2017-06-10 (Sat)✎
よも”ヤマ”話 第25話 暑寒別岳 〔北海道〕 ’91・ 7
暑寒別岳 1491m 【名峰百選 3峰目】
雨竜沼湿原より望む暑寒別岳
暑寒別岳 しょかんべつたけ (暑寒別天売焼尻国定公園)
雨竜沼湿原と共に、最近脚光を浴びているのが、“原始の山”暑寒別岳 1491メートル だ。
雨竜沼湿原と共に、最近脚光を浴びているのが、“原始の山”暑寒別岳 1491メートル だ。
この山の魅力は、何といっても高山植物だろう。 広大な丘状の山頂台地に、色とりどりの花々が咲き乱れるのである。
・・チシマギキョウ・エゾノハクサンイチゲ・チシマリンドウ・チシマゲンゲ・ミヤマキンバイ・オヤマノエンドウ・カラフトハナシノブ・チシマフウロなど、色とりどりの花々が大地を飾るのである。
・・チシマギキョウ・エゾノハクサンイチゲ・チシマリンドウ・チシマゲンゲ・ミヤマキンバイ・オヤマノエンドウ・カラフトハナシノブ・チシマフウロなど、色とりどりの花々が大地を飾るのである。
また、豊富な残雪をまとい、見事な縞模様を魅せるのも圧巻だ。
この山上の“楽園”に行くには、3つのコースがある。 日本海側からは、増毛と箸別からの2つの登山コースがある。 また反対側からも、雨竜沼湿原を突っ切る長大コースがある。 どれをとってもかなりキツいコースだが、あの大地を彩りつくす花々を目にしたなら、きっと誰しも“登って良かった”と思うに違いない。
この山上の“楽園”に行くには、3つのコースがある。 日本海側からは、増毛と箸別からの2つの登山コースがある。 また反対側からも、雨竜沼湿原を突っ切る長大コースがある。 どれをとってもかなりキツいコースだが、あの大地を彩りつくす花々を目にしたなら、きっと誰しも“登って良かった”と思うに違いない。
行程表 《増毛コース》 駐車場・トイレ・山小屋情報
増毛町市街より車(0:50)→暑寒荘(1:50)→五合目(2:10)→暑寒別岳(1:30)→五合目
増毛町市街より車(0:50)→暑寒荘(1:50)→五合目(2:10)→暑寒別岳(1:30)→五合目
(1:30)→暑寒荘より車(0:50)→増毛町市街
花が山上台地を染め上げるシーンに
魅せられて山の虜となった峰へ
この1500mにも満たないこの山は、ワテが高山植物の花の虜となった山である。
それと同時に、この素晴らしい花の峰が選に漏れ、その代替えに山頂に俗に染まった宗教の神殿が建つなど山の自然とは相容れない筑波山や、麓にゴルフのカントリークラブが乱立する天城山など、登山の魅力の欠片もない山を『名山』とする深田久弥の『百名山』に大いなる疑念を持ち始めたのも、この山に登ってからである。
その後、この深田久弥が女を弄ぶ卑劣な輩で、『日本百名山』以外の著作物のほとんどが放送作家だった最初の夫人の書いたモノの盗作だった事も知り、よりこの輩に嫌悪を覚えるようになったのだけれど・・。
要するに盗作した挙句に、この女を捨てて別の女に走った輩なのである。 そんなクソ野郎に、素晴らしい山々が選別・位分けされたのである。
後にワテが【名峰百選】を選定した理由も、深田久弥のような下劣奸による選別を山好きとして認めたくなかったからである。 もちろん、ワテが【名峰百選】として山を選んだ事も、行為としてはこの下劣奸と同じなのは百も承知である。 これを承知する証として【名峰百選】の事を説明する度に、「この【名峰百選】はワテが選んだ『ワテだけのオリジナル』で、他の人には一切当てはまらない」と付け加えているのである。
まぁ、この事となるヒートアップしてしまうのでこの辺で置いといて、この山の登山の思い出を語ろうと思う。 前述で紹介した通り、この暑寒別岳には3つの登山ルートがあり、どのルートも高校の現役時代から数年呆けて、体力が脂肪に”化学変化”していた初心者同様のワテをして『厳しいルート』だったのである。
その体力が脂肪に”化学変化”していた事を念頭に置いてルート比較をしてみると、南暑寒別岳軽油のルートは長大過ぎて日帰りでは不安があったのと、箸別のルートは増毛ルートに比べると登山口の標高が高くて楽との事だが、登山口の山小屋が貧相(といっても、十分に使えるレベル)であった事から増毛ルートを選択したのである。
最初の山小屋泊りにして
最高級の小屋に当たったよ
その増毛ルートの登山口に建つ山小屋の《暑寒荘》は、布団(毛布付)アリ~の、水が蛇口から常時出ていて食材が揃えば一品料理の調理も可能な炊事場アリ~の、トイレは建物内にアリ~の(再びこの山に登った8年後には、身障者用のウォシュレットトイレも設置された)と、そこらの民宿顔負けの宿泊施設で、しかも無料と来たからたまんないのである。 もちろん、野外バーべキュー用の設備もあったし、テーブル・イスも完備だしィ。
そして、この時のワテは『放浪』してた事もあって同宿者は誰もおらず、優雅な山小屋ライフを独り占めできたのである。 初めて無料の山小屋を使って、いきなり最高級の山小屋に当たったのである。
云わば、一発勝負のくじ引きで『特賞』を引き当てたようなものであった。
ウコンウツギ
この花の山に登れた事も
ワテの人生においての『特賞』モノだろうね
・・で、これとない位にグッスリ眠って(さすがに電気の設備はないので、暗くなったらすぐに寝た)、翌朝の登山日を迎える。 翌朝は弱い雨が降ったり止んだりする生憎の天候で、持ってる”着物”では最も高価なゴアテックス合羽を着こんで登り始める。
でも、当時は安いモノでも上下で2万円はしたゴアテックス(今は上下で1.5万くらいまで落ちている)だが、ハッキリ言って2万円の価値はないな・・、この合羽。 登山でかく汗はゴアテックスの通気性くらいでは対処不能なんだし。
そして、この増毛ルートの登山口は280mと標高が低い森の中にあり、雨の森で夏とくれば蚊が寄ってくるのである。 もう、盲ら滅法手を叩けば2匹くらい始末できる位に蚊がまとわり着き、かなり蚊に喰われたよ。 これが標高が8~900mを超える5合目まで続くのである。 従って、2合目までは急登で5合目まででも6.2kmあるという厳しめの増毛ルートだが、この道中は「蚊を叩き殺しながら歩いた」という記憶しかなかったりして。
エゾフウロ
花の峰に行くまでの最大の試練が
登山口から5合目までのヤブ蚊地獄だ
やがて”水場”と指定された5合目に登り着くが、この”水場”は錆びたドラム缶に溜め置いた「葉っぱムシムシ~」な水で、使えば山頂に行き着くまでに水当りで息絶えるやもしれん「ヤバ過ぎる」水だったよ。
もちろん、このドラムカンの上でやぶ蚊がボウフラを育てているようだしィ。
なので、5合目では雨の中を小休止しただけで出発する。 行動水として水は1リットル持っていた(今思えば、ちょっと少な目だな)し、雨降りで喉が渇く事も少なかったので助かったが、持ち水がなければ我慢するか、この「葉っぱムシムシ」な水に手を着けるしかなかったのである。 剣呑、剣呑・・。
5合目を過ぎて6合目に差し掛かるとハイマツが現れ始め、滑りやすいガレ砂道の急坂をロープを手繰っての急登となる。 これを登りきると尾根に出て、程なく7合目の『滝見台』に登り着く。
7合目『滝見台』
西暑寒別の無名滝は目を凝らせば見える
※ グーグル画像を拝借
この日は雨で見る事は適わなかったが、真正面にそびえる西暑寒別岳の中腹に落差70~80mの無名滝が掛かるのが見える。 この辺りから、ゴゼンタチバナなどの小規模なお花畑がチラホラと現れ出すが、頂上はこんなショボイモノではないので1枚だけ撮ってスルーする事にしよう。
暑寒別に咲くゴゼンタチバナは
花びらの先が紫色に染まり神秘的だった
ハイマツの中を縫うように登りつめると、「展望台もどき」の8合目『扇風岩』の岩塊の上に立つ。
何故にここが”もどき”なのかと云うと、ここから見えるピークは暑寒別岳ではない”ニセピーク”だからである。 まぁ、ワテが登った時は雨は止んだものの、視界は皆無であったが・・。
8合目『旋風岩』
目の前にそびえるのは"ニセピーク"
※ グーグル画像を拝借
この8合目からが結構長い。 9合目の指標まで尾根の緩やかなたわみを突っ切って、この9合目から先程に『扇風岩』から見えた”ニセピーク”まで滑りやすいザレ場をロープを手繰っての急登となっているのだ。 恐らく、この急登が最もキツいようだ。 それに加えてここまで9km近く山道を歩いた疲れと、登山の序盤にやぶ蚊に喰われまくったダメージと、1500mを切る山とは思えない相次ぐ急登で、かなりコタえるモノがある。
登り着いた山上台地は
花で埋め尽くされていた
だが、このロープを手繰っての急登を乗り切ると、その先についにあった! 『花の楽園』が・・。
頂上台地を余す事なく埋め尽くす花の園。 まだ山の花を撮るのが初心者然のワテは、この花の園に「どうカメラを向けたらいいのか」戸惑ったよ。 だから、魅せられて感じた思いの丈の1/10も撮れなかったと思う。
チシマギキョウ
ミヤマキンバイ
エゾノハクサンチドリ
だが、悔いはない。 なぜなら、コレが撮れたから。 この”1枚”は、ワテの写真でも最もお気に入りの「花の写真」となったのだから。
ワテの生涯で最高の花の写真
が撮れた所がこの暑寒別岳だった
暑寒別岳の固有種である
マシケゲンゲ
“樺太”の呼称を冠する北の花
カラフトハナシノブ
マシケリンドウ
魅惑的な濃紺に心が戸惑った
その他にもカラフトハナシノブや戸惑うばかりの濃紺を魅せるマシケリンドウなどを見ながらゆくと、『暑寒別岳頂上 1491メートル』の標柱が岩の間に突き刺された暑寒別岳の頂上に着く。
ここまで4時間余り。
花の峰・暑寒別岳の頂上にて
ここまで4時間余り
頂上に着いた御褒美は
満開のウコンウツギのお花畑だった
頂上を囲むウコンウツギの花を愛でながら、頂上に着いた御褒美の水&昼食のチョコレートパンを味わう。 帰りは、電池制御の壊れたキャノンA-1の電池を着け外ししてコントロールしつつ、花を撮りながら往路を下っていく。
本州の中央高地では
2500m以上でしか咲かない
”タテヤマ”を冠した
タテヤマリンドウも魅られた
下りは雲間から日が差してきて、遅まきながら日本海へと続く展望が望めたよ。
下山してからの今夜も、最高の山小屋の暑寒荘に連泊する事にしたよ。
一瞬日が差してきて
最後にして一枚だけ
山の展望写真が撮れたよ
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