岬》からの海岸線が見渡せて良い。 昼食を取って、ひと休みしたなら出発だ。

ワテ一人(もちろん、『奇跡の体力』があった時の・・)だけなら、歩きながらパンでもカジって昼食を済ませてタッタカと先に進むが、コレはYHのツァーであって、その参加者の靴などの装備を見るとワテだけが登山用のビニール登山靴『キャラバン』を履いていたので、”猛者”指定の上で『ツァーリーダー』の任を仰せつかる・・という経緯があって、ここは我を捨てて『一般ピープル』である参加者の皆に合わせて歩いていく。

ここから少し行くと、ザラザラした砂状の崩壊地に出る。 この崩壊地は《砂スベリ》と呼ばれるコース最大の難所で、砂に足をめり込ませながらこの急下降をズルズルと下っていく。 
スニーカーならばモロに砂が靴に入り、この上なく不快で、『一般ピープル』の参加者は、皆で「キャーキャー」「ワァワァ」と叫んでいたよ。 でも、現在は階段が造られて、難なく下りれるようになったんだって・・。
ちなみに、《砂スベリ》を行く事もできるらしいけど。

この難所を下りきると、《宇遠内》という小さな漁港に出る。 ここは公衆電話や売店もあるこのコースの最大の要所となっていて、『8時間コース』の観光客目当てに缶ジュースやスナック菓子を小屋なみの高値で売りさばいているようだ。

現在は、海岸線ルートが波打ち際の岩礁を伝うなど「大いに危険である」という事から、この《宇遠内》から内陸部に入り、お花畑の丘を横切って礼文林道に出るルートに変更されている。
もちろん、礼文林道でお迎えの車が待っているなど、『8時間コース』が『6.5時間コース』に短縮されたようだ。


海岸線ルートは危険な為に
通行禁止となった

さて、旧ルートはここから先はずっと海岸線をたどるようになり、波しぶきを浴びながらロープや鎖・ハシゴなどを伝って、海崖や海岸に転がる大岩を乗り越えていく。 ハシゴなどは、波しぶきを浴びて濡れて滑りやすいので注意が必要だ。 


新ルートでは見れなくなった礼文滝
この滝を見ないと
8時間歩いた実感が湧かないだろうね

この海岸線の岩場の難所は、《礼文滝》が現れるとようやく終わりを告げる。 この《礼文滝》、落差は僅か10mそこそこであるが、潮風でカラカラに乾いた喉には最高の力水だ。 


疲れた体と乾いた喉の力水
礼文滝

ここから、整備された小石混じりの海岸を20分ほど歩くと、《地蔵岩》のそびえ立つ『8時間コース』の終点・《元地》だ。  無事ゴールしたなら、《元地》の郵便局で『8時間コース』踏破の証明書のタトウが配られる。 但し、中に記念切手がはさんであって有料ではあるが。


普通に歩いても
ゴール到着は黄昏前となる

後はYHが出迎えに出した車で船泊に戻って連泊するか、夕方の最終バスで船着き場の《香深》に戻って礼文島を離れるか・・だが、『8時間コース』で苦楽を共にした御縁があるので連泊としたよ。


『8時間コース』踏破
お疲れさん!

   ※ 元ネタは、メインサイトの『利尻・礼文・サロベツ』です。 宜しければどうぞ。






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No title * by ギャメロン
こんにちわ

礼文島、懐かしいです
ハイキングで大雨に雹まで降って来た思い出があります(笑)
でも自然に咲くお花がとても綺麗でした(^.^)

ナイス!

No title * by 風来梨
ギャメロンさん、こんばんは。

私も記事を書いていて、懐かしく思いました。
私がこの8時間コースを歩いた四半世紀前は、砂スベリや後半の海岸線の波打ち際を行くなど、更にスリルのあるルートでしたね。

会談が造られたり、道が整備されるのは有り難い事なのですが、心の奥にスリルを失ったこのコースに一抹の寂しさが・・。

コメント






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No title

こんにちわ

礼文島、懐かしいです
ハイキングで大雨に雹まで降って来た思い出があります(笑)
でも自然に咲くお花がとても綺麗でした(^.^)

ナイス!
2017-06-25 * ギャメロン [ 編集 ]

No title

ギャメロンさん、こんばんは。

私も記事を書いていて、懐かしく思いました。
私がこの8時間コースを歩いた四半世紀前は、砂スベリや後半の海岸線の波打ち際を行くなど、更にスリルのあるルートでしたね。

会談が造られたり、道が整備されるのは有り難い事なのですが、心の奥にスリルを失ったこのコースに一抹の寂しさが・・。
2017-06-25 * 風来梨 [ 編集 ]